* WanderLust *=memorandum for me=

読書はライフワーク、映画鑑賞は人生の潤い、旅行は趣味にしたいなぁ♪日記は日々の覚書き。

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『ハリスおばさんモスクワへ行く』

2012/06/06 22:54 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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ポール・ギャリコ 著/亀山 竜樹・遠藤みえ子 訳/fukkan.com
ロンドンの通い女中のアダ・ハリスことハリスおばさんは、最近顧客になったロックウッド氏の恋人でありロシア人のリズを救うロマンスを暖めていた。と同時に、出始めたばかりのカラーテレビが欲しい!という現実的な欲望もあった。バターフィールドおばさんと出かけた組合のクジでカラーテレビを当てようと奮発したおばさんは、替わりに鉄のカーテンの向こう側、ロシア旅行を当ててしまうのだった。ならばロックウッド氏の為に一肌脱ごうと決心したおばさんだったが、その熱意が思わぬ展開を呼び・・・。

子供の頃の愛読書・・・と言えば語弊があるが、幼い頃は読書が大嫌いだった私が読んで、心に残った数少ない作品の1つ・・・のシリーズファイナルである。大人になって完成版を読んで初めて、この作品の面白さに目覚めたわけだが、実直で威勢が良くて大らかで短気(笑)なハリスおばさんとも、これでお別れかと思うと残念至極なんである。今回も若い2人のロマンスを取り持ったおばさんだが、ご自信のロマンスはどこへやら?ロールスロイスと共に走り去っちゃったの?
このシリーズを読んでいて毎回思うのは、作者の愛が存分にハリスおばさんに注がれていると感じること。紛れも無い愛情を感じる描写を読んでいると、もうそれだけで楽しい気持ちになってくる。
数々の無理難題を陽気に、場当たり的に乗り切ってきたハリスおばさんは、今回鉄のカーテンの裏側へ行く。正直言って、ここまで書いて大丈夫なのか?と感じる旧ソビエトの描写だ。思い返せば子供の頃、ソビエトのバレー選手に憧れて、『あたし絶対ソビエトに行く』と夢見る発言を繰り返していた際、諭すように脅すように母に言われた言葉そのまんまの描写だったのが笑えた。
特に良く言われたのは、『ソビエトに行ったら捕まって帰って来られなくなっちゃうから!』というものだったが、果たして、今回のハリスおばさんにも同様の窮地が!?その後、アエロフロート・ロシアのヘビーユーザーになりかかっていた頃訪れた空港には、結構良い思い出があるのだが・・・。
ともあれ、いつも通りロマンスたっぷり、ユーモアたっぷり、豪快さたっぷりで描かれたハリスおばさんとバターフィールドおばさんの冒険、今回はいささか辛辣な社会風刺なども織り交ぜ、最後までたっぷり楽しませてくれた。これでお別れなんて・・・、いやいや、ハリスおばさんはイギリスの片隅にて永遠なのです。

ハリスおばさんモスクワへ行く (fukkan.com)ハリスおばさんモスクワへ行く (fukkan.com)
(2005/07/01)
ポール ギャリコ

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『ジーヴスとねこさらい』

2012/04/04 21:59 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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P・G・ウッドハウス 著/森村 たまき 訳/国書刊行会
バーティーの胸に赤いプツプツが出来てしまった!慌てて医者に見せたところ、若者らしい放埓生活が原因と諭されて、ブリスコー牧師に招待された愛しのダリア叔母さんがいるメイドン・エッグスフォードへ静養に向かった。しかしその地の2大勢力であるクック家には、かつてバーティが求婚した体格の良いヴァネッサがおり、かつてバーティーを大泥棒と勘違いした探検家プランク少佐が滞在していた。しかもヴァネッサの婚約者は左派の巨漢で懐かしの学友オルロ・ポーター、なにやら嫌な予感が芽生えたのも束の間、ダリアおばさんからとある『猫』を押し付けられた!?

