『ブルックリン・バビロン』

2008年07月03日 23:09

〔米/仏〕BROOKLYN BABYLON (2000年)
監督:マーク・レヴィン
脚本:マーク・レヴィン/ボンズ・マローン/パム・ワイデナー
タリク・トロッター/カレン・ゴーバーマン/ボンズ・マローン/デヴィッド・ヴァディム

ブルックリンに暮らす黒人のソロモン、ユダヤ人のサラ。マイノリティの集まりの地域では、それぞれの民族が更に細かく反目し合う状態だった。ソロモンはミュージシャンとして有名になる事を望み、サラは自立して生きる事を望んでいた。ある夜の交通事故で2人は知り合い、お互いの人間性に惹かれあっていく。しかし、交通事故の報復が報復を呼び、人種間の諍いが苛烈になるに従って、ソロモンとサラの間にも大きな壁が立ちはだかる事になる。

この監督の別の作品『SLAM』が滅法良かったので、勢いで借りてみた。う〜ん・・・『SLAM』の悪い面だけ残っちゃったみたいな出来だった。ちょっと残念だったかなぁ。まず役者が素人臭い。『SLAM』では実際素人を使っていたので致し方が無いとも言えるが、そんな事を払拭してしまえるほどストーリーや台詞が良かった。今回は、、、素人臭さが大きな染みのように広がって、よもや強力洗剤でも落とせないほどはっきりと目立つ。しかも役者は全員プロだったらしい、この作品以前にそれぞれが出演作を持っているので、『初出演』の類ではないのが微妙さを増した。
時折はっとするような鋭利な演出やカメラワークもあるのだが、大方は気の抜けたご家庭フィルムのような映像が多い。役者1つでこれも払拭できるかと思うのだが、いかんせんあの素人芝居では・・・何とも・・・。ソロモンがバンドの仲間とミーティングしてるシーンなんて、演技も酷ければ映像も酷い。字幕文字のチャチさもあいまって、C級映画スレスレ・・・といった印象も。
物語もロミオ&ジュリエット的な、ウェストサイドストーリー的な、この2つを足して悲壮感を大方削除したら大体は同じ・・・。それでもボチボチ盛り上がってきたか!?と思っていた矢先に急降下でラストへ続く。結末は良かったのだが、処理の仕方がいただけないのだ。収集が付かなくなったから無理矢理ラストになだれ込んだ・・・という印象がある。もしかしたら脚本はもうちょっとキャラクターの機微を描いていたのかも知れないが、いかんせん演技が・・・。
『SLAM』が余りにも良かったので断定したくは無いが、上記した悪い面は実は『SLAM』にもたっぷりあった。安っぽい映像、強引な展開、チープな演技、などなどだ。物語の面白さだけで引っ張った『SLAM』に対して、物語の面白さが弱くなった本作と言えそうだが、それでは単なるつまらない映画で、そこまで断定するほど酷くは無かったのよね・・・多分。
芸術的センスの問題なのかなぁ?とも思う。前回は『詩』今回は『音楽』。音楽はほとんど共鳴する部分が無い上に、今回は何?あれは、、、ラップ?ヒップホップ?どっちなの??というぐらいの音痴ブリなので、惹かれる部分が無かったのかも知れない。う〜む、残念だ。

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『幸せになるための恋の手紙』

2008年07月02日 23:18

〔米〕THE OTHER SIDE OF HEAVEN (2001年)
監督:ミッチ・デイヴィス
原作:ジョン・H・グローバーグ
脚本:ミッチ・デイヴィス
クリストファー・ゴーラム/アン・ハサウェイ/ジョー・フォラウ/ナサニエル・リーズ/ミリアマ・スミス/アルビン・フィティセマヌ

アイダホフォールズで暮らすジョンは、モルモン教の宣教師として2年半の宣教活動のためトンガに出向いた。文明の少ない南国の密林での生活は、アメリカ育ちのジョンには新鮮な驚きと過酷さを伴うものだった。そんな日々の中で、恋人ジーンとの手紙の交換が彼の支えだったとも言える。徐々に地元の人々にも受け入れられ、信者も増え始め、ジョンは充実した毎日を送るのだった。実際の物語をベースに描く、信仰と友情に彩られたヒューマンドラマ。

