『ワルキューレ』
2009年11月07日
〔米/独〕VALKYRIE (2008年)監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー/ネイサン・アレクサンダー
トム・クルーズ/ケネス・ブラナー/ビル・ナイ/トム・ウィルキンソン/カリス・ファン・ハウテン/トーマス・クレッチマン/テレンス・スタンプ/エディ・イザード/ジェイミー・パーカー/クリスチャン・ベルケル/ケヴィン・マクナリー/デヴィッド・バンバー
アフリカ戦線で負傷し、本国ドイツに帰還したシュタウフェンベルク大佐は、アフリカの不毛な闘いから、大戦と総統に対して、大きな疑問と反発心が芽生えていた。負傷のために前線に戻れなくなったシュタウフェンベルク大佐は、本部において反ナチスのレジスタン活動に加わる事となる。彼等の計画の大きな要としては、総統を殺すこと。それによって生まれる暴動と鎮圧部隊を利用して、クーデターに持ち込もうというつもりだった。総統暗殺の重要な任務を任されたシュタウフェンベルク大佐、時は1944年、ヒットラー暗殺未遂、最後の事件が幕を開けようとしていた。
既に『失敗』と分かっている事件を描いているのに、これほどの緊迫感、これほどの重要性を持たせられるというのは大したものだと思う。相変わらず言葉が英語だし、やたらと『イギリス人俳優』の起用が目立ったが、それはそれとして、これは一級のエンターテイメント作品だった。
T・クルーズが主演なのに、全体的に地味なんだね。戦争映画というよりは、ヒットラー暗殺事件を緻密に描いたサスペンス。人の心の動き、状況により移り変わる危機感など、地味ながら十分に魅せてくれる。この地味だが堅実な作りが、本国でも意外なヒットに繋がる所以と解説されていたが、それもやたらと納得だ。
『彼以外のドイツ人がいたことを世に示せ』、泣かすわ。分かっている、集団性の恐ろしさの脅威と共に、それほどの脅威に流されず、国内においてナチス政権と戦ったドイツ人が沢山いたことは分かっている。しかしそんな彼等の意思を目の当たりにすると、やはり改めて胸がズシンと重くなる。
しみじみ、やはりT・クルーズって良い役者だな・・・と思った。国を愛するという純真さ、大義のための正義感、そういう役が良く似合う。良く似合うし、嫌味じゃない。無謀な戦いと思われたものだが、彼の熱い信念というフィルターを通すと、可能なことのように思われてくる。そして、本当に可能だったら、歴史はどれほど変わっていただろうか・・・と思わずにはいられない。作戦が失敗に終わる予感の中、果敢に挑むシュタウフェンベルク大佐の毅然とした姿には惹き込まれたわ。
もう1人、シュタウフェンベルク大佐の右腕となるヘフテン中尉がやたらと良い。とにかく猛烈に良いのだ。気になって調べてみたら・・・『ヒストリーボーイズ』のスクリップス役!?ウソ、大作だからか?2〜3度完全脱皮したのか?というくらい良かったのだ。
さてさてこの映画は、そんな素晴らしいスタッフに支えられた、壮大な、壮大な『失敗』の映画だ。主役達の末路も、想像以上に悲惨である。しかし、大戦以前の、本当に心から素晴らしかったと思える祖国に戻る為に命をかけた人々の、壮大な失敗なのだ。ラストに流れる素晴らしい碑銘が、この作品の本質を見事に表していると思えた。
『自由と正義と名誉のために抵抗し、命を捨てたものに恥はない』
you did not bear the shame.you resisted sacrificing your life for freedom, justice and honor.
