2009/02/17 23:11
ジャンル:
Category:
映画【青春】
TB(0)
|
CM(0)
【
Edit】
〔米〕GHOST WORLD (2001年)
監督:テリー・ツワイゴフ
原作:ダニエル・クロウズ
脚本:ダニエル・クロウズ/テリー・ツワイゴフ
ゾーラ・バーチ/スカーレット・ヨハンソン/スティーヴ・ブシェミ/ブラッド・レンフロー /イレーナ・ダグラス/ボブ・バラバン/テリー・ガー
イーニドとレベッカは幼馴染、高校を卒業して、共同生活を始めようとしていた。仕事を決め、自立への道を着実に歩もうとしているレベッカに対して、何事も『普通』を嫌うイーニドは押され気味。そんな2人が暇潰しにいたずらを仕掛けたのは、音楽オタクの中年男性シーモア。遠くから見てバカにするはずが、逆に彼が気になってしまったイーニドは、偶然を装って彼に近付き友達になってしまう。
青春映画に共通した点というのは、思春期特有の悩みや壁だろう。それが明るかったり暗かったり、様々に描かれていく。本作は、暗くは無いが明るくも無い。脱力系と紹介されていたりするが、それもまた違うと思う。絶望的ではないけれど、とにかくクールに独自性を追求したい、まさに主人公イーニドのような映画だ。
自分らしくあるというより、他と違う事を求めるイーニド。それは個性というより、単なるステレオタイプでしかないわけだが、そんな自分の歪んだ存在を知ってか知らずか、イーニドは『今の自分』のあやふやさに思い悩む。
そんなところに現れた、奇妙な趣味を持つ男シーモア。若い頃からの自分を変えず、周囲から拒否されても自分であり続けるシーモアは、一般的に見ればオタクだろうが、イーニドから見ればヒーローだ。しかも、普通に素敵であろうとする男性とは『違う』ところも、イーニドの『違い』を求める感性にピッタリ。
全く、嫌になるくらいイーニドの気持ちが良く解る。なぜって?私もイーニドの年頃には、ジレンマとも言えそうな『他とは違う自分』症候群に陥ったことがあるから。私の場合は、早々に社会に出て自活することで、思春期特有の曖昧さから開放されたのだが、イーニドはシーモアに逃げた時点で先が暗い。
自分を理想的に創りあげたいのに、周囲からはその理想を認められない辛さ。それを辛いと思う自分が嫌で、でも周囲と同じにはなりたくない、酷い我侭、でも解る。そんなあやふやな脆さを、絶妙に演技で表現したT・バーチ。
そもそもの雰囲気がこうした役柄に合っているのだが、その上演技として、クールになりきれない中途半端な雰囲気を出すのが上手い。そういう不安定さが実に良く見えて、イーニドが映る度に不安さに胸が少し痛くなった。果たして、イーニドの青春は無事に開放されるのか?と言ったところだが、あのラストはなに?しかも私と同じ解釈をした人が少なからずいて、ちょっと戸惑った。
イーニドは結局弱い少女だったのだと思う、だからこそ不変の存在に安心感がある。変化が怖い、周囲がどんどん変わっていくことに戸惑って、結局受け入れられなかったということ?ラストの展開をポジティブに受け取った人もいたのだが、私にはどうもそうは思えなくて・・・。老人を乗せたバス、そのバスの行き先は一体?
個人的に釈然としない、ある意味衝撃のラストだったので、共演のS・ヨハンソンやS・ブシェミのことを書く余裕が無くなった・・・残念。1つだけ、2人とも良い味だしてましたわ。特にS・ブシェミは、普通の良い人に見えた(笑)。
ぽすれん『ゴーストワールド』紹介