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読書はライフワーク、映画鑑賞は人生の潤い、旅行は趣味にしたいなぁ♪日記は日々の覚書き。

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黄金の心

2011/03/20 23:20 ジャンル: Category:2011年☆日記☆
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『娘さんよ、この金で何か食わせてくださらんかね?どんなもんだっていい。一日中何一つ食っていないもんだからよ、もう目が廻りそうでね・・・・・・』
こう言った婦人は、ぼろぼろになっているけれど割と品のある黒服を着た老婆だった。手には一ペニー持っている。「娘さんよ」と呼びかけられたのは生活に疲れた四十歳の婦人で、喫茶店を所有しウェイトレスもやっている人だった。
老婆の願いがどのように受け取られるか、老婆自身に負けないほど熱心に私も反応を待った。午後四時を廻っていて、老婆は空腹で死にそうだった。店の女は少しためらっていたが、子羊と豆のシチューを大皿に盛って運んできた。
―中略―
でも大事なのは、これは一皿六ペンスしたのに、女主人は老婆に一ペニーで提供したということだ。昔から良く言われるように、貧しい者が一番慈悲心に富むというのは、この場合にも真実だったわけである。』
ジャック・ロンドン著/どん底の人びと ロンドン1902
行方昭夫訳
岩波文庫版より


この名作ルポを読んだ際、私が最も心に残ったのはこのエピソードだった。
現在の繁栄からは想像も付かないような当時の悲惨な姿に胸を打たれ、貧乏人が貧乏から抜け出せない悪循環を救おうとしないイギリス政府に憤り、貧乏人を動物のように扱う裕福な人々の嘲笑的な態度に憤りを感じた。しかしそれよりも、人生を生き抜こうとする人間の強さに、物事の見方を変えるほどの感銘を受けた作品なのだ。上記抜粋した以外でも、様々に思い出されるシーンはあるのだが、これは、日々泣きながらページをめくっていた私を、ほぼ号泣に追い込んだ場面だった。

みすぼらしい老婆の姿や、その後のマッチを売ったなどと言う自慢話の悲劇的な側面ではなく、疲れきった女主人の、諦めとも似た慈悲の心に衝撃を受けたのだ。恐らくは、そんな大盤振る舞いをしてはきりが無い状態だったろう。1人許せばまた1人・・・、しかしだ、その瞬間に女主人の脳裏を過ぎったのはいかなることか?自身の母親を思い出したか、自らの将来を想像したか、当人しか分からないことではあるが、老婆の手に握り締められた1ペニーの価値を知り、それを得る努力を思い、同じ痛みを抱えるものとして見捨てることが出来なかったのではないかと憶測する。

私もまたこうありたいと強く願うものであり、そうあろうと努力するものである。そして私がアイルランドに猛烈に惹かれるのには、そうした貧しい者の黄金の心が彼の国の人たちには宿っていると感じるからである。
この度の震災で、アイルランドは100万ユーロもの義援金を用意してくれた。ケルティックタイガーの好景気も今は昔。金融支援を受けるまでになったアイルランドであるが、そこはそれ、やるべきと思うことをしてくれた。その際の副首相のコメントは、『日本がEUに対して行った支援要請への対応だ』とのこと。ありがたい。
国がどうであろうが、大小様々な支援を行ってくれている世界各国。そしてその人々。台湾ではチャリティーコンサートが開かれ、その募金額なんと21億円も!アメリカでもそうした呼びかけが続いている。芸能人はその知名度を活かした活動を行い、一般の人々も温かいコメントを寄せることから、草の根的な募金活動を立ち上げるなど様々だ。今インターネットで『義援金』などのキーワードで検索してみると、本当に様々な活動が生まれているのが分かる。
しかし現状は今もって過酷であり、日々を普通に暮らせる私たちには伝えられない、地獄のような情況が蔓延しているらしい。医師不足、医療、生活に関する物資不足。今はただ、物資そのものよりその移送手段が難しいのかも知れない。圧倒的に不足する物資、その購入にも当てられる私たちの募金。ただ、この募金の流れが見えないのが、個々人にとっては歯痒いのではないだろうか?時折漏れ聞こえてくる拡大する避難所や救急所の悲惨な情況、お金は送られているはずなのに?とついつい先走る気持ちが抑えきれなくなる。

