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『火を熾す』

2009/01/21 22:17 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ジャック・ロンドン著/柴田 元幸 訳/SWITCH LIBRARY
極寒の大地で、火を熾そうと闘った男。そしてその後ろをついて行った一匹の犬。一攫千金を狙って出向いた先で、帰り道に迷い、ひたすら迷い、生きることだけに生きた男の運命。人間を包み込み、そして容赦なくいたぶる大自然を描き、その中で生きる人々の戦いを描いた9つの物語。

火を熾す/メキシコ人/水の子/生の掟/影と閃光/戦争/一枚のステーキ/世界が若かったとき/生への執着

先日読んだ『ジャック・ロンドン幻想短編傑作集』に引き続きだが、刊行はこちらの方が先、出版社も翻訳者も違うが、収録作では『水の子』が被っている。
比べるようで失礼ではあるが、今回ほど、翻訳者の重要性を実感した事は無い。それと、短編集に於ける作品選びや並びの重要性も。前回読んだ作品集とは趣旨が違うとは言え・・・すみません、本作品集の方が圧倒的に面白かった。
これまで、柴田元幸氏の翻訳作品は余り読んだ事は無いが、本作に関しては評判通りというか、その翻訳、実にお見事でございました。作品の選択もバラエティに富んでおり、飽きさせない並びで次々とページが進む。
全体的に男臭い作品ばかりだ。しかし鼻に付く感じではなく、ただ単に登場しているのが男というだけであり、J・ロンドンが現在に生きていたら、女性が主人公の話も沢山書いたろうと思える平等さがある。
共通しているのは、『生きることの難しさや必死さ』、そして、『生きることの喜び』である。やはりとても真直ぐで、なんの飾りも虚栄も無い筆致。ただもう清廉潔白な文章が、心地よい程に物語の世界へと誘ってくれる。
物語を読んでいるというよりも、その奥にある生を感じさせる。より動物的本能に基づいた、命の尊さを訴えられているような気持ちになる。物語としては全く違う内容なのに、『生きること』を考えさせられる。
『メキシコ人』や『一枚のステーキ』などは、目前に迫った死と闘っているわけではないのだが、彼等が暮らす社会というものの方が、遥かに大自然よりも恐ろしいと感じさせる。人間が作り出した社会には、大自然のような敵対してもなお感銘せざるを得ない荘厳さなどは微塵も無く、ただ人の尊厳を奪い去る凶暴さしかないのだと思わせられる。そんな社会で戦う彼等は、疲弊してなお雄々しく、例え負けたとしても、生きることに生きる全てを傾けているのだと伝わってくる。
『世界が若かったとき』などはかなりファンタジックな内容であるし、他の全ての作品も『創作』である事に間違いはないのだろうが、物語の中の人々は余りに活きていて、それが虚構だとは思えなくなる。それほどに、J・ロンドンの筆致は生真面目で力強く、実直で親近感が持てる。
結局のところJ・ロンドンの作品にこれ程の力強さを感じるのは、恐らくは作者自身が悩み続けたであろう、生きる事への渇望という、ある意味では弱さすら、正々堂々と文章にしているからなのだと思う。『火を熾す』、『生への執着』などを読めば、弱り行く自分の身体を激励しつつ、作者自身が『生きたい』のだと、訴えかけているような気にならないだろうか?
『一枚のステーキ』では、悲痛なまでの弱さを曝け出す。かつてのチャンピオンであるプロボクサーが、老いを目の前にして、対戦相手の『若さ』と戦い、そして破れる。かつては強かった(若かった)男が見せる悲嘆の程は、かつてないほどに胸に迫ってくる筆致である。効果的な構成、緻密な心理描写、愚かであるが愛すべき人間の姿を、愛情を持って、しかし痛烈に描いた秀作である。
苦しみながらも生き抜く人々をJ・ロンドンは愛し、尽きせぬ興味を持って描き続けたのだろう。僅か40年の人生で、書き溜められた沢山の短編。その中から、より多くの作品が翻訳される事を願っている、、、柴田先生、お願いします(笑)。

火を熾す (柴田元幸翻訳叢書) (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)火を熾す (柴田元幸翻訳叢書) (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)
(2008/09/10)
ジャック・ロンドン/柴田元幸 訳

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