最初にお伝えしておくと、A・ハサウェイのかなり初期の頃の作品である。登場時間はトータルで20分くらいかと思われる。主人公の恋人役ではあるが、さほど重要な役割では無いので、アン目当ての方は、お借りになる前にご一考されると宜しいかと。
さて私は、C・ゴーラムが観たくて借りた。映画の出演作が少なくて、現時点で借りられる出演作がこれだけだった。偶然テレビで出会ってしまったのが運の尽き・・・タイプなんだよねぇ(笑)。という側面では、大変満足!『という側面』以外では、個人的には微妙な映画だった。
『モルモン教が世界で一番!』と思っている方には、恐らく最高の作品ではないかと思われる。偶然少し前に見た作品でも、若者が2年半の期限付きで布教活動をしに行くというプロットがあった。詳しい事は解らないが、前出の作品ではカウボーイが、本作ではどうやら会社員の若者がそれぞれ布教活動に赴く。これから推測するに、布教に格別の資格は要らないようだ。とにかく、布教活動に力を入れている宗派という印象が残る。
己の宗教における確固たる信念と信頼、そして熱意。そんなものがあれば布教活動は出来るのだろうし、むしろそれが無い惰性の牧師に布教されるよりはマシなのじゃないかと。で、そんな強い信念を持ったジョンは、遥か未開のトンガに行って、嵐に遭遇したり海に呑まれたり、地元民との諍いに巻き込まれたり和解したりと、様々な貴重な体験をする。特にどうという事は無い、先進国の若者が、途上国で人が良く純朴で暖かい地元の人々に大事にされるという話。特定の宗教を持たない私としては、所詮この程度にしか受け取れないのだ。
文明は少ないが大いなる自然と共に豊かに暮らす人々に、意図的では無いにしろあり得ないような奇跡を信じさせ、欧米の信念を強引に押し付けている様を観続けるのはいささかうんざり。ジョンが死ぬほどの思いをしても、既存の宗派に迫害されても、『自業自得』としか思えない。
宗教を持って、自分の人生に信じるものを据えるという事に全く異存は無いし、むしろ羨ましいとすら思う。殺伐とした世界に無宗教で生きていると、例え目に見える効果や見返りが無かったとしても、心の中で縋れるよすががある事は、なんとなしに心の平安が得られる気もする。
それでもこういう映画を観ていると、やはり今更、信仰心は持てないとつくづく思う。第一、押し付けられるのは勘弁なのだ。自分が信じるものなら、自分で探して選んで決めさせて頂きたい。
映画では特別、押し付けたり強要したりはしていないのだが、『無知』に付け込んでいるなぁという気はしてしまうのだ。その辺を回避するような問いかけも幾分含まれているが、滲み出る『賛歌』的雰囲気が、そうした描写を公平に受け取る気持ちを萎えさせる。
結論としては、私みたいなタイプはこういう映画を観てはいけないなと。でも、『アン・ハサウェイ主演の青春ロマンス映画』みたいな宣伝をしていたので、引っかかっちゃったぞと。ちなみに、結構評判は宜しいので、恐らく私が捻くれているだけかと・・・。
いずれにしろ、個人的にはC・ゴーラム堪能の2時間を過ごせたので良し!あ〜、可愛かった♪

幸せになるための恋の手紙幸せになるための恋の手紙
(2007/08/03)
アン・ハサウェイ

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『オフサイド・ガールズ』

2008年06月11日 23:32

〔イラン〕OFFSIDE (2006年)
監督:ジャファル・パナヒ
脚本:ジャファル・パナヒ/シャドメヘル・ラスティン
シマ・モバラク・シャヒ/サファル・サマンダール/シャイヤステ・イラニ /M・キャラバディ/イダ・サデギ/ゴルナズ・ファルマニ/マフナズ・ザビヒ/ナザニン・セディクジャザデ

イスラム教を重んじるイランでは、男性のスポーツを女性が競技場まで行って観戦する事は、なんと法律で禁止されている。要するに、『サッカーの試合を『お金を』払ってスタジアムで観ようとする『女性』は、犯罪者になってしまう』のだ。それでも、ワールドカップ出場がかかる大一番を観るために、様々に『男装』した女性達が、果敢に入場を試みる。逮捕された個性的な一団は、警備員達を丸め込み、なんとか試合を見せてもらおうとするのだが・・・。

いや、予想以上に面白かった。予想以上に捻ったプロットで楽しめた。まずなんと言っても、男女平等を謳い上げる世界区の風潮がある中で、『公共の場で男女が同席するのを良しとしない』という意見がまかり通り、男性のスポーツを女性が生観戦したらいかん!と、法律で決めてしまうような国のお話だ。時代錯誤というよりも、異次元の世界に思える。
しかしこれに反して、男性も女性のスポーツを生観戦したらいけないそうで、そうした事実を台詞に紛れ込ませ、様々な理不尽さをコミカルに描き出す。そんな手法が随所に効いていて、実に上手い脚本と演出だと思った。男の監督は、女子の試合を外から携帯で指示するって、本当?
例えば、男性の試合を見せない事に憤る女性達なのだが、女性の試合を男性が見られない事には何ら疑問が無い様子なのが面白い。対する男性陣も、『なぜいけないのか?』という問いには上手く答えられない。なかなか上手い事を言うなとは思うのだが、理屈にはなっていない。
女性には汚い言葉を聞かせない、見せないという徹底振りも面白いが、だったら自分達が控えよう!という心がけじゃなしに、自分たちは我慢できないから、女性が側に来なければ良いという考え。まったく、女性を庇護しているのか卑下しているのか、いまいち判断が付かない(笑)。
構成も面白いのだ。この試合に勝てばイランがワールドカップ出場!という大一番、対戦相手はバーレーン。その試合が熱く行われている直ぐ脇のスタジアム外で、物語が進行していく。試合が映される事は無いのだが、溢れ返る熱気が伝わってくるような臨場感がある。
結果はサッカーファンならご存知の通り、見事イランはバーレーンを下し、我が日本と同じく、同組からの出場と相成った。これはあの、熱き2006年ワールドカップを目指すお話だ、会話の中には、日本の名前もチラホラ出てくる。思い返せば、イランでのゲームの際に、日本は宗教外、理屈外ということで女性の入場が認められた、そんなニュースが頭を過ぎる。この異次元の物語も、妙な新密度とリアリティを持って感じられるようになる。
もう1つありがたい事に、予選時に同組であった日本の(似非)サポーターとしては、乱発されるイラン選手の名前が解る事だった。そうすると、試合を見られない彼女達の白熱した『実況』が、同じような環境で体感する事が出来る、お試しあれだ。
スポーツを愛する人にとって、その試合を見たい、自国の応援をしたい!と言う気持ちは誰でも同じ、そんな熱い思いが溢れるばかりのこの映画。それに、国を愛すると言う事、その点では軍人も女性も同じ、その気持ちに優劣はないのだ。最終的には、なんだかんだ言っても、人として、お互いを思いやる気持ちがある事を、それとなく描き出している辺りもとても良い。
規律に縛られた軍人も、試合を見たいと願う彼女たちの熱意を無下には出来ない。仕事が大変な軍人を、頭から否定も出来なければ迷惑もかけたくないのは、彼女たちだって同じ事。この映画の根底には、男も女も関係なく、『人間』としての考え方がきちんと根ざしてる。シニカルなようでいて、そうした暖かい目線が小さく感動を呼んだ。
私自身スポーツ観戦が大好きなので感想も甘くなってしまうのだが(笑)、ただ熱くバカ騒ぎをしているだけじゃない、スポーツ観戦を楽しむという一体感などを通して、地味で堅実な作りながらしっかりとした物語を作り上げている点、秀作と呼ぶに相応しい仕上がりだ。

