『チョコレート・ウォー』
ロバート・コーミア著/北沢 和彦 訳/扶桑社ミステリー
トリニティ学院の新入生ジェリーは、母を病気で無くし、屈折した青春時代を迎えようとしていた。世俗的な学院には生徒が仕切る秘密組織『ヴィジルズ』があり、彼等は権力を楯に数々の『いたずら』を生徒に強要していた。学院の運営資金調達のためのチョコレート販売の時、ヴィジルズのいけにえにされたのはジェリーだった。彼は指示によりチョコレートの販売を拒否、最も恐ろしい教師ブラザー・リオンから睨まれてしまうのだが、何故かジェリーにはそれが正しい事に思え、ヴィジルズ指定の期限が終了してからも、販売を拒否し続けるのだが。。。1970年代を舞台に、何かと必死に闘う若者の姿を描いた瑞々しい青春小説。
ロバート・コーミアは『フェイド』以来2作目。と言っても、日本で読める作品は非常に少ない。『フェイド』でも感じたのだが、若者の複雑な心境を、小難しくも、変に詩的に摩り替えるのでも無く、そのままストレートにシンプルに描く作家だと思う。とはいえこの主人公ジェリーは、ちょっとばかり『若さ』を嵩にきて、遠まわしにウダウダと悩んでいる少年にも感じたのだが(笑)。
私自身の青春時代に、そうした説明不能な精神状態に陥ったことが無く、至って楽観的に能天気に過ごしたものだから、良くありがちなこうした若者の世間への反抗というのが、上手く理解できないのだ。
母を亡くした悲しみや喪失感を消化しきれないジェリーが、父の姿や世の中の存在に関して悩みチョコレート売りを拒む。最初は影の組織であるヴィジルズに強制されて、次第に自らの意志で。小心者で怯え続けているにも関わらず、拒み続けるのだ。
このヴィジルズという組織も面白い。影で仕切るアーニーはかなりやり手の青年に見えるのだが、やっている事は実に小バカしくて情けない。しかし彼等は大真面目。今時の高校生にはいないタイプだろう。そのバカらしさから生まれる深刻な問題。この辺は、作者が仕組んだシニカルな一面なのだろうか?
精神構造や物語の支柱となるストーリーはシンプルだが、ラストに絡む展開が非常に複雑。ここ最近(悲しい事に)良く感じるのだが、この作品を10代の頃に読んでいたらどうだったろう?と考えずにいられない。恐らく、10代の私が読んでいたら相当に反発していただろうが、いやもしかしたら?作者の言わんとするアイロニーを無意識に感じ取って、いたく納得していたかも知れないのだ。大人になって、世の中の複雑さも、大人が作り出す焦燥や矛盾もイヤと言うほど見てしまった今となっては、主人公ジェリーが辿り着いた結末は良く解る。しかし解る上で、それがジェリーの到達点ではないことも解るのだ。
だからこそ、この作品には続編がある。日本では絶版になっていることが悔やまれる。この作者が本当につけたトリニティ学園の生徒達、そして教師達の結末が非常に気になる。
チョコレート・ウォー / ロバート コーミア
トリニティ学院の新入生ジェリーは、母を病気で無くし、屈折した青春時代を迎えようとしていた。世俗的な学院には生徒が仕切る秘密組織『ヴィジルズ』があり、彼等は権力を楯に数々の『いたずら』を生徒に強要していた。学院の運営資金調達のためのチョコレート販売の時、ヴィジルズのいけにえにされたのはジェリーだった。彼は指示によりチョコレートの販売を拒否、最も恐ろしい教師ブラザー・リオンから睨まれてしまうのだが、何故かジェリーにはそれが正しい事に思え、ヴィジルズ指定の期限が終了してからも、販売を拒否し続けるのだが。。。1970年代を舞台に、何かと必死に闘う若者の姿を描いた瑞々しい青春小説。
ロバート・コーミアは『フェイド』以来2作目。と言っても、日本で読める作品は非常に少ない。『フェイド』でも感じたのだが、若者の複雑な心境を、小難しくも、変に詩的に摩り替えるのでも無く、そのままストレートにシンプルに描く作家だと思う。とはいえこの主人公ジェリーは、ちょっとばかり『若さ』を嵩にきて、