抵抗運動記念碑より
久々に、とても美しい言葉にも巡り合えた。
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ぽすれん『ワルキューレ』紹介
『まぼろしの王都』
2009年11月07日
エミーリ・ロサーレス著/木村 裕美 訳/河出書房新社バルセロナで画廊を経営するエミーリ・ロセルの元に、『見えないまちの回想記』と表題のつけられた手記のコピーが送られてくる。著者はアンドレア・ロセッリという18世紀に生きたイタリアの建築家だ。子供の頃、故郷の町で『見えないまち』を探したあの頃が蘇り、不可抗力のように手記に没頭するエミーリ。かつてカルロス3世が夢見た都市計画は存在したのか?その鍵は『ティエポロ』というイタリアの画家にありそうだった。そして『見えないまち』の行く末を追う内に、幻の名画と、エミーリ自身の出生の秘密に迫って行くのだった・・・。
バルセロナを舞台に、私生児として生まれた男が強烈な過去に引き寄せられ、その真実を追う内に、自らの出生の秘密を知る。そしてその男には、過去に悲しい恋の思い出があったのだった・・・って!?『風の影』にそっくりじゃないか?
物語の雰囲気も、文章運びも、何となく似ている・・・と思っていたら、『風の影』の編集者が本作の著者なのだそうだ。改めて、編集者の影響力の大きさを知る思い。単に好みが似ていただけなのだろうが(笑)。
双方の物語で感じたのだが、話がどうもメロドラマっぽい。本作のほうが、歴史的史実を巧みに絡めつつ、史実上の有名人物も多数登場するだけに仰々しい壮大さがあるのだが、それでも結局、『謎』といってもメロドラマ的なのだ。
結末もあっけなかったし、盛り上げた割には処理が淡白過ぎて(笑)。読者には大方想像が付く結末だから適当に切り上げたのかもしれないが、そうなるといささか力量不足か?と思わせても仕方が無い。
とはいえ、過去と現在を織り交ぜつつ、幻の名画や過去に生きた男の人生の末路、見えないまちの信憑性などなど、読みどころは満載。エミーリの辛い恋の過去話などを小出しにして、中だるみを防いで最後まで興味深く読めた。
これだけ盛りだくさんなのに、結局のところメロドラマ的というのが、、、勿体無いのよねぇ(しつこい?)(笑)。ただし、本書の舞台となった町、舞台となった『見えないまち』跡地など、実際にみることも出来るらしい。バルセロナは大好きな町の1つだ、その真夏の暑さと時折吹く心地良い風を思い出し、スペイン情緒に浸れる作品ではある。歴史好きでなくても十分に楽しめるので、肩肘張らずにお薦めできる作品と言えるかも知れない。
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『サーズビイ君奮闘す』
2009年11月07日
ヘンリー・セシル著/澄木 柚 訳/論創社若干21歳で法廷弁護士の資格を獲ったロジャー・サーズビイ、幸運にも有望な事務所に入ることが出来、少しばかり風変わりなボスであるグライムズ氏と共に働く事に。しかも事務弁護士を大叔父にもつ女友達ジョイのおかげで、滑り出しは順調・・・だと思ったのだが、初日から法定に立たされた新米弁護士は、判事の前でしどろもどろ、思惑通りに事は運ばず、現実の厳しさを目の当たりにする。しかし愉快で親切な先輩弁護士の助けを借り、何とか弁護士生活が軌道に乗る。しかし法定に現れるのはおかしな人ばかり、新米君の苦労の日々は始まったばかりなのだ。
ヘンリー・セシル・・・ヘンリー・セシル?はて?どこかで聞いた・・・と思っていたら、『メルトン先生の犯罪学』の方でしたか。こちらを読んだのは大分前も前、18年くらい前かな(笑)、ということで詳細は余り憶えていないのだが、逆説や奇想天外なプロットがとても面白かったのは良く憶えている。
作者自身が法廷弁護士として活躍された・・・と聞くと、少し前に読んだ『ランポール弁護に立つ』が思い出されるが、こちらの後書きや解説は、本書を読むに際して一助となると思われる。『ランポール弁護に立つ』の後書きによるが、イギリスの法曹界はことのほか『おかしな』場所らしい。事務弁護士、法廷弁護士、アシスタント等が様々に関わり、イギリスらしく往年の仕来りを遵守するその様が、両作共に面白おかしくエピソードに組み込んでいる。