本作が最後のバーティー&ジーヴス作品、ああ、涙なくして・・・ウソ(笑)、大いなる感謝と爆笑なくして読めない作品だった。
最後なのに幾分薄い・・・という寂しさはあれど、90歳を過ぎて書き続けてくれたことに感謝したい。ここ数冊はバーティーのハチャメチャ振りもだいぶ落ち着いた感もあったのだが、ファンとしては『読める』、ただそれだけでもう十分。他に何か望んだら、それこそ罰が当たるってもんですよ。
大いなるマンネリなので、いまさら何を説明するでもないし、何を語るでもないのが残念だ。この度もバーティーはどっぷりスープに浸かって、ちょっぴりの期間婚約して、大柄な元婚約者に脅されて、叔母さんの無理難題に翻弄される。
叔母さんが滞在している牧師館にもかなりキャラの立つ存在がいたようだが、ほとんど触れられていなかったのが残念だ。そして、『次回に期待』も出来ないのがつくづく残念だ。
しかし、くどいようだが『最後』ということもあり、翻訳者である森村氏によるあとがきが充実している。書簡や記事抜粋、森村氏の卓越した考察などで彩られたあとがきは、シリーズ最後を飾るに相応しい読み応えのあるものだった。
国書刊行会様からは、森村氏のご尽力を受け、ウッドハウス作品が今後も刊行される運びらしい。こりゃもう、国書刊行会本社に足向けて寝られないよね(笑)。
お惚けでも心優しき若旦那バーティーと、深い、深い愛情を鉄仮面の内に隠し持ち、おまけに腹に一物隠し持つジーヴスの最強コンビはこれにてお終い、しかし2人の絆は永遠なのでした。

ジーヴスとねこさらい (ウッドハウス・コレクション)ジーヴスとねこさらい (ウッドハウス・コレクション)
(2012/01/27)
P・G・ウッドハウス

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『グラニー』

2012/01/30 22:48 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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ブレンダン・オキャロル著/伊達 淳 訳/恵光社
長男マークの子供が産まれる、ブラウン家は病院に勢揃いした。立派に会社を運営している長男マークをはじめ、ローリーは『親友』と美容院を開店させた。ダーモットは帰来の悪癖が抜けずにいたが、シモンも病院での職を順調に務めていた。キャリーは婚約し、トレバーは芸術的才能を開花させつつある。そしてとうとう、アグネスは『おばあちゃん(グラニー)』になってしまったのだ。そんなバカなと思いつつ、誇らしい気持ちも一杯のアグネス。しかし子供たちが成長すれば問題や悩みも成長する。悪意は無いがお騒がせ者のダーモットがとうとう警察沙汰を起こしてしまい・・・。失われそうになる家族の絆、懸命に生きるブラウン家の苦悩や喜びを綴った、シリーズ第3弾にして最終章。

