* WanderLust *=memorandum for me=

読書はライフワーク、映画鑑賞は人生の潤い、旅行は趣味にしたいなぁ♪日記は日々の覚書き。

『ローラーガールズ・ダイアリー』

2012/05/19 22:19 ジャンル: Category:映画【青春】
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〔米〕WHIP IT (2009年)
監督: ドリュー・バリモア
原作: ショーナ・クロス
脚本: ショーナ・クロス
エレン・ペイジ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/クリステン・ウィグ/ドリュー・バリモア/ジュリエット・ルイス/ジミー・ファロン/ダニエル・スターン/アンドリュー・ウィルソン/イヴ/アリア・ショウカット/ゾーイ・ベル/ランドン・ピッグ/アリ・グレイナー/ユーレイラ・シール/カルロ・アルバン

17歳のブリスは、母の夢を叶えるためにいやいや美少女コンテストに出場していた。家でも母の理想を押し付けられてフラストレーションが溜まるばかり。そんな彼女は、友人と見に行ったローラー・ゲーム魅了され、新人トライアルを受けてみることにする。ゲームは素人だが、圧倒的なスピードを記録したブリスはめでたく憧れのチームに入団。気の置けない仲間も出来て、ローラー・ゲームにのめり込んでゆくブリスだったが、ついに彼女の新しい趣味が家族にばれてしまい・・・。

D・バリモアの初監督作品!ということで話題になった本作だが、世間はとかくこういう『初監督作品』には厳しい。旬の女優を起用して話題作りも万全かと思われたが、やはり全面的に好意的には受け入れられなかったようだ。ということでいささか観るのを渋っていたのだが、ようやく鑑賞する気になった。
普通に面白い、というより、さすがに映画界の中で生まれ、生きてきた人だなと思う。教科書通りと言えばそれまでだが、非常に解りやすいのではあるがポイントはしっかり押さえ、それでいてありきたりに染まらない雰囲気が出せている。実に清々しいガールズ青春映画なのだが、俗っぽ過ぎず、過去の映画の良い部分を正確に再現している感じだ。遊びは感じられないが、逸脱も無いので安心して楽しめる。
惜しむらくは、少しばかりインディー風を狙ったように思えて、その域には全く到達できていなかったところ。そこはやはり第一線で活躍してきた大衆度というか、娯楽度というか、インディーズであったことは一度も無いであろう人には、あの雰囲気は難しいだろうねぇ(笑)。
一般的に思われているD・バリモアの人柄がそのまま表れたような、あっけらかんとした大らかな楽しさが感じられる作品だった。この方も幼い頃から色々あったから・・・そういうイメージって真実だと思うわけですよ。なので、飾らない女性達の楽しさを素直に受け入れられる気がする。あざとさが無いのね、監督自ら身体張ってバトルを繰り広げてる様も笑える(笑)。
キャスティングもなかなか良くて、嫌味の無い素敵な俳優が揃っている。時々はたと気付かされるのだが、やはりC・ヴィグって綺麗なのよね、スタイルも良いし。J・ルイスが相変わらず捨て身のキャラ作りで(笑)、素敵な俳優さんだと思います。当時キラキラの旬だったE・ペイジももちろん良かったが、やはり、、、M・ゲイ・ハーデンの迫力には叶いませんわな!
女性パワー全開の本作、同じように楽しめるパワフルな女性は沢山いると思うな。

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ドリュー・バリモア、エレン・ペイジ 他

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『モリエール 恋こそ喜劇』

2012/05/19 22:07 ジャンル: Category:映画【ドラマ】
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〔仏〕MOLIERE (2007年)
監督:ローラン・ティラール
脚本:ローラン・ティラール/グレゴワール・ヴィニュロン
ロマン・デュリス/ファブリス・ルキーニ/リュディヴィーヌ・サニエ/ラウラ・モランテ/エドゥアール・ベール/ファニー・ヴァレット/ゴンザーグ・モンテュエル/ジリアン・ペトロフスキー