ランポールとは違い、主人公ロジャー・サーズビイが青年というのも面白い。読者と共に、新米弁護士は『おかしな』法曹界を生き抜く知恵をつけてゆく。P・G・ウッドハウスのバーティなども良く裁判所に出向いては、偽名を使い、なんともお粗末な裁判を幾多と潜り抜ける様が描かれている。
現在ではどうだか知らないが、とにかく『ちょっとそれは・・・』と思いたくなる裁判が繰り広げられる。正義云々以前に、道徳的にどうなの?と(笑)。しかし今現在でも、『白い鬘を被ってものものしい姿で法廷に立つ』というイギリスである、そのちょっとずれた法廷世界を存分に楽しめる作品かと思われる。
主人公ロジャーは、とても真摯で柔軟性のある若者だ。だから、他人の助言も快くありがたく受け入れる。先輩弁護士しかり、風変わりなボスしかり、二股をかけている『女友達』サリーしかり。
実直ゆえに、二股を公明正大に発表し、2人を同じように愛せたら・・・という悩みも持っている。余りにも素直で公平な男、だからこそ、恋愛にも公平。この辺の『捻くれ』ぶりも、H・セシルの作品らしいと言えるのではないだろうか。
本作には続編があり、ロジャーは順調に法曹界の階段を登っていくようだ。サリーや先輩弁護士(名前忘れた(笑))とのその後も気になり、勢い、続編の翻訳もしていただけ無いものだろうか?
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『ブーリン家の姉妹』
2009年11月03日
〔米〕THE OTHER BOLEYN GIRL (2008年)監督:ジャスティン・チャドウィック
原作:フィリッパ・グレゴリー
脚本:ピーター・モーガン
ナタリー・ポートマン/スカーレット・ヨハンソン/エリック・バナ/デヴィッド・モリッシー/クリスティン・スコット・トーマス/マーク・ライランス/ジム・スタージェス/ベネディクト・カンバーバッチ/オリヴァー・コールマン/アナ・トレント/エディ・レッドメイン
男の世継ぎが生まれないことに業を煮やしていたヘンリー八世に、宮廷に出入りするノーフォーク公爵は身内のアンを紹介する。しかし、勝気で自我の強そうなアンではなく、ヘンリー八世はその妹のメアリーを愛した。失意の内にフランスへ渡ったアンは、その王宮である種の『人生』を学び、強かな狙いを持って帰国した。開花した魅力でヘンリー八世に言い寄るアン、その頃ヘンリー八世待望の男子を出産したメアリーだったが、アンの画策によりその子も私生児とされてしまうのだった。そしてついに、ヘンリー八世を離婚に追い込み、自らがイングランド女王となる日を迎えるのだが・・・。
さぁ皆さん!歴史(イングランド史)のお勉強をしっかりして挑みましょう!などと思いそうだが、別に・・・、大河ドラマとして大袈裟な雰囲気を楽しめれば十分なのではないかと。以外にS・ヨハンソンの英国訛りが上手くて面白かった(笑)。
賛否両論あるようなのだが、個人的にはこれ『上手い』と思う。脚本は『クィーン』を手がけるP・モーガン、なるほど納得。『ラストキング・オブ・スコットランド』でも似たような印象を持ったが、シリアスにするならどこまでも突き進めそうな物語を、良いように俗っぽく描ける脚本家なのだと思う。
ポイントがとても明瞭だ。混乱した物語が好きな方には、かなり不満足な結果を呼びそうなほど明確化してしまう。しかも中心に据えるべき物が、たいてい俗っぽい。この俗っぽさが、万人には受けるのだと思う。私もその内の1人(笑)。
複雑なイングランド史、特にヘンリー八世の時代は、新しい宗教が生まれたり、カソリックと決別したり、何人もかみさん変えたり、圧政に苦しんだり、まぁ、色々。アン・ブーリンのこと然りだが、そんなもの、結局は氷山の一角に過ぎないわけだ。
何よりどでかいヘンリー八世の遺物としてはやはり、エリザベス1世を誕生させたことではないだろうか?曰くつきつきの親父に代わって、イングランド随一の栄光の時代を築いたエリザベス1世。明暗を分けた親子の交わった時、それがアンの時代。
