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『プラハ冗談党レポート』

2012/07/26 01:31 ジャンル: Category:読書【コメディ・その他】
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ヤロスラフ・ハシェク 著/栗栖 継 訳/ブッキング
著者ハシェクを代表に立てて選挙戦に打って出たボヘミアンの政党『法の枠内における穏健なる進歩の党』。選挙戦では大敗を喫したものの、それは構わない。なぜなら、登録された正式なる党ではないからだ。しかしながら、彼らの掲げた政策は明日のチェコを再建し、ボヘミアンに優しく、飲酒を義務とし、動物を擁護する心温まるものだった。そんな党員と彼らを取り巻く多くの人々をユーモラスに時に手痛い風刺を利かせ、生き生きと(たぶん)活写した貴重なるレポート集・・・たぶん。

第1部 穏健なる進歩の党の年代記より(初期の綱領オポチェンスキーとクリメシュ ほか)
第2部 穏健なる進歩の党の三名の伝道の旅から(チェコの批評家フランティシェク・セカニナ教授画家のヤロスラフ・クビーン ほか)
第3部 党は選挙戦に打って出る(最近の選挙活動での法の枠内における穏健なる進歩の党のマニフェスト偽造された、または腐敗した食料品について ほか)
第4部 法の枠内における穏健なる進歩の党のスパイ事件(「チェスケー・スロヴォ」編集局の一日「チェスケー・スロヴォ」編集長イージー・ピフル ほか)

面白かった!軽妙洒脱という言葉が即脳裏に浮かぶ。それでいて、深く考えればなかなかに痛烈な批判も持っている。さすがに、無駄にボヘミアンを自称して、大酒を飲んで破天荒な人生を送って、あたら早死にしたワケじゃないないのね。
今の世界で、ボヘミアンを地でいける人はなかなかいないだろう、死語では無いけれど、ある意味では死滅した部族に値するような気がする。どこかで逸脱できない常識を抱えざるを得ない昨今、芸術を愛し、謀反な生活を志し、人生を楽しみと自らの信念だけで貫ける人は少ないと思う。
ボヘミアンと聞くと、少し影のある苦悩する芸術家を時たま想像してしまうのだが、本書の中の彼らは、また違った一面を十分に見せてくれる。その影で起こった歴史上の出来事、著者ハシェクがこの後に辿った運命などを考えると、単に馬鹿騒ぎだけではない意味があるのは解るのだが、物事を陰鬱に世に示すより、笑いと言う煙幕を張り巡らして表現するほうが、私は遥かに素晴らしいと思う。
カフカの同時代、同世代の人だという。カフカの作品も大好きだが、こればかり読んでいては、チェコという国がとかく暗く虐げられた国、という印象が強くなる。本書を読んでいる間、数年前に訪れたプラハの町並みが、驚くほど鮮明に蘇ってきた。カフカを中心に回ったあの時の印象が、鮮やかに覆されていくのを感じた。
そして、美しさと歴史を備えたあの町並みを再び練り歩き、作中の陽気で個性的な人々が、ハシェクと共にたむろし、語り合い、人生を謳歌した姿を見出せた気がした。旅行に行く前に出逢いたかった、そして、本書に記された場所、場所で、何度もページをめくりたかった。
本書における最大の魅力は、何と言っても翻訳者、来栖氏の功績だろう。8年を費やしたという翻訳作業、発売を待たずに98歳でお亡くなりになられたと言う。翻訳作品を愛するものとして、これ以上の贈り物はないだろう。
エスペラントとして、チェコ文学を日本に紹介し続けた賢人として、人生最後の大仕事。滑稽でシニカルな文章の影に、大いなる慈愛を感ぜずにはいられない。紡がれる言葉1つ1つを無下にすることなどできず、一言一句、大切に読ませていただいた。ただでさえ遅読な私に対してこの大作長文、もちろんの如く時間はかかったが、その分名訳を心行くまで堪能した。素晴らしい作品を世に出してくれた編集者の方にも、最大限の感謝を贈りたい。

プラハ冗談党レポート: 法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史プラハ冗談党レポート: 法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史
(2012/06/05)
ヤロスラフ ハシェク

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