時は17世紀、後にフランスを代表する劇作家となるモリエールだが、22歳の頃は仲間と共に劇団“盛名座”を旗揚げしたばかり。しかし借金が嵩む一方で、とうとう座長であるモリエールは投獄されてしまう。窮地にあったモリエールだが、彼の演劇人としての才能に目を付けた裕福な商人ジュルダン氏が現れ、借金を肩代わりしてくれる。引き換えに、ジュルダン氏の想い人である伯爵夫人セリメーヌのための、自作自演の劇を助けて欲しいと請われる。仕方なく司祭“タルチュフ”としてジュルダン氏の屋敷に住み込んだモリエールだが、美しきジュルダンの妻エルミールに恋をしてしまう・・・。

とりあえずね、R・シュリスが出ていればなんでも良い(笑)。欲目先行でどうしてもまともに判断することが出来ないのだが、ダメなものはダメという感覚くらいは残っているので、本作は多分、誰が観てもそこそこ面白いと感じられるのではないかな?
17世紀の華やかな世界が舞台だ。個人的にはかなり好きな部類。とは言え、舞台劇などは余り興味が無く、シェイクスピアも『凄いおっさん』くらいにしか思っていないタイプなので、当然フランスの『モリエール』などは全く初耳なのである。
本作は、モリエール22歳の時の空白の時期を、恐らくは彼の後の作品からインスピレーションを得て作り上げたフィクションである・・・らしい。1600年代初頭生まれの人で、22歳の数ヶ月くらいの所業が知れていないだけ・・・というのが何だか凄いと思うけど?
良く出来たドラマだと思うし、ロマンスも派手すぎず重すぎず良いバランスだったと思う。長髪のR・デュリスにいささかションボリとなる方も多いだろうが(私だけ!?)、悲喜劇の入り混じった地味ながら楽しめる作品と言えるだろう。

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ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ 他

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『ダンデライオン』

2012/05/19 21:51 ジャンル: Category:読書【ヤングアダルト】
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メルヴィン・バージェス 著/池田 真紀子 訳/東京創元社
14歳のタールは、父の暴力に耐えかねて家出をした。その恋人で同い年のジェンマは、両親の監視から逃れるために家出をした。都会で落ち合った幼い2人は、アナーキスト達が開放する空き家で暮らし、自由や安全を謳歌すると共に、次第にドラッグに溺れて行った。数年の好き放題の暮らしの末、ジャンキーに成り下がった2人。それでも理想を持ち続けた彼らの行く末は、破滅の淵か、再生への道なのか?

私個人としては、この作品を爽やかな青春小説だとか、感動的な再生の物語だとかは受け取れない。ジェンマは最初から最後まで救い難いし、最初は同情したタールも、次第に単なる腑抜けに感じられてきた。
本作と『トレインスポッティング』を比較する方が多いようだが、あの同調不能の狂気の中に隠された良く練られた物語、友情や恋などが絡むドラマなど、本作とは全く毛色が違うと思う。
つまらなかったわけではないが、ただ余りにもリアルだったのではないか?と思う。私は知り合いにジャンキーなどいないので実態は解らないが、著者が冒頭で表したように、実体験に基づく真実を描いたが故の救いの無さ、なのではないか?と。物語があるようで、実はない。そう感じてしまったのだ。
物語中頃までは、ジェンマの身勝手な保身が余りに子供らしくて苦笑いしつつ、若干イライラさせられつつ、しかしタールの健気な心情にやきもきしたり、それなりに楽しめた。登場人物それぞれの語りが入れ替わる手法で描かれているのだが、そうしたジェンマの身勝手さを見るタールだとか、それぞれの視点に立った目線の違いを感じる面白さ・・・には余り活かされていなかった。
どこまでも身勝手にドラッグに落ちていく若者。単に弱いだけなのに、それに理屈を付けて自分を正当化する様は滑稽すら通り越してしまう。その先にあるのが怒りなのか何なのかわからないまま読み進め、あのなんとも言えないラストで虚脱。
結局のところ、あの虚脱感を表したかったのか?だとしたら、ヤングアダルトに分類するのは間違いだろうな。タールとジェンマの生活に憧れる子供達は残念ながらたくさんいそうだし、ラストのあの虚無感を感じ取って恐怖を覚える子供は少なそうだ。
ラスト、この物語の最後に見出せるのは若者の希望か、それとも悪循環なのか?物語としては希望だと思いたいのだが、現実は?きっと多くの悪循環で満ちているんだろうなぁ・・・などと少し虚しくなった。ある意味で、奇麗事ではない若者の姿。色々な意味で多感な青春の時期を描いている作家の、また別の一面を見た気持ちになった。

