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『最終目的地』

2009/06/22 22:39 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ピーター・キャメロン著/岩本 正恵 訳 CREST BOOKS
数年前に自殺した作家ユルス・グントの妻、彼の愛人、その子供の3人は、南米ウルグアイの寒村で、時間を忘れたようにひっそりと暮らしていた。少し離れた場所に暮らしているのは、作家の兄とその恋人のアジア人の青年。そんな彼等に、ユルス・グントの伝記を書くための承認要請が送られて来た。そして、申し出を断られた若い学者オマー・ラザギが、親族と直接交渉するため、ウルグアイにやって来たのだった。その時から、彼等の止まっていた時が少しずつ動き始めて行く。

著者のデビュー作は、『ママがプールを洗う日』という短編だそうだ。・・・マズイ・・・。我が読書人生に於いて、読みかけの作品を途中で放り投げた数が10冊にも満たないことはちょっぴり自慢だ。そんな数少ない作品の内の1冊が、このデビュー作だったのだ。しかも買ったことをすっかり忘れ、2冊も購入した上での失態だった、なんとも苦い思い出・・・。しかも本作は挑戦的にページ数が多い、読めるのか、あたし!?
という危機感から始めた読書、特別な高揚感は無いが、独特のリズム感と穏やな雰囲気、理路整然として緻密な構成、じっくりと描きこまれる人物描写の豊かさに、気が付いたらあっという間に半分ほど読み進んでいた。
ウルグアイという、欧米でも余り知られていない国、更には町からも遠く離れた場所で、時代感すら殺ぎ取られたように生きる人々。そこは敗北や諦めが蔓延する空間だが、この小説からはそういった絶望感が余り感じられない。
作家の妻キャロル、愛人アーデン、作家の兄アダムと恋人ピートには複雑に絡まった過去があるはずだが、それがはっきりとは語られないところがニクイのだ。読者は細部まで想像し、キャラクターそれぞれの奥深くまで入り込まざるを得ないだろう。こうして過去の遺恨を克明に描かないから、絶望感が薄く感じられたのかも知れない。
オマー以外の人々は心に膿を抱えていて、まるでその膿を出すことに非常な痛みが伴うかのように、大事にそれを抱えて生きている。ある意味では存在意義のようになってしまっていて、その根源にユルスという男の存在があるわけだ。
それがオマーの介入によって、彼等は膿を出して身軽になる。唯一ユルスの兄アダムだけが、最後までそれを出し切ることが出来ないようだが、むしろ彼に関しては憐憫よりも畏怖を感じる。哀愁すら尊厳を感じさせる、魅力的なキャラクターだった。
実に味わい深い小説だったわけだが、なんと言ってもキャラクター造形と描き出しが秀逸だった。基本的な年齢や容姿、髪型や色という設定すら効果的に物語に生かされていて、些細な仕草や台詞でも、物語や人物像に深く繋がっていく。
そして本作、ジェイムズ・アイヴォリー監督にて映画化もされている。さて気になる配役は?コチラでチェック!アンソニー・ホプキンスのアダムは激しく同意、意外にもオマーもかなりイメージ通り。それ以外がいけません・・・。
フランス出身なのはキャロラインの方です!それに、キャロラインを演じるにはローラ・リニーは若すぎる、むしろアーデンの方が合う。個人的にキャロラインは、シャーロット・ランプリングかカトリーヌ・フロだったのに・・・。オマーに対して兄弟にも似た共感と愛情を示すピートに至っては、いくら東洋人は若く見えると言え・・・、それに、28歳のピートにしては、真田広之は余りに精悍過ぎると思うのだ。
こうした完璧な作品というのは、少しでも変化があると全てが崩れる。特に本作においては、キャラクターの設定を変えるのはご法度でしょう。まぁ確かに、アンソニー・ホプキンスはドイツ人じゃないけれど、キャロラインはせめて50代から60代。それで初めて『キャロライン』として活きてくる、40代じゃないの、断じてね。映画にして殺すなよ・・・と思うわけだ。この映画がお蔵入りしそうな気配なのも頷ける。

最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)
(2009/04)
ピーター キャメロン

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