『魔法の国の旅人』
ロード・ダンセイニ著/荒俣 宏 訳/ハヤカワ文庫
格別有名な界隈にあるわけでもなく、人目を引く建物でもなく、羨まれるような知名度も無い。どちらかと言ったら、朽ち果てそうな印象のそのクラブの名は『ビリヤードクラブ』。友人に半ば無理矢理連れてこられた私は、クラブの名物といえそうなジョーキンズと知り合いになる。世界中を旅して回ったジョーキンズは一杯のウィスキーと引き換えに、人魚の妻や不思議な森で出会った魔女の話、湖のようなダイヤや、火星に旅行した男の話など、数多の冒険談を語るのだった。
ジョーキンズの奥方/柳の森の魔女/妖精の黄金/大きなダイヤモンド/最後の野牛/クラコヴリッツの聖なる都/ラメセスの姫君/ジャートン病/電気王/われらが遠いいとこたち/ビリヤード・クラブの戦略討議
アイルランド出身の男爵作家、とくれば読む価値は十分という判断(笑)。どちらかと言ったらダーク・ファンタジーで名を馳せた作家らしいが、他の作品に関して詳しく知らない。アイルランドはダブリン近郊のタラの丘・・・と言えばかの有名な『タラへの道』のあのタラだなわけだが、最近は道路を通すとかで、丘そのものを切り崩すという無粋な話があるのだとか・・・。で、そのタラの丘を有するダンセイニ城における名門貴族、第18代ダンセイニ男爵なんだそうな。
とまぁ、アイルランドを連発するのはここまで、実際は生涯のほとんどをイングランドで過ごし、本人の希望でお墓もそちらにあるそうだ。タラの丘周辺に先祖代々の墓地があるそうだが、そこへの埋葬も拒否するほどに、強い結びつきをイングランド(確かコーンウォールのどこか)に感じていたという事。なので、この作品にもアイルランドらしさは全く無い、皆無だ、全然だ、微塵もだ。ロンドンらしさやイギリスらしさは存分にある。ちょっぴり残念だった。
このジョーキンズ物は、ダンセイニの『明』の部分を代表する作品だそうで、その他の本分であったファンタジー作品には、多分にアイルランド的要素がある気がする。何より、ブラッドベリも信奉した作家だというから、本格的ファンタジー方面、チャレンジしてみたい気もする。
さてさて作品はというと、ビリヤードクラブの名物紳士ジョーキンズが語る、奇想天外な若き日の冒険談だ。冒頭からいきなり、ジョーキンズは『大法螺吹き』だと釘を刺される。まぁ確かに、法螺も法螺、およそ信じがたい話の数々だ、何しろいきなり人魚と結婚してしまうのだから。
とは言えこうした法螺話の類では、語る本人の大真面目ぶりとその風呂敷の広げ方、それに聞き手の剽軽な様があいまって、何ともいえない馬鹿らしさと面白さが生まれるものだ。という独自の論理から行けば、いささか堅い印象のある作品だった。
本筋は馬鹿らしいまでのプロットなのだが、根底に一抹の真理というか、妙な現実感が横たわっている印象がある。そのせいか、なんとなく腹の底から楽しめる、とは言い切れない雰囲気を感じてしまった。展開される奇妙な話と、語り手の堅物さが噛合っていないとでも言おうか。台詞回しなども生真面目な感じなので、なお更そのプロットとの相違が際立つように感じられた。
男爵であると同時に、これまた名門の軍人家庭に育ち、本人も軍務に生き甲斐を見出していたらしいので、そうした拭い去れない堅実さが、表に現れちゃたのかなぁ?等と思ったり。個人的には、飄々としてあっけらかんと不道徳なまでの、大法螺を取ったら何も残らないような作品が好きなのである。読み手にも、その人間性は大きく左右するのかも知れない(笑)。
格別有名な界隈にあるわけでもなく、人目を引く建物でもなく、羨まれるような知名度も無い。どちらかと言ったら、朽ち果てそうな印象のそのクラブの名は『ビリヤードクラブ』。友人に半ば無理矢理連れてこられた私は、クラブの名物といえそうなジョーキンズと知り合いになる。世界中を旅して回ったジョーキンズは一杯のウィスキーと引き換えに、人魚の妻や不思議な森で出会った魔女の話、湖のようなダイヤや、火星に旅行した男の話など、数多の冒険談を語るのだった。
ジョーキンズの奥方/柳の森の魔女/妖精の黄金/大きなダイヤモンド/最後の野牛/クラコヴリッツの聖なる都/ラメセスの姫君/ジャートン病/電気王/われらが遠いいとこたち/ビリヤード・クラブの戦略討議
アイルランド出身の男爵作家、とくれば読む価値は十分という判断(笑)。どちらかと言ったらダーク・ファンタジーで名を馳せた作家らしいが、他の作品に関して詳しく知らない。アイルランドはダブリン近郊のタラの丘・・・と言えばかの有名な『タラへの道』のあのタラだなわけだが、最近は道路を通すとかで、丘そのものを切り崩すという無粋な話があるのだとか・・・。で、そのタラの丘を有するダンセイニ城における名門貴族、第18代ダンセイニ男爵なんだそうな。
とまぁ、アイルランドを連発するのはここまで、実際は生涯のほとんどをイングランドで過ごし、本人の希望でお墓もそちらにあるそうだ。タラの丘周辺に先祖代々の墓地があるそうだが、そこへの埋葬も拒否するほどに、強い結びつきをイングランド(確かコーンウォールのどこか)に感じていたという事。なので、この作品にもアイルランドらしさは全く無い、皆無だ、全然だ、微塵もだ。ロンドンらしさやイギリスらしさは存分にある。ちょっぴり残念だった。
このジョーキンズ物は、ダンセイニの『明』の部分を代表する作品だそうで、その他の本分であったファンタジー作品には、多分にアイルランド的要素がある気がする。何より、ブラッドベリも信奉した作家だというから、本格的ファンタジー方面、チャレンジしてみたい気もする。
さてさて作品はというと、ビリヤードクラブの名物紳士ジョーキンズが語る、奇想天外な若き日の冒険談だ。冒頭からいきなり、ジョーキンズは『大法螺吹き』だと釘を刺される。まぁ確かに、法螺も法螺、およそ信じがたい話の数々だ、何しろいきなり人魚と結婚してしまうのだから。
とは言えこうした法螺話の類では、語る本人の大真面目ぶりとその風呂敷の広げ方、それに聞き手の剽軽な様があいまって、何ともいえない馬鹿らしさと面白さが生まれるものだ。という独自の論理から行けば、いささか堅い印象のある作品だった。
本筋は馬鹿らしいまでのプロットなのだが、根底に一抹の真理というか、妙な現実感が横たわっている印象がある。そのせいか、なんとなく腹の底から楽しめる、とは言い切れない雰囲気を感じてしまった。展開される奇妙な話と、語り手の堅物さが噛合っていないとでも言おうか。台詞回しなども生真面目な感じなので、なお更そのプロットとの相違が際立つように感じられた。
男爵であると同時に、これまた名門の軍人家庭に育ち、本人も軍務に生き甲斐を見出していたらしいので、そうした拭い去れない堅実さが、表に現れちゃたのかなぁ?等と思ったり。個人的には、飄々としてあっけらかんと不道徳なまでの、大法螺を取ったら何も残らないような作品が好きなのである。読み手にも、その人間性は大きく左右するのかも知れない(笑)。
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