オフサイド・ガールズオフサイド・ガールズ
(2008/05/23)
シマ・モバラク・シャヒサファル・サマンダール

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『僕のピアノコンチェルト』【一部ネタバレ注意!】

2008年06月11日 23:13

〔スイス〕VITUS (2006年)
監督:フレディ・M・ムーラー
脚本:ペーター・ルイジ/フレディ・M・ムーラー/ルカス・B・スッター
テオ・ゲオルギュー/ブルーノ・ガンツ/ジュリカ・ジェンキンス/ウルス・ユッカー/ファブリツィオ・ボルサニ/エレニ・ハウプト/タマラ・スカルペリーニ/ノルベルト・シュヴィーンテック/ダニエル・ロール/ハイディ・フォルスター/クリスティーナ・リコーヴァ

計測不能と言われる程の高いIQを持つ天才児ヴィトスは、同時にピアノでも素晴らしい才能を見せていた。12歳になる頃には高校に通っていたため、同年代の友達もおらず、厳しい母親に制圧される毎日だった。唯一祖父と一緒にいる間だけ、ヴィトスにとって子供らしい楽しみが感じられる時間だ。ある嵐の晩、マンションの外で倒れているヴィトスが発見される。どうやらベランダから飛び降りたらしいのだが、その事故の後遺症で、知能が普通レベルになってしまった。ようやく普通の生活を手に入れたヴィトスだったが、彼の様子を嘆く母、仕事が上手く行かない父、老齢になって弱っていく祖父など、周囲の様子には暗雲が立ち始める。かつては天才児だったヴィトスは、家族を助けるためにある行動に出るのだが・・・。

単に天才少年の苦悩を描くという大枠以上に、様々に毛色の違うエピソードが組み込まれ、結構盛りだくさんな内容だ。それでも、煩わしい印象や詰め込みすぎという感じは無く、むしろ天才という要素を上手く使い、意外な方向に物語が展開していくのが面白かった。
しかしその反面、もう少し短く出来るかな?と思わせる冗長さもあった。特に、ヴィトスが幼少の頃が不必要に長い気が・・・。子役も、可愛いのだが演技は微妙で、幼少時代はステレオタイプナまとめ方をしていただけに、少しだらけた印象が残ったのが残念。12歳のヴィトスになってからも妙な単調さは残ったのだが、上記したように物語も複雑になってくるので余り気にならなかったのだ。とにかく、ストーリーは良いが、テンポが悪いのよ。
それにしても、まずは12歳のヴィトスを演じた、映画初出演のT・ゲオルギューが凄い。映画初出演というのも凄いが、あのピアノ演奏も凄い。さすがに指がビックリするほど綺麗で、あの指で肩を揉んでもらったらさぞや気持ち良かろうな・・・と、妙な憧れを持ってみる(笑)。
そしてやはり、B・ガンツが良い、良すぎる。ほんの一瞬、『ベルリン・天使の詩』の頃の姿が見えてドキっとした(笑)。劇中では、ヴィトスの親友であり助言者でもあり、唯一ヴィトスを『天才』として扱わないおじいちゃんを、実に優しく好演していた。なんとも柔らかい表情が本当に魅力的。
全体としては、天才とは対極にある私でも、天才ゆえの苦悩が良く伝わってきた。望まなくても特別扱いされる、まるで自分が、何かの珍種にでもなったような気になる事だろう。私のように普通まみれの人間からしたら、良いのか悪いのか?やはり羨ましいと思ってしまうのだが(笑)。
ここからがネタバレになるのでご注意!『普通ではない』自分に悩み抜いたヴィトスは、結局は普通のフリをする事で、本来の自分を受け入れていく。ピアノへの熱意に気が付く一連の描かれ方が、無心で飄々としていて、まさにヴィトスという個性を表しているようで、とても印象的だった。
いくら天才でも、『人生』に関しては天才にはなれないのだろう。だからこそ生きる事とは、難しくも素晴らしいのだと考えさせられる。ヴィトスには天才だという自負が根底にあったから、解決できない『自分の人生』という問題に、必要以上に戸惑ったのかなぁ、なんて考えたり。
だからこそ、全ての問題が解決してヴィトスが向かった場所に、より一層の満足感と爽快感がある。本当に好きな事を、自分の意思で選び取る自由から生まれる充足感。観客としても、感無量だという気分になった。それゆえに、ラストの演奏会シーンは圧巻だ。実生活でピアノを学ぶT・ゲオルギューという素の少年と、劇中のヴィトスの気持ちがリンクしたように、制圧の無い渾身の演奏を披露してくれる。まだ子供らしい無心さを見せつつも、その技量はまさに天才。劇中の天才と本物の天才が、最後に舞台の上で1つになったかのような錯覚を覚えた。『喝采を送る』って、こんな気持ちの時に、使える言葉なのかも知れないな。

僕のピアノコンチェルト僕のピアノコンチェルト
(2008/05/21)
洋画

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『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』

2008年06月03日 23:39

〔丁/仏/独/英〕DEAR WENDY (2005年)
監督:トマス・ヴィンターベア
脚本:ラース・フォン・トリアー
ジェイミー・ベル/ビル・プルマン/マイケル・アンガラノ/クリス・オーウェン/アリソン・ピル/マーク・ウェバー/ダンソ・ゴードン/ノヴェラ・ネルソン/ウィリアム・フットキンス/トマス・ボー・ラーセン

