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『ブルックリン』

2012/09/15 20:44 ジャンル: Category:読書【ドラマ】
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コルム・トビーン 著/栩木 伸明 訳/エクス・リブリス
アイルランドの地方エニスコーシーに暮らすアイリーシュは、戦後の不景気の最中仕事もままならない状態だった。活気のある姉ローズの手引きで、アメリカ・ブルックリンに赴任している神父の助力を得て、当時誰もが憧れた『成功する国』への移住を決めた。アイリッシュ・コミュニティで暮らし、デパートの売り子として働き、夜は簿記の学校へ通う日々。故郷を懐かしく思いつつも遠ざかっていく不安の中で、トニーというイタリア系の青年と出会って恋に落ちる。しかし思わぬ事態が故郷で持ち上がり、久し振りの帰郷を決めたアイリーシュ。アメリカで変わった彼女を待ち受けていたアイルランドで、アイリーシュは何を感じるのだろうか・・・?

これだけ漁って来たら、もうアイルランド出身の作家にはそうそうお目にかかれないと思っていたのに、まだいたのねぇ(当たり前だけど(笑))。初翻訳ではないのがまた憎い、一体どうして見落としていたのやら?しかも本作は栩木伸明氏の翻訳。あらあら、ちょっと遅めの誕生日プレゼントみたいじゃないのぉ♪
ということで概ねウキウキ気分だったのだが、マニアとしては、舞台の大半が『ブルックリン』というのが少々不満というタイトル全否定(笑)。ボストンではないのがまた憎い・・・のか?
戦後の不景気に押されて、何度目かの移民ラッシュがあったアイルランド。2世、3世ではなく、アイルランド人で成り立つ移民コミュニティの存在が根強く、アメリカに暮らす生粋のアイリッシュという立場が際立つ時代設定だった。
言葉が通じるだけ楽だとは思うが、何しろ1950年代のアイルランドは文明からとっぷり取り残された感のある時代だ。そんなアイリッシュがいきなりアメリカに放り込まれて、そこで感じるホームシックや戸惑いなどが、アイリーシュを通して繊細に生き生きと描かれている。
アメリカへ行けば成功できるという神話に翻弄され、その世界に染まりたくないと思う反面、生き易さに流されていく。気がつけば立派なアメリカンアイリッシュとなったアイリーシュは、なんとブロンクスで、イタリア系の恋人を捕まえてしまう。
1950年代という閉塞的な時代、戦後の時代、アイルランドの移民、復興目覚しいアメリカ、イタリア系とアイルランド系の確執、第二次大戦において中立を保ったアイルランドであるが故か、国民にある種の無知さを蔓延させてしまう。そうした様々な要素を、アイリーシュという朴訥な女性を通して描き出してしまうのだから、上手いとしか言いようがない。
穏やかで淀みの無い筆致、アイリッシュと言わずキャラクターの心の奥深くまで覗き見るような丁寧な描写。あと書きでも記されていたように、先達の著名作家の雰囲気に准えられることも多そうだ。
確かに、ジョン・マクガハンと言われば・・・?近年ではウィリアム・トレヴァーに近付いたと言われれば・・・?どちらも納得できるのではある。本作に関して言えば、多少皮肉が混じったような、アイリーシュの控え目で主張が出来ない人物造形は、マクガハンの嘲笑気味なキャラクター設定と似ているような気がして・・・ちょっとイラついた(笑)。
ラストも大分考えてしまったが、結果的にアイルランドとアメリカ、双方の良い面の対比に終わったような気がする。イギリスの良い面が全く描かれていないのもまた・・・(笑)。結果としてアイリーシュは、自分が生きるための決断をせずに終わった。誰かに暗に促された道、選ぶべきとされる道徳的な道。だからきっと、アイリーシュはアメリカへ戻って正解だったのだと思う。アメリカの方が逆に、アイリッシュ魂を持った強い女性にアイリーシュを変えてくれそうな気がするので・・・アイリーシュなだけに・・・(お粗末様です)
一度出て行ったら二度とは戻れない、そんな決意が伴った当時の移民。アメリカでアイリーシュは、イングランドへ行った兄の替わりにいつか母を呼び寄せるのだろうか?または、急ぎ過ぎた結婚に破れ、カソリックの教えに反して離婚し、いつかアイルランドに戻るのだろうか?・・・うむ、、、妄想続編脳内にて連載中。

ブルックリン (エクス・リブリス)ブルックリン (エクス・リブリス)
(2012/06/02)
コルム トビーン

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