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『ショーン・オフェイロン短編小説全集 第1巻』

2011/12/31 13:53 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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ショーン・オフェイロン著/風呂本 武敏監訳/新水社
多くの作品は1900年代半ばを舞台に、アイルランド独立とイギリスの見えない支配などの複雑な背景を溶け込ませ、市井の人々の素朴な暮らしを通して『アイルランド』という国を緻密に描いた短編集。

リリパット:遠藤佐織訳/フーガ:山田久美子訳/愛国者:井出あかね訳/年老いた裁判所主事:中杏樹訳/罪人たち:武藤美代子訳/不協和音:大井佐代子訳/無邪気な時代:風呂本武敏訳/鱒:太田妃早子訳/獄舎の蔭:太田晶子訳/情熱:太田妃早子訳/一通の手紙:風呂本武敏訳/坊や:山田幸代訳/毛皮のコート:風呂本武敏訳/唯一の本当の友:宮地きみよ訳/ユダの感触:宮地きみよ訳/レコードの終わり:小沢茂訳/藁編みの椅子:小沢茂訳/秋の気配:井上怜美訳/似た者同士:藤岡佳恵訳/天使にして恩寵をもたらす者:磯部哲也訳/人間らしいこと:若尾梓訳/ビリー・ビリー:河合利江訳/明けの明星の出る前に:河口和子訳

ショーン・オフェイロン、聞いたことがあるような、無いような?アイルランドに旅行に行くと、各所で『アイルランドを代表する作家』のあれこれを目にする。ライターズ・ミュージアムあり、カレンダーには作家達の写真を揃えたものもある。様々な顔を持つアイルランドの非常に強く、また国民が自然に受け入れて誇りに思う1つの側面は、『文学の国』であるということ。
多くの優れた作家を生み、アイルランドという国がイギリスの植民地でもなく、ヨーロッパの片隅でもなく、優れた人材を擁する国であるという知的な側面を代表するものである。
その多くは私小説を描き、その要素には、宗教や植民地化された国のあり方、閉鎖的な国民感情など、暗い部分を強く感じるものが多い。アイルランド人であるが故の作品と言うのが多いのだが、本作もそうしたものを感じずにはいられない作品群だった。
国があり、国民であるというアイデンティティがあって作品が存在するのだから、その国の要素が強くて当たり前なのだが、アメリカやイングランドなど先進国の多くは、そのベースの上に成り立つ『個人』が生み出す物語が目立つ場合が多い。例えば舞台を別の国に移しても、その物語は立派に成り立つ。
南米や東ヨーロッパなど、近代でも国として確立するのに多くの弊害や障害と闘ったような国の作家は、祖国が祖国であるが故の作品が多い。舞台を移してしまったら、作品の持つ強固なアイデンティティが瓦解してしまうような作品。思うにアイルランドの作品は、その中間のような位置にあると思う。
で、そんなことを痛烈に感じさせる作品集だったのだ。
作品の並びがどうであったのかは知らないが、前半部は散文的で精神的な特色が強いように感じたが、後半になるに従って、ユーモラスで肩の力が抜けた面白味が強くなる。『坊や』や『毛皮のコート』などは非常にアイルランドらしく、それでいてどこか滑稽で穏やかな感じ。それ故にまたアイルランドらしいと感じられる。
『明けの明星の出る前に』などは、アイルランドに対する嫌悪と愛情が絶妙なまでに入り混じり、それでもやはり、祖国に対する愛情なのかなぁ・・・などと思ったり、いやしかし、単なるシニカルな皮肉なのかと思ったり、とにかく物語の根底に流れる感情を捉えようとすると面白い。
『藁編みの椅子』などは情景豊かに、猛烈な哀愁を込めて在りし日の牧歌的なアイルランドの姿を思慕しているように感じられるが、『年老いた裁判所主事』などは徹底的にその『らしさ』をあげつらっているような感じ。
これまで既に日本で紹介されて有名なジョン・ヴァンビルやジョン・マクガハンなどよりは読みやすく受け取りやすいような気がするのだが、短編揃いだからそれも当然なのかも知れない。第1巻ということは2巻もあるのか?長編は翻訳されるのか?と期待させるのだが、果たしてどうなのだろう?短編は非常に読みやすく面白かったので、ぜひぜひ長編を・・・と願うのは過ぎた期待なのだろうか?

ショーン・オフェイロン短編小説全集 第1巻ショーン・オフェイロン短編小説全集 第1巻
(2011/10/10)
ショーン オフェイロン

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