『g:mt』

〔英〕G:MT (1999年)
監督:ジョン・ストリックランド
脚本:サイモン・ミレン
スティーヴ・ジョン・シェパード/アレック・ニューマン/ベン・ウォーターズ/キウェテル・イジョフォー/アンジェラ・ローレン・スミス/メラニー・ガタリッジ/ジョージア・マッケンジー/アリシア・イヨー/ヒンダ・ヒックス/Freddie Annobil-Dodoo

ロンドンで暮らすサム、チャーリー、ビーン、リックス、シェリー、ルーシー、ボビーは、将来には希望だけがあると信じて高校を卒業した。4年後、それぞれの道を歩みつつも、堅い友情で結ばれていた彼等。しかし、脊髄損傷の大怪我を負うバイク事故をチャーリーが起こしたことから、その均整が崩れ始める。特に裕福なサムと父親の横暴に悩むビーンの亀裂は激しく、リックスとボビーと組んでいたバンドも捨てて、ビーンは姿を消してしまう。リックスも恋人シェリーの妊娠によって問題を抱え、長年カップルだったボビーとサムも、意見の相違から別れてしまう。

爽やかな青春映画!かと思っていたら・・・、ちょっと違った。割とディープな・・・、それも違うな・・・、もがき苦しみながら大人になっていく若者を描いた作品としては、ちょっと視点が違った・・・という感じかな。ちなみに、個人的には嫌いではない部類。
人生を変えてしまうほどの大怪我、恋人の妊娠、麻薬に溺れて、バンドをやって、遊びだったことが急激に真剣な人生に変わることへの不安。どの時点で起こってもそれなりの衝撃があるだろうが、これが22歳くらいでやってきたら、人生でも衝撃が大きく、無傷ではやり過ごせない事柄ばかりだろう。
大怪我によって人生をリセットせざるを得なかったチャーリー。家庭を持って責任感に目覚め、大人の妥協も覚えたリックス。この2人はまぁ、青春映画らしい結末。何かしらの教訓あり、成長という面でも辻褄が合う。しかしサムとビーンが・・・。
どちらかと言ったら作品のトーンを変えるキーとしてビーンが、物語を転がす動力としてサムがいた感じ。青春云々として見ると後ろ向きな2人だし、サムは嫌な奴な上に全く成長しなかったし。なのに何気にみんなに許されてる空気だし、おかしいぞ?と。
しかしリックスとチャーリーだけだったら、クサイ青春群像劇で終わってしまっただろうから、この扱いに困る2人の存在があって、作品として面白く観られた印象がある。それにしても本当にサムがどうしようもない奴でねえ・・・、しかも全くその辺の処理をしないまま妙に爽やかなラストを迎えちゃって。あれ?さっきまでのクライムサスペンス的な流れは何?という(笑)。
サムが嫌がらせを仕掛ける相手はビーンだけなのだが、それが姑息な上にかなり破壊的なことばかり。しかもビーンには何ら悪いところが無いだけに、本当に悲劇。そんなビーンは転落の一途を辿るのだが、この辺の展開も、サムのお陰で観客心理としては複雑に見えてくる。上手いわね、演出か偶然か?
ホロ苦よりはカカオ90%、クールよりは冷徹な目線、この辺が、良くある青春群像劇とはちょっと違って感じられた要因かも?欲を言えば、女性陣にもう少し焦点を当てて欲しかった。始まりは良かったが、気がついたら男性陣の物語になっていた(笑)。
こういう古い作品の面白味の1つは役者、ということで、C・イジョフォーが格好良いんですけど〜(笑)。そうか、元はこんなんだったのか!そして、ビーン役のB・ウォーターズがなかなか良い感じ。最近は余り活躍されていないようで、、、勿体無いわぁ。

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(2002/01/25)
スティーブ・ジョン・シェパードアレック・ニューマン

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『おくりびと』

〔日〕 (2008年)
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
本木雅弘/広末涼子/山崎努/余貴美子/吉行和子/笹野高史/杉本哲太/峰岸徹/山田辰夫/橘ユキコ /橘ゆかり/朱源実/石田太郎/小柳友貴美/岸博之/宮田早苗/大谷亮介/星野光代/諏訪太朗/奥田達士/内田琳/鈴木良一

チェロ奏者の小林大悟は、入団したばかりの楽団が解散したことで職を失ってしまう。音楽家としての将来に絶望した大悟は、故郷山形に妻の美香を連れて移住する。帰郷してあっさり見つかった仕事は『納棺師』、社長の佐々木は飄々として掴みどころが無いし、事務の上村さんも葬儀屋らしくない。少々奇妙な人達と付き合う羽目になった上に、仕事は死者が相手だ。最初は嫌悪感しか感じなかった大悟だが、次第に『死者をおくる』儀式の尊厳に魅了されていく。しかし世間の風当りは思ったよりきつく、美香も思わぬ反応を見せて大悟を拒絶するのだった・・・。

