『フリーダム・ライターズ』
〔米〕FREEDOM WRITERS (2007年)
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ/エリン・グルーウェル
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
ヒラリー・スワンク/パトリック・デンプシー/スコット・グレン/イメルダ・スタウントン/マリオ アンドレ/エイプリル・リー・エルナンデス/ジェイソン・フィン/ハンター・パリッシュ/クリスティン・ヘレラ グロリア/ディーンス・ワイアット/ガブリエル・チャバリア/アントニオ・ガルシア
1992年のロス暴動の後、差別撤廃を決定した高校に国語教師として赴任したエリンは、犯罪から子供たちを救おうと熱意に燃えていた。しかし差別を撤廃した事で、逆に人種間の危機感は極限まで高まっており、多様な人種が入り混じる教室内は一触即発の雰囲気に満ちていた。全く授業に身が入らない生徒達に、エリンは日記を付けるように促す。その日記から生徒達の過酷な現実を如実に知る事になったエリンは、生活の全てをかけて生徒達と向き合った教育進めていく。やがて学ぶ事を知った生徒達の熱意とは裏腹に、学ぶ場である学校側との意見の衝突が相次ぐようになる。しかしいつの間にか、教室は1つのファミリーに生まれ変わっていた。
いや〜、泣いた泣いた、とにかく泣いた。映画を観てこんなに泣いたのは久し振り。正直観る気は殆ど無かった映画だった。まず第1に、似たような話なら良くあるし、小説『ルアン先生にはさからうな』というのがこの手の作品群では私のベストで、これ以上の候補は必要ないと思っていた。(ちなみに映画『デンジャラス・マインド』はこの作品の映画化。映画の出来は余り良くないので、お薦めは小説だけである。)
第2には、どうせ泣かせようって造りなんでしょ〜という捻くれた考えから。ハリウッドのお涙頂戴はほとほとうんざりなんである。そして最後に、主演のH・スワンクには最近、ロビン・ウィリアムスに通ずるような優等生的くどさがあるように思えて、観るのが面倒臭い役者になっていた。
さて、最初から私の間違いを潰して行こうか(笑)。確かに似たような話は良くある。環境ゆえに落ち着いて学ぶ事も出来ず、また自信にもその気が無い生徒達に対して、『熱血』教師があの手この手で生徒の心を揺さぶる話だ。その揺さぶり方が・・・泣かすのだ、いちいち泣かすのだ。
自分達の生活は『戦争』だと言いきり、文字通り殺される前に殺せとして生きてきた子供たち。しかしエリンはそれに、『本当の戦争』『本当の差別』『本当の迫害』を示して彼らを揺さぶった。自分達よりよほど過酷な運命に翻弄された人々の事を学ばせる事で、彼等の置かれた状況を再認識させた。自分達はもしかしたら『恵まれているのかも知れない』と、少なくとも、自分達の意思次第では、脱出する事が出来る環境なのだと。
これは私が常に心に留めておきたいことで、自分が辛くて苦しい時に、今の私よりずっと過酷な日常でも、一生懸命に頑張っている人はこの世に沢山いるのだと思うことで、立ち直る原動力にしてきた。しかし普段の生活の中では、そうした事を忘れてしまいがちだ。そうして、自分の不幸に甘んじようとする。その甘えが有る限り、人間は本当の意味での前進は出来ないと思うのに。
こうした気持ちに共鳴する人には、問答無用にあらゆる種類の涙を誘う映画だと思う。そんな訳で私には、エリンの取った行動の全てが、それに呼応した生徒達の心全てが、心の中で深い銅鑼の音のように反響しまくった。
この手の映画を観るといつも思うのだが、この年齢の子供たちって、どんなに廃れたように見えても実際は素直だ。物事を知らないだけで、知識を与えてくれる人を敬う心はちゃんと持っている。吸収する能力は桁外れだし、素直になるという事に恥ずかしさが無いのだ。無駄に頭がガチガチになった大人の方がよほど性質が悪いなぁと、つくづく自分に置き換えて反省した。
さて第2の理由、『泣かせよう』という意思は映画からは余り感じないだろうと思う。エリンの行った事、それを受け止めた生徒達の気持ちを理解できないのであれば、誰でもが没頭できる映画ではないだろう。作りが危ういのだ、反感を買い易い。ホロコーストや公民権運動などを持ち出すのは、安易に感じられる危険性もあるだろう。そこを上手く処理できているか?というと、私は共鳴しすぎていたので真っ当な判断力は不能(笑)。
さて最後、本当にごめんなさいH・スワンク、心から謝ります。彼女は素晴らしい、実に実に素晴らしい女優さんである。ビバヒルの頃からなんか違うと思ってたのよ(笑)。まず役柄に彼女の醸し出す個性がピッタリ。今回は男勝りで強い女性ではなく、母性のある強さ、そして優しさがあり、可愛らしい一面も存分に持っている女性らしい女性を好演。
でしゃばらず、しかし存在感はばっちりで、周囲との調和は抜群のバランス感だ。控え目な演技でも説得力があり、強さと儚さや優しさの強弱も完璧だった。映画の中にきっちりと納まっているのに、確実に偉才を示すその堅実な演技力、いや〜、本当に素晴らしい。
結果として、まぁ私にしては珍しく(笑)否定的な要素が皆無だ。ほぼ全くかなり完全に感動しまくった作品の1つになった。そうした映画は過去に2本だけ、3本目の作品となった。一口に『感動』と言っても種類は色々あるが、これは爽快で楽しくなるほどの感動だった。生徒達の素直さとエリンの優しさの詰まった熱意に、観客としても内に眠る純粋さを呼び覚ます映画だった。
ぽすれん『フリーダム・ライターズ』紹介
