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『さよなら、星のむこうへ』
- 2008/06/10(火) 23:27:20
シルヴィア・ウォー 著/金子 ゆき子 訳/ランダムハウス講談社
クリスマスを翌週に控えたある日、11歳のトーマスは、故郷オーミンガット星へ帰ると父パトリックから告げられる。5年間暮らしたベルソープは、11歳のトーマスにとっては故郷も同然。大好きなお隣のダルリンブル夫人や親友ミッキーとの別れに動揺するトーマスだったが、父の行動には従わなければならない。しかし、宇宙船までの道中で交通事故に巻き込まれ、父子は離れ離れになってしまう!出発の時間が迫る中、トーマスは無事父親と再会する事が出来るのか?
このblogのカテゴリー分けを見ていただいても解るように、私はSFを殆ど読まない。時にサイエンス・フィクションと呼ばれる事もある『タイムトラベル』ものは好きなのだが、宇宙船だとか、宇宙人だとか、そういった類の話は殆ど読んだ事が無い。敬愛するレイ・ブラッドベリに於いても、SF関連の作品は巧みに避けているのがお解かり頂けるだろう。
まぁ、余り得意な分野では無いのだが、この作品はどちらかと言ったら普通の児童小説に近そうだったので試してみた。割と、私の苦手な記述ばかりが多くて苦労した。オーミンガット語とか、曖昧なオーミンガット星人の説明とか、宇宙船や宇宙旅行のこれまた曖昧な描写とか、そうした記述はどうも苦手なのだ。オーミンガットの人達が、地球人の生態を調べるために調査員を地球に送っているとか、トーマスとパトリックはその任務が終了したから星に帰るのだとか、そうしたプロットは気にならず、むしろ面白いと思えるのだが。
作品に描かれてる要素としては、本当の居場所とか親子の絆とか、親が子供に無意識に強いる事やその理不尽さ、子供の自由意志で正しい事柄を選ぶ重要さ、そうさせる親の寛大さや教育の方法、ウソをつかないという単純な道徳観、しかし人生において、悪意無いウソや必然性のあるウソもあるのだという、何だか灰色の部分等などが、やんわりと、祖母的目線で、面白おかしく、かつちょっと感動的にも描かれていると思う。実に盛りだくさんだ。
祖母的目線というのは、作者が単に本当の『祖母的年齢』という事ではなしに、上記した色々な事柄がしっかりと描かれているにも関わらず、全くもって説教臭くなく、しかも読了後には、云わんとしている事がしっかりと頭に残っているという感じ。まさに、大好きなおばあちゃんと、お話をした後のような心地良さなのだ。なんだか、おやつの甘い匂いも漂ってきそうだ(笑)。
健気で愛らしいトーマスが、自分の身の回りの大好きなものを再確認して、幾つかの大好きなものと別れる事を決意する、ちょっとホロ苦い少年の成長物語。このオーミンガット星の話はシリーズで、あと2作続いている。残念ながら早くも絶版なのだが、古本屋ではかなりの確立で出会うので、まぁ、またオーミンガット語と付き合う気になった時にでも、ボチボチ(笑)。3作目は、結構面白そうなんだけどなぁ?
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ジャンル:
- 小説・文学
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