ダンデライオンダンデライオン
(2000/02)
メルヴィン バージェス

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『閉じた本』

2012/05/09 21:18 ジャンル: Category:読書【ミステリ・サスペンス・犯罪】
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ギルバート・アデア 著/青木 純子 訳/創元推理文庫
かつて多くの著名な賞を受賞した作家ポールは、スリランカでの酷い交通事故によって顔は無残に潰れ、両眼からは眼球が失われた。コッツウォルド丘稜にある別荘へ住みついた彼は、長年の隠遁生活の後、自らの自伝を書こうと思い立つ。新聞で筆耕者を募集したところ、ジョン・ライダーという青年がやってくる。醜い彼に怯むことなく接するジョンを気に入ったポールだが、次第にジョンとの生活に息苦しさを感じ始める。人当たりの良いジョンの行動に何かしら気にかかる部分がある。盲目のポールはその『見えない』脅威に怯え始めるのだが・・・?

読む前に幾つかの観想を読んだところ、『結末がありきたり』という評が多かった上に、作品紹介でジョンに対する嫌疑を現してしまっていただけに、ある程度の予測が立ってしまった。なので、訳者や解説者が盛り上げようとしているような、緊迫感あるサスペンス、驚きが連続のラストは全く感じられなかった。
しかしそれも想定の範囲内。そこに至るまでのジワジワと盛り上がる緊張感を楽しもうと思っていたのだが、これも残念な結果だった。読者には簡単にわかる『嫌がらせ』をポールが受けるのだが、私にしてみればかなり悪趣味な悪戯にしか感じられず、ジョンがなぜそんなことをするのか?あまりに姑息過ぎて理解に苦しんだ。その意図が明かされた後も、こいつ嫌に小さい男だなぁ・・・と(笑)。
ポールも大仰な割に脳の回転が遅いというか、その尊大さが仇になったという設定なのだろうが・・・、なにかにつけ大袈裟すぎ・・・かな。物語の盛り上がりがいまいちしっくり来なかった。
ジョンの正体が明かされてからは一気に物語が終結していくが、あれ?ちょっとそんなもんなの!?と、襟首を捕まえて引き止めたいほどあっさり終わる。なかなか粋な結末ではあるが、かなり薄弱な証拠を残しただけ過ぎない・・・という気も・・・。
会話だけで物語が進むのだが、確かにこの手法は面白かった。情況描写などもほとんど無く、それなりに読者に説明する描写もあるのだが、それとて語りを通してでしかない。絶対確実という安心感のある、著者による説明書きではないわけだ。そうした手法を通して、読者も『盲目』の気分を味わえる。
実際のジョンの風貌は?ポールを取り巻く環境は?知りたい気持ちを満たしてくれない渇望を味わいつつ、ポールの気持ちを、見えないという緊張感を味わうことは出来る。戯曲を読むのとはまた違う、会話だけの面白さは稀有なものだと思う。
その手法が、いささか足を引っ張った気もするんだな。上手い反面、やはり難しい。ポールが感じたであろう追い詰められる恐怖すら、ポールの独白によるしかないわけだが、尊大なポールは劇的にしか物事を見ない、泣き言も言わない、何しろジョンの他に話し相手もいない。読者に緊張が伝わらない?
私より遥かに優れた想像力をお持ちの方なら、きっともう少しこの物語の特異さを楽しんで、深く恐怖や驚きを味わうことが出来るだろう。私の場合はただ物語に流されて受け止めるだけ、という勿体無い読み方をしてしまったのね、と自分を責めるばかりだ。

閉じた本 (創元推理文庫)閉じた本 (創元推理文庫)
(2009/12/10)
ギルバート・アデア

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『愛しあう』

2012/05/09 21:06 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ジャン=フィリップ・トゥーサン 著/野崎 歓 訳/集英社
マリーの仕事の都合で日本にやってきた僕。2人は7年間一緒にいて、今、別れの時を迎えようとしている。マリーが別れの舞台に選んだのが東京。新宿の雑踏の中で互いを求め、そして別れを実感していく。僕は衝動的に京都の知人の家に行き、2人の別れを、マリーの存在を受け止めようとする・・・。

