『フリッカー、あるいは映画の魔』(上)・(下)

セオドア ローザック 著/田中 靖 訳/文春文庫
大学生のジョナサン・ゲイツは、映画狂の巣窟のようなクラッシック座に通う内、経営者のクレアと知り合い、映画の世界にはまっていく。そんなとき、偶然見つけた愚作の決定版のようなホラー映画。低予算かつ劣悪な状況で作られたにも関わらず、卓越した技術を秘めた不思議な作品の魅力に取り込まれていくジョナサン。謎めいた監督、マックス・キャッスルの姿を追う内に、ジョナサンは怪しげな教団へと近づいていく。

読みの苦しみだった。こんなに苦しんで読了したのに、後には何も残らない。。。疲れを感じる作品だった。しかし本作は、一般的な評価や専門家の評価は高いので、個人的な好みの問題であり、私のお脳が著しく足りないが故の結論だと思う。そんなわけで、この感想は足しにはならないな。
映画なら結構好きだし♪という単純な思考も手伝って読み始めたのだが、この作品が取り上げるのは1950年代より以前のものが殆ど。実は私、その辺りは余り知りません。かなり有名なのぐらい。『天井桟敷の人々』、、見ておけば良かったな〜と後悔するぐらい。
余りの文章の小難しさと、湾曲で長い説明文にかなりうんざりした。正直、論文かと思った。主人公は、大学生から映画学科の教授になるぐらいなので、専門的に解釈するのは正当だろうが、面白味には欠けると思う。
それを省いてしまったら、大した話とも思わない。いや、全体像を理解できなかったから、思えなかったのかも知れない。
1つの職種を深く掘り下げ、独自の物語と融合させ、トリビアな職務情報満載なのに、なおかつ面白い作品を書く作家を知っている。『ホテル』『殺人課刑事』などを描いた、アーサー・ヘイリーだ。
彼の場合は、驚くほど綿密に細かく職業を分析し、その職務内容も非常にディープだ。一辺倒にイメージ先行の描き方などしていない。ミステリには不要な職業的描写も多いのだが、そのどれをとっても難しいのに面白い。専門用語も多用しているが、絶対に嫌になったりしない。
アーサー・ヘイリーの場合は、例えどんなに難しくても、読者は素人である、ということを熟知していると思うのだが、本作の作者は、解る人だけ解れば良いという、知識のごり押しを感じた。
しつこいようだが、そんな偉そうな文章の割に、内容は大したことは無かった。狂信者やカルト集団、使い古されたネタである。
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