『フェアリーテイル』

  • 2008/05/27(火) 22:47:48

〔英〕FAIRY TALE: A TRUE STORY (1997年)
監督:チャールズ・スターリッジ
脚本:アーニー・コントレラス
フローレンス・ホース/エリザベス・アール/ポール・マッギャン/フィービー・ニコルズ/ビル・ナイ/ボブ・ペック/ピーター・オトゥール/ハーヴェイ・カイテル/アントン・レッサー/アンソニー・カルフ


第一次世界大戦時のイギリス。母を亡くし、父は戦地で行方不明となった8歳のフランシスは、ヨークシャーに暮らす伯母夫婦に引き取られた。大人しい従妹のエルシーは12歳で、やんちゃなフランシスの良い姉代わりとなった。エルシーの兄は数年前に病で亡くなっていたが、その悲しみから立ち直れない母を救おうと、兄の信じていた妖精の写真を撮る事を思いついた2人。そうして撮られた幻想的な少女と妖精の写真は、やがてその真偽を巡って、アーサー・コナン・ドイルやハリー・フーディニなどの著名人をも巻き込んだ、大きな論争の火種となってしまう。

イギリスで実際に起こった、『コティングリー妖精事件』を下敷きにした作品だ。映画でも描かれ、当時は大論争が巻き起こったというこの『妖精』の写真、観客の皆さんはどう思われるだろう?
その真偽の程は後年明らかになったというが・・・・、そんな現実的な話はどうでも宜しい、いるんです!妖精はいるの!!主演のエルシーとフランシスを演じた、それこそ天使のように天真爛漫で可愛らしい2人に免じて、邪推も御託も一切無しにして!私は全面的に賛同する!!
とかく、『純真・無垢・愛らしさ』という形容は、少年よりも少女に対して使われる事が多い。昨今の映画であれば『エコール』が、幻想的に、多少の淫靡さも内に秘めつつ、少女時代の短くも美しい純白さを、アーティスティックに描ききったと言えるだろう。さすれば本作は、いかに地面に叩きつけようとも、決して汚れることを知らない輝きを持った穢れ無き純白のボールを、真直ぐ一直線に胸元に投げ込まれたような、そんなストレートさ(笑)。
基本的に子役に関しては、演技が凄いと思ったり顔が可愛いと思うことはあっても、存在や役柄の愛くるしさに惹かれる事は無かった。しかしだ、この2人なら養っても良いぞ!と思った(笑)。特に、エルシーのあの健気な雰囲気、思わず抱きしめたいぐらいだったわ。
妖精欲しさに森を荒らしたり、その真偽を巡って喧々囂々してみたり、そんな間抜けな大人達を余所に、子供らしく屈託無く、だからこそ心から妖精を信じ続けるエルシーとフランシス。戦時下という希望の無い時代だったから尚さら、幼い心は妖精を求めたのだろうか?とにかくね、あたし真黒だよ、身も心もザラザラするほどに真っ黒けだっんだよ!と自分の黒さに嫌気が差した。
さて、己の真黒ぶりを実感して凹んだ後は、大喜びな役者の競演が待っていた。B・ナイにクスっと笑い、P・オトゥールのはまりっぷりにニヤリとし、H・カイテルにほぼノックアウト状態。そしてエルシーのお父さん、アーサー・ライト氏を演じるのは?はて・・・どこかで見た顔だ。あの優しそうな大きな瞳・・・、単にジム・ガヴィーセルに似てるというだけでもなさそう、P・マッギャンって?
がぁぁぁ〜、ホーンブローワーのブッシュ二等海尉のちにブッシュ副長、要するに『ブッシュ君』じゃないの!サブ・キャラの中だったら、ジェイミー・バンパーに次いで好きだったな。やっぱり素敵じゃないの♪ついでに、カメオ出演でメル・ギブソンが登場するのだが、これが、ビックリするぐらいカメオなのに、さすがと言うほど存在感があって、ある意味驚く(笑)。
そしてとにかく、景色が綺麗だった。特典映像では子供たちも言っていたが、あの場所なら本当に妖精が出てきそうなほど、幻想的な雰囲気すら漂っている。そんな、不思議な事が平然と起こりそうな程の自然を背景にして、結局のところ、現実的に妖精がいるのかなんて事は全く問題じゃないのだと、映画は語っているかのようだった。各々が、どう感じるかが大事なんだと。
実物が無いなら信じないとか、そういうのは心が寂しいって事だ。妖精でも、それこそ神様でも、いると信じられる人にとっては、紛れも無く真実になる。他人がどう思うかなどと言うことも関係無い、いないと思うなら、その人の世界に妖精は『いない』というだけの事だ。だから、妖精を心から信じた少女2人に訪れた幸せは、間違いなく『彼等』がくれたという事になる。H・カイテル(フーディニ)のラストの台詞が、全く正直にストレートに伝えてくれてると思うのだ。
少女たちの優しい気持ちが、そのまま妖精に姿を変えると私は思っている。だからこそ、見える人には見えると言い切れる。だからこそ・・・、妖精の真偽を探るために大勢が見入った写真、その中には、紛れもなく本物の妖精が写っていたとは、言えないだろうか?

フェアリーテイルフェアリーテイル
(2004/11/25)
フロレンス・ハース

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