J・P・トゥーサンの新境地!・・・もともとこれくらいの才能は十分に持っていた人だとは思うけど、やはりちょっと、複雑な気持ちだなぁ。
文体はまさにトゥーサンなのだが、土地柄もましてや登場人物すらもはっきりとしないまま飄々と進むこれまでの作品に比べると、舞台は東京、しかも新宿と限定され(一部京都を含む)、風景描写も念に入っている。主人公の名前が無いのはいつものことだが、設定が明確だとかなりの個性を読み取ることが出来るものだと実感。
飄々とした感じは変わらないのだが、物語の進む道、目的意識がはっきりしているので、物語の転がる先にワクワクすることもない。得体の知れない男が繰り出す荒唐無稽な日常が最高の魅力だと思っていただけに、やはり少しばかり残念なのだ。
もう1つ問題は、要するに私が、こういう話が好きではないこと。アプローチは面白いし、物語としてコンパクトにまとまっていて優れているとは思うが、コンセプトがどうもねぇ。。。マリーがうざいことこの上ない(笑)。こういう男女の別れは解るのではある。彼らが縛られているのは『情』だろうと思うが、それを切り離すのは、自らの感情に気付いてしまえばそれほど難しいとは思わない。彼らはやたらとドラマチック過ぎ(笑)、というか、欧米的なのかな?私が醒めているだけか?
フランス人から見た日本、という描写は面白かった。私たち同様の目線と思えるところがあれば、改めて気付かされる日本の情景もあった。トゥーサンの目を通して見ると、明けの明星に彩られた日本が、なにやら怪しげな未来都市のように感じられる(笑)。新宿西口付近ってこれほど多彩で、ある意味堕落した人々の温床か?と面白くなった。まぁ、解らないでも・・・ない。
地震に関する描写も多く、事実本作において地震というテーマは1つの鍵になる。本作が上梓されたのは10年以上前と思えば、なんとも皮肉に感じられる気がしてしまう。発売時期が遅ければ、日本発禁の憂き目にあっていただろう。
かなり冷静な目線で『日本』を捉えた作品ではあるが、紋切型に『日本』を取り上げた作品でもある。せわしない人々、機械のように日々を暮らす日本人、地震、組織化された近代性、独特に多文化が入り混じるネオ都市。いずれにしろ私なりに日本を再発見できた部分があって、そういう意味では面白かったと言えるだろう。

愛しあう愛しあう
(2003/11/05)
J・P・トゥーサン

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『風の谷のあの人と結婚する方法』

2012/05/06 11:20 ジャンル: Category:読書【コメディ・その他】
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須藤 元気・森沢 明夫 著/幻冬舎文庫
元挌闘家にして歌にダンスに執筆、映画監督などマルチな活躍をする須藤氏とジャーナリスト森沢氏のメールを抜粋しまとめた本書。須藤氏の考えるポジティブに生きる、世界を変えるものの見方が満載のエッセイ?または人生の指南書。