そんなものを2時間弱で語ろうとするほうが土台無理な話で、ポイントを明確にして周囲をぼかすことで、見事な大河(メロ)ドラマに仕上がっている。焦点は『姉妹の愛憎』、そして『権力と愛の狂騒劇』だ。
確かにディティールの処理はだいぶ大まかで、委細詳細なんてものは度外している気もするが、ことの『真相』自体が大昔のことで曖昧なのだから仕方が無い。想像80%は必要な物語としては、1人の男と付随する権力を得ようとする女の執念、その後の転落と絶え間ない危機感など、十分にドロドロした昼メロ世界を楽しめる。
初めてこの映画のキャスティングを知った時、そんな愛憎劇に不似合いな2人の女優・・・と思った。しかし流石は押しも押されぬ若手実力派女優たち。十分に魅せてくれる演技合戦だった。S・ヨハンソンは個性勝ちという気がするが、N・ポートマンは体当たりだね、とっても良かったわ。処刑シーンはいまいちだったけど?
男性陣が追いやられるのは仕方の無い脚本なので、ここで『不細工のくせに女好き』だったと評判のヘンリー八世を、思い切って権力だけでなく、美しさももったE・バナにしたのは正解かな?観ていて楽しい♪おまけにちょっと・・・印象薄い人だから、丁度良い・・・。個人的にはJ・スタージェス!やっぱり可愛い!ということでしっかり満足。
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ぽすれん『ブーリン家の姉妹』紹介
『アントラージュ★オレたちのハリウッド (シーズン3)』
2009年10月29日
〔米〕ENTOURAGE (2006年)製作総指揮:マーク・ウォールバーグ/ダグ・エリン
エイドリアン・グレニアー/ケヴィン・コナリー/ジェレミー・ピヴェン/ジェリー・フェレーラ/ケヴィン・ディロン/デビ・メイザー/ペリー・リーヴス/レックス・リー/エマニュエル・シュリーキー
| <DVD1> | <DVD2> |
| Episode 1: Aquamom | Episode 5: Crash and Burn |
| Episode 2: One Day in the Valley | Episode 6: Three's Company |
| Episode 3: Dominated | Episode 7: Strange Days |
| Episode 4: Guys and Doll | Episode 8: The Release |
新作映画『アクアマン』が完成し、大手スタジオが絡む大作の初めての公開が目前となった。興行成績にやきもきする関係者一同、超然としているように見えるヴィンスも、密かに例外ではなかった。結果は予想以上で、続編の主演も決定したが、次回作として出演を熱望していた『メディシン』と撮影期間が重なってしまった。大手スタジオと交渉が決裂してしまう。方や、タートルが暫く売り込んでいたサイゴンがようやく認められ、大手レーベルと契約することに。援助を頼んでいたアリは、事務所拡大の計画が元ボスのテレンスにばれて雲行きが怪しい。しかし、『クイーンズ・ブルバード』の拡大公開が決まったので一安心と思いきや、彼等の作品は配給会社の手によって悲惨な修正が加えられていたのだった。
あ〜、長かったわ。2枚目のDVDが2ヶ月くらい借りられなかった。1枚目の内容忘れそう・・・。とは言え、キャラクターが定着したからか、ヴィンスの活躍が本格化し始めたから、シーズン3に入って物語が面白くなった気がする。これまでは、A・グレニアーの顔を見られれば満足だったというか(笑)。
もともとM・ウォルバーグの実体験がネタとなっているといわれているだけに、大手スタジオとの問題や、インディペンデント映画の扱い、役者の契約状況や交渉の過程など、ピリリと『現実味』を感じる見せ方になってきた。
人気俳優といえど契約に縛られ、上手く行かなければ簡単に反故される。観ているとなんだか、ハリウッドの芸能ニュースのあれこれをやたらと思い出すのだ(笑)。オファーを蹴ったの出演を取り消したの取り消されたの、ああ、なるほど、こういう展開なのねと(笑)。ともあれ、確実に『人気俳優』に成長しつつあるヴィンス、今後の展開が楽しみなシーズンになりそうだ。
