This Archive : 20080518

『ミス・ポター』

〔英/米〕MISS POTTER (2006年)
監督:クリス・ヌーナン
脚本:リチャード・マルトビー・Jr
レニー・ゼルウィガー/ユアン・マクレガー/エミリー・ワトソン/ビル・パターソン/バーバラ・フリン/マッティエロック・ギブス/ロイド・オーウェン/アントン・レッサー/デヴィッド・バンバー

1900年代初頭、世に有名となる『ピーター・ラビット・シリーズ』が次々と発売された。原作者はビアトリクス・ポター、裕福な家庭に生まれた32歳の独身女性だった。穏やかなお嬢様育ちと、堅甲な意思を併せ持つビアトリクスは、優しく大らかな編集者ノーマンと恋に落ちる。商人との結婚を頑なに拒否する両親と対立しながらも、ビアトリクスはノーマンとの愛を貫こうとする。その頃には人気作家となっていたビアトリクス、彼女の空想上の友人ピーター達は、イギリス中の人々に愛され初めていたのだった。

ビアトリクス・ポターが描くあの優しい絵画そのままのような、優しく穏やかな雰囲気の映画だった。その雰囲気が画面一杯に広がっているような、何となく色彩も淡い印象で、思い出すのはジェイムズ・アイボリー・・・言い過ぎ?(笑)。
楽しいピーター始めとするお馴染みのキャラクターが、ビアトリクスの幻想という助けを借りて画面で動き回ったりもする。可愛らしい雰囲気と穏やかさが充満した作品だったが、32歳というオールドミスとなったビアトリクスの、自立と恋の物語でもあり、実際は楽しいばかりじゃないのが人生なんです!という苦さも併せ持った感じ。ビアトリクスの人生は、その内にこもる空想壁からか、恐らくは浮き沈みのあるタイプとは程遠かったろうが、その唯一の例外が、ノーマンとの恋愛だったのでは?そんな彼女の穏やかな人生に敬意を表するかのように、ノーマンとの恋愛は静かにさり気なく描かれている。そのためか、全体的に、猛烈に地味な印象なのよね、勿体無い!
このビアトリクス・ポターという女性は、とてもユニークなキャラクターだったのではないかな?実の母親から『友達いないでしょ?』と真顔で諭されるほど付き合いが無い女性で、32歳で独身主義。恋愛結婚以外も道は山程あった時代で考えると、本気で独身主義だったのね。
その均衡がとうとう崩れるのがノーマンとの出会い。それまでは恐らく、空想の中でウサギと語らい、アヒルと笑いあって内にこもる日々だったのだろうから、愛情面に於いては、成長が著しく遅かったのじゃないだろうか?お嬢様ゆえの日和見主義的な欠陥か?
今で言う引きこもりタイプかと思いきや、単身ピーターを売り込みに行く行動派。躾けられた嗜みからか、人と話すのだって苦手ではない。自身の意見をはっきりと持ち、両親との対立も厭わない芯の強い女性でもあった。両極端な側面とも思えるけど、時代から考えれば、結構こういう女性は多かったのかも知れないな。
自分が書いたウサギとお話が出来ちゃう、ある意味相当ヤバイ妄想癖のある中年女性を(笑)こうまで上手く演じる事ができるのは、『ベティ・サイズモア』で同じく妄想に没頭するヤバい女性を、圧倒的なリアリティで演じきったR・ゼルウィガーしか、まぁいないでしょうね(笑)。今回も、あの唇とあの話し方にイライラのボルテージ最高潮に振り切りながらも、何故か納得してしまって憎めない彼女に敗北を喫した気持ちになった(笑)。配役が先ず良かったのね。
そしてユアン・・・今度こそ堪能か!と思ったら・・・、ヒゲが邪魔なのよ。また歌ってたけど(笑)、素のキャラクターを連想させるような、お人よしで熱血の好男子ではあったものの、ヒゲが。『Cassandra's Dream』が早いところ日本でも公開される事を願っている。
総体的にはかなり地味ではあるが、イギリス湖水地方の圧倒的に美しい景色を楽しみつつ、世界中に愛されるピーター・ラビットの産みの親、まさに、彼女にしか描けなかったのではないか?と思えるような穏やかな人柄であるビアトリクスの、しかし見習うべき部分が多々感じられる強い女性の半生を、地味に、地味に、じみ〜に楽しんでいただける良作だった。

ミス・ポター (初回限定生産 特製パッケージ)ミス・ポター (初回限定生産 特製パッケージ)
(2008/02/08)
レニー・ゼルウィガー.ユアン・マクレガー.エミリー・ワトソン.ビル・パターソン.バーバラ・フリン

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ぽすれん『ミス・ポター』紹介
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Category : 映画【ドラマ】 | Thema : DVDで見た映画 | Genre : 映画 |

才能って?