ようやっく、ようぅぅぅやく、観られた。いや、良かったね、良かったですよ。若干長く感じたが、大悟の心の動きをじっくりと追って行くので、耐えられる範囲だと思う。
日本の現代劇が世界に認められたと単純に思ったが、考えたら『お葬式』って、現代日本の行事の中で、最も古来の風習を守っているものかも知れない。古き日本の様式美は急速なスピードで失われ、よもやその欠片すら見出せないと思っていたが、人の死に対して、私たちには打ち破れない、何か神秘的な常識があるのだろうか。映画ではそうした日本独特の葬儀風景をふんだんに利用しているので、結果的に日本の文化・風習を十分に伝える要素のある作品だったのだ。
思い出すのは、祖母の葬儀の際、納棺師の方が装束それぞれの意味を説明しながら、着付けを手伝わせてくれたこと。祖母の心臓は止まってしまったが、そうして意味のあることを祖母に捧げることで、その存在や未来が感じられ、死は単なる終わりなのではないと、悲しみの中で、奇妙な心のよりどころのように感じられたことだ。
もう1つ、我ながら情け無いのだが、冷たくなった祖母を触るのが少しばかり恐かったところ、納棺師の方は臆する事無く祖母に触れ、礼節をしっかり示してくれたことに感動した。大変なお仕事だなぁと思ったものである。
そんな訳で私には、映画の中で仕事を理由に大悟に辛く当たる人々が、いささか大袈裟に思えた。そんな人々も、自分の大切な人が亡くなれば納棺師に頼る。見苦しい身なりで旅立たせないために、人生を全うした死者を敬うためにも。ただ単に、『死』そのものを、深く考えないが故の言動だったのかも知れないが。
いずれにしろ、納棺師という仕事を通して『死』を描き、そこに大悟の人生の再起など、『誕生』を感じさせる幾つかの要素を上手く絡めた脚本は良かった。先にも書いたが、展開をじっくり丁寧に追い、派手ではなく日本の日常を織り交ぜ、十分にドラマに引き込む力のある作品である。おまけに随分泣きました(笑)。
丁寧な解説でもないと、火葬場のシーンなぞ外国人に分かるのか?と思うほどだが、あの味気ない火葬場が舞台でも、笹野高史、杉本哲太という力のある役者が素晴らしいシーンに仕上げてくれていた。本作中、1番染み入るシーンだったかも。
ということで、演出や脚本も素晴らしいが、役者の力量も見事。特にやはり山崎努、あの独特な壁のある渋い雰囲気、内に秘めた優しさや男らしさ、役柄にもピッタリだ。広末涼子は可愛いのであるが、本木雅弘と夫婦というと・・・?もうちょっと歳の行った女優さんの方が良かったかな。
各所で絶賛されている本木雅弘だが・・・、良かったねぇ(笑)。時に演技らしく、時に自然体で大悟を演じ、しっかり作品を引っ張っていた。先に挙げた先輩役者達のような、観客を引き込む『迫力』は無いかも知れないが、逆に中和役で良かったかも。
鑑賞前の期待が高すぎて自分に負ける・・・そんな不安を吹き飛ばし、淡々と始まった物語は、感動的に幕切れとなった。日本映画、これからは時々観よう(笑)。

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(2009/03/18)
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日本の医療ドラマ

少し前に医療ドラマのことを日記に書いたが、これに関する日本での人気も同じく高いようだ。前の日記にも書いたが、最近の『医療ドラマ』では、『病院が舞台(の愛憎劇)』ではなく、医師や患者に焦点を当てた質の高いドラマに仕上がっている模様。
中でも面白いと思ったのは、『ヴォイス〜命なき者の声〜』。フジテレビの『月9』の今年初を飾った作品だそうだ。『月9』と言えば、人気俳優、高視聴率の代名詞のようなドラマ枠だと思うが、実は話題先行だけではなく、内容も充実したドラマが多かったりする。最近では日本のドラマはほとんど観ない私だが、過去にこの『月9』枠には結構ハマった(笑)。

日本ドラマと疎遠になって、今頃何故この『ヴォイス〜命なき者の声〜』なのか?というと、たまたま観たから(笑)。いやいや、冗談半分。普段なら速攻でチャンネルを変えてしまうのだが、丸々見続けたのは主演が瑛太だったから。
前々から1度演技するところを観てみたいと思っていたのよね。一見すると掴みどころのないような、飄々とした雰囲気がとても良い。なんだか良い俳優の匂いがするぞ?と気になっていたので、観られて良かった。少しクセのある顔立ちが、貴重な役者になりそうな予感を抱かせるのだ。尊敬する人に松田優作、松田龍平、ジョニー・デップ辺りを上げてる辺り・・・、好きな映画が『シザーハンズ』って・・・、ああ、なるほど(笑)。
そして生田斗真って、この子、意外なほど男前になって(笑)。絶対3の線を突き進むと思ったら、、、相変わらず私って見る目無い。実は石原さとみも大して・・・、と思っていたが、随分綺麗になられて・・・、ホント、観る目無くて失礼。