須藤元気、大分以前に偶然に彼のHPを見て、その日記の面白さにひっくり返った(笑)。以来、時折須藤氏のサイトを覗いては、彼の的確かつ巧妙な面白日記を楽しんでいる。初めて読んだ時は、余りの文章の上手さに経歴を調べ尽くし、なるほど、挌闘家にして無類の読書好き(そして猫好き)という文武両道の方だと知った。
サイトを見ていても、彼の滑稽味溢れる文章から飛び出すポジティブさ、人生を突き進む熱意などが感じられ、単身アメリカに渡って挌闘家を目指しその夢を叶えた男の、一筋縄ではない芯の強さみたいなものが感じられて、他人事ながら妙な嬉しさまで感じたものだ。
なのでずっと、須藤氏の文章が1つにまとまった作品を読みたいと思っていた。だけどついつい、探すのすら後回し・・・。もともと『物語』を求めるタイプなので、自己啓発の類は好きではないので、食指が微妙に動かなかったのだ。
でもやはり、読んでみたら面白かった。blogとは違い、本書を通して何かしら『伝える』ことが必要だと感じられる主旨ではあったので、blogにあるような軽快さというか良い意味で力の抜けた楽しさは少なかったが、反面、須藤氏の思う人生の楽しみ方は良く理解できた。
須藤氏が挌闘家になり、あっさり引退し、歌を歌い、ダンスをし、ボランティアに勤しみ、本を書き、映画を撮り、多くを学び、自分を磨く『理由』が解った気がした。こうやって日々を過ごしているから、これだけのことが出来る人なのだと。
ある意味では当たり前と感じることや、良いと思ってもなかなか出来ないよなぁ・・・と感じることはあるのだが、例えば人生におけるシンクロなどは、引き寄せる強さを得れば可能だと思う。その強さをどう持つか?が、結局難しいのだけど(笑)。
逆に残念なのは、ネガティブなシンクロは割と多いと感じること。ネガティブスパイラルというか、落ちることは人生簡単なのだなぁなどと思ったり。本書を読んで改めて上がっていくことの大変さを感じたが、須藤氏のように楽しんでコツコツ登って行きたいなぁ。

風の谷のあの人と結婚する方法 (幻冬舎文庫)風の谷のあの人と結婚する方法 (幻冬舎文庫)
(2008/08)
須藤 元気、森沢 明夫 他

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『人間失格』

2012/05/06 10:14 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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太宰 治 著/新潮文庫
東北の名家の末っ子として生まれた大庭葉蔵は、人も羨む容貌を持ち、家名を生かせば将来に展望もありながら、人を信じることが出来ず、また愛することも出来ず、人生に悩みながら大人になった。表面では剽軽に振舞って、高等学校の時分から女に困ることがなく、吸い寄せられる女達に守られていた。人生をそうして渡り歩いた男が、自らを人間失格と呼ぶに至る日々を描く。

厳密に言えば冒頭ではないけれど、『恥の多い生涯を送って来ました』という有名な始まりの一節を読んだとき、正直ちょっぴり感動した(笑)。この書き出しから始まる男の生涯とは?否応なしに興味が掻き立てられる見事な一節だと思う。私も散々色々な国の小説を読み散らかして来たが、これほど魅力的な冒頭の一説は余り無い。
余りにも有名な作品だし、太宰渾身の私小説という呼び声もあることから、著者の実際の生き様も踏まえ、作品に関して物言う必要は無いと思う。
またとない美貌を持ちながら、それを嫌悪し、表面の滑稽さからは想像もつかないネガティブな思考に支配された男。普段なら、こんな男の物語は願い下げだ。アフリカ辺りにボランティアにでも行って、根性叩き直してもらえば良い!と憤慨して切り捨てる。
しかし、私の中の何かがそれを引き止めた。正直言って認めたくは無いのだが、この大庭という男の気持ちが、ある側面では解ってしまうからなのだ。例えば、周囲から身を守るためにひたすら滑稽に振舞う姿とか、孤独を恐れる気持ちとか、ただ闇雲に生に怯える気持ちとか、自分の矮小さに嫌悪する気持ちとか、解ってしまうのだ。私の中に眠るそうした感情に、大庭葉蔵の捨て犬のような脆さが訴えかけてくる。
私もつくづく、日本人なのだなぁ・・・と思った。苦悩する大庭の控え目さや自らに厳しい様、恐らくそれだけではないとは思うが、態度や物言いの全てが、日本人らしいと思えたのだ。感覚で読み取るというか、その日本人らしい落ちていく姿に、共感するところがあった。普段外国人が書くものを読みなれているせいでそう思ったのか、単に私の中にかなりの大庭度が含まれているのか?外国小説を良く読む・・・という可能性に票を投じておきたい。
先に読んだ短編集も優れていたが、本作を読んで、あの短編がいかにして出来上がったのかが解った気がした。短編から感じられた控えめな滑稽さや、表裏一体となった苦悩や自虐が生まれてきた理由が本作にある。
大庭葉蔵というキャラクターを通して語られる赤裸々な著者の思いは、滑稽さに隠れることなく伝えられる。果たしてこれが真相真実なのかは不明だが、少なからず真実に近いものなのだと思う。
とことん落ちて、自分で自分を救えなくて、周りを不幸にして、だから人間失格。それでも著者はこうした優れた作品を世に残したわけで、どん底の心情を、状態を描いていながら、感情を抑えた的確な筆致は、滑稽さの蓑に替わって新しい防御壁のようにも感じられる。
だから、著者太宰治は、人間失格であったがゆえに失格ではない。自らの赤裸々で恥ずべきと感じた人生を密に描いて、世界に名を残す傑作を残したのだから。

