- | HOME |
『ジーヴスと恋の季節』
- 2008/04/26(土) 23:22:50
P・G・ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
デヴリル・ホールの当主エズモンド・ハドックは、なんと!5人のおばさんと同居していた。そこに『ガッシー』として乗り込んだバーティー、『バーティー』として乗り込んだガッシー、ガッシー(バーティー)の従者ミドウズとして乗り込んだ、バーティーの旧友で俳優のキャッツミート。彼の妹コーキーはハリウッドの売れっ子女優、そしてハドックの導きの星にして、バーティー(ガッシー)の女神。と言う事は、ガッシーの婚約者アマンダは、ガッシー(バーティー)の元へ?しかもハドックは従妹であるガートルードに猛攻撃を仕掛けているらしい。キャッツミート(ミドウズ)はガートルードと恋仲だが、そんな不幸な間違いにより、ミドウズ(キャッツミート)として、デヴリル・ホールのメイドのクウィニーと婚約?かと思ったが、クウィニーは村のドブズ巡査と婚約していた。ガッシー(バーティー)の執事であるはずのジーヴスだが、デヴリル・ホールの執事は、ジーヴスの叔父でクウィニーの父であるチャーリー叔父さん。仕方なくジーヴスは、バーティー(ガッシー)の執事として乗り込んできた。
なんだか、あらすじの新境地を開拓した気分(笑)。さてコチラ、ジーヴスもの最新翻訳!しかも、幾人かの有名なウッドハウス・マニアが、最高傑作と考えている作品だそうだ。(解説より)
とにもかくにも、お腹一杯!これぞウッドハウスの真骨頂と言えるのではないだろうか?真骨頂というか、『エムズワース物』に類似した、キャラクターの入れ替わりによる騒動による入り組んだ面白さ、それによってさらに混線の度合いを増す、恋愛模様が本作では4組にも上る。
これもまた解説からだが、ウッドハウスが戦争のためにフランスで暮らしていた頃の作品だそうだ。そのため、作品にかける時間がふんだんにあったとか。だからこれほど入り組んだプロットが可能になったのだろうと予想しているが、なるほどなるほど、余りにも緻密に展開するドタバタ劇に、笑いが絶える間もないぐらいだった。それに、いつもなら若干感じる無理矢理な展開が無く、いともスムーズにバーティーが窮地に落ち込んでいく。これは、じっくり考えられた物語ゆえ、と言えるのでないだろうか。
笑いと言えば、今回はとにかく、1行毎にも笑わせて頂いた。これはもう、圧倒的に翻訳者のおかげである。確実に、翻訳者森村氏の笑いのセンスは、向上の一途を辿っている事を、私としては、一点の曇りも無く疑わない事を表明するのにやぶさかじゃないのだ(真似してみた(笑))。
言葉選び、リズム感、文章であるのに表れる間合いの絶妙さ。ウッドハウスをかつて原書で読もうと無謀な挑戦をして、多用される引用でけつまずき、粋な言い回しに転倒し、よもや起き上がる事も出来なくなったのは、僅か5ページ目ほどだったか。何より、全く持って、面白いと思われるニュアンスを嗅ぎ取れなかったのだ。
やはりこうした言葉の上手い作家の作品は、同じくらい言葉遣いが上手く、原作者を深く理解し、適切な日本語に訳してくれるであろう、信頼の置ける翻訳者の方の作品を楽しむに越した事は無い。そういった面で私にとって、アガサ・クリスティに田村 隆一氏が欠かせないように、ウッドハウスには森村たまき氏が、よもや欠かせない存在だ。本当に、毎回深く感謝しております。
今回は(いやここ最近か?)ジーヴスの影が薄かったのが、若干残念ではある。もちろんバーティーは全開でスープに浸かりまくるし、個性豊かな友人連中も大活躍で・・・スープにまみれる。それでも、私がこのシリーズで何より好きなのは、バーティーとジーヴスの掛け合いなので、確かにこの面においては、お腹一杯とは良い難いかも。
今回のラストは、え!?次回に続くなの?と疑問に思う終わり方だった。あれで終わってしまうには、余りにも惜しい終わり方。ぜひぜひ、あの後のバーティーの顛末を知りたいものである。アガサ伯母さんと戦って、粉塵と化してしまっていない事を願って。
![]() | ジーヴスと恋の季節 (ウッドハウス・コレクション) (2007/12) P.G.ウッドハウス 商品詳細を見る |
ジャンル:
- 小説・文学
この記事に対するトラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
コメント投稿
- | HOME |











この記事に対するコメント