役者以外でも面白いなぁと思ったのは、『法医学生』が主人公であること。法医学って何?と問われても直ぐには答えられない場合もあるかと思うが、これが実に興味深い世界。などと言う私も、今ある知識はドラマや映画から頂いたものがほとんど、当たり前だ、普通に生活していたらまず出会わないもの(笑)。
死の謎を解く、そこには出来事そのものに対する疑問の解明もあるが、人間の深い心理に対するドラマもある。ミステリ要素と興味深いドラマが両立できる世界でもあるのだ。ドラマや映画などでも度々重要な取り上げ方をされてきた検死医や法医学者、若く人気のあるキャストによって視聴者の興味を惹き、ついでに興味深い世界の片鱗を見せてくれるドラマは以外に貴重だ。ミステリ小説を読む時に役に立つしね!
このドラマ7月1日にDVDボックスが発売されるそうなのだが、特典映像がかなり豪華。こういうのって、ファンの人にはたまらないだろうな〜。特定の誰かのファンでなくても、特典映像で製作秘話や製作者の意図などが聞けるのは重要なのだ。1回見ただけでは気付けなかった意味などが見えてきて、改めて見直すと違った視点が生まれたりして楽しめる。ちなみに私は、特典映像の後は大抵2度観する。
何よりドラマでDVDを観る利点は、全話見逃す心配が無いこと。そして、1週間待たずに気になる『次回』を観られて、何なら最後まで一気鑑賞できること(笑)。梅雨の雨が続くこの季節、暇な週末にでもチャレンジされてはいかがだろうか(笑)。
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両親へのプレゼント

先だっての父の日、皆さんは何か特別なお祝いはしただろうか?我が家では子供たちが成人した頃から、両親の誕生日、父の日、母の日、は密やかながらお祝いしてきた。両親が都内に住んでいる頃は良く食事に連れ出したが、彼等が軽井沢に引っ越してから様相が変わる。最初の数年はそれでも何とか会って祝っていたが、次第にプレゼントだけで済ませるようになってしまった。

さてそのプレゼントなのだが、実は両親は何をあげても余り喜ばない。卑下ている訳ではなくて、厳正なる真実なのだ。手渡しの時など、気持ちの盛り上がりが良く分かるもの。悪気は全くないはずだが、『お姉ちゃんから変なトレーナー貰ったわ〜』などのコメントを聞くに付け、私のプレゼントは姉に何と報告されているのやら?と考える。特にウチの父はサラリーマンではなかったので、困った時の3大プレゼントグッズ、靴下、ネクタイ、ハンカチが使えない。下戸なのでお酒のプレゼントもダメなので、ことのほか父へのプレゼントは考え込んでしまうのだ。

しかしどうやら我がご両親様、『実利性』のあるものを貰うのが1番嬉しいらしいのだ。以前母の日にコーヒーをあげたら、これがかつて無いほど喜ばれた。これまでの豪華ディナーや旅行は何だったの?と言いたいほどの喜びよう、何より、プレゼント貰って喜べるんじゃない!と思った(笑)。以来、無理せず、欲しがっている物を選ぶようにしている。出先で欲しがったものをその場で購入したりもするが、父・母関係なく、『2人にとって益のあるもの』を選ぶようになった。
ということで今回父の日のプレゼントは、『電気ポット』。なぜか?遡ること3年ほど前から母が『欲しい、欲しい』と言い続けていたので、いい加減で買うことにしたのだ。父の日なのに?良いのです、これによって母に2階で『お茶』を所望されようとも、父は階下に降りることなく暖かいお茶が煎れられるようになるのです!
なんでも、姉が旦那様の実家から頂いたのを見たそうで、以来ずっと欲しがっている。実家に行くと、母は必ず一度は『欲しい』と言う。先週両親が東京に出てきたので、ついでに渡したのだが・・・

『あら〜、嬉しいわ、嬉しいわ、これ欲しかったのよ〜』と母
『知ってるよ〜』と私

すると母、
『あんた、あたしがこれ欲しがってたの知ってたの?』

素?ネタ?天然?

『あたしの顔見る度にいつも、『欲しい』って言ってたじゃない!』

『あらそうだったかしら?パパ知ってた?』

無言で頷く父。

『あら、そう?・・・まっ良いわ。嬉しいわ〜、あんたの誕生日のプレゼントは何が良い?』

余程嬉しかったらしい。

ちなみに私の誕生日は来月なのだが、両親から誕生日プレゼントを、それらしい形で最後に貰ったのは18年ほど前になる。最近では、誕生日に電話もかけて来なくなった、ともすれば忘れているくらい。姉は今月誕生日だったが、電話もくれなかった!と散々怒られたらしい。姉よ、何を今更・・・、今年だけ特別電話が欲しかったの?
はっ?それとも・・・、姉には毎年電話してたのか???