人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
(2006/01)
太宰 治

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『脳内ニューヨーク』

2012/05/03 11:03 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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〔米〕SYNECDOCHE, NEW YORK (2008年)
監督:チャーリー・カウフマン
脚本:チャーリー・カウフマン
フィリップ・シーモア・ホフマン/サマンサ・モートン/ミシェル・ウィリアムズ/キャサリン・キーナー/エミリー・ワトソン/ダイアン・ウィースト/ジェニファー・ジェイソン・リー/ロビン・ワイガート/セイディー・ゴールドスタイン/ホープ・デイヴィス/トム・ヌーナン

才能はあるが安全圏から出ない舞台演出家のケイデンは、妻アデルとの確執を修正しきれず、アデルは幼い娘オリーヴを連れてドイツへ行ってしまう。娘オリーヴを想いつつ孤独にさいなまれるケイデンは、好意を寄せてくれる劇場受付のヘイゼルを受け入れようとするのだが、アデルの存在がチラついて気持ちだけが残ってしまった。おまけに原因不明の病に犯され、身体のあちこちが変調をきたす。不幸ばかりが続いた矢先、マッカーサー・フェロー賞(別名“天才賞”)を受賞したケイデン。莫大な賞金を利用して、これまでになかった壮大な劇を上演しようと計画する。巨大な倉庫にニューヨークの街角を再現し、普通の人々を普通の人々が演じる。劇中にはケイデンやヘイゼルを演じる役者もおり、中心となるヒロインは、その頃ケイデンと結婚した若手女優クレアだった。

観ようか観まいか?悩みに悩んで悩み抜いて、まぁ・・・ダメ元で観てみようかなと(笑)。我ながらこの決断に謎を感じる、結果として、どうだったのかねぇ・・・・?はっきりしない(笑)。
C・カウフマン全開なんですかね?抽象映画とでも言えそうな作品。ただし、明確な技量があって初めて己の絵画を崩して抽象化出来るわけで、土台の無い人間が書いたところで、所詮色の上塗り(で結果真っ黒)、線の多様(で結果不愉快な落書き)になるのがオチ。ピカソの素描画なんて、見惚れるほどに正確で美しい。
だからなのか、観ていて理解不能という気がしつつ、不快ではないのね。言わんとしている事は解るのだけど、私ごときが理解出来た部分だけで言えば、何もわざわざこんなにも複雑な描き方にしなくても・・・という。映像だから助けられた部分あり、しかし、こういう作品はやはり小説の方が良いのかな?と思ってもみたり。
一般人を演じる人々とケイデンやヘイゼルを演じる役者たち。演じるまでも無い日常を細やかに演じようとする余り、モデルと同化していく役者と、その境界で翻弄される当人たち。原題の『SYNECDOCHE, NEW YORK』と倉庫の中のニューヨークを対比させて考えた時に、こりゃ滅法深いものが隠されている!という気になる。残念ながら、その深淵を探求する気には余りならないのだけどね。
それにしても、こうした映画の主演をこれほど緻密に演じるなんて、F・シーモア・ホフマンってやはり凄いなと思う。脚本を読んでちゃんと理解していたんでしょ?それを言ったら他の役者も全てそうなのだけど、燃えている家に暮らすって何?ほとんど何とか折り合いをつけて理解した気になったのだが、燃える家だけは無理、ちょっと逸脱し過ぎという気が・・・。とは言え、その他も折り合いを付けただけで、理解したという訳でもないから・・・良いか?

