大根について

  • 2008/05/19(月) 23:13:01

この後控えている映画の感想を書く前に、どうしても書いておかなければ!・・・というほどの話題でもないのだが、感想を書く前の、『言い訳』(笑)。

『大根役者』に関してだ。

意味を調べてみた。
【大根役者】
演技のへたな役者。大根。へぼ役者。だいこやくしゃ。〔語源未詳。大根の根の白いことを素人(しろうと)という語に通わせたとする説、大根はいくら食べても決して「当たらない」という洒落(しやれ)とする説、大根の鈍重な形からの連想とする説などがある。

〔三省堂提供「大辞林 第二版」より〕

ほっほう〜、なんで大根なんだろう?と思っていたが、色の白さがあったとはね。諸説掘り起こしていけば、まだまだ別の語源がありそうな言葉だ。
ちなみに私は、大根役者という存在の見極めが余り上手くない。従って、『この人演技下手〜』と私が感じてしまった場合、相当その人の演技はプロとして『ヤバイ』という事になるだろう。実は、日本人の方が大根か人間か、区別が付き易い。第一の理由は『台詞回し』の優劣による。やはり私は日本人として日本語が一番良く解るので、鷹揚だとか訛だとか、機微まで感じる事ができる分、評価が厳しくなってしまうのだろう。
次いではやはり表情。東アジアの人間は誰でも同じ顔に見える!という欧米人とは正反対に(笑)、当たり前に日本人の顔は良く解る。芸能人は見慣れた顔というのも手伝ってか、当然評価も厳しくなる。 とは言え最近は私も、10代のアイドル達の顔の区別が・・・余りつかない(笑)。ジャニーズに至っては、8割同じ顔に見えるというていたらく。全部同じ・・・演技にも見える。

と言う事で、欧米の役者に関しては、この逆説が当てはまる。英語なんてどれも『英語』にしか聞こえないので、細かい感情の変化まではとても理解出来ない。叫んだり、笑ったり、怒鳴ったり、大袈裟な発声にしか付いていけないし、よほどへたっくそでない限りは、台詞の優劣は付けられない。表情や動きにしてもまた然りで、もともとオーバー・リアクションの欧米人の事だから、微妙な優劣を見極めるのは困難なのだ。

これまでに海外の映画を見ていて、『コイツ本当に下手クソだなぁ〜』と思ったのは、『アレックス・ライダー』に出てきたスクラップ工場のおっさん2人(笑)。ありゃ素人でしょ?『素敵な歌と舟はゆく』の監督の孫。あいつは酷かった・・・。身内贔屓?と勘ぐっても致し方ない。フランス語も話せないから、声だけアテレコって・・・、マチュー・ドゥミが可哀想だす!
後は、可哀想だけど『ヘアスプレー』のニッキー・ブロンスキー。記憶に新しいから尚更なのだが、特にシリアスな演技がね、彼女の素の個性と噛み合っていなかったのでしょうかね、非常に学芸会染みていてちょっと辛かった。
サクっと考えても、せいぜいがその程度。アメリカに至っては、南部訛りぐらいしか解らないし。台詞において演技の優劣を感じるのは、解り易く言えば、英語圏ではない出身の役者が英語劇に出演している場合ね。どうも不自然だなぁと感じる事がありませんか?英語が下手とか上手い以前の問題で、台詞が自分の物になっていないという不自然な印象を受ける。その状況を顕著に感じるのが、私の場合はガエル・ガルシア・ベルナルとペネロペ・クルスなのだが、ガエルに至っては、あの強烈なオーラまでが陰を潜め・・・。

では上手い役者はどうか?というと、こちらは結構解り易い。シリアスな迫力ある演技の方がより伝わり易いというのは、役者の本腰の入れようから考えても当然と言えるだろうか。
例えば『ゴッドファーザー』の時のアル・パチーノ、生まれて初めて、演技を見て、しかもただ雄叫びを上げるというシーンで、寒気を感じるほど鳥肌が立ったのがこの方。『フォー・ザ・ボーイズ』で、ベッド・ミドラーが息子を想って、笑顔で『In my Life』を歌い上げるシーンでは、止めようも無く涙が流れてきた。『スタンドアップ』でのシャーリーズ・セロンの法廷でのシーン。毅然とした瞳に吸い込まれそうな気持ちになった。最近ではやはり『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ=ルイス。あれほどまでに嫌悪を感じる演技を見たのは初めてだった。忘れちゃならないのは『サルバドールの朝』のダニエル・ブリュールか。一分一秒、彼の中で息づく男は、間違いなくサルバドールだったのだ。
良い演技というのは、吸引力がある。眼には見えないが、確かに身体が感じる『渦』のようなものが、役者を中心に画面から溢れ出てくるのが感じられる。そして私は、まさに無心になってしまうのだ、その渦にのみ込まれ、シーン以外には自分の存在すら忘れてしまいそうになる。これぞ、映画を楽しむ醍醐味だと、繰り返し実感させてくれる。