とにかく、私の誕生日を事前に思い出したばかりか、プレゼントまで聞いてきた。ということで、余程電気ポットが嬉しかったんだねぇ・・・。多分来月には忘れていると思うけど(笑)。
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『ワンダーラスト』

〔英〕FILTH AND WISDOM (2008年)
監督:マドンナ
脚本:マドンナ/ダン・ケイダン
ユージン・ハッツ/ホリー・ウェストン/ヴィッキー・マクルア/リチャード・E・グラント/インダー・マノチャ/エリオット・レヴィ/フランチェスカ・キングドン/クレア・ウィルキー/スティーヴン・グレアム/ハンナ・ウォルターズ/ショーブ・カプール

ロンドンのフラットで共同生活を送るミュージシャン志望のAK、ダンサー志望のホリー、薬局店員のジュリエット。それぞれ希望は高いのだが、生活のためにAKはSM調教師のバイトをしており、ホリーもやむなくストリッパーのバイトを始める。平穏な様子のジュリエットもまた、家庭の問題に悩まされ、アフリカ救済を真剣に夢見ていた。同じアパートの詩人・フリン教授は視力を失くし、AKは身の回りの世話を(有料で)していた。日々を支え合うように生きる彼等に、本当の『人生』は始められるのだろうか。

ワンダーラストって、不肖私のblogタイトル『Wanderlust(一単語)』と同じなのかと思っていたら、『Wonder lust』だったのね。これだと意味が全く違う、詳しくはお調べ下さい(笑)。しかもこれって、邦題だったのね・・・。
人生が定まらない不確実さと、若いエネルギーを感じさせるタイトルだし、ロマの血が混ざっているE・ハッツを主人公にしたなら、ピッタリなタイトルだわ!と思ったのだが違ったわけで(笑)。しかし『Wonder lust』でも意味合い的には結構納得できる。
さて肝心の『原題』はというと、『FILTH AND WISDOM』。個人的には、そこまで仰々しいタイトルが似合うほどの作品でも無いのでは・・・?と思ったりして。監督の名声から期待度も上がるのだが、結局のところ凡庸な『初監督作品』という感じだった。
飽きるほどではないが冗長だなと感じて、ふと時計を確認したらまだ40分くらいしか経っておらずにビックリ!1時間30分くらい観た感覚だったのに。その割にメッセージ的にはスッキリ、見終わった後に、『あ〜、なるほど』と納得するようなね(笑)。
どこかで聞いたのだが、若き日のマドンナが主役3人のモデルなのだとか。それは妙に納得できる、しかもそれぞれ違う要素を持つキャラクターにしっかり仕上がっている辺り、さすがマドンナ、多面性があって一括りに出来ないスケールの大きさを感じる。
残念だったのは、大好きなR・E・グラント演じるフリン教授。フリン教授によって物語に弾みが付くしドラマ性も増すのであるが、最終的に上手く処理しきれていなかったような気がした。本作上『唯一』(じゃない?)の伏線が利用されたラストのライブシーンでは、むしろマドンナって、意外とベタなんだなぁ・・・と思ってしまったり(笑)。
作品の全体像としてはとても『音楽的』。普通なら『誌的』と言いたいところだが、マドンナの本職に敬意を表して(笑)。削ぎ落とされたメッセージの核を繋げたような展開、文学的整然さとは違い、散文的だが調和された音楽的な流れは心地良かった。
役者に関して言えば、AKのフラットメイトであるホリーとジュリエットを演じた女優さんがとにかく魅力的、2人揃って瞳が大きく力強くて見入ってしまう。その外女優さん達もとにかく魅力的。男性はメインの2人以外パッとしないのであるが、何となく勝手に、こういう選択がマドンナらしいなと(笑)。
そしてそして、E・ハッツだ!!!『僕の大事なコレクション』を見た時に気になって、猛烈に調べて、調べて、調べて、バンドに行き着き、ライブ映像に行き着き・・・、ダメだなこりゃ・・・と(笑)。役者限定で再会希望!だったのでとても嬉しい。
本人余り役者には興味が無い様子なのだが、何にも動じなそうな超越した人間性を感じさせるふてぶてしさは、素の状態でも演じているような仰々しさがあって興味深い。これからもポツポツ良い作品に出演して欲しいもの。個人的には、ジャージを着てヌボボボォ〜っとしていた、『僕の大事なコレクション』でのアレックス役の方が、複雑な人間性が垣間見えて、際立った存在感があったので好み(笑)。

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(2009/06/03)
ユージン・ハッツ(ゴーゴル・ボルデロ)ホリー・ウェストン

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『ジョジーの修理工場』

〔愛〕GARAGE (2007年)
監督:レナド・エイブラハムソン
脚本:マーク・オハロラン
Pat Shortt/アンヌ=マリー・ダフ/Conor Ryan/Tommy Fitzgerald/Andrew Bennett /Tom Hickey/John Keogh