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ぽすれん『アントラージュ★オレたちのハリウッド<サード・シーズン> 1』紹介
ぽすれん『アントラージュ★オレたちのハリウッド<サード・シーズン> 2』紹介
『ジーヴスの帰還』
2009年10月29日
P・G・ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会ダリア叔母さんの夫トーマスの賓客であるクリーム家の子息、放蕩者のウィルバートとフィリス・ミルズの結婚を阻止するべく、ブリンクレイ・コートに出向いたバーティ。しかしそこには、何故か執事に扮したサー・ロデリック・グロソップがいた。おまけにフィリスには、バーティーの天敵オーブリー・アップジョン牧師という義理父のおまけが付いていた。さらにボビー・ウィッカムまでブリンクレイに滞在しており、バーティーとの婚約を勝手に発表していた。それは、ボビーの恋人であり、バーティーの親友であるレジナルド(キッパー)・ヘリングと結婚するための策略だったのだが。しかし結局やっぱり、キッパーとボビーは喧嘩をしてしまうし、自著をキッパーにこき下ろされたアップジョン牧師はお冠り。トーマス叔父さんの大事なウシ型クリーム入れも危機に瀕して、のどかなはずのブリンクレイ・コートはまたしても大混乱の様相に。
相変わらず、粗筋がどうしても長くなる(笑)。今回も盛りだくさんでお届け。しかもラストには、関連短編2本が収められているおまけ付きなのだ。それにしても、後年のウッドハウスはダリア叔母さんがとかくお気に入りだったのか?アガサ伯母さんが出てこないのはちょっぴり寂しい(笑)。
しかし今回は、その傍若無人さで周囲を混乱に巻き込むボビー再登場。しかもバーティーの親友と、本当に本気の恋に落ちていた。御大、おてんば娘をとうとう片付ける気になったのか。そんなボビーのお相手は、バーティーの親友キッパー。
バーティーの親友といえば・・・、大方バーティーをとことん窮地に陥れて、都合が悪くなると、バーティーを見捨ててとっととずらかる輩が多いが、なんの!キッパーの見上げた男気に今回はホンワカしてしまった(笑)。
何より個人的な目玉エピソードは、『あの』サー・ロデリック・グロソップとバーティーが和解すること。『サンキュー、ジーヴス』でもそうだったかも知れないが、今回は徹底的にとことんみっちりピッタリくっついちゃうのだ。グロソップおやじのおちゃめな姿がまたおかしく、次第に変わって行くバーティーの尊敬の念も抱腹絶倒の筆致(笑)。
トム叔父さんのウシ型クリーム入れもまたまた窮地に立たされつつ、物語はマリガトーニ・スープにどっぷり浸かってゆくのだが、ジーヴスが余り目立たないのよね?またしても鮮やかかつバーティーを追い込む解決を見せてはくれるのだが、いささかパンチが足りない気分。フィリス・ミルズのキャラクターは、またどこかでお眼にかかりたい出来ではあったけど(笑)。
とはいえ、後書きによると、シリーズ中バーティーが出てこない作品もあるそうで、それはそれで、、、ちょっぴりつまらない。やはり2人は、丁度良いバランスで持ちつ持たれつやっていただきたいな♪
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『その男ヴァン・ダム』
2009年10月25日
〔白/ルクセンブルク/仏〕JCVD (2008年)監督:マブルク・エル・メクリ
脚本:マブルク・エル・メクリ/フレデリック・ベヌディス
ジャン=クロード・ヴァン・ダム/フランソワ・ダミアン/ジヌディーヌ・スアレム/カリム・ベルカドラ/ジャン=フランソワ・ウォルフ/アンヌ・パウリスヴィック/サスキア・フランダース/ディーン・グレゴリー
アクション俳優としてハリウッドで成功した、ベルギー出身のジャン=クロード・ヴァン・ダム。しかし47歳となった今、身一つのアクション映画は衰退し、彼の身体も限界。おまけに何度目かの離婚による親権争いは泥沼化し、出費は嵩む一方で金銭苦に。争点の娘からは煙たがられ、オファーのある映画はB級の酷いものばかり。久し振りに帰ってきた祖国ベルギーでは、何故か銀行強盗犯になっていた!?この男、どこまでツキがなくなっているのか?