ああ、とうとう終わってしまうのね。世の中数々の『肝っ玉母ちゃん』が世に紹介されているが(現実・創作問わず)、中でも私の大好きなアグネス・ブラウンの物語が、とうとう終わってしまう。心情としてはのんびり時間をかけて読みたかったのだが、約1時間ほどで半分以上を読んでいた。遅読な私としては奇跡的なスピード。
今回もたくさん笑ったが、涙は少しなのね・・・などと思っていたら、ランチタイムに我慢できずにラストまで読みきった時に号泣。昼時のマックの片隅で、本で顔を隠しながら、流れ落ちるマスカラだとかなんだかそんなもの諸々を必至にせき止めつつ。
今回はダーモットに焦点が当てられる。アグネスすら脇に置かれたかな?という気がしないでもない。子供が成長すればそれぞれが主役になり得る個性を持つ、そうとなれば当然なのかも?前作とはまた別の物語と思いきや、良く読めば深い繋がりがあるようだ。悪い子ほど気になると言おうか、今回のダーモットもまた罪を犯してしまう。子供達が成長し、止む無く家族がバラバラになっていく中では大きすぎる問題に繋がっていくのだ。
アグネスの押さえつけた強がりや、ダーモットの捩れていく強がり・・・。本当に不器用な親子、愛があるから、余計不器用なのかな?グータラな父親の亡霊に揺り動かされる思いがとにかくもどかしい。それでも、一歩一歩、曲がりながらふらつきながら、自力で進もうとする姿に心打たれる。
この物語の良いところ?なのか作者の優しさなのか、子供達がそれぞれ社会的に成功していくところは実はちょっぴり疑問(笑)。人生には色々あるが、人生の基盤というところではかなり恵まれている彼等。全ての子供たち、果ては親友までもが事業で成功するという気前の良さは、何か含みがあるのだろうか?辛いばかりの人生なんて、現実的過ぎるということかな(笑)。
ラストでは、様々なものがループ状に繋がっていく。アグネスと子供たち、ダーモットと息子コーマック、フランキーとダーモット、アグネスとキャリー、そしてマリオン!思い出しても涙腺が・・・。陽気なマリオン、アグネスの親友。彼らは再会した、幸せに、陽気に、そしてドラゴンフライになった。なったのよぉ・・・。
なんて幸せなラストだろうと思いつつ、完膚なきまでに終わらせたなという寂しさ。別に良いじゃない、主役候補、まだ語りつくされていない子供たちもいることだし、小さなアグネスの家で家族全員がお茶でも飲めば・・・。ピエールとアグネスが結婚式でも挙げちゃえば良いじゃない!
こう書いていても陳腐なラストだなとは思いつつ、ブラウン家を愛する者として、もう1つのラストを勝手に作り上げてしまう。フランキーだって登場させちゃう。そう言えば、フランキーは最後に出てきても良かったのでは?
アイルランドに暮らす普通の家族の物語、十分な愛があるのに、ちょっとだけ擦違ってしまう物語。不器用で、でも絶妙なバランスで繋がって支えあっていく家族の物語。真面目に一生懸命暮らしていけば、いつか素敵な人生に到達できる、そんな希望をくれる物語。いつか私も、ドラゴンフライになれるだろうか?
さて最後になるがこの場を借りて、この素敵なシリーズを完全な形で日本に紹介してくださった恵光社様のご尽力に最大限の感謝を。幸せな時間を頂きました♪

グラニー (アグネス・ブラウン3部作)グラニー (アグネス・ブラウン3部作)
(2011/12/06)
ブレンダン・オキャロル

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『フロスト気質 上・下』

2011/10/29 11:43 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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R.D.ウィングフィールド著/芹沢 恵 訳/創元推理文庫
休暇中だったフロスト警部は、連続幼子傷害事件及び少年の行方不明事件に絡む殺人事件(他)の捜査の指揮を執るため、不承不承デントン署に呼び戻された。マレット署長は相変わらず口うるさいのだが、やんごとなき上層部連の事故のため、アレン警部は別の署へ応援要員として駆出された。これで少しは人心地かと思いきや、かつてデントン署でアレンとどっこいの出世の虫で横柄で嫌味な男、キャシディが警部代行としてやってきた。かつて娘の事故の捜査不備に関してフロスト警部を敵視しているキャシディ、難事件が相次ぐ中、デントン署内にも暗雲が立ち込める。