アイルランドの小さな村のガソリンスタンドに住み込みで働くジョジー、とうに中年の坂は超えたが、特別親しい友人はおらず、当然恋人もいない。薄暗く小さな住居から、仕事後町のパブに行くことだけが唯一の気晴らしだった。元同級生のスタンドオーナー・ギャラハーは、週末だけ店の営業時間を延ばすと言い出した。そこでアルバイトのデイヴという15歳の少年が、ジョジーの元に来るようになった。最初はギクシャクしていたジョジーとデイヴも徐々に打ち解け始め、仕事の後に一緒にビールを飲むようになった。友達が出来た気安さに、ジョジーはつい悪乗りをしてしまうのだが・・・。

EUフィルム・デーズ第3弾!待ちに待ったアイルランド作品だ。とは言え、作品紹介やなんやかんやから、映画自体には特別期待していなかった(笑)。良いの、アイルランド作品だから、その辺は貪欲に観ておきたいの、ただそれだけ。
それにしても・・・、よくもこれだけ惨めな主役を思い付くもの、観終わった後、どっぷり暗い気持ちになれることは保証する。いやむしろ、自分の現状を顧みて、些細な幸せでも満たされていることに気付けるかも知れない。
主人公ジョジーは、とにかく『惨め』という言葉が当てはまる。しかもジョジーを決定的に惨めにしているのは、彼が至って普通の人であるというところではないかと思う。彼のどこがいけなかったのか?ジョジーは恐らく、普通の人よりちょぴり純粋だったのだと思う。それが彼の俗っぽい部分と、上手く呼応しなかったのだろうと。
自分を信じる強さも無く、傷付くことを恐れ、それゆえに誰かを頼ることも出来ず、浅はかなことに妙なプライドもあった。彼の無垢さや優しさを覆い隠してしまう見栄、それが自分を奮い立たせる強さに繋がったらどんなに良かっただろう。
誰かの助けが必要なのに、それを得るための術を知らず、自力で学ぶ方法も分からないジョジー。人は誰しも、周囲からの様々な助力を得て強くなっていく。人々の持つ常識も個性も、結局は『仲間との繋がり』の中で培っていくのだとつくづく思う。
まるで成長不良の子供のようなジョジーが出会ったのが、彼より遥かに若い15歳のデイヴだ。大人らしくなく、自分を一人前に扱ってくれるジョジーを、デイヴが好意的に受け止めた理由は分かるだろう。友人らしきものを得て高揚するジョジーの気持ち、それゆえに採ってしまった行動の理由も、痛いほどに良く分かるだろう。
分かるだけに、、、余りにやるせない・・・。彼の中にあったプライドや、巻き込まれやすい性格や、自分を受け入れられない弱さ、猿真似的な行動など、ジョジーがもう少し強かったら、自分の力で、世の中はもっと汚いものだと、気が付けていたのなら。
だからラストの展開は納得できない。そもそも、それまで映画が見せてきたジョジーの性格から考えて、自分で結末を付けるほどの強さは無いと思う。それもまた、『何かで観た誰かの真似』であるなら、それこそ最悪だ。
海外の紹介を少し見てみたら、あれはジョジーが、最後に出てくる馬と共に自らの幸せを解放したのだと解説してある。劇中ジョジーが可愛がっていた馬と自身の自由・・・、随分小奇麗にまとめたもんだ・・・。
人生において己の強さを自覚する事無く、常に見栄と卑下の狭間で生きてきたであろう男、その男が唯一見せた強さ、それは自らの命を絶つことだった・・・。一体、この映画から何を感じれば良いの?全く・・・、ここまでドン底映画は久し振り。しかしこの徹底した描写と展開、ある意味秀作だったのだと思う。
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『最終目的地』

ピーター・キャメロン著/岩本 正恵 訳 CREST BOOKS
数年前に自殺した作家ユルス・グントの妻、彼の愛人、その子供の3人は、南米ウルグアイの寒村で、時間を忘れたようにひっそりと暮らしていた。少し離れた場所に暮らしているのは、作家の兄とその恋人のアジア人の青年。そんな彼等に、ユルス・グントの伝記を書くための承認要請が送られて来た。そして、申し出を断られた若い学者オマー・ラザギが、親族と直接交渉するため、ウルグアイにやって来たのだった。その時から、彼等の止まっていた時が少しずつ動き始めて行く。