どうしても観たかったの(笑)。ジャケットの写真も良いねぇ〜。皺のはっきりした陰影のある男の顔、疲れと年輪を感じるわ。何しろ原題が『JCVD』だからね、そのまんま、Jean-Claude Van Damme。こういう豪快な開き直り感って大好き(笑)。ちなみにこれ、抱腹絶倒の自虐コメディではないのであしからず。
とは言え、実際今の状況がどうであるかは知らないが、落ちに落ちた『かつての』人気俳優の姿がとことん描かれている。J=C・ヴァン・ダム自身についても、背が低いのなんのと、結構言いたい放題(笑)。
こういう映画に出るほど必死な状態なのか?または器のどでかい男なのか!?と思いきや、J=C・ヴァン・ダムは製作総指揮にも名前があるので、ジョークの分かる男ということなのだろうな。
作りはまさに『ヨーロッパ風』。かなり行き当たりばったりの強盗計画に巻き込まれるヴァン・ダムなのだが、その経緯を時間軸を巻き戻して見せたりと、なかなかに面白い演出だった。途中のヴァン・ダムの独白は・・・いらなかったんじゃないかな・・・。
結末はちょっぴり消化不良。ベルギーの法律って、どうも割に合わない気がする(笑)。とは言え、これがアメリカだったら全く違う方向性(もちろんやりすぎ満載の人道的でヒーロー的なね)だったろうし、そこが妙に淡々としたヨーロッパらしいブラックさ。
それにしても、J=C・ヴァン・ダム、47歳にして男の色香満載、素敵だったわ。肉体美も然ることながら、その若々しい印象には驚いた。余り・・・というか全然、J=C・ヴァン・ダムの映画は見た事が無いので。以前何かのベルギー映画で、カメオ出演しているのは観たけど(笑)。
最後に、余りにご無体な扱いのJ=C・ヴァン・ダムだったので、若かりし日の素敵なお姿をご紹介して締めにしたいと思います。・・・では。

あ、間違えた・・・。でもやはり、ジョークの分かる器の男なんだなきっと(笑)
これでどうだ!

こんな感じか?

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ぽすれん『その男ヴァン・ダム』紹介
『道』
2009年10月25日
ルイス・サッカー著/幸田 敦子 訳/講談社スタンリー・イェルナッツの活躍で、矯正キャンプは生まれ変わった。所長も監視員も変わらないけれど、『あの頃』よりは少しマシになったはず。そこで、高校生になったスタンリーは、矯正キャンプを生き抜くバイブルを書くことにした。キャンプを生き抜くための答えではなく、人生をいかに考え、そして進むのかを、少しだけ教えてくれるかも。
ということで↑、『穴 HOLES』に付随して書かれた本作、いわゆる攻略本などではなくて、純粋に続編として、成長したスタンリーの呟きにも似た面白さを感じられる作品なのだ。運営陣は変わったけれど、所長や方針は余り変わっていないキャンプ。環境は相変わらず苛酷だし、穴掘り作業は前のまま。
こんなに辛い状況を、いかにして乗り越えていくのか?という知恵を、『あの頃』の思い出話と共に届けてくれる。穴掘りや生活環境の苛酷さは、そのまま『人生』に当てはめられるのかも知れない。その岐路に立たされたとき、人は悩み、おのずと結論を出していく、いや、出さざるを得ないのだろう。
穴掘りの仕方や攻略法、蛇やさそりに出会ったときの対処法。対峙するものの性質を見極め、的確な対応をとる。皆さんの人生にとって、蛇やさそり、穴掘りに匹敵する苦難とは何だろう?スタンリーの提言は直接関係ない様に思えるかも知れないが、経験と冷静な判断による回答の導き方は、いずれ実生活への手助けとなるだろう。