フロスト警部シリーズの前作を読んだのはいつのことだったか?はて、思い出せない・・・。よもやこのシリーズ作品の刊行を続行していたとはつゆ知らずだったのだが、後書きを読むと最後の作品まで翻訳されそう?な雰囲気なのだが、今作を読んで期待値が改めて盛り上がった。
それにしても毎回見事な大作だ。上巻だけでも十分過ぎるほどぶ厚い本作を手にとって、さて先は長いぞ!と思ったのも束の間、気が付けばほんの数日で下巻までを読破していた。これほど面白い作品だったことも忘れていた。前作から時間が経ち過ぎですってば(笑)。
とにかく面白い、無類に面白い警察小説だ。1つの事件を追い続ける探偵作品とは違い、本人達が望むと望まないとに関わらず、警察には大小様々な事件が持ち込まれる。この作品の醍醐味はまさにそこ。畳み掛けるように持ち込まれる事件に、疲弊したフロスト警部はじめ署内の面々が追いまくられ、さらには署内でのすったもんだも描かれていくのだが、そこがまた、警察官も人間なのだと言わんばかりの人間味溢れるドラマが垣間見えて面白い。
ただこの複雑さが、常に私の記憶能力の限界を超えてしまうのだ。大まかなディティール意外、作品のに関して覚えていられない。一応は作品通してメインとなる大きな事件はあるのだが、平行して描かれるあれやこれやのお陰で全体的に『おもしろかった』という漠然とした印象しか残らない(笑)。ただし、猛烈に面白かったという記憶ではある。
思い返してみれば、シリーズ最初の作品では、フロスト警部の容貌の悲惨さにちょっと拒否感があるくらいだった。部下にまで軽視され、それでも意に介さない精神の図太さというか大らかさというかに、我がことのようにイライラした覚えもある。
手柄に固執せず、むしろ書類仕事を回避するべく手柄を放り投げてしまう様は、当時の私にはどうにも理解でき兼ねる部分があったように思うのだが、あれから確実に10年は過ぎ、私も年を取った分大人になったのか、フロストの気持ちが理解できる気がした。フロストにとっての警察仕事、彼の理想とする警部の姿をそこに見出そうとしたとき、『おっさんカッコ良いなぁ』という純粋な憧れが芽生えた。
特に今回は後書きにもあったように、フロスト警部が署内で慕われている姿が表立って描かれていて個人的心情から言って満足できた。同僚を庇うフロスト警部の男気がまたいつに無く格好良く、これで見た目も清潔で完璧だったら確かに面白みが無いな・・・などと、戦略的なキャラクター造形にまで発展させて考えてしまった、失礼(笑)。
本作品群の面白さは、事件に絡む謎ではなくて解決に至る過程。これほどの物語を組み立てるのはさぞや大変だろうと感服する複雑さを、あっさりと描いてるような錯覚を覚える。それほどデントン署内の人々は息づき、リアルに人間臭く活躍している。
それにしても片田舎とはいえ、科研の使えなさったらない(笑)。科研と聞けば思い出すアメリカの『あのマンモスドラマ軍』を持ち込めば、フロスト警部の休暇は取り上げられなかったかも?などと思ったり(笑)。果たしてどちらの姿が実態なのか?と考えつつ、私は牧歌的で肉体労働派のデントン警察署の面々が好きだなぁ。

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)
(2008/07)
R.D. ウィングフィールド

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フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)
(2008/07)
R.D. ウィングフィールド

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『感謝だ、ジーヴス』

2011/10/14 21:37 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
親愛なるダリア叔母さんのお呼びがかかり、またしてもブリンクレイコートにやってきたバーティ。今回の任務は、バーティの学友であり親友のジンジャーの選挙を助けること。なんとジンジャーはかのフローレンス・クレイと婚約をしており、彼女の愛を継続するために立候補していたのだった。大事な学友の為と勢い込んでいたバーティだったが、なぜか現場にはまでマデライン・バセットとシドカップ卿のコンビがいて、当たり前のようにフローレンスも活躍中、おまけにランクル氏なる紳士までご滞在中だった。ランクル氏はダリア叔母さんの娘アンジェラと婚約中のタッピー・グロソップと深い(因)縁があり、当然彼のものたる金銭を引き出すべく、ダリア叔母さんは神経一転に傾注中なのだった。ただでさえ選挙応援人としての任務に悩むバーティだったが、さらに加えて、ジュニア・ガニュメデスの『あの』ブラック・ブックが盗まれ、あろうことか極悪人の手に渡り、多くの紳士たちが脅威にさらされている事が発覚する。さすがにこれにはジーヴスも黙っちゃいない、そして当然のごとくダリア叔母さんの盗難事件が発生し、それはまたしても銀製のなにやらで、恋人たちは右往左往して、フローレンスがまたまたバーティに!?

