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『ベルファストの12人の亡霊』

2011/03/03 22:54 ジャンル: Category:読書【ミステリ・サスペンス・犯罪】
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スチュアート・ネヴィル著/佐藤 耕士 訳/RHブックス・プラス
北アイルランドの内戦が激化していた頃、共和派のテロ組織で活躍し、12年を刑務所で過ごしたフィーガンは、出所後自らが処刑した12人の亡霊に悩まされていた。夜も眠れず、酒に溺れる日々を過ごして7年、和平が結ばれた北アイルランドは表面だけの平和を手に入れ、フィーガンもテロ活動から遠ざかっていた。しかしある出来事がきっかけで、フィーガンに付きまとっていた幽霊達の真意が分かる。それは、自分達を殺した『真犯人』をフィーガンに殺させること、その死を持って罪を償わせることだった。抗えない要求に突き動かされるように行動を起こすフィーガン、彼の贖罪の犯罪はやがて和平を揺るがす事件となるが、彼がマリーという女性と出逢ったことにより、さらに事態は複雑に絡まりあっていく。

北アイルランド出身の作家らしく、激化した内戦とその後の和平合意を内側凄惨かつ激しく描き、薄汚い政治の内幕(真偽のほどは定かではない)を巧みに事件と絡めて描いた骨太の作品だった。本作がデビュー作ということだが、なかなかの重厚な筆致。
とは言え・・・個人的にはやりすぎという気がしてしまう。現代に続く30年以上続いた内戦。今なおその傷跡は深く、完璧に平和が訪れたとは言いがたい北アイルランド。純粋に正義や自由のために戦った過去の時代とは違い、現在に至っては、戦争が生み出す富を手放さない人達や、単に暴力から生まれる優越感を忘れられない人々がいることは知っている。それは何も、北アイルランド問題に限ったことではない。少し毛色は違うかも知れないが、戦地に行って悲惨な体験をした兵士が、それと同時に得た暴力に対する高揚感を忘れられず、日常生活に同調できなるという病は数多く聞かれるところだ。その悲惨さを表すための表現と言うよりは、単にグロテスクな暴力という印象の過激なシーンが目立ったのがいささか・・・。
その過激さがあるから、反作用的に北アイルランドの深刻な問題が浮き彫りになり、尚且つフィーガンの危機的状況が克明になるのかも知れないが、う~~~ん???奇麗事を言わせて貰えばやはりやりすぎ、なんだか読んでいて疲れてしまった。最後の方ではそうした暴力シーンは読み飛ばし、そうなると、物語の薄い部分が見えてきてしまったのだ。
物語を追うというよりは、いかに凄惨に人々が死んでいくかという部分のほうが本筋に感じられた。好意的な見方をすれば、それこそが著者の言いたい現実の厳しさ、大義名分が薄弱になり、ただ暴力だけが支配する戦争の無意味さだったのか?とも思う。だとしたら、そのメッセージは強烈に伝わったと言えるだろう。
暴力と暴力と暴力、果たして北アイルランドが流した血は何だったのか?余りにも虚無感のただよう現実である。汚い政治と、形だけの和平。人々の心にくすぶり続ける反発心、平和では溶けない、長年の遺恨。北アイルランドは、何も変わっていないのだろうか?この作品を読むと、そうした虚しさが湧き上がる。単なるバイオレンス小説として読みきれば良いのだろうが、厳しいことを言ってしまえば、それだと本作は中の下程度の単純な出来である。ラストに至っても、フィーガンに関しての処理が甘い。母の慈悲も余り心に響いて来なかったのが残念。結果的に膨大な殺人を犯したフィーガンを寛大に見ることが出来なかったのは、やはり全編を通して描かれる凄惨さのせいかと思うが、その上でももう少し悲劇的な結末のほうが、物語としては引き締まったかも?などと思う。

ベルファストの12人の亡霊 (RHブックス・プラス)ベルファストの12人の亡霊 (RHブックス・プラス)
(2010/08/10)
スチュアート ネヴィル

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