アメリカの寂れた炭鉱町で暮らす、まだ少年のようなディック。炭鉱で働かない人間を見下すような町で、雑貨店の手伝いをしながら地味に生活していた。彼はおもちゃの銃を長年持っていたのだが、職場の同僚で銃マニアのスティーヴィーにそれが見つかった折、本物の銃だと知らされ、『ウェンディ』と名づける。以来2人は、廃坑に隠れて銃の腕を磨く。やがて、拳銃を人に向ける事無く所持するだけでも、自信が沸いて立派な人間になれると悟った2人は、町で似たような境遇の若者を集めて、銃による平和主義を目的とした組織『ダンディーズ』を結成する。

そもそもこの作品、大きくなったJ・ベル確認と、M・ウェバーが観たいだけだった。予約リストにずぅぅぅっと乗ってて、もう観なくても良いか・・・?と思った頃、M・ウェバーも『痛いほど君が好きなのに』でカタリーナ・サンディノ・モレノと共演するって言うじゃない?イーサン・ホークは好きだし小説もかなり良いとは聞いていたのだが、とは言えねぇ・・・、所詮イーサンの書いた小説(笑)と、手出しは控えていたのだが、映画なら良さそうだ。しかもこれ、私が密かに好きなジェシー・ハリスが音楽を担当してるとな!しかも出演もしてるとな!?観なくちゃ・・・観なくては!
J・ベルも順調なキャリアを積んでいるようだし、まぁじゃあ、観ても損は無いか〜?と言う事で鑑賞。そうね、映画はまずまず。っていうかJ・ベルよ!個人的には『美形』の範疇外という認識だったのだが、中々どうして、繊細な顔立ちをしているじゃないの。時代劇にでも出たら、ピッタリはまりそうな気がする。子供の頃の顔のまま、見事に大人になった例(笑)。
M・ウェバーは相変わらずで・・・もっさ〜〜(笑)、そこが良いのだけど。しかし『ボム・ザ・システム』は、今のところ越えられないかな。やはり今後の出演作に期待か・・・、イーサンだな。
う〜むむ、これもやはりね、何が言いたいのか大いに悩む。反暴力映画なのか、単なる悲壮な青春映画なのか。銃社会アメリカに対する風刺なのか、銃そのものに対する脅威を描いているのか。または集団社会のはみ出し者という枠を描いているのか、そうした固定概念が歪ます人間の心理を描いているのか?銃はそのための小道具に過ぎないのか、はたまた、西部劇への単なるオマージュなのか??
いずれにしろ、結末が好みでは無いので、何とも後味が悪い思いが残る気もする。展開も急だし強引だし、むしろ何だかのメッセージがあればこそ、この強引さも許されるのではないかと思うのだが、どうもその辺が良く解らなかったのだ。ディック始め『ダンディーズ』の面々は、結局何に命を賭けたのだろう?それは各々のパートナー、古く美しいフォルムの拳銃だったのだろうか?
だとしたら結局これは、銃による『暴力と自己主張』に反対を唱える映画になるのかな。『所有するだけ』という大名目の元に集まった彼等だが、結局のところ、その銃口を生き物に向けたいと願っていたのではないか、それこそが銃の正統な使い方であると暗に理解していたのでは?あのラストからは、自分の力を見せ付けたいという欲求が、拳銃という心強い相棒の存在によって後押しされていたように見えたのだ。
ともあれ、アメリカの架空の町を舞台にしたこの作品、舞台背景や雰囲気などが少し変わった印象なのが面白い。語りが多いせいか、なんとなく児童小説を読んでいるような気分にもなる。現実にありそうで、やはり現実的ではない境界線スレスレの世界観は、結構好みだったのにな。

DEAR WENDY ディア・ウエンディDEAR WENDY ディア・ウエンディ
(2006/06/02)
ジェイミー・ベル

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『ヘアスプレー』

2008年05月01日 19:18

〔米〕HAIRSPRAY (2007年)
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン
ジョン・トラヴォルタ/ニッキー・ブロンスキー/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/クイーン・ラティファ /ザック・エフロン/ブリタニー・スノウ/アマンダ・バインズ/ジェームズ・マースデン/イライジャ・ケリー/アリソン・ジャネイ/ジェリー・スティラー

16歳の高校生トレーシーは、地元ボルティモアで大人気のダンス番組、『コーニー・コリンズ・ショー』に夢中だった。いつか自分も同じ舞台で踊りたいと願っていたが、遂にそのチャンスが訪れた!おでぶキャラのトレーシーだがダンスはピカイチ、髪型もばっちりで、直ぐに番組の人気者に。しかし、そんな彼女の活躍を快く思っていなかったのは、番組プロデューサーのベルマだった。差別主義者で横暴なベルマは、週に一度のブラック・デーを廃止してしまう。そして、抗議行進に参加したトレーシーは、思わぬ災難に巻き込まれてしまうのだった。