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ/エリン・グルーウェル
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
ヒラリー・スワンク/パトリック・デンプシー/スコット・グレン/イメルダ・スタウントン/マリオ アンドレ/エイプリル・リー・エルナンデス/ジェイソン・フィン/ハンター・パリッシュ/クリスティン・ヘレラ グロリア/ディーンス・ワイアット/ガブリエル・チャバリア/アントニオ・ガルシア
1992年のロス暴動の後、差別撤廃を決定した高校に国語教師として赴任したエリンは、犯罪から子供たちを救おうと熱意に燃えていた。しかし差別を撤廃した事で、逆に人種間の危機感は極限まで高まっており、多様な人種が入り混じる教室内は一触即発の雰囲気に満ちていた。全く授業に身が入らない生徒達に、エリンは日記を付けるように促す。その日記から生徒達の過酷な現実を如実に知る事になったエリンは、生活の全てをかけて生徒達と向き合った教育進めていく。やがて学ぶ事を知った生徒達の熱意とは裏腹に、学ぶ場である学校側との意見の衝突が相次ぐようになる。しかしいつの間にか、教室は1つのファミリーに生まれ変わっていた。
いや〜、泣いた泣いた、とにかく泣いた。映画を観てこんなに泣いたのは久し振り。正直観る気は殆ど無かった映画だった。まず第1に、似たような話なら良くあるし、小説『ルアン先生にはさからうな』というのがこの手の作品群では私のベストで、これ以上の候補は必要ないと思っていた。(ちなみに映画『デンジャラス・マインド』はこの作品の映画化。映画の出来は余り良くないので、お薦めは小説だけである。)
第2には、どうせ泣かせようって造りなんでしょ〜という捻くれた考えから。ハリウッドのお涙頂戴はほとほとうんざりなんである。そして最後に、主演のH・スワンクには最近、ロビン・ウィリアムスに通ずるような優等生的くどさがあるように思えて、観るのが面倒臭い役者になっていた。
さて、最初から私の間違いを潰して行こうか(笑)。確かに似たような話は良くある。環境ゆえに落ち着いて学ぶ事も出来ず、また自信にもその気が無い生徒達に対して、『熱血』教師があの手この手で生徒の心を揺さぶる話だ。その揺さぶり方が・・・泣かすのだ、いちいち泣かすのだ。
自分達の生活は『戦争』だと言いきり、文字通り殺される前に殺せとして生きてきた子供たち。しかしエリンはそれに、『本当の戦争』『本当の差別』『本当の迫害』を示して彼らを揺さぶった。自分達よりよほど過酷な運命に翻弄された人々の事を学ばせる事で、彼等の置かれた状況を再認識させた。自分達はもしかしたら『恵まれているのかも知れない』と、少なくとも、自分達の意思次第では、脱出する事が出来る環境なのだと。
これは私が常に心に留めておきたいことで、自分が辛くて苦しい時に、今の私よりずっと過酷な日常でも、一生懸命に頑張っている人はこの世に沢山いるのだと思うことで、立ち直る原動力にしてきた。しかし普段の生活の中では、そうした事を忘れてしまいがちだ。そうして、自分の不幸に甘んじようとする。その甘えが有る限り、人間は本当の意味での前進は出来ないと思うのに。
こうした気持ちに共鳴する人には、問答無用にあらゆる種類の涙を誘う映画だと思う。そんな訳で私には、エリンの取った行動の全てが、それに呼応した生徒達の心全てが、心の中で深い銅鑼の音のように反響しまくった。
この手の映画を観るといつも思うのだが、この年齢の子供たちって、どんなに廃れたように見えても実際は素直だ。物事を知らないだけで、知識を与えてくれる人を敬う心はちゃんと持っている。吸収する能力は桁外れだし、素直になるという事に恥ずかしさが無いのだ。無駄に頭がガチガチになった大人の方がよほど性質が悪いなぁと、つくづく自分に置き換えて反省した。
さて第2の理由、『泣かせよう』という意思は映画からは余り感じないだろうと思う。エリンの行った事、それを受け止めた生徒達の気持ちを理解できないのであれば、誰でもが没頭できる映画ではないだろう。作りが危ういのだ、反感を買い易い。ホロコーストや公民権運動などを持ち出すのは、安易に感じられる危険性もあるだろう。そこを上手く処理できているか?というと、私は共鳴しすぎていたので真っ当な判断力は不能(笑)。
さて最後、本当にごめんなさいH・スワンク、心から謝ります。彼女は素晴らしい、実に実に素晴らしい女優さんである。ビバヒルの頃からなんか違うと思ってたのよ(笑)。まず役柄に彼女の醸し出す個性がピッタリ。今回は男勝りで強い女性ではなく、母性のある強さ、そして優しさがあり、可愛らしい一面も存分に持っている女性らしい女性を好演。
でしゃばらず、しかし存在感はばっちりで、周囲との調和は抜群のバランス感だ。控え目な演技でも説得力があり、強さと儚さや優しさの強弱も完璧だった。映画の中にきっちりと納まっているのに、確実に偉才を示すその堅実な演技力、いや〜、本当に素晴らしい。
結果として、まぁ私にしては珍しく(笑)否定的な要素が皆無だ。ほぼ全くかなり完全に感動しまくった作品の1つになった。そうした映画は過去に2本だけ、3本目の作品となった。一口に『感動』と言っても種類は色々あるが、これは爽快で楽しくなるほどの感動だった。生徒達の素直さとエリンの優しさの詰まった熱意に、観客としても内に眠る純粋さを呼び覚ます映画だった。
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