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(2010/07/21)
フィリップ・シーモア・ホフマン、サマンサ・モートン 他

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『人生万歳!』

2012/05/03 10:58 ジャンル: Category:映画【ドラマ】
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〔米〕WHATEVER WORKS (2009年)
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
ラリー・デヴィッド/エヴァン・レイチェル・ウッド/パトリシア・クラークソン/ヘンリー・カヴィル/エド・ベグリー・Jr /マイケル・マッキーン/コンリース・ヒル/ジョン・ギャラガー・Jr/ジェシカ・ヘクト/キャロリン・マコーミック/クリストファー・エヴァン・ウェルチ

かつてノーベル賞候補にもなった物理学者のボリスは、N.Yの瀟洒なマンションに妻と暮らしていたが、あるときパニック障害やら鬱やらなんやらで全ての快適な生活を捨ててしまった。今では寂れた一角でひっそりと暮らし、子供相手のチェスレッスンをして生計を立てていた。何より、世に不満だらけの偏屈おやじで、時に周囲の人々を激しく嫌悪させていた。そんな彼が出会った純真の塊のような女性メロディ。故郷から逃げ出してきた彼女は強引にボリスの家に居座り、果ては彼を愛してしまった。しかし純真に盲目的に自信を崇拝するメロディと共に暮らす内、ボリスの気持ちにもなにやら変化が?

暫くヨーロッパに舞台を移していたW・アレン監督が、久々にN.Yを舞台に作り上げた作品、ということで、やはり上手いなぁと思う。雑多な文化や人が集まったN.Yの、混沌としていて魅力的な雰囲気を十二分に伝えてくれる。
物語は特に大きな出来事も無いままに、人々のドラマが実に人間臭く悲喜交々に語られる。軽妙洒脱とはまさにこういうことを言うのだろうか?何においてとは名言できないまでも、私もこうありたいと思ってしまう雰囲気だった。
飄々としていて愛らしく、煩わしいほどにマイペースだけど憎めない。この作品を擬人化して評するならこんな感じだろうか?出来れば傍にはいて欲しくない初老の男ボリスが、メロディという浄化を経て彼なりに人生の喜びを知り、良く言えば偏屈さが愛嬌と感じられるような男になった。関係者それぞれが適切な相手との愛と人生を見つけ、愛し愛されることがやはり素晴らしいといった人生賛歌が感じられ、かなり極上のハッピーエンドを迎える物語を、W・アレン監督らしい切り口で纏め上げていた。
ここ最近人気俳優を多量に投入してきた感もあったが、本作ではこれまた基本に立ち返るというのか、本来ならば恐らく自らで演じたかったであろうボリス役を始め、なかなか技巧的なキャスティング。
特に気になったのはメロディ役のE・R・ウッド。何かだいぶ雰囲気が・・・?これほどまでにニコール・キッドマン風だったか?一瞬別人かと思ったくらい。ベビー・ファットが取れて輪郭がすっきりしたのは判るのだが、単に成長しただけ?お相手役のH・ガヴィルと憎らしいくらいの美男美女カップル。
まぁ、H・ガヴィルも、少年から青年に脱皮する際に驚きの成長振りを見せた1人。今回は正統派二枚目の魅力全開で、ランディとメロディの美しすぎるピュアなカップルが、この物語が示す方向性の象徴だったのかな?などと文学的なことまで考えてしまった(笑)。

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(2011/05/03)
ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド 他

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『キック・アス』

2012/05/03 10:52 ジャンル: Category:映画【戦争・アクション】
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〔英/米〕KICK-ASS (2010年)
監督:マシュー・ヴォーン
原作:マーク・ミラー/ジョン・S・ロミタ・Jr
脚本:ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ヴォーン
アーロン・ジョンソン/クリストファー・ミンツ=プラッセ/マーク・ストロング/クロエ・グレース・モレッツ/ニコラス・ケイジ/ギャレット・M・ブラウン/クラーク・デューク/エヴァン・ピーターズ/デボラ・トゥイス/リンジー・フォンセカ/ソフィー・ウー エリカ/エリザベス・マクガヴァン