お帰りバーティー!ということで、多くの皆さまから悲嘆の声が聞こえたろう前翻訳からさほど間を置かず、待望のバーティー&ジーヴスコンビの復活作品。このスピーディーな刊行はやはり、国書刊行会と翻訳者森村氏の粋な計らい、とでも言うのだろうか。ああ、ありがたや。
御大90歳のバースデイを記念しての刊行を急いだという曰くありきだけあって、薄い・・・。あっと言う間に読み終わってしまった。しかし軽妙さと『お約束』はいつもながら、薄いだけあって物事も幾分すっきりしていて読みやすい・・・だからあっと言う間に・・・。実に残念なのだ。
まさに偉大なるマンネリと言おうか、毎回毎回同じドタバタを繰り返して、なぜにこうも面白い作品が書き続けられるのだろう?飽きるということが無い、来るぞ来るぞと思いつつ、『ああやっぱりな』という安心感が妙に嬉しい。
またもやバーティーは婚約者を袖にした美女2人から追いかけられるが、それがフローレンスとマデラインだから大変。個人的にはマデラインとフローレンスが同時にバーティーと婚約『してあげた』ことがばれて、女性2人がぶつかる展開が読みたかったが、やはり紳士の国のゆかしい作品だけに女性のそんな醜態は描けないのだろうか。
今回バーティーがその再会を大いに喜び、彼の為にどっぷりスープに使ったのはジンジャー。この彼が珍しく、魚顔でもにきび面でもイモリ顔でもなんでもなく、観目麗しい美男子なんだとか。あら、珍しい。外見端麗なジンジャーだからか、その他キャラが強烈なだけなのか、スープの張本人というか、バーティ釣りの餌とでも言うべき存在なのに意外と目立たず最後には遁走してしまった(笑)。
ここ最近はダリア叔母さんと銀製品の盗難もばっちり定石に組み込まれ、さて次回のマンネリ作が楽しみだ!と思いきや!なんと!次回が最終回になってしまうのね?

感謝だ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)感謝だ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
(2011/07/25)
P・G・ウッドハウス

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『チズラーズ』

2011/07/07 00:08 ジャンル: Category:読書【シリーズ】
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ブレンダン・オキャロル著/伊達 淳 編/恵光社
3年前に突然家長を失ったブラウン一家だったが、母アグネスの大らかな教育の元、子供たち7人は無事に成長していた。長男マークは家具職人としての道を歩み始め、ローリーは美容師見習い。双子のダーモットとシモンは工業学校に入り、娘のキャシーは13歳とおませな年頃に。おっとりしたトレバーには意外な才能が秘められていたりと一家は幸せ・・・のはずが、次男フランキーはパンクな不良になって問題ばかり引き起こし、ダブリンの都市再開発計画のため、一家は郊外のフィングラスに引っ越すことになってしまった!マークの勤め先のワイズ・コーポレーションは倒産の危機にあり、ローリーの素行にもなにやら問題が・・・。賑やかなブラウン一家の第2章。

