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『マリー・アントワネット』
- 2008/05/22(木) 23:21:47
〔米〕MARIE ANTOINETTE (2006年)
監督:ソフィア・コッポラ
脚本:ソフィア・コッポラ
キルステン・ダンスト/ジェイソン・シュワルツマン/リップ・トーン/ジュディ・デイヴィス/アーシア・アルジェント/マリアンヌ・フェイスフル/ローズ・バーン/モリー・シャノン/シャーリー・ヘンダーソン/ダニー・ヒューストン/スティーヴ・クーガン/ジェイミー・ドーナン
オーストリアの皇女マリーは、14歳で祖国を離れて結婚、18歳でフランス王妃になった。夫ルイ16世は、新妻よりも趣味に没頭する日々。母マリア・テレジアの命により、子を設けてフランスとの同盟関係を強固にする必要性のあるマリーは、夫の無関心により、多大なるプレッシャーに晒される日々を送る。異国の地で外国人として暮らす辛さもあってか、次第にマリーは放蕩に身を任せるようになる。そして、華やかなるヴェルサイユ宮殿の外にあっては、平民たちの暮らしは搾取され、制圧された欲求が噴出寸前まで追い詰められていたのだった。
歴史的史実と言われている事柄に関しては、かなり忠実だったと思う。ちなみに、歴史的史実として、個人的に信頼できる事柄としては、1)14歳でオーストリア皇女のマリーがフランスに嫁いだ。2)18歳で王妃になった。3)郊外に隠れ家があり、自給自足の生活をしていた。4)子供が2人いて、さらに1人を死産している。6)芸術愛好家で、自分も主演女優だった(必ずしも上手くなかったらしい)。7)逃亡中、国境付近で捉えられた。8)フランス革命で斬首刑に処された。
以上である。これ以外は、全て憶測の域を出ていないと私は思う。とかく歴史における絶対的な事実などは、時系列に並べられる事柄以外には無いだろう。『バスティーユ牢獄が襲撃された』という事実は動かしようが無いが、些細な行動・言動・思考に関しては、記述者それぞれの個性が忍び込み、彼等の思想も大きく左右しただろう。大枠を捉えるには良いかも知れないが、それが唯一無二の真実だと確信はできない。
しかしそうした伝聞記事は、それがあたかも真実であるかのように後世に伝えられていく。だから私は信じないのだ、マリー・アントワネットが『パンが無いならお菓子を食べれば良いのよ♪』と言ったとか、王妃として国の状態には全く感心が無かったとか、その代名詞のような『放蕩三昧』に関しても、果たしてどこまで誇張されているのか?と、疑う気持ちの方が大きい。
そしてこの映画は、私が理想として思い描いてきたマリー・アントワネットの姿に、かなり近かったので満足している。『もしあなただったら?』というような問いかけをされているような、マリーの置かれた状況、彼女が感じたであろう不安や怖れなど、普遍的で繊細な女性の気持ちを描き出していると思う。時代や立場など、明らかに観客とは噛合わない状況を考慮しても、マリーが向き合った難局は十分に感じる事が出来る、そういう面においては、見事な演出だったと言える。
大体ね、14歳で『子供作って来い!』と実の母にせっつかれて、故郷を追い出される訳ですよ。そのうえ夫はちょと変わり者で、錠前作り、狩猟などに加え、屋根の上を散歩するのも好きだったとか?かなり内向的な性格で、それが政治にも影響を与えていたらしい。勝手な印象としては『昼行灯タイプ』(笑)、到底頼れそうも無い。オーストリアと言えば小国、当時の優越意識から考えても、裏では相当馬鹿にされてたんだろうなぁと思ってしまう。多分、絶世の美女からは程遠かったんじゃないか?と勝手に思っているのだが、だとしたら、宮殿での扱いのグレードも、更に落ちた事だろう。そうした事に、傷つき立ち向かい、悩むマリーの姿なのだ。
