* WanderLust *=memorandum for me=

読書はライフワーク、映画鑑賞は人生の潤い、旅行は趣味にしたいなぁ♪日記は日々の覚書き。

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- ジャンル: Category:スポンサー広告
TB(-) | CM(-)Edit

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『犯罪』

2012/03/03 00:23 ジャンル: Category:読書【ミステリ・サスペンス・犯罪】
TB(0) | CM(0) Edit

フェルディナント・フォン・シーラッハ著/酒寄 進一 訳/東京創元社
捨てないと誓った妻を殺害した意思のジレンマと満足。強盗に入った先で盗んだ茶碗が引き起こす思わぬ悪夢。盗難の罪を着せられた兄を救うため、聡明な末弟が取った意外な行動とは?お互いを愛するが故に生まれた殺害事件。統語失調症の地主の息子と消えた少女の関係は?美術館の同じ場所、長年勤めた男がどうしても気になったのは、棘?事件ではない死のために、娼婦とその恋人は翻弄する。町のチンピラに絡まれた大人しそうな男、しかしその早業の防御は果たして正当防衛だったのか?恋人の背中、彼には例えようも無く甘美なものに見えて・・・人生に疲れた男が渡った異国、そこで見出した人生の幸せとは?犯罪は起こるべくして起こるのか?それは悪意だけから生まれるものなのか?刑事弁護士として犯罪の世界を見てきた著者が送る、まさに珠玉の短編集。

フェーナー氏/タナタ氏の茶碗/チェロ/ハリネズミ/幸運/サマータイム/正当防衛/緑/棘/愛情/エチオピアの男

最初の『フェーナー氏』を読み終わったとき、これは、噂に違わずトンでもなく面白い作品集に出逢ったと思った。宣伝に偽りなし!さすが東京創元社さんお目が高いですねと、読み手としても気分が高揚した。その後中ごろの短編には多少の浮き沈みも感じたものの、やはり幾つかは瞠目すべきプロットを持った作品があった。そうしたプロットを、実にサラリと、簡潔に面白くまとめている手腕は見事という他ない。
基本は必然にかられて犯された犯罪と、その裏をかくような法律の制裁を描いている。それでも一辺倒な作品ばかりでなく、基本を守りつつそれぞれの毛色は違うので飽きさせない。それでも共通していると思うのは、著者の人間への愛情だと感じられた。人間って愛すべき存在だと、著者が語っているように思うのだ。
真っ当に生きているつもりでも、悪いと思っていなくても、もうほとんど無意識でも犯してしまう犯罪。その裏にあるのは悪意ばかりではなく、必然に後押しされた愛情や悲哀だったりするのだというメッセージが感じられた。そんな犯罪に対する人間的な裁量に対して、自身が関わってきたドイツの法制度に対する自信や尊敬が感じられる。その反面、法律の抜け穴を指摘してもいる、著者自信も十分に公平である。
そうした意味合いが感じられるのは、冒頭の『フェーナー氏』はじめ、『幸運』『緑』『棘』『愛情』などと数多い。『ハリネズミ』は逆に方の抜け穴を見事に突いたちょっと落語のようなオチ、『サマータイム』は悲壮感漂う結末だった。『棘』は何とも滑稽なのだが、押さえつけられた閉塞感はかなりのもので、その気持ちが主役と共にラストに向かって一気に解き放たれる様は何とも爽快だったりする。『愛情』はちょっとばかり狂気染みてはいるが、なんともホンワカした感じがあるのが不思議だ。
そして最後の『エチオピアの男』は珠玉。他よりも少し長い作品だし、読後はちょっとした長編を読んだような充足感がある。一人の男の数奇な運命を逆回しで語る構成、読者の引き込み方は長編の手腕。その後に語られる愛情と心情、法という一見捻じ曲げがたい堅物を、ジワジワと折り曲げていく筆致。ラストに訪れる爽やかな感動は心が洗われるような静けさと優しさがある。
全体的には、我ながら偏見かとも思うがドイツらしい無機質な清潔感漂う文体で、真っ白な空間の中に必要最小限を歴然と並べたような感じがする。しかしそこがまた個性的で派手さが無くて大変好み。飽きるまで延々と読み続けていたいと感じさせる作品ばかりなのだが、ありがたいことに、新たな短編集が既に発売されているとのこと。この薄さでこの満足感、なかなか得られるものじゃない。

犯罪犯罪
(2011/06/11)
フェルディナント・フォン・シーラッハ

商品詳細を見る

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

プロフィール

hiyo

  • Author:hiyo
  • たった二つの趣味、映画と読書を中心に、日記を書いてみたいと思います。
    最近、自分の時間を充実させたいな、と結構真剣に思っていたりして。文章を書くのも結構楽しいし、誰かが通りすがりに読んでくれたら、嬉しいかな、とか思っている。
名言・格言集
Now on-line
現在の閲覧者数:
Thanks for visiting
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
googleで検索
2011年読書記録更新中!
今はこんなところ・・・
hiyo07さんの読書メーター
携帯でも、読みたいですか?
QR
Blog Ranking
ちょっと登録してみたよ?


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。