まずまず、面白かったかな。夢を追いかけて人気者になったトレーシーという楽しくて幸せな部分と、1960年代初頭、未だ根強い黒人差別を残すボルティモアを舞台にした真摯なエピソードが上手く絡みあっている。しかし!?本来なら余りにも毛色の違う要素をドッキングさせたがために、双方ともが『そこそこ』レベルの面白さに留まっているのね。
トレーシーの『夢を追う!』というエピソードは紋切り型だし、差別に関するエピソードや展開も、実にありきたりであっさりしたものだ。これが、良い意味で『教科書的映画』という気分にさせる。これで演出や役者が悪かったら最悪だろうが、その水準は高いので、満足の行く出来なのだ。
学校の演劇発表レベルの素人だった主演のN・ブロンスキー。残念ながら演技力の程は予想通りだったが、一生懸命さは伝わって来たし、トレーシーと同じく楽天的な豪快さがあると思う。
内容的には、アラを探せば正直幾らでもある。加えて、粗筋を聞いた瞬間から全てのストーリーが克明に予測できるほど単純だったとしても、構成や演出が良かったので個人的にはOK。その上更に、わたし的には、C・ウォーケンの存在だけで万事OK!という気分だ(笑)。最近この方、何となくこういうキャラクターが多いような気がするが、そんなC・ウォーケンが好きだわ。
J・トラボルタは、なぜゆえママ役に抜擢されたのか?その疑問は映画を見終わっても謎のままだったのではある。歌って踊れる女優なんて幾らでも居るだろうに、ましてあれだけ特殊メイクの塊と化すなら尚の事だ。単なる話題作りだけなら、それこそ失敬な話だと思うのだが?J・トラボルタの踊りも歌も、『女性らしい』演技のおかげで堪能するほどの迫力も無いのではあるが、仕草や目線が妙に女っぽくて、結構サマになってはいた。
その他ではやはり、以前日記にも書いたがJ・マースデンが・・・あれ?余り目だっていなかった・・・。歌もアイドルばりに無難に上手すぎて、逆に影が薄くなってたかな〜。良い役だったので残念ね。Z・エフロンは、かなりムリムリだったけど頑張っていたのでは?以前『無機質』と評した気がするが、ちょっと今回は、色が付いたというか、現実感が出てきた感じ(笑)。
M・ファイファーも相変わらずお綺麗だし、A・バインズは滅法可愛いし♪何より今回は、Q・ラティファが良かった!あの役にQ・ラティファを充てる辺りも基本的だと思うが、それを良いと思わせる演出が上手だった。もちろん、Q・ラティファ自体が、良い雰囲気を持っているからなおさらだ。
役者の存在感も良かったし、演出や展開も飽きさせなかった、万人向けの面白い作品だと思う。それに、単純だからこその教育的雰囲気も嫌いじゃない。なんだかんだ言って、作りがまじめなんだろうな。いっその事この作品を、学校指定推薦映画にでもすれば良いのに(笑)。

ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組)ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組)
(2008/04/04)
ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー 他

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『恋するレストラン』

2008年04月21日 23:27

〔オランダ〕HET SCHNITZELPARADIJS (2005年)
監督:マルティン・コールホーベン
原作:Khalid Boudou
脚本:マルコ・ヴァン・ゲフィン
ノア・ヴァレンタイン/Bracha van Doesburgh/Mimoun Oaissa/ヤヒーラ・ゲイール/Tygo Gernandt/Mohammed Chaara/Micha Hulshof/Gurkan Kucuksenturk/Sabri Saad El-Hamus/Frank Lammers/Linda van Dyck /Porgy Franssen/Sanne Vogel

父親の期待を一身に背負い、学校を優秀な成績で卒業したノルディップ。しかし彼は父親が決めた自分の未来に納得が行かずに、父親には図書館のバイトと偽って、ホテル厨房の皿洗いのバイトを始める。そこで出会った、社長の姪でもあるウェイトレスのアグネスに一目惚れしたノルディップ。何とか彼女の気を引こうと試みるが、彼女の返事は『モロッコ人だから』、両親が反対するという素気無いものだった。ノルディップの恋は、未来は、どうなってしまうのか?

こちらの映画もまた、観終わった時は『いや〜青春って良いな、恋がしたいな!』とまぁ、清々しくウキウキするような気持ちだった。でもやはり?感想を書こうと色々考えてみると、、、大した作品でも無かったなと(笑)。ステレオタイプなキャラクターや展開を利用して、リズム感良く適度にまとまっているので、鑑賞直後は面白いと感じられるのだろう。間違っても、振り返って色々考えちゃいけない作品だ。冷静な判断力のある人に、お薦めするのもお勧めしない。
こちらもまた原作ありきの映画なのだが、悲しいかな詳細は不明だ。物語の質感と著者の名前から判断するに、著者の実体験を基にしたデビュー作で、オランダ国内における移民に対する目線、差別や対応などの厳しい側面を、『普通のオランダ国民』として暮らすモロッコ人青年の目線を通して、新鮮に嫌味なく描き出し、そこに、同国人間の友情や、異国間の恋と友情、最終的には、そうした差別や国感情を乗り越えた、人間性を認め合う関係などを描きこむ。きっと親子の気持ちの擦れ違いや歩み寄りなんかも描かれていて、お父さんにも、もっと焦点が当たっているのだろうな。もちろん、青年が自らの将来をとしっかりと向き合い、仕来りやお国柄に左右されず、求める自分の姿を見出す物語でもあるだろう。ホロリとさせつつも大仰にならない抑えた筆致でスマートに、若者らしい初々しさを湛えて描かれた青春小説なのだろう。というのが、私の予測ね(笑)。多分かなり近いと思うんだけど?と言う事で、原作者のHPを発見。デビュー作というのは、当たっていたみたいよ(笑)。
とまぁ、こんな事を予測してしまうぐらい、映画でもキャラクター構築はしっかりと成されているのだ。原作から忠実に抽出したのは、キャラクターの個性のみなのか、そのどれもが、物語では全く生かされていない。キャラクターは置いてけぼりで、物語だけが進んでいく感じ。キャラクターと物語が噛合っていないなんて、どう考えてもおかしな状況が実際に起こってる。
映画の製作者側が、原作におけるキャラクターの完成度を、活かしきれていないのかな?と考えた。そうする事によって完成度が高まる物語を、台無しにしちゃった感じね。ホテルの社長に与えられた設定なんて、余りに無意味な絡み過ぎてよもや意味不明。サンダーの活かし方も、非常に勿体無いない。嫌味はどう転んでも良いってものでは無いのよ、嫌味にも一貫性がないとダメ。
結果として、あらゆる事への取っ掛かりが陳腐に感じられて、引きずるように個々の結末の処理まで中途半端だ。定石を守っている分、面白くも感じるのだが、『もっと出来たはずだ!』という煮え切らなさが残る。主演の俳優2人が素敵だったのも、何とか救われた要因だろうな〜。
アグネス役の女優はとにかく可愛くて、そりゃあノルディップも一目惚れするわねと共鳴(笑)。そんな、恋に一途で男気のあるモロッコ人の青年ノルディップを演じるのは、N・ヴァレンタイン(Noah Mounir Valentynというらしい)。スタイルも良くて精悍な面立ちで、輝く瞳がとにかく素敵なのだが、気を許すと・・・つい気を許すと・・・『ばんばひろふみ』に見えてしまって(笑)。ごめんなさい、ごめんなさい・・・。お詫びに、本当はこんなに素敵なN・ヴァレンタイン画像を最後に。
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ほら素敵だ(笑)