かなりのバッシングと、反面、歴史的映画として重要な位置づけとも取られているこの作品、史実に忠実に描ききったという面と、マリー・アントワネットの人間的な側面を鮮やかに描ききったという点においては、間違いなく優秀な歴史映画といえそうだが、そうした堅実さが、ちょっと退屈気味に感じたのも事実。時折差し挟まれる時代考証一切無視!という描写も、なんら助けにはなっていなかったように感じた。
嫌味で我侭なマリーならドラマ性もあるのだろうが、余りにも等身大に引き下げられてしまったマリー・アントワネットでは、劇的な雰囲気が無さ過ぎるのね。今回ばかりは、K・ダンストもちょっと怖かったしな・・・、髪の毛アップで化粧控え目・・・怖かったしな・・・。
個人的には大変満足だし、良く出来ている脚本と作品だとは思うのだが、それはきっと、長年の考えの具現化という共感度の高さから来るのだと思う。一般的には、いささか説明も少ないし、純粋な時代劇なのかキッチュなガーリー・ムービーなのか?中途半端さは確かに目立つ。全面的に鼻息荒く、面白かったよ!お勉強にもなるし♪とは、言い切れない煮え切らなさが残る。
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ぽすれん『マリー・アントワネット』紹介
ジャンル:
- 映画
『ハリウッドランド』
- 2008/05/22(木) 23:19:04
〔米〕HOLLYWOODLAND (2006年)
監督:アレン・コールター
脚本:ポール・バーンバウム
エイドリアン・ブロディ/ダイアン・レイン/ベン・アフレック/ボブ・ホスキンス/ロイス・スミス/ロビン・タネイ/ラリー・セダー/ジェフリー・デマン/ブラッド・ウィリアム・ヘンケ/ダッシュ・ミホク/モリー・パーカー/カロリン・ダヴァーナス/キャスリーン・ロバートソン
人気俳優ジョージ・リーブスは、ハリウッドの自宅でのパーティーの途中、二階の寝室で、裸で側頭部を撃ち抜いて死亡していた。警察はすぐさま自殺と断定したが、ジョージの母親は納得しなかった。他殺の可能性を調べて欲しいと依頼を受けた私立探偵ルイス・シモは、彼の死に幾つか不振な点を見つけた。必然的にジョージの私生活を調べる内、彼の背後に控える、強大なハリウッドという組織の存在を思い知らされる事となる。そして、スーパーマン俳優として名高かった男の、心の闇にも迫っていくのだった。
何か最近、とてつもなく地味だが結構良い作品、というタイプの映画によくよく当たる気がする。地味と感じてしまうのは、派手ではないが堅実な演技を見せてくれる役者陣と、しっかり丁寧な造りで、真面目な印象が強い場合が多いようだ。本作も、ど真ん中ストライクでこんな感じ。
とかく良く囁かれるハリウッドの明と暗、話題としては真新しいところも無いし、スーパーマン俳優、ジョージ・リーブスの謎の死を、格別深く抉っているとも思わない。しかしそれが良いのだ、まさにこの映画、『ハリウッドランド』を丁寧に描き出した作品だと言える。話題も展開もステレオタイプだから逆に良い、それをいかに緻密に見せるか、その辺の造り全般が堅実だったのだ。
語られている主題はジョージ・リーブスの死であったとしても、当時人気俳優だった『1人の役者』をフィルターのように使って、テレビ界が躍進し、映画という概念そのものが大きく変わろうとしていたハリウッドの姿を描き出す。そこで翻弄された人達の姿と、もしかしたら見えざる悪だったかも知れない存在ですら、辛辣に描こうとしていないところが良い。
果たしてジョージ・リーブスは自殺か他殺か?現実に答えの出ていない問いに関して、映画が打ち出したある種の解決に関しても、明言するではなく、かと言って曖昧さも無く、観客が望む見方を提供してくれる、こちらもまた、脚本も上手いが演出も良かったと思う。
さて、地味だけど堅実な役者陣の事を。まず!この映画を観たいがために『戦場のピアニスト』で予習をしたと言っても過言ではないE・ブロディ。良い(笑)。こういう汚い感じが良い、似合ってるのよね〜、憎いぐらいに似合ってる、印象としては良いんだか悪いんだか(笑)。これはいよいよ、『ダージリン急行』が楽しみになってきた!!
