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『しずかに流れるみどりの川』

2011/06/23 23:48 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ユベール・マンガレリ著/田久保 麻理 編/白水社
プリモは父さんと2人暮らし。村で唯一のコンプレッサー工場を解雇された父さんは、日雇い仕事で何とか日々を繋いでいた。プリモは歩くのが大好きで、長い草が生えた広場を掻き分けて自分だけのトンネルを作った。トンネルの中を歩くとき、プリモは様々なことを考える。父さんとプリモはお祈りを欠かさない、2人のお祈りには蔓バラが登場する。父さんとプリモは蔓バラを育てて、それを売って一儲けしようと考えたのだ。毎日たくさんのビンを中庭に出して、水をやって、大事に育てる。しかしとうとう電気までも止められて、父子の生活は追い詰められていくのだった。

これは、なんとも素敵な小説だ。電気も止められ、食べるものも乏しくて、それでも、プリモは秘密のトンネルを歩いているだけで幸せだ。父さんとお祈りをして、夜は2人で会話して、結構悲惨な情況のはずなのに、この親子にはユーモアと愛と希望がある。
電気も止められた真暗な部屋で僅かなろうそくを節約する2人は、何もすることが無い代わりに希望に満ちた会話を交わす。今の時代、こんな素朴な楽しみを共有できる親子はどれだけいるだろう?食べものが無くても、蔓バラが育つという希望がある、お互いを思い遣る気持ちがある。そんなことが切々と書かれているのだが、ちっとも泣けて来ない。感動よりも、暗闇に灯された彼らのろうそくのように、ほのかな温かみがじんわり心に広がっていく感じ。
後半、親子にはちょっとしたお楽しみがある。幼いプリモには初めての経験なのだが、ある秘密があるために、プリモは心から楽しめない。しかし父親は、そんな息子の気持ちには全く気付かない。このお父さんがとにかく素敵。『これぞ男親!』という徹底した不器用さとがさつさが、この物語をしんみりした涙から救い上げ、絶妙なユーモアで彩ってくれる。
結局プリモも、素直で健気な少年ながら、この親にしてこの子ありという不器用さ。そんな2人がラストでぶつかって、とことん不器用に示す愛情にホロリとさせられる。父親は息子のことが誇りで、電気を通すことよりも、息子に一時でも贅沢をさせてやりたいのね。息子のことをお金よりも蔓バラよりも自分の幸福よりも愛しているのに、どうしても上手く表せない不器用さ。そして息子も上手く気持ちを表現できない、大好きな大好きな父さんに。ああ、良いわね、こういう男同士の無骨さって(笑)。
ラストの展開も可笑しくて、デコボコ親子の暖かい後姿が見えるようだった。これほど短い作品なのに、これほど実のある仕上がりなんて、この作家凄いな。削ぎ落とすだけ削ぎ落として、それでもまだこんなに内容があるなんて本当に凄いと思う。フランスの作家なのでフランスが舞台なのだろうが、プリモという名前からもイタリアを連想させ、何となく映画『自転車泥棒』の親子を思い出した。あの映画よりもっとずっと軽快だけどね、ピザ屋のシーンなんて、かなりダブる感じだったわ(笑)。

しずかに流れるみどりの川しずかに流れるみどりの川
(2005/06/28)
ユベール・マンガレリ

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