さて、大根役者に戻るが、そんなわけで、私には余り良く解らないのだ。世間的に『大根』呼ばわりされている役者たちも、私には『そんなに下手か?』と疑問に想う事しか無い。例えばブルース・ウィリスとか、シルベスター・スタローンとか、ヘイデン・クリステンセンとか、あえて今は書かないが、この後感想を書こうと想っているあの方とか。
こうして挙げた彼等も、結構良い作品に出演している。『ジャスティス』とか、『海辺の家』とか、『ロッキー』とか、観てみて下さいよ、というね(笑)。各々の個性を生かした、魅せる演技をしていると私は思うのだが・・・さて?
どこかの著名人が『大根役者』と公言したり、最悪映画賞にノミネートされたりすると、いけない固定概念が生まれると思う。果たしてどれほどの人が、個人的主観によってのみ判断しているのだろうか?衆目に晒される職業である役者、いかなる批判も甘んじて受入れざるを得ないとは思うが、一生懸命やっているのに認められないというのは、やはり辛いなぁと思ってしまう。

『ルックアウト/見張り』

  • 2008/05/19(月) 22:03:22

〔米〕THE LOOKOUT (2007年)
監督:スコット・フランク
脚本:スコット・フランク
ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ジェフ・ダニエルズ/マシュー・グード/ブルース・マッギル/アイラ・フィッシャー/カーラ・グギーノ/アルバータ・ワトソン/デヴィッド・ヒューバンド/ローラ・ヴァンダーヴォート/セルジオ・ディ・ジオ


自らが運転する車で事故を起こしたクリス、脳に損傷を受けた彼は記憶障害を負うことになる。自立センターで出会ったルイスと同居し、深夜に銀行の清掃員をしてはいるが、事故以前のクリスは、ホッケーの花形選手として人生を嘱望された若者だったのだ。一方、地方銀行の警備が手薄な事に目を付けた窃盗集団は、クリスの過去を利用して彼に近付き、襲撃計画に参加させようとする。事故の苦悩から立ち直れないクリスは、安易にこの計画に乗ってしまうのだが・・・。

私が『サスペンス・ミステリ・犯罪』と同じカテゴリーにしているのは、大概の映画が、犯罪あればサスペンスありと決まっているようなものだからで、サスペンスとミステリはほぼ同義語だし、各々の要素は親戚関係のように近しいものだと思うからだ。しかしこの映画は、新たなカテゴリー?
過去の自動車事故で親友2人を亡くし、恋人にも大怪我を負わせてしまったクリス。自身も脳障害を受けて、恐らくは一生残る記憶障害と、若干の体の不自由さが続くだろうと予測させる。自分の開かれた未来を、自らの手で閉ざしてしまった事。普通以上に満たされていた過去の記憶、思うように行かない日々の暮らしなどに悩む主人公。人間的ドラマとしての要素が大変強い。
で、クリスがいかにして今後の人生と折り合いを付けていくのか、今いる自分を愛し、受け入れる事ができるのか?という部分で、クリスに影響する要素として『犯罪』がある。様々な苦悩を抱えた主人公、普通に描いたとするなら大分感動的な作品になり得るだろうが、この作品の場合は、結構な荒療治なわけだ。認めて欲しいという気持ち、以前と変わらぬ自分でいられるという幻想、失いたくない過去、受け入れたくない未来、そんなマイナスな思考を、クリスは『犯罪』を通して矯正させられることになるのね。脚本も上手いし、演出や構成も上手かったと思う。
さて、主演のJ・G=レヴィットが見たくて借りた(笑)。さらに共演がM・グートとくれば、見ておけ、個人的に損は絶対しないはずだ!という本能の声。J・G=レヴィットは、最近私の中で猛烈に気になる役者なのだ。理由は何故か?ヒース・レジャーに似ているからだ・・・。
J・G=レヴィットを初めて見たのは、『恋のからさわぎ』。奇しくもこの作品でヒースと共演しているわけだが、その時は、『オタク君を演じるには最適な外見の少年だわねぇ』という印象(笑)。その後数年が経ち、ひょんな事から成長した彼を見て、多分、ドリフ並みにずっこけた。子供って・・・成長するのねぇ、といういつもの感慨により。その時にハッキリと、ヒースに似てる!と思ったのだが、実はもう1人・・・稲垣吾郎にも、かなり・・・似てるなと(笑)。
その後は余り情報も得られないままだったが、ヒースの死を請けて、俄かに興味が芽生え始めたのだ。似ているだけというのも失礼だし、気になる根拠にもならないとは思うのだが、あの顔を見る度にねぇ。。。そして同じ頃、J・G=レヴィットの出演作の入荷が相次いだのである。
顔が似ているからといって才能まで似ているかというと、まさかそんなはずは無いのだが、人相学の影響というのもあるかも知れないし、、、第一、あの顔でボンクラ俳優であるはずがない!という強い思い込み(笑)。ちょっと表情が少ないかな?とは思うが、そんなところも、実はヒースに似ていたりする。繰り返すが『似ているから』という訳では無いが、ヒースの後を次いで、次回作を楽しみに待つ役者になってくれるだろうか?と期待感だけは増すばかりなんである。
そんな理由で借りた作品の割には、静かな雰囲気で淡々と事件が進行して行き、それはまるで、激しい思考や行動が出来なくなった、クリスそのものであるかのような雰囲気だ。犯罪と精神性の深いドラマの融合という、余り出会わない要素が上手く融合した作品だった。

ルックアウト/見張りルックアウト/見張り
(2008/04/23)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット. ジェフ・ダニエルズ.マシュー・グード.アイラ・フィッシャー. セルジオ・ディ・ジオ

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ぽすれん『ルックアウト/見張り』紹介