著者のデビュー作は、『ママがプールを洗う日』という短編だそうだ。・・・マズイ・・・。我が読書人生に於いて、読みかけの作品を途中で放り投げた数が10冊にも満たないことはちょっぴり自慢だ。そんな数少ない作品の内の1冊が、このデビュー作だったのだ。しかも買ったことをすっかり忘れ、2冊も購入した上での失態だった、なんとも苦い思い出・・・。しかも本作は挑戦的にページ数が多い、読めるのか、あたし!?
という危機感から始めた読書、特別な高揚感は無いが、独特のリズム感と穏やな雰囲気、理路整然として緻密な構成、じっくりと描きこまれる人物描写の豊かさに、気が付いたらあっという間に半分ほど読み進んでいた。
ウルグアイという、欧米でも余り知られていない国、更には町からも遠く離れた場所で、時代感すら殺ぎ取られたように生きる人々。そこは敗北や諦めが蔓延する空間だが、この小説からはそういった絶望感が余り感じられない。
作家の妻キャロル、愛人アーデン、作家の兄アダムと恋人ピートには複雑に絡まった過去があるはずだが、それがはっきりとは語られないところがニクイのだ。読者は細部まで想像し、キャラクターそれぞれの奥深くまで入り込まざるを得ないだろう。こうして過去の遺恨を克明に描かないから、絶望感が薄く感じられたのかも知れない。
オマー以外の人々は心に膿を抱えていて、まるでその膿を出すことに非常な痛みが伴うかのように、大事にそれを抱えて生きている。ある意味では存在意義のようになってしまっていて、その根源にユルスという男の存在があるわけだ。
それがオマーの介入によって、彼等は膿を出して身軽になる。唯一ユルスの兄アダムだけが、最後までそれを出し切ることが出来ないようだが、むしろ彼に関しては憐憫よりも畏怖を感じる。哀愁すら尊厳を感じさせる、魅力的なキャラクターだった。
実に味わい深い小説だったわけだが、なんと言ってもキャラクター造形と描き出しが秀逸だった。基本的な年齢や容姿、髪型や色という設定すら効果的に物語に生かされていて、些細な仕草や台詞でも、物語や人物像に深く繋がっていく。
そして本作、ジェイムズ・アイヴォリー監督にて映画化もされている。さて気になる配役は?コチラでチェック!アンソニー・ホプキンスのアダムは激しく同意、意外にもオマーもかなりイメージ通り。それ以外がいけません・・・。
フランス出身なのはキャロラインの方です!それに、キャロラインを演じるにはローラ・リニーは若すぎる、むしろアーデンの方が合う。個人的にキャロラインは、シャーロット・ランプリングかカトリーヌ・フロだったのに・・・。オマーに対して兄弟にも似た共感と愛情を示すピートに至っては、いくら東洋人は若く見えると言え・・・、それに、28歳のピートにしては、真田広之は余りに精悍過ぎると思うのだ。
こうした完璧な作品というのは、少しでも変化があると全てが崩れる。特に本作においては、キャラクターの設定を変えるのはご法度でしょう。まぁ確かに、アンソニー・ホプキンスはドイツ人じゃないけれど、キャロラインはせめて50代から60代。それで初めて『キャロライン』として活きてくる、40代じゃないの、断じてね。映画にして殺すなよ・・・と思うわけだ。この映画がお蔵入りしそうな気配なのも頷ける。

最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)
(2009/04)
ピーター キャメロン

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サイモン&ローゲン

さて、『Mr.ボディガード/学園生活は命がけ!』の感想の最後で触れたように(笑)、2010年公開予定の映画『Paul』の情報チェックだ。

主演は恐らくサイモン・ペッグとニック・フロストの黄金コンビ。先にも書いたが、この2人の脚本だ。久々じゃないかぁ〜、もんの凄く嬉しいぞ。セス・ローゲンももちろん出演しているが声だけ。役名は『Paul』。ん?ポールて一体何者なの〜〜〜?

ということで、幾つか情報をチェックして、大まかなあらすじを入手。多分こんな感じ。

イギリス在住のイギリス人でコミックオタクの2人(これが恐らくサイモン&ニックね)が、アメリカ旅行にやってくる。目的はサンディエゴで開かれるコミケ。偶然かわざとかいずれにしろ、『Area 51』の傍を通った時に、そこから逃げ出してきた小さなエイリアンの『ポール』と出会う。宇宙人だったのか!セス・ローゲンまたか!!!ポールと親しくなった2人は、彼(?)が故郷に帰る手伝いをする。

う〜、あ〜、え〜ん、え〜ん、面白そうだよぉ〜、早く観たいよぉ〜。コミックオタクなんて、サイモン&ニックの素の姿じゃないの!しかも宇宙人絡みなんて、またしても趣味と実益を徹底的に絡めたような自分満足型作品、それだからこそ面白い♪
いや〜早く観たいなぁ〜・・・、って!?公開される保証はないか?かなり希薄だな・・・、されるかも?でもジャド・アパトーは絡んでないみたい・・・、セス・ローゲンも日本ではそれほど有名じゃないし、サイモン&ニックに関しては言わずもがな。
ああ、どうしよう、劇場どころかDVDすらスルーされたらどうしよう・・・、ああ・・・。

