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『通話』

2009/10/16 16:54 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ロベルト・ボラーニョ著/松本 健二 訳/EXLIBRIS
敬愛する作家と文通を始めた青年、嫌っていた作家から絶賛を受けた売れない作家。チリからロシアへ移り、裏社会で生きた男、幾多の戦争をまるで強運のように生きぬいた男の話。女優として生きた女の、切ない恋の物語、平凡な家庭に生まれた女性の、数奇な人生の軌跡。世界中を渡り歩いた作家の、とても身近で、しかし深みのある作品が詰まった短編集。

<通話>
センシニ/アンリ・シモン・ルブランス/エンリケ・マルティン/文学の冒険/通話
<刑事たち>
芋虫/雪/ロシア語をもう一つ/ウィリアム・バーンズ/刑事たち
<アン・ムーアの人生>
独房の同志/クララ/ジョアンナ・シルヴェストリ/アン・ムーアの人生

広く中南米の作家、と紹介するべきなのだろうか。メキシコから南米、スペインで僅か50年の人生を終えた作家の作品集である。学校をサボり、知識は膨大な書物から得たという。内戦を経験し、放浪し・・・とくれば、何やら小難しい作品が詰まっているものと思うだろう。思わない?あら、そう?
作品のほとんどの主人公が、作家自身をモデルにしていると思わせられる。物語性の強い部分は創作だろうが、語り部自身の基盤は作家にあると言えるだろう。やはり、小難しいという印象を抱えたまま読み始めたのだが・・・なんの!
物語は一見すると、いささか曖昧である。締め方も、スッキリした収束が与えられているとは言い難いかも知れない。しかしその中に、物語の軸のようなものが、しっかりと据えられていることは分かるだろう。気ままな弁を奔放に撒き散らすのではなく、穏やかに、しかしじっくりと、書かんとすることを練りこんでいる感じ。お陰で作品はとてもシンプルで読みやすく、なおかつ芸術的な要素も存分に感じられるのだ。熱烈に賞賛し、心にどっかり腰を据えるタイプの物語ではないが、読み終わったあと確かに、『面白かった』と感じさせる作品ばかりである。
作者の分身を通して、その考えを読み解く類の作品ではある。しかしその人生、一口には語れないものだ。何より感じたのは、世界はこれほどに小さいのか、ということ。R・ボラーニョの作品では、『国境』という見えないくせにやたらとぶっとい線は綺麗に抹消され、世界を自由に行き来できるのだと感じてしまう。
しかし彼の眼を通して、彼の経験を通して、国を行き来するのは、自由ばかりではないと伝えている。チリからの亡命、ロシアでの生活、幾多の戦争、内戦、共産主義の恐怖など、作品の舞台となるのは問題を抱えた国が多い。アメリカが舞台であっても、登場人物達はやはり、過酷な世界で生きていると言えるだろう。小説家は売れない場合が多く、男女間は上手く行ってはいない。
それでも、全ての作品に悲壮感は無い。むしろ軽快で、読み易くすらある。作者が生きていたら、その人となりをもっと知りたいと思わせる筆致である。物事の暗い側面を陰鬱に語ることも可能だろうが、それを単なる背景として、淡々と語ることも出来る。
そうして淡々と語られる物語は、とても身近に感じられるのが不思議だ。まるで電車で隣あった人の、何気ない話を無意識に聞いてしまったような感じ。簡潔で、しかし面白く、衒学的でありながら、理路整然とした『人間ドラマ』。間も無く長編も翻訳出版されるそうなので、そちらももちろん是非とも、読ませて頂きたいと思う。

通話 (EXLIBRIS)通話 (EXLIBRIS)
(2009/06)
ロベルト ボラーニョ

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>曾良さん
初めまして、コメントありがとうございます。
拙い感想ですが、お役に立てて光栄です♪
とても興味深い作家だったので、長編はまた違った味わいがあるのでは?と楽しみにしています。

曾良さんのblog拝見しました~。
小説をお書きになっているんですね、頑張って下さい!
私はミステリ、読みすぎて既に飽和してしまってて(笑)。
[ 2009/10/17 12:44 ] [ 編集 ]
初めましてこんにちは。おもしろそうですね。私は旅だとか、この手の地味系な話(?)が好きなので、メモ帳の読む本リストに加えて今度読んでみようと思います。書評もとても読みやすく内容に興味を持ちました。貴重な情報ありがとう~!
[ 2009/10/17 06:44 ] [ 編集 ]
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