人気者でもなくオタクでもない高校生のデイヴは、なぜ誰もヒーローになろうとしないのか?と疑問を持ち、ネットで見つけたスーツを着て夜の街のパトロールを始めた。偶然遭遇したチンピラの喧嘩に果敢に挑み、その姿がネットで公開されて『キック・アス』として一躍話題となったデイヴ。調子に乗って片想いの彼女の頼みでキック・アスとして乗り込んだ先で、あわや危機一髪!というところで『真』のスーパー・ヒーローに助けられる。裏社会のボス、ダミコに復讐心を燃やすデーモン(ビッグ・ダディ)とその娘ミンディ(ヒット・ガール) は、長年の鍛錬の末手に入れた見事な戦術があったのだ。格の違いを見せ付けられて落ち込んだデイヴはキック・アス引退を決意する。しかし、数々の取引をビッグ・ダディによって阻止されたダミコは、ヒーロー=キック・アスと結論付け、彼の抹殺を決意するのだった・・・。

別に狙ったわけではないのだが、TSUTAYA利用者ではない私としては、観られる時がチャンス!だったので、たまたま『スーパー!』と続いてしまっただけでして(笑)。
オタクですらない、何の取り柄も無い男がチープな衣装に身を包み、勝手にスーパー・ヒーロー宣言をするというベースは同じだが、それ以外は当たり前にぜんぜん違う。お気楽なコメディかと思いきや、意外にも凄惨なシーンがかなり含まれているくせに、妙に日常的であるというアンバランスさは一緒かな?
大体これ、主役はミンディ(ヒット・ガール)でしょ?デイヴは特にいてもいなくても良かったよね?というか、ビッグ・ダディとヒット・ガールにしてみれば、確実にいないほうが良かったよね(笑)。物語に上手く絡めていたようで、実は微妙にすれ違っていたキック・アス。
M・ヴォーン監督は好きなので、かなり楽しく見られた。(勝手に思うところの)M・ヴォーン監督作品の特徴としては、いくらでもスタイリッシュになれるはずなのに、あえて俗っぽくして大衆的な娯楽度を上げているところだ。
なので時々、押さえ切れないおしゃれ度やスタイリッシュさが出てしまう(笑)。一度、とことん感性剥き出しにした作品を観てみたい気がするのだが・・・。なんて、もしかして単にお洒落さんに見えるだけのおっさんだったりして?いやいや、そんな男にクラウディア・シェーファーが惚れるわけが無い!
閑話休題・・・。モテない取り柄無い目立たない痛い高校生のはずのデイヴだが、演じるのがA・ジョンソンじゃぁ、、、無理あるわな。あの髪型すらキュートに見える、恐るべし旬の男。黒ぶちデカメガネがあれほど妨げにならない美形さんも珍しいわよね。ということで、キャスティングにはいささかのわだかまりを覚える。
親友役の2人は、画面に出た瞬間ダメ高校生だな・・・とオーラが噴出しているのだが、その片割れのE・ピーターズは実は結構可愛い子。『アメリカン・ホラー・ストーリー』をご覧の方ならピンと来るはず。A・ジョンソンは桁違い、という向きもあろうが、役者たるもの、演技1つで自分の大切な何かをあれほど見事に消してしまえるというのも重要だわ。
ということで、イギリス出身のM・ヴォーン監督のもう1つの特徴は、とかく通好みの配役だ。この件では語りだしたら止まらないこと請け合いなので、あえて貝のごとく口を閉ざす方針で行く。
ただあえて言わせて頂くならば、ただいま話題真っ盛りのC・G・モレッツに、可愛いだけじゃない、ただならぬものを感じた。大方は代役なのだろうが、それとわかるアクションシーンも結構ハードで、何より、あのようなすれた役を『演技』で立派にこなすその役者魂、見事だ。この後一気に旬な女優にまで上り詰めただけはある。売れても発言がいちいち優等生なのも見事だ、大人顔負けのプロの顔を持つティーン、今後がとても楽しみな俳優なんである。
とまぁこのように、俳優のことを書くと止まらないのでこの辺で・・・。そういや?N・ケイジがなぜこの映画に?と配役当初不思議だったが、観て納得。しかもここ最近の趣味だけ満喫した駄作と比べると、かなりましな感じだった・・・いやもう、この辺で辞めておこう・・・。

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(2011/03/18)
アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ 他

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