気を取り直して、他出演者は、ジェイソン・ベイトマン、ビル・ヘダー、ジェーン・リンチ、クリステン・ウィグなどジャド組寄り。シガニー・ウィーバーも出るらしいが、こうなると彼女の場合、サイモン&ニックからのある種のリスペクトという気がしないでもない。監督はグレッグ・モットーラ、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の監督でもある。新作は『Adventureland』、ちなみにこの作品もすっごい楽しみにしているので、せめてDVD、お願いします(誰にともなく頼んでみる)。
これだけ揃って、今のところ製作は『UK』と表示。公開日程も『2010年 UK』となっているので、この辺の経緯が気になるところ。調べた記事のほとんどはアメリカのサイトのものだったこともあるだろうが、大方は、ジャド組がサイモン&ニックの映画に『協力』しているといった印象を受ける書き方だった。

だったら監督はエドガー・ライトで良いじゃんねぇ〜?と誰もが思うだろう、私は確実に100%の突っ込み度でそう思った。しかしエドガー・ライトとサイモン・ペッグの映画は、同じく2010年公開で進行しているはずだった。・・・が、特に動きは無い様子。ちなみに2009・10年のエドガー・ライトは、個人的に忙しそうだ。
とりあえず本作では、エグゼクティブ・プロデューサーを努めている。他プロデューサーなども確認してみると?やはりスペースド一家は絡んでいるようで安心した(笑)。

それにしても、米・英で私の好きなコメディスタイルの共有、いや〜嬉しい。映画界で『ファミリー』と称される役者や製作陣のグループがあるが、それぞれ個人で違った活動はすれど、まとまって別グループ同士タッグを組むことは余り無い。
類は友を呼ぶではないが、こうしたグループを形成する人達というのはそれぞれ個性的であり、似通ったカラーの人達と集い合う。中でもジャド組は個性が際立っていて結束が固い気がしていたので、そこに飛び込んでいったサイモン&ニックの奮闘が見ものだ。
気になるのは、同じ『コメディ』という括りでも、サイモン&ニックのそれとジャド組では、大きく毛色が違うこと。2つのコメディが融合するのか、それぞれ違う色合いを見せてくれるのか?いずれにしろ、1本で2度美味しい作品になっていると期待する。
余談だが、サイモン&ニックなら、雰囲気だけはウェス・アンダーソン(実はテキサス)ファミリーの方が合っている気がする。いや・・・どうかな?考えたら、ジャド組の分かり易い典型的かつ下ネタ満載、子供も楽しめるコメディもありかも?

全くもって楽しみだ、時間がたって老けが進行するのは嫌なのだが、この映画が見られるのなら、2010年を迎えるのも悪く無いぞ!
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Category : 2009年§6月§ | Theme : 日記 | Genre : 日記


『Mr.ボディガード/学園生活は命がけ!』

〔米〕DRILLBIT TAYLOR (2008年)
監督:スティーヴン・ブリル
脚本:クリストフォー・ブラウン/セス・ローゲン
オーウェン・ウィルソン/レスリー・マン/ダニー・マクブライド/デヴィッド・ドーフマン/トロイ・ジェンティル/ネイト・ハートリー/アレックス・フロスト/ジョシュ・ペック/ヴァレリー・ティアン/スティーヴン・ルート/エレン・シュワルツ

高校入学早々にイジメのターゲットになってしまったライアンとウェイド、とエミットは、過激なイジメに対抗するため、ドリルビットという元陸軍特殊部隊の兵士をボディガードとして雇う。しかしドリルビットの実体はホームレス、素性を隠して密かに3人組を利用するつもりだったが、次第に彼等と過ごす時間を楽しむようになっていく。しかもなんと、彼等を守るために高校の臨時教師に!果たしてイジメは阻止できるのか?

ジャド・アパトー組製作、脚本S・ローゲンだが、ちょっとだけ毛色が違って感じられるのは、O・ウィルソンという、ウェス・アンダーソン・チームからの俳優が主演だからだろうか?それとも『いつもの脇役組』が、ほとんど出ていないからだろうか?
それとも、基本面白さ重視で外見度外視のジャド・アパトー組にあって、何だかんだ言ってもやっぱり正直になると、スタイルも良いし顔も良いしってことで、格好良いよねO・ウィルソンって、という辺りに違いを感じたのか?しかしO・ウィルソンはこういう役だと演技が異常に『クサい』、しかも最近こんな役ばかりだから・・・微妙。
いずれにしろ、物語自体は目一杯ジャド・アパトー路線。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』を彷彿とさせるような青春男子3人組が主人公だが、彼等の悩みが女の子ではなくて『イジメ』である分、主人公の爽やか度は幾分高い、オタク度は極めて高い。
似たような話なら幾らでもあるし、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の二番煎じとも取れそうなキャスティングではあるが、ジャド組の作品は面白い。他の作品が落ちるとは言わないが、特に(と言わせて頂けるなら)、S・ローゲン始めとするジャド組の、コメディに対する(実は)真摯な計算の高さと、卓越したセンスのおかげなのだろう。
もちろん私のお薦めはS・ローゲン。やはりこの人には才能がある。役者としても好きだが、物書きとして、製作者としての手腕の方が遥かに良いと思われる。
それにしても良くもまぁ、これだけ個性豊かな役者を見付けて来るもんだ!特におデブの親友である、不細工でもないが別段格好良くも無く、個性的ではないが1度見たら忘れないような、中途半端なのだけどそれが際立つ個性的な?前回はマイケル・セラ、今回はN・ハートリー演じるウェイドがそれだ。ちなみにこの子、キャラクターに合わずにやたらと低くいセクシヴォイス。さて将来はどうなるか?声優か?
無難に面白かったと、特にまぁ、それ以外は(笑)。
さてS・ローゲン繋がりで色々調べていたら、『Paul』という映画が製作中!これがなんと、脚本ニック・フロスト、サイモン・ペッグのコンビだ!この話は長くなりそうなので(笑)、日記にスライド・・・・。