危機的状況にある人達はもちろん心配だが、見渡してみると、平和そうに見える周囲の人にも、暗い影が忍び寄っているかも知れない。私の友人も、ストレス性の障害に悩まされているそうだ。彼女の場合は、東京にいるのに自分が怖がったり悲しんだりすることへの罪悪感や羞恥心なども、症状に拍車をかけているようだ。安全な地域に暮らす皆さんも今一度周囲を見回し、人知れず苦しんでいる友人知人がいないか確認して欲しい。もしそんな存在に気がついたら、話を聞く、カウンセラーを探すなどして、大切な人を助けてあげて欲しい。直接的に東北や茨城の人達を助けることは出来なくても、身近な人を救うことは出来るはずだから。

そんな私は、今回の地震、これからの地震に大して恐怖を感じていなかった。差し迫った生活上の問題が山積していたからかも知れないが、それ以上に、この惨事を見ていたら、『なるようになる』としか思えなくなった、というのがある。
それでも、切らさず襲う余震の連鎖、放射能汚染の過剰なまでの報道、会社の不安定な出勤情況、計画停電による交通機関の麻痺などなどで、精神的にはかなり疲労を感じていたらしい。それを改めて感じたのは、『アフガニスタンからの支援』のニュースを知ったときだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110314/dst11031400390010-n1.htm
戦争で瓦礫の山になった国、かつては美しかった国。長期に渡って破壊されつくされた国は、今緩やかに復興の道を歩んでいる。今もって余談を許さない情況もあるという、そんな国からの、心尽くしの支援。『日本のような国にとっては大したお金でないことは分かっている』という謙虚さは、なんとも泣かせてくれる言葉である。これまでの日本の支援に対するお返しだと言う。道を作り、瓦礫を片付けてくれた日本へのお返しなのだと。
もうとにかく、前後不覚になるほどボロボロ泣いた。嬉しくて感謝して、その決断を下した人の勇気に、思い遣りに、貧しかろうが打ちのめされようが、決して失われない黄金の心に感動して。気持ちの制御が効かなくなった。5万ドルという金額もまた、その誠意の象徴のように感じられた。最悪を知るからこそ、痛みを理解するからこそ。『貧しい者が一番慈悲心に富む』。ジャック・ロンドンが心に浮かんだ。
しかし恐らく私が泣いたのは、このニュースの内容だけではない。それまで私は、泣くことが出来なかった。心のどこかで、これが日本の出来事だと思えなかったのかも知れないが、どれほど悲惨なニュースを見ても涙が出てこなかった。心のフィルターを押し上げて、無感動になる事で自分を守っていたのかも知れない。しかし遂に、人間の寛大さに触れて決壊した。これまでの数日間の涙が、一気に押し出された感じがした。そして、不思議と心が軽くなった。
それ以来、東日本大震災のニュースを見ては号泣するようになったが、それはそれで良いと思っている。私は私なりに、自分で出来るセラピーをしているのだ。

アフガニスタンには、実際的な支援以上に私自身が助けて貰った感があるのだが、そこで1つ、悔やまれることがあるのだ。私が常日頃から募金を欠かさず気に留めるようにしているのは、様々な思いがある中で、1つ、『もし自分だったら?』という思いがあるからだ。
ただ受け取るばかりの人間にはなりたくない。とは言え、日本で暮らしている以上、支援を受ける立場には恐らくなり難いだろう。それがどれほど幸せなことかといつも思う、だからこそ私は、永遠に見返りなど無いことを希望して支援を続ける。しかし今回私は、アフガニスタンに支援をしていないのだ。それが、大きな悔いになっている。
この悲劇が落ち着いて、東北が新たな道をしっかりと歩み始めたら、次は私の番。アフガニスタンにお礼をさせて頂きたい。非力で、募金をすることしか出来ないけれど、それでも、この感謝の気持ちを少しでも送りたい。日本が立ち直って行くのと同じように、アフガニスタンにも、かつての美しい国を取り戻して欲しいから。

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