『アンジェラの灰』

  • 2005/06/26(日) 23:52:15

監督:アラン・パーカー
原作:フランク・マッコート
脚本: ローラ・ジョーンズ/アラン・パーカー
エミリー・ワトソン/ロバート・カーライル/ジョー・ブリーン/キアラン・オーウェンズ/マイケル・レッグ /ロニー・マスターソン/ポーリン・マクリン


1930年代、アメリカのブルックリンで生まれたフランク・マコートは4歳の時、家族全員で両親の生まれ故郷であるアイルランドへ、移民の流れに逆らって戻った。極貧の中で生活を始めた一家は、飢えや病気と戦いながら暮らしていく。
ピューリッツア賞を受賞した小説『アンジェラの灰』の映画化。原作、フランク・マコートの少年時代の物語。

この映画を観て、私が引用したいのは、何の先入観も持たずに見た母の感想。
『このあいだ凄く良い映画観たわ〜。ものすっごく貧乏なんだけど、弟思いのお兄ちゃんと可愛い弟がいてね、目を覆いたくなるほど貧乏なんだけど、この2人があっけらかんとしてて明るいのよ。子供達が家族のために一生懸命なのよ。
そういう貧乏な映画って好きじゃないけど、なんだか明るくなるような映画でね。お父さんも酒飲みだけど本当は優しくて、まぁ1つ気になったのは、食うや食わずの貧乏生活のわりに、子供が健康的そうだったけどね。』
かなり、この映画を的確に表していると思う。母はタイトルも出演者も全く憶えていなかったが、これだけ聞いたら『アンジェラの灰』の事を言っているんだな?と直ぐに解った。
確認のために『どこの国?』と聞いてみたが、『そんなの憶えてるわけないわよ〜』と言っていた。
さすがはA・パーカー。原作に忠実に、そこに映像ならではのリアリティを加える作りはお見事。小説も読んでいるが甲乙はつけがたい。小説では、マコート家の生活はもっとずっと悲惨だ。映画ではこれが限界と思われるほど悲惨な状況に見えたが、その辺は文章で読まれたほうが、よりフランクが大人になったことが奇跡に思えるだろう。
1930年〜1950年代のアイルランドの生活が、丁寧に緻密に描かれていたのも良かった。服装や細かいディティールにも拘っていて、難なく映画の世界に入り込んでいけた。
ちなみにこの作品、アイルランドでは賛否両論らしい。余りの貧困さは脚色されているというのだ。さてどうだろ?ロンドンのイーストサイドに関しては、当時を描いた『どん底の人々』という良書がある。そのイギリスの植民地化されていたアイルランドなら、同じような状況が生まれていてもおかしくないと私は思うのだが。
この話を虚構と決め付けて跳ね除けるのは間違いだと思うし、フランク少年が辿った足取りは、当時の多くのアイルランド労働者階級が遭遇していた環境だと思う。それに、事実関係に拘らなくても、物語として面白いのは間違いない。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)