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『素数たちの孤独』

2009/11/19 17:06 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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パオロ・ジョルダーノ著/飯田 亮介 訳/ハヤカワepiブック・プラネット
天才的な数学の才能を秘めたマッティアには、幼い頃に亡くした妹がいた。しかも妹の事故に直接の関係があったマッティアは、自らを許すことが出来ず、厚い殻に自分を閉じ込めたまま成長した。大嫌いなスキーを無理矢理父親に押し付けられていた少女アリーチェは、そのスキーがもとで事故に遭い、以来片足が不自由になってしまう。父親を責め、拒食症になったアリーチェもまた、心に深い傷を負いながら成長した。10代になった彼らは出会い、傷ついた心が慰めあうように近付いていく。必然とも思える2人の出会い、友情は途切れる事無く続き共に大人になっていくのだが、それぞれの心の傷がまた、2人を引き裂くナイフとなって静かに横たわっていた。

いや~、ひっさびさに大ヒット!著者はトリノ大学大学院博士課程に在学、専攻はもちろん物理。若干25歳頃に本書を上梓し、2008年の発売と共にベストセラー作家になったのだとか。いや、納得、なんである。
文章は簡潔で飾り気がなく、その分稚拙と取れなくも無いのだが、著者自身本分としている数学世界を緻密に描かれても興醒めだし、その複雑な要素を噛み砕く手法としては、物語をよりシンプルに語るほうが好ましいと言える。
物語は、心に深い傷を負った若者の話なのだが、無駄に陰鬱としておらず、かといってロマンスに偏ってもいない。このバランス感の良さも、文章の簡素さに原因があると思われる。魂で惹かれあっているようなマッティアとアリーチェの不器用な姿はいじらしくイライラさせ(笑)、2人が成長し、別々の人生を歩むかのような展開もまた・・・うまいなぁ、、、と感心してしまう。
こうした複雑な主人公だと、大抵は完璧に他人事的な不自然さが感じられるのだが、本作に関してはそうした不自然さが感じられず、もしかしたら自分達も持っているかも知れない心の闇のように協調できる。全体的に不自然な流れが無いのが凄い。複雑ではあるけれど、彼等の痛みがとても身近に理解できるのだ。
何しろ閉鎖的な主人公なので登場人物は少ないが、それぞれがしっかりと個性を持って描かれており、とりわけマッティアとアリーチェの人物像が当然のように際立ち、それでいて周囲にしっかり溶け込んでいる筆致も素晴らしい。
以前、その名も(邦題だけど)『素粒子』という映画を見たが、その時の主人公と、心の傷は別としてディティールが良く似てる。素粒子物理学者ってみんなこんな感じなのか?と。もちろん、著者の事を調べてみると、明らかに全然違うタイプだけど(笑)。
とにかく良かった、ラストがまた清々しくて。簡単に考えればロマンチックに持ち込んでとっとと決着をつけてしまっても良かったのだろうが、あのラストを持って、著者が描きたかったのは『運命の出会い』というロマンスではなく、『複雑な思春期を経た人生賛歌』なのだと思える。こうした希望を見出せる人生賛歌は、やはりイタリア文学(文化)の流れをしっかりと汲んでいるのかな?とも思えたり。
伏線も、多少ベタだが上手いこと処理されていて、これで処女作ねぇ・・・。頭が良いと何でも出来るのか?と思いたくなる(笑)。これほど優れた処女作を映画化して欲しい!と思うと同時に、だからこそ文章のままであって欲しいとも思うのだが、こちら映画化が進行中。ちなみに私の脳内では、マッティアはリッカルド・スカルマッチョだったのだが、これは大ビンゴ!我ながら深い洞察力と自画自賛(笑)。ちなみに親友はエリオ・ジェルマーノで決まりなのだが、こちらはまだ配役されていない模様だ。しかしこの美しい物語、イタリア製作なら相応しく美しく作り上げてくれることだろうと期待大。

素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット)素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット)
(2009/07/16)
パオロ・ジョルダーノ

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