なんて(笑)難しいことは一切抜き。楽しかった『穴 HOLES』のちょっとした続編として、存分に楽しめば良いだろう。ただしご忠告。『穴 HOLES』を読み終わったら、間髪いれずに本作をお読みになるほうが、本編の余韻に併せてよりお楽しみいただけることと思う。時折差し挟まれるスタンリーからの質問も、時間が開くと答えに窮するかも知れない(笑)。
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『ロルナの祈り』
2009年10月24日
〔白/仏/伊〕LE SILENCE DE LORNA (2008年)監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
アルタ・ドブロシ/ジェレミー・レニエ/ファブリツィオ・ロンジョーネ/アウバン・ウカイ/モルガン・マリンヌ/オリヴィエ・グルメ
アルバニア移民のロルナは、同郷の恋人ソコルとバーを開くのが夢だった。その夢が目前に迫った頃、彼女はようやくベルギーの国籍を手に入れる。闇のブローカーファビオの手引きで、麻薬中毒者のクローディと偽装結婚していたのだ。あと一歩の夢のためにとまった現金を手に入れようと、クローディと離婚してもう一度別の相手と結婚する予定だったのだが、クローディはロルナに頼りきり、なんとか麻薬を断ち切ろうと努力し始めるのだった。しかも、ファビオは、離婚ではなく違った別離を考えていて・・・。
またもう〜、ロマンス映画じゃないですよ〜。心温まるヒューマンドラマでもない。原題と英題を比べてみると、『ロルナの沈黙』あたりが正しい。でもこれだと『沈黙シリーズ』っぽい・・・(笑)。確かに、この映画の内容だと売り出し辛い、それは良く分かる。
分かるのだが!湾曲するのは良く無いと、いつも、言ってる、でしょうが(笑)。
なんとも切ない話。夢を追って必死に生きていたはずが、思わぬところから犯罪の波に襲われてしまうロルナ。ロルナがクローディーに肩入れしたのは、母性本能とか同情心とか、そういったものだろう。言うなれば、野良犬に懐かれて、次第に情が移ってしまうような。ウチはペット禁止だから・・・、でも保健所に入れるのはちょっと・・・。
それも一種の愛情だろうが、ロマンチックなものとはだいぶ違う。映画を通して、ロルナの強さは存分に描かれている。こうした女は、ダメな男に弱い。クローディーのように、間違いなく世話人が必要なタイプになら尚更なんである。なぜだろう・・・、自分に厳しく、強く逞しい女性は、ああしたか弱い男に、『君の顔を見るだけで耐えられる』などと言われると・・・はあぁぁぁ。全く生産性が無い!と分かっていても、はぁぁぁぁ。
だからこそ、自分が『守り』切れなかったクローディーを、想像妊娠をしてまで蘇らそうとする。それこそ、母性愛としてクローディーを想っていた証拠と言えるのではないだろうか?そして、結局は本当の愛情ではなかった恋人ソコルを失って、何か絶対に、自分を裏切らない存在が欲しかったのかも?裏切らないという点においては、確かにクローディは誰よりも確信が持てるだろう。
後半、クローディに心を開いて笑いかける解放されたようなロルナの表情がなんとも言えない。その先の展開を思うと、余計に心掻き乱される思いだ。そんな素晴らしい演技を見せてくれたのは、僅か2週間でフランス語をものにしたというA・ドブロシ。余りにも現実的な存在感のある、素敵な女優だった。
そして本作はもちろん!J・レニエ観たさ(笑)。かなり過酷な役作りをしたと聞いていたのだが、『ある子供』の頃と変わり無い様相だった。しかし現在の彼は年齢相応に逞しくなっており、それがあそこまで貧弱になっているとは驚きだ。そんな役作りも然ることながら、ロルナを慕うクローディの頼りなさや儚さ、しかし麻薬を求める時の激情的な様、出番は少ないが、やはり存在感は抜群だった。