前作『マミー』から3年後の1970年から物語が始まる。本作も、笑って、笑って、泣いて大泣きした。この作品は、私がアイルランドを愛する理由がぎゅっと濃縮されている。どこを切り取ってもアイルランド、アイリッシュの不屈で愛すべき素質が垣間見られる。アグネスのあっけらかんとした様、マークの柔和で不屈な様、ダーモットの利発で巧妙な様、キャシーの奔放で、しかし純粋な様、悲しいかな、フランキーの堕落していく様までもがアイルランドそのものなのである。
前作より子供達が成長した分、アグネスだけではなくて子供たちのあれやこれやに当てられる部分が増えている。比例するように、アグネスの苦労も分散されている。さぞやアグネスも大変だろうと思いきや、マークの成長が著しく、前作ではしっかりしていたが子供らしい健気さがあったものが、今作では立派な大人として、家族とアグネスを支えていく。
前作ではブラウン一家が立ち直り、アグネスが家族の長として成り立っていくという一本柱があったのだが、子供たちの経済的援助に加えて、彼らの成長という要素が入り込むことによって問題の質が変化し、より社会的に深刻なものへと変わっていく。それでもアグネスは相変わらず愛らしいまでの大らかさを発揮し続け、それゆえにマークの助力が大きく影響していくのだ。
相変わらず、映像が脳裏にまざまざと浮かぶ文章だった。映像関係の方の作品は本当に、見せる言葉に長けていると思わせられる。細かく散々笑わせておいて、いとも簡単に感動の大波を打ちつけてくる。。全く、、、まんまと楽しませて貰いましたよ。電車の中で何度涙を飲み込んだことか(笑)。
前作の観想でも書いたのだが、やはりアグネスは幸せ者だ。私も子供たちから黄色と真っ赤なバラを貰ってみたい(笑)。『世界中のバラを集めてもまだ足りない』、なんて賛辞の言葉を受けてみたいものです。少しずつ子供たちはアグネスから離れていくけれど、アグネスの真直ぐな思いは子供たちから離れることはないのだろう。小奇麗ではないけれど、心に真直ぐに突き刺さる飾らない愛情が余りに暖かい。
ラストは衝撃の展開が待っている。まさかと思うが、アイルランド文学として妙に納得してしまうところもあった。現実は何より絶対的に厳しい、それはアイルランドの人達が長年の歴史で学んできたことだろうから。例え物語の中ででも、絶対的な厳しさがあるのが当然なのかも知れない。それでも甘ちゃんな私が思うには、アグネスにもうちょっと努力させて上げて欲しかった。幻想を追い続けるのではなくて、現実を知って助ける努力をさせて上げて欲しかった。その結果が例え変わらなかったとしても、アグネスにはそうするだけの権利があったのだから。せめて最後の言葉を、交わさせて上げて欲しかった。
この作品がアイルランドで受け入れられるのは良く分かる。かつて『
アンジェラの灰』が熱狂的に受け入れられた反面、余りの貧困描写の激しさに苦情が出たというのと比例していると思うのだ。『アンジェラの灰』の貧しさは本物だろう、しかしあの作品には、アイリッシュたちが闘う糧としてきた陽気さと奔放な前向きさ、ひたむきさが無い。悲惨さは認めてしまえば苦しみだけしか残らない、アイルランドの人々は、悲惨さを笑いに、闘志に換えて生き抜いてきたのだから、本作の陽気さや純粋な感謝の気持ちの方が、読み手の感情にぴたりと寄り添ったのだろう。
無知であることを恥じない、がむしゃらであることに気負わない、精一杯であることが当たり前の人生。アグネスのそんな人生は半ばに差し掛かった。子供たちの個性がはっきりと描きこまれた本作、そんな彼らの結婚、新たな人生の始まり、喜びと悲しみが半分に分かれた今作、最後を飾る3作目への期待が弥が上にも高まるというものだ。嬉しいことに、本作を出版して下さった恵光社さんで続編の刊行が予定されているという。前作の観想での公約通り(笑)、お取り寄せにて新刊購入。次回も新刊で購入すると誓います、一日も早い発売を期待しております。

チズラーズチズラーズ
(2011/05/20)
ブレンダン・オキャロル

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プロフィール

hiyo

  • Author:hiyo
  • たった二つの趣味、映画と読書を中心に、日記を書いてみたいと思います。
    最近、自分の時間を充実させたいな、と結構真剣に思っていたりして。文章を書くのも結構楽しいし、誰かが通りすがりに読んでくれたら、嬉しいかな、とか思っている。
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