* WanderLust *=memorandum for me=

読書はライフワーク、映画鑑賞は人生の潤い、旅行は趣味にしたいなぁ♪日記は日々の覚書き。

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- ジャンル: Category:スポンサー広告
TB(-) | CM(-)Edit

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『そんな日の雨傘に』

2011/04/15 22:56 ジャンル: Category:読書【コメディ・その他】
TB(0) | CM(0) Edit

ヴィルヘルム ゲナツィーノ 著/鈴木 仁子 訳/EXLIBRIS
46歳、ほぼ無職、恋人に最近捨てられ、でもそんな元恋人の手切れ金・・・のようなものが財産の全て。老い行く自分に傷つけられながら、家にいたくなくて毎日街中をさ迷う。さ迷うには、それなりの理由もあるのだが。町では様々な面妖な出来事に出逢う。その度、男は数珠繋ぎのように色々考える。人の存在に堪えられなくなったり、妙に人恋しくなったり。そしてばったり出くわす古くからの友人達。彼らもまた、男の存在価値を混乱させる要因だった。果たしで『自分』は、生まれる許可を貰っているのだろうか?

延々と続く独白で物語が進む。しかも主人公はかなり根暗。理論的で御託好きで薀蓄好きで、複雑なのか衒学的なのか、はたまた単に簡単な事を捻くれて捉えたいだけなのか、とにかくうんざりするような形式的なぼやき屋だ。普段の私なら、こんな小説は読み始めて速攻読み止める、耐え難い!こんなうざったい奴!ところがどっこい、結構面白く読めてしまったのだ。幾つかの独白は心底うんざりさせられるものだったが、このおやじの語り、どことなく軽やかで、ぐじぐじうじうじしているようで、どこか達観したあっけなさを感じる。
なにより、ほぼ無職でいい歳をして、恋人に捨てられ、しかもその恋人すら早期退職者の年金生活者。それなのに、そんな女に養われるほどダメ人生。働くのが嫌いだし、会社という方にはまるのは性分じゃない。高学歴なのにそれを生かせず、生かすとすれば下らない独白にだけ。社会に対する嫌悪か劣等感かは知らないが、物事を湾曲して捉えてネガティブで、馬鹿らしいことに深い意味を見出して、町行く人を見下して、そのくせ自分が矮小であるとは余り思っていないらしい、なんて自分勝手。そんな主人公が、途中から妙に人間臭く感じられて、そうした浮世離れした学者の振りをして、自分の殻を守っているのかな?などと考えたり。
自分が許可をしてないのに存在しているという思い、それ自体が逆説的で意味分からないが、仮に必要ならその許可は両親が与え、友人が与え、自分が歩む人生が与える。あるいは死ぬその日に初めて、その許可が与えられるのかも知れない。意味のある人生を送って初めて許可が得られる、この男の人生では、例え私でも許可なんて出せやしない。
こういうタイプは、生きる許可だとか何とか、簡単には解決できそうもない問題を悩んでいたいのだ、その悩みが様々な悩みを連鎖させ、一生分の悩みを生み出せる。そうして悩んでいる自分が好きなのだろう。だから放っておけ、だ。そのくせ、遊び半分で女性と戯れてみたり、少しはまともな生活がしたくて靴を売ったりもする。高尚な印象を与えようとしているのに、行動は思いっきり下世話で、そんなところがコミカルな印象を与える。幼馴染の女性のために、レストランを捜し歩いたりもして、完全には俗世を捨てきれない人間臭さが面白い。
こうした奇怪な独白と言えば、ジャン=フィリップ・トゥーサンを思い出す。こちらの方は、完全に世間を煙に巻く飄々とした語りで、一見意味の無いナンセンスで構築されているようで、時々はっとするような真理をつぶやいたりもする。軽やかな独白がとにかく面白い作品だ。もちろん個人的にはこちらの方が好きなのだが、同じ匂いを漂わせつつ、もう少し高尚(ぶった)のが本作という印象。
ラスト近くでは、いかなる手法にしろ、主人公の先の人生が上手く行くような印象があって、思わずニヤリとしてしまうところもあった。最高に面白かったか?と問われれば否ではあるが、こんなウジウジ野郎が主人公な割に、個人的には驚くほど面白く読めた作品なんである。

そんな日の雨傘に (エクス・リブリス)そんな日の雨傘に (エクス・リブリス)
(2010/06)
ヴィルヘルム ゲナツィーノ

商品詳細を見る

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

プロフィール

hiyo

  • Author:hiyo
  • たった二つの趣味、映画と読書を中心に、日記を書いてみたいと思います。
    最近、自分の時間を充実させたいな、と結構真剣に思っていたりして。文章を書くのも結構楽しいし、誰かが通りすがりに読んでくれたら、嬉しいかな、とか思っている。
名言・格言集
Now on-line
現在の閲覧者数:
Thanks for visiting
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
ブログ内検索
googleで検索
2011年読書記録更新中!
今はこんなところ・・・
hiyo07さんの読書メーター
携帯でも、読みたいですか?
QR
Blog Ranking
ちょっと登録してみたよ?


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。