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ぽすれん『Mr.ボディガード/学園生活は命がけ!』紹介
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Category : 映画【コメディ】 | Theme : DVDで見た映画 | Genre : 映画


『画家と庭師とカンパーニュ』

〔仏〕DIALOGUE AVEC MON JARDINIER (2007年)
監督:ジャン・ベッケル
原作:アンリ・クエコ
脚本:ジャン・ベッケル/ジャン・コスモ/ジャック・モネ
ダニエル・オートゥイユ/ジャン=ピエール・ダルッサン/ファニー・コタンソン/エロディー・ナヴァール/アレクシア・バルリエ/ヒアム・アッバス

成功した中年の画家は、カンパーニュ地方にある生家に戻ってきた。実は結婚生活が破綻直前、妻どころか一人娘との関係も上手く行っていない状態。心機一転のつもりか移り住んだ田舎屋で、菜園のための庭師を募集する。やって来た庭師は幼馴染の男。国鉄に長らく勤め、今は引退して好きな庭仕事をやっていた。昔話に花を咲かせ、お互いをジャルダン、キャンバスと呼び合って旧交を温める。中学以来、生活も関わる世界も何もかも違った2人だが、牧歌的で暖かいカンパーニュの景色に溶け込むように、2人の友情は長い年月を埋めて深まっていった。

良いですね。悪く言おうと思えば幾らでも言えそうな展開だし物語だし演出なのだが、ここは1つ素直に、『良い』と言い切ってしまいたい。この作品の中に、幾つかのメタファー、そして幾つかの『人間関係』が描かれている。しかもそれは、たった2人の男を通して描かれる。
愚直な田舎育ちの男と、田舎を何か極上の宝のように崇める都会人。国鉄で長年働き、その存在を人生の基盤とし、共産主義的な頑なさを持つ男と、自らの才能で成功した、至高を追いつつ資本に走った画家。質素で単調ではあるが、堅実な家族愛に繋がれて充実した日々を送る男と、金も名誉もあるが、人間関係に恵まれていない男。長年同じ場所に留まり華やかさを知らない男と、まさに世界の中心のような場所で暮らした男。芸術の豊かさを知らず、無教養で実際的でありすぎた男が出合った、色彩豊かな芸術、その芸術を生み出す男。
そんな2人が繋がっているのは、遠い昔、あらゆるものが可能性で輝き、周囲にはいかなる壁もなく、無邪気に楽しかった少年時代の思い出。演じるのは、フランスを代表する名優D・オートゥイユと、意外と大きな瞳が何ともユニークな眼差しを放つJ=P・ダルッサン。この2人の配役が憎らしいほど適切で、苦もなくジャルダンとキャンバスの友情に引き込んでくれる。
誰のものでも人生なんて、一口には語れない。そう思わせる男たちが主人公なので、この物語がいかに単純であろうとも、むしろその単調さが良い緩和材料になってくれる気がする。人生半ばにして直面した大きな壁に立ち向かう武器としたのは、再会した純朴な友情だった・・・、良いじゃない、素直に良いじゃないのぉ。
一見して愚直で単純そうに見えるタイプの方が、実は図りがたく動かしがたいというのは良くあることで、ジャルダンがキャンバスのことをどう思っていたのか?この再会をどれほど大きなものと位置付けていたのかは分からなかった。それとも単に不器用なだけなのか?どちらかと言えば、キャンバスがジャルダンに依存しているように見えるが、それはあながち間違えてはいないだろう。
今時ビックリするほどに明瞭な伏線が幾つか張られている。それを実線とするなら、さしづめ横断歩道の白線くらいか、いや中央分離帯でも良い。とにかく無茶苦茶分かり易い展開なのだが、繕って余りあるほど極上の雰囲気だ。
ただ映画の表面だけを見るならば、実に分かりやすくお涙頂戴の展開である。ただこれを詩的に観るならば、2人の熟練の俳優が見せた演技と共に、その奥に秘められた幾つもの隠喩を嗅ぎ取れるはず。そんなものがあるとするなら・・・、いやある、あるはずよ、あると信じればあるのよ。

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ぽすれん『画家と庭師とカンパーニュ』紹介
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Category : 2009年§6月§ | Theme : DVDで見た映画 | Genre : 映画


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