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『厨房で逢いましょう』
- 2008/06/18(水) 23:02:31
〔独/瑞〕EDEN (2006年)
監督:ミヒャエル・ホーフマン
脚本:ミヒャエル・ホーフマン
ヨーゼフ・オステンドルフ/シャルロット・ロシュ/デーヴィト・シュトリーゾフ/マックス・リュートリンガー
僅か3席のレストランを持つグレゴアは、子供の頃の憧れだった、立派にせり出したお腹を持つ天才料理人だ。一切の情熱を料理に捧げていたが、偶然親しくなったカフェのウェイトレス、エデンに心奪われる。彼の天才的な料理の腕にほれ込んだエデンは、次第に足繁くグレゴアのレストランへ通うようになるが、そんな2人の仲にあらぬ噂が立ち始め、エデンの夫クサヴァーにもばれてしまう。グレゴアもまた、エデンへの想いに悩み、ある重大な決心をするのだが・・・。
またか。。。またなのか、これじゃ『サスペンス』じゃないの!と言っても、面白かったけど(笑)。正直、カテゴライズは『サスペンス』で決まり!と個人的には思うが、それは確かに誇張しすぎかも?明らかに『大人のロマンス』を押し出した宣伝から、なぜに『サスペンス』になるのか?まぁ、とりあえず観てみて下さい(笑)。フィルムの色合いや雰囲気、落ち着いた演出などはドラマ寄りで、確かに冒頭に、『大人の』と付けたい落ち着いたロマンス映画と言えるのではあるのだが。
とにかくね、長年料理に没頭して、事実天才的な料理人である男でも、あれだけ太ってちゃあ・・・ね?とそんな彼に向かって、『あなたなら普通でもモテそうなのに、どうして結婚していないの?』とサラリと言っちゃうエデン。そんなエデンの無神経ぶりに、健気に耐えるグレゴア。エデンは一体何を求めて彼の元へ来るのか?私には、美味しい料理のただ食いにしか思えなかった。。。モテないわけでもないのだろうが、明らかにオイディプス的コンプレックスを持っていそうな男を、母の仮面を被って手玉に取る・・・というかね・・・。
2人の仲に不満を募らす夫クサヴァーにも、『ただのお友達よ♪ふふ、心配する事無いわ』と繰り返すエデン。そんな戯言が通用するほど、大人の世界は純白じゃありませんよ、と私は思う。
『エデン』という女性主人公の名前、これは・・・余りに直接的過ぎる『イヴ』を回避したが故なのでは?と途中から思い始めた。イヴに翻弄されたアダム(男)、都合が悪くなると、男の側から良く引用されるイヴ(女)の小悪魔的な要素。まさに、ま〜さ〜に、エデンに翻弄された男達。
しかし、物語よりも何よりも、グレゴア役のJ・オステンドルフが、プロの料理人かと思うほど手つきがこなれている。単に料理が上手い素人という枠を、遥かに超えた巧みな手捌き。かつて職場でどれほどあの手捌きを観てきたか、経験から解る玄人手つき、ただ者じゃないわあの役者。
大抵ロマンス映画を観ると『女性』の立場に立って観るので、この映画ほど、男性の立場に共感した事は余り無い。とはいえ、多分に女性的見地から、ではあるのだが。密かに想いを寄せていたエデンと近付いたグレゴアの気持ちの高揚、孤独だった日々に投げかけられた一条の光。この辺だけでも妙に共感してしまうのだが、さらに加えて、『料理を食べてくれる相手』が現れた、という事にどうしようもなく共感。解る、グレゴアの喜びが解ってしまう。
料理なんて、1人で作って1人で食べても全く嬉しくない。特にそれが『やたらと美味しく』出来てしまった時ほど、堪えようも無い孤独を感じる。むしろ自分1人のためになんて、晩御飯でも目玉焼きで十分なのだ。私にとっては『料理と食事』が唯一、孤独を痛烈に感じる事柄であるらしい。
グレゴアの料理が進化した理由も、無意識でも変わった事も、あらゆる事が手に取るように解るので、ラストの展開はもう・・・いつもとは違った意味でクッションを抱きしめながら、どうしようもない怒りに憤っていた。クサヴァーよりなにより、問題はエデンだわよ・・・。
1番心に残ったのは、クサヴァーがグレゴアのレストランで食事をするシーン。単なる料理と食事というものを、あれほど形態や印象を変化させながら見せる演出は初めて。かつては食の世界を志した者としても、ああした至福の表情を浮かべる人を見るのは、何とも胸が熱くなる。
時にグレゴアの料理は官能を呼び覚まし、時に苦悩を味わわせる。料理という媒体を通して、情緒的に描かれる人々の姿。グレゴアの辿った恋の道筋も、同じように様々な食べ物を利用して語られていく。ラストはまぁ、、、清々しいのではあるが、エデン・・・あんたやっぱり、つわものね。まぁ、変に悲劇ぶる主人公より、数段潔い感じもするのだが。
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ぽすれん『厨房で逢いましょう』紹介
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