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ぽすれん『ロルナの祈り』紹介
『ブロークン』
2009年10月24日
〔英/仏〕THE BROKEN (2008年)監督:ショーン・エリス
脚本:ショーン・エリス
レナ・ヘディ/リチャード・ジェンキンス/ミシェル・ダンカン/メルヴィル・プポー/アシエル・ニューマン
ロンドンでX線技師として働くジーナは、職場で左右対称の内臓を持った珍しい症例のレントゲン写真を見る。その夜、父の誕生日に弟とそれぞれのパートナーが集まった時、団欒を打ち壊すように大鏡が突如割れてしまう。その時は不吉な予感を笑い飛ばしたものの、後日ジーナは自分とそっくりの女性を見かけ、その直後にあった自動車事故によって記憶が混乱してしまう。しかし周囲の変化に気付き始めたジーナは、自分にそっくりな女性の存在を探し始めるのだが・・・。
ああ、こりゃ、ああ・・・。『フローズン・タイム』の監督のね・・・。観ようかどうしようか迷って、全体像の想像は大体つくから止めたのだが、うん、結局こちらも予想通り・・・。単にM・プポーが出るから観ようと思っていて、時間が経ってすっかり忘れ、同じくM・プポー出演で似たタイトルの『ブロークン・イングリッシ』と混同していた(笑)。
フォトグラファーとしても名高い監督だというが、映画に関してはより多くの観客が生まれるため、多少の俗っぽさがあったほうが良いと思う。俗世的な世知辛さとか、観客の側に立った視点が無いと、全般的な共感は得られないだろうなと思うのだ。
反対に、絵画や写真、なんでも良いがそうした『美術館系統』の作品に関しては、俗世感を突き放した芸術性がもてはやされ、付いてこられないならそれで結構!という高慢なスタンスが、むしろ人気の礎だったりするだろう。
この映画はそんな感じ。監督の研ぎ澄まされた感性には恐れ入るのだが、物語としての映画と捉えると・・・中途半端なのだ。映像にはこだわりを感じるし、雰囲気も何やら大仰しくアーティスティックな感じは十分。物語としては子供騙しではあるが、手法としてはそれなりのファンが確立できそう。私は映画に強い物語性を求めるので、そうした観点からは満足できないのである。
ラストではそれなりに『なるほどねぇ』と思わせるのだが、サスペンス作品を観終わった後のような、心地良い疲労感や満足感は微塵も無い。監督の自己満足を押し付けられたなぁ・・・という、違った疲労感はあるのだけど(笑)。
サスペンス・スリラーとして、鑑賞中解けない謎にやきもきし、ラストの展開に驚き、心地良い疲労感と満足感を与えてくれたのは『シックス・センス』や『マシニスト』などなど。こちらは映像センスや演出の芸術性以上に、物語が充実し、あたかも現実に起こり得そうだと感じさせる、俗っぽさを保っていた良い例だと思われる。
大体ですねぇ・・・鏡が割れ、そこから呪いだか異次元だかが派生して、ヒロイン達を脅かす・・・というプロット止まりというのがどうもえねぇ?物語が全然広がって無いのに結末だけあやふやに着けられても・・・。視野は広いのだが視点が狭い。だからなんなんだ!?という気がどうしてもしてしまう。ダフネ・デュ・モーリアの『鳥』などは、鳥の大発生という小さな基点から、あれだけ膨らんだ展開に繋がっていく。しかもあの短い小説を、堅実かつ名作映画に仕上げたヒッチコック。先人達を見習って、もう少し自己主張を抑えられたら・・・と老婆心ながら思ってしまうのだ。
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ぽすれん『ブロークン』紹介
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