子供の頃の私は、人間誰しも『才能』があって、いずれはそれを発揮して華やかな人生を送るものと思っていた。これは恐らく、人生の汚い部分や排他的な世界、理不尽な都合などを全く知らなかったから、純粋にそう信じていられたのだと思う。
もちろん自分もその例に漏れず、いずれは、何だかの『才能』を世に示す時が来るのだと、そう信じて疑わなかった。しかしそれには条件があって、才能の発露には運命的な出会いが必要だとも思っていた。才能は無理に見つけるのではなく、何かしらの運命めいた出会から引き出されるものなのだと。その才能は地球上のあらゆる人にあるのだと信じて、私は待った、待ち続けた。

なので、人間は誰にも才能があるという、今で思えば楽観思考は実に20代後半も後半、ほとんど30歳になろうかというぐらいまで続いた。この頃には既に、『才能があると信じられなければ、人生やってられない!』という、どちらかと言ったら自棄気味な思いのほうが強かったのだが。
高校を卒業する頃は、それこそ未来へのどんな希望も、夢も、可能性も思い描けるが、20代も半ばを過ぎる頃には、幾ら才能があっても、運命が引き寄せられるとは限らないのでは?という思いになった。あらゆる人には何だかの『才能』が眠っているという論理は覆る事は無かったが、運命的な出会いがあるとは限らない、その人の才能は、死ぬまで眠ったままである可能性もあるのではないだろうか?と考えるようになったのだ。

この運命の出会いという事に関して、ちょっと目線を変えてみよう。
誰も聞いたことの無いようなスポーツ種目の世界で活躍している人って、一体どこでそのスポーツと出会ったのだろう?人生のどの時点で出会ったのだろう?そう考えた事はありませんか?例えばレスリング、アーチェリー、重量挙げなど比較的メジャーなスポーツにしても、世界クラスになるまでの訓練を積むに至ったのは、如何なる条件下だったのか?超メジャー級スポーツなら、誰でも想像が付く。マイナーよりだから、不思議に思うのだ。
もしや私だって、何だかの事情により射撃競技と出会っていたら、もしかしたらクレー射撃辺りでオリンピックに出ていたかもしれないじゃないか。もしかしたら、トランポリンに類稀な才能があったかもしれないのに、ただ単に出会えなかっただけなのじゃないか?運命が私にトランポリンを引き寄せたら、今頃日本を代表するトランポリン指導者になっていたかも知れない。

しかし私には、如何なる運命の女神も微笑んではくれなかった。何をやっていても、如何なる才能の発露にも繋がらなかった。そう悟った時にようやく、私には才能が無いのだという結論に達した。才能はあらゆる人間に備わっているものでは無いのだと、ある意味『開眼』したのだ。
そうした諦めも、認識しておくに悪しきはない。凡人にもそれなりの生き方があるし、無いものを単に待ち焦がれるのは、時間にしろ人生そのものにしろ、大いなる浪費に繋がってしまう。

かつて私は、職場の同僚に『器用貧乏』と言われた事があった。私自身は全くそのようには思っていないし、むしろ今の私には、器用貧乏という言い方すら、褒め言葉のようにも感じられる。しかし器用貧乏とは、なんとも意地悪い言い方でもあり、愛嬌のある呼び名でもある気がする。
何かに付けて人よりちょっと出来るというのも、まぁそれで悪くは無いと思うのだが、『頼み事をされ易い』というのもあると思うので、単なる貧乏に見せかけておいたほうが無難だ(笑)。私の場合は、実情は器用ではないまでも、見かけの勢いはあるらしく、なんとも器違いの窮屈な思いを味わう事がある。どうも、しっかりしていて、何でもそつなくこなしそうに見えるらしいのだ。
実際全然違うのに・・・・、器用貧乏ならぬ、不器用貧乏・・・読んで字の如し。
スポーツは全くダメだし、身体能力は著しく低い。何しろ、歩いていて自分の足に引っかかって転ぶくらい、それも1度や2度の話じゃない。本を読むペースは遅いし、計算は大の苦手。かつてテストで0点を取った事もあるし、通信簿に『1』を付けられた事もある。日本の歴史には滅法弱く、土地勘も無い。地図が読めなくて、極度の方向音痴。東京都新宿区で生まれ育って、30歳を超えて原宿で迷った女だ。まだまだ、私の逆武勇伝は腐るほどある(笑)。
・・・しかし、この日記にオチは無い。何となく才能に関する呟きが頭の中に渦を巻いていたので、暇だったから(仕事がね(笑))書いてみただけだ。全く生産性の欠片も無い。呟くつもりで書き出したのに、オチが無いから取りとめも無く・・・。こういう所が、不器用(笑)。
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Category : 2008年§5月§ | Thema : 日記 | Genre : 日記 |

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hiyo

  • Author:hiyo
  • たった二つの趣味、映画と読書を中心に、日記を書いてみたいと思います。
    最近、自分の時間を充実させたいな、と結構真剣に思っていたりして。文章を書くのも結構楽しいし、誰かが通りすがりに読んでくれたら、嬉しいかな、とか思っている。


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