そんなE・ブロディ演じるルイスと二枚看板なのは、当然、ジョージ・リーブス、もちろん演じるはB・アフレックなのだが、これが、先日の日記に繋がる。確かに、疑問に思う作品に少しばかり頻繁に出演しているとは思う。そ・れ・で・も・だ!彼は良い役者だと信じて疑わない。
というより、『良い映画人』だと思うのだ。製作方面には抜群のセンスがあるのだが、自分が出演する作品となると・・・何故か選択を大いに狂わせていると言わざるを得ない時がある。非常に実直で温厚な人柄だと良く聞くが、これが真実なら、他人の圧力に流され易いところがあるのかなぁ?などと思ってしまったり。間違いなく、やりたくなかった仕事は沢山あると思うのよね。
演技は最高水準とは思わないまでも、良い意味でも悪い意味でも、人を惹きつける吸引力が備わっているとは思う。それは結局、如何なる噂を立てられようとも、どんな固定概念を持たれようとも、人の移り変わりが激しいハリウッドで、消える事無く、確固たる知名度を保っている事が証になろうと思う。こういう吸引力や魅力というのは、努力したって得難い才能だと思う。
ジョージ・リーブスの辿った人生は、そのままB・アフレックに繋がったのじゃないだろうか?周囲が勝手に持つイメージや固定概念、そこから抜け出す事ができない苦悩。周囲の期待に応えたいと思う欲求と、そんな期待に苛立つ気持ち。B・アフレックは幸運なことに現代に生まれたが、ジョージ・リーブスは、テレビ界の黎明期に巻き込まれてしまった。きつかったと思うなあ・・・。
そんなジョージ・リーブスが抱えた苦悩、やらざるを得ない仕事、日々の流れを、B・アフレックは『非常に』『優れた』『演技』で表現しておりました!断然絶対確実に、私はそう感じた。
まず話し方が全然違うのに驚いた。最近見ていなかったけど、こんな声だったけ?と(笑)。テレビの収録シーンでは、古いテレビドラマに特有の、ちょっと堅苦しいあの話し方。日本のテレビドラマでも感じる事はありませんか?真似しようと思っても上手く出来ないが、今のように、『普通の会話』ではない『ドラマ用の会話』。B・アフレックの台詞回しは巧妙で、明らかに実物のジョージ・リーブスより男前で不自然な現代らしさを、あの台詞回しによって払拭したと言える。
ラストの締め方も斬新だがかなり好み、B・アフレックのラストシーンも、なんだか泣きたい気持ちになるほど切なかった(フィルム映像の方ね)。最近本当に、役者としてのB・アフレックを見ることが少なくて残念だったが、最近は、本人が望む作品に出始めているのではないだろうか?役者B・アフレックは、今ようやく戻ってきたところなんですよ。迷いの小道からね(笑)。
私的には最近、弟のケイシー・アフレックがちょいと気になっていた。メキメキと良い役者の風情が香り始めたケイシー。兄の製作した映画『Gone Baby Gone』でも話題を独占した。のだがぁ、やはり、兄貴はまだまだ超えられないなと、私は思ったのです。
![]() | ハリウッドランド (2008/02/20) エイドリアン・ブロディ. ダイアン・レイン. ベン・アフレック. ボブ・ホスキンス. ロイス・スミス 商品詳細を見る |
ぽすれん『ハリウッドランド』紹介
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