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ね?素敵でしょ?

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やっぱり、ばんば・・・

恋するレストラン恋するレストラン
(2007/05/02)
ムニール・ヴァレンタイン、マルコ・ヴァン・ゲフィン 他

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『フリーダム・ライターズ』

2008年04月01日 22:51

〔米〕FREEDOM WRITERS (2007年)
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ/エリン・グルーウェル
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
ヒラリー・スワンク/パトリック・デンプシー/スコット・グレン/イメルダ・スタウントン/マリオ アンドレ/エイプリル・リー・エルナンデス/ジェイソン・フィン/ハンター・パリッシュ/クリスティン・ヘレラ グロリア/ディーンス・ワイアット/ガブリエル・チャバリア/アントニオ・ガルシア

1992年のロス暴動の後、差別撤廃を決定した高校に国語教師として赴任したエリンは、犯罪から子供たちを救おうと熱意に燃えていた。しかし差別を撤廃した事で、逆に人種間の危機感は極限まで高まっており、多様な人種が入り混じる教室内は一触即発の雰囲気に満ちていた。全く授業に身が入らない生徒達に、エリンは日記を付けるように促す。その日記から生徒達の過酷な現実を如実に知る事になったエリンは、生活の全てをかけて生徒達と向き合った教育進めていく。やがて学ぶ事を知った生徒達の熱意とは裏腹に、学ぶ場である学校側との意見の衝突が相次ぐようになる。しかしいつの間にか、教室は1つのファミリーに生まれ変わっていた。

いや〜、泣いた泣いた、とにかく泣いた。映画を観てこんなに泣いたのは久し振り。正直観る気は殆ど無かった映画だった。まず第1に、似たような話なら良くあるし、小説『ルアン先生にはさからうな』というのがこの手の作品群では私のベストで、これ以上の候補は必要ないと思っていた。(ちなみに映画『デンジャラス・マインド』はこの作品の映画化。映画の出来は余り良くないので、お薦めは小説だけである。)
第2には、どうせ泣かせようって造りなんでしょ〜という捻くれた考えから。ハリウッドのお涙頂戴はほとほとうんざりなんである。そして最後に、主演のH・スワンクには最近、ロビン・ウィリアムスに通ずるような優等生的くどさがあるように思えて、観るのが面倒臭い役者になっていた。
さて、最初から私の間違いを潰して行こうか(笑)。確かに似たような話は良くある。環境ゆえに落ち着いて学ぶ事も出来ず、また自信にもその気が無い生徒達に対して、『熱血』教師があの手この手で生徒の心を揺さぶる話だ。その揺さぶり方が・・・泣かすのだ、いちいち泣かすのだ。
自分達の生活は『戦争』だと言いきり、文字通り殺される前に殺せとして生きてきた子供たち。しかしエリンはそれに、『本当の戦争』『本当の差別』『本当の迫害』を示して彼らを揺さぶった。自分達よりよほど過酷な運命に翻弄された人々の事を学ばせる事で、彼等の置かれた状況を再認識させた。自分達はもしかしたら『恵まれているのかも知れない』と、少なくとも、自分達の意思次第では、脱出する事が出来る環境なのだと。
これは私が常に心に留めておきたいことで、自分が辛くて苦しい時に、今の私よりずっと過酷な日常でも、一生懸命に頑張っている人はこの世に沢山いるのだと思うことで、立ち直る原動力にしてきた。しかし普段の生活の中では、そうした事を忘れてしまいがちだ。そうして、自分の不幸に甘んじようとする。その甘えが有る限り、人間は本当の意味での前進は出来ないと思うのに。
こうした気持ちに共鳴する人には、問答無用にあらゆる種類の涙を誘う映画だと思う。そんな訳で私には、エリンの取った行動の全てが、それに呼応した生徒達の心全てが、心の中で深い銅鑼の音のように反響しまくった。
この手の映画を観るといつも思うのだが、この年齢の子供たちって、どんなに廃れたように見えても実際は素直だ。物事を知らないだけで、知識を与えてくれる人を敬う心はちゃんと持っている。吸収する能力は桁外れだし、素直になるという事に恥ずかしさが無いのだ。無駄に頭がガチガチになった大人の方がよほど性質が悪いなぁと、つくづく自分に置き換えて反省した。
さて第2の理由、『泣かせよう』という意思は映画からは余り感じないだろうと思う。エリンの行った事、それを受け止めた生徒達の気持ちを理解できないのであれば、誰でもが没頭できる映画ではないだろう。作りが危ういのだ、反感を買い易い。ホロコーストや公民権運動などを持ち出すのは、安易に感じられる危険性もあるだろう。そこを上手く処理できているか?というと、私は共鳴しすぎていたので真っ当な判断力は不能(笑)。
さて最後、本当にごめんなさいH・スワンク、心から謝ります。彼女は素晴らしい、実に実に素晴らしい女優さんである。ビバヒルの頃からなんか違うと思ってたのよ(笑)。まず役柄に彼女の醸し出す個性がピッタリ。今回は男勝りで強い女性ではなく、母性のある強さ、そして優しさがあり、可愛らしい一面も存分に持っている女性らしい女性を好演。
でしゃばらず、しかし存在感はばっちりで、周囲との調和は抜群のバランス感だ。控え目な演技でも説得力があり、強さと儚さや優しさの強弱も完璧だった。映画の中にきっちりと納まっているのに、確実に偉才を示すその堅実な演技力、いや〜、本当に素晴らしい。
結果として、まぁ私にしては珍しく(笑)否定的な要素が皆無だ。ほぼ全くかなり完全に感動しまくった作品の1つになった。そうした映画は過去に2本だけ、3本目の作品となった。一口に『感動』と言っても種類は色々あるが、これは爽快で楽しくなるほどの感動だった。生徒達の素直さとエリンの優しさの詰まった熱意に、観客としても内に眠る純粋さを呼び覚ます映画だった。

フリーダム・ライターズ  スペシャル・コレクターズ・エディションフリーダム・ライターズ スペシャル・コレクターズ・エディション
(2007/11/02)
ヒラリー・スワンク.スコット・グレン.パトリック・デンプシー.イメルダ・スタウントン.マリオ.エイプリル⌒br />
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ぽすれん『フリーダム・ライターズ』紹介

『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』

2008年03月13日 23:43

〔米〕CECIL B. DEMENTED (2000年)
監督:ジョン・ウォーターズ
脚本:ジョン・ウォーターズ
スティーヴン・ドーフ/メラニー・グリフィス/エイドリアン・グレニアー/アリシア・ウィット/ラリー・ギリアード・Jr/マギー・ギレンホール/ジャック・ノーズワージー/マイケル・シャノン/ケヴィン・ニーロン

ボルティモアで行われるプレミア上映会に訪れた、人気女優ハニー・ホイットロック。その会場で、彼女は映画好きのテロ・グループに誘拐されてしまう。セシル・B・ディメンテッドを筆頭としたそのグループは、資本主義に毒された大作映画と対決するべく、ある映画を製作する予定だった。制作費ゼロで究極のリアリティを追求したその作品の主役に、ハニーを迎えるための誘拐だった。かくして、誘拐犯として追われる傍ら、映画製作に取り掛かる一行。究極のリアリティのため、ゲリラ撮影に乗り出して行く。

『映画がそんなに好きなのか!?』、この作品のキャッチコピーのように、映画が無類に好き!映画に関わるあらゆる事に興味があって楽しめる、というのでもなければ、全くもってお薦めできない。いや、ハッキリ言うなら、とんだ駄作としか思えないだろう。
そんな私はどうだったのか、というと・・・?私がこの作品を借りたのには、れっきとした理由があるのだ!S・ドーフとA・グレニアーが観たかったから♪それ以外の理由は『一切無い!』と断言出来る(笑)。こんな風にでも、どんな風にでも『映画』を楽しめるなら良いが、B級映画好きなら更に楽しむ要素が多いだろうと思う。
というわけで、私は概ね満足。概ね?かなり満足!M・ギレンホールは可愛いし、またしても突飛な役だし(笑)。久し振りにM・グリフィスも観られたし♪しかもですよ、S・ドーフとA・グレニアーが1つの画面に収まって、台詞まで言い合っちゃうなんて(笑)。私にとっては1作で二度美味しい、お腹一杯状態なわけ。文句無く。
さて物語は?というと、単純には『B級vsA級』といった感じかな。拝金主義を打ち倒す!とか威勢は良いが、彼らが認める映画ジャンルとしては『カンフー・アクション』『ポルノ』あともう1つ・・・忘れた(笑)。何だったか、男臭い感じだったと思うのだが?男臭いというかオタク臭い感じ?万人には愛されないがマニアが根強いという、B級の世界観に対する短絡思考を見事ジャンルで表してる。
で結局、そんなある意味『報われない』映画達を味方につけたセシル達、彼等が忌み嫌って狙う作品のどれもが、現実の映画のパロディなのだが、、、ちょっと待ってよ?そもそも元映画自体も『大作A級』とは良い難い気が・・・?となると、B級対B級?確かにパクられている作品はどれもそれなりのヒット作で、『拝金主義』というならさもあらん。となると、そこに闘いを挑んだ辺り、深いといえば深い(笑)。
ネタにしている映画とかジャンルとか、セシル達の無茶苦茶な言い分とか行動とか、映画全体の無軌道振りとか、大概が紋切り型だし意味も無いのだが、切り刻んで考えれば、映画好きには結構楽しめるネタが隠されている。
B級愛好家の方は、セシルの撮った映画を観たい!と思う方も多いはず。もちろん私もその1人(笑)。思いっきりつまらなそうだが、観てみたい!こういうところから、カルト人気というのは発生するのかも?それにしても、結局最後に『儲け主義』が得をして終わっているようなエピソードが気になった。あれはちょっと、何が言いたいのか解らなかった。何も考えていないというなら、脚本としては最低だな。
余りにも型通りな展開や設定は頂けなかったけど、監督やりたい放題やったな〜と苦笑い。鑑賞後、なんだかの意味がある振りを装った特典映像で濁す事が最高の野暮、という気がしないでもないが、久し振りのS・ドーフを特典映像でもたっぷり堪能(笑)。
それにしても『Demented forever』の歌が、頭から離れなくて困っている・・・。

セシル・B ザ・シネマ・ウォーズセシル・B ザ・シネマ・ウォーズ
(2001/10/05)
スティーヴン・ドーフ、メラニー・グリフィス 他

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ぽすれん『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』紹介

『ルディ/涙のウイニング・ラン』

2008年03月08日 12:57

〔米〕RUDY (1993年)
監督:デヴィッド・アンスポー
脚本:アンジェロ・ピッツォ
ショーン・アスティン/ジョン・ファヴロー/ネッド・ビーティ/グレタ・リンド/クリストファー・リード/チャールズ・S・ダットン/リー・テイラー=ヤング/ロバート・プロスキー/ヴィンス・ヴォーン/エイミー・ピエッツ/ジョン・ビーズリー

1970年代に高校を卒業したルディは、大好きなフットボールを辞め、地元の工場で働き始めた。しかしどうしてもフットボールを諦められないルディは、単身インディアナ州サウスベンドへ向かう。子供の頃から憧れ続けた、ノートルダム大学のフットボールチーム『ファイティング“アイリッシュ”』でプレイするために。身体も小さく運動能力も冴えない彼を支えるのは、その飽くなき情熱だけ。不可能と思われた夢に挑んだ、名門大学フットボールチームから愛された男、ルディ・ルティガー真実の物語。

各所でやたらと評判が良いこの作品、スポ根好きな日本人にはかなりツボな内容なのだろう。夢を諦めない、これは世界共通の愛されネタ。不可能に挑戦する、これも同じく。おまけにその夢が叶う、これはもう、他の追従を許さない、最も愛される感動ネタの1つだろう。そんな全ての要素を持ったこの映画、日本人のツボに、いや世界中の人のツボにはまらないわけがない!格言う私もその1人(笑)。
ルディを演じたS・アスティンは、恐らく実際のルディとほぼ同じくらいの背格好だったろう。大学のアメフト選手を演じる役者達も、恐らく本物の選手達と同じくらいの体格だったのだろう。比べると、ルディの身体の小ささは、思わず目を瞠るほどなのだ。
しかも冒頭から描かれ、劇中何度も台詞として繰り返されるように、ルディは運動能力も乏しかったらしい。しかも読書障害もあり、学業も今ひとつ。そんな彼が知力・体力共に名門のノートルダム大学を目指すという物語。
残念な事に、映画そのものの出来は余り宜しくない。描くべき箇所が弱く、さして必要ではない部分に力を入れているように感じた。冒頭とラストの辺りは良かったのだが、中間が冗長でまさに中だるみ。エディという青年を上手く描けていないように感じた。
しかもこれは、いわば敗者の物語だ。先に述べたように、ルディは到底レギュラーになれる素質は無いのだが、それでは観客は納得が出来ないだろう。あくまでも焦点はフットボール。ならばその舞台で、主人公が唯一無二の高みに上らなければ、ただ『頑張った』という過程が解るだけでは、『物語』としても今ひとつだ。
しかしルディは、『偉大なる敗者』になったのだ。ルディが夢を叶えられた直接の原因は、ルディの努力以上の力が作用している。自らの実力を評価されて、というのとはちょっと違う。試合で躍進的な活躍をみせる、と言う事も無い。それでもだ、全てはここに集約されていくのか!と膝を叩きつつ、大感動の嵐が巻き起こった(笑)。
という訳でこの作品、映画の出来としては完璧に3流だが、素晴らしい『真実の重み』に救われたという感じ。もちろん、それらを助けた役者達の演技は素晴らしかったのだが。同じ情熱を傾けたからこそ、同じ苦しみを知っているからこそ、ルディを芯から理解できたのがチームメイト達。ルディの熱意に疎ましさを感じつつ、それ以上に素直に尊敬できる素晴らしさ。人間の良き本性の集合体のような彼等の姿に、単純に心から涙した。
ルディが見せた純粋なフットボールへの愛情と情熱、それは恵まれた状況にあるチームメイトや大学の生徒達に、計り知れない刺激をもたらしたのだろう。ルディが在籍した2年間、彼等の人生にも数々のドラマが生まれたはずだ。とりわけチームメイト達は、恐らくルディがいなかった場合より、実り多い選手生活を送った事だろう。
そしてその影響を与えたもの、それはルディの持つ素の姿、純粋さと直向さであり、下らない邪推を寄せ付けない素朴な人柄だったのではないだろうか?だからこそ、ルディは偉大な敗者なのであり、もちろんそれは彼の人生において、何もにも替え難い勝者の証だ。普通に考えれば、大学スポーツは通過点でしかない。その先にプロがあり、ルディのような環境なら、プロになって成功したいと望むのではないだろうか?大学フットボールが最高の到達点と願った辺り、なんとも素朴でいじらしい感じがしてしまう。だからこそ、時制のある夢の達成に、観ている人は緊張感と切実な願いを共有する事ができる。
信じれば夢は叶うのか?努力すれば何でも出来るのか?そんな偏屈な質問に真向から『できない』と答えられる映画だ。ルディの努力は、結果としてルディの望むようには働かなかった。ただし、人生はそれだけが幸せなのじゃない。ルディのように、別の形で夢を叶え、それはもしかしたら、自分の努力のみで手に入れるより数倍も、暖かく幸せな結果かもしれない。何より替え難い人との繋がり、自分に対する多くの人の愛情、それは努力したからといって、安直に手に入れられるものではないからだ。
『夢を叶える』とは良く言うが、この物語は、1つの目標に突き進んだ男がなし得た業績の中でも、最も多くの波及を及ぼした1つではないだろうか。ルディは夢を叶え、周囲の人はその手助けをする事で、とても大切な感情を学んだ事だろう。ただ単に『努力した、報われた、オメデトウ!』というだけじゃない所に、この映画の素晴らしさがある。
最後になるが、若き日のV・ヴォーンがチームメイトで出てる!スリムで美形。笑った(笑)。若い頃って美形だったのね〜、何がどうして・・・いや、今でも素敵なのですが。チョロっと目立ってます、是非ついでに、確認して下さい。

ルディルディ
(2007/07/25)
ショーン・アスティン.ジョン・ファブロー.ネッド・ビーティ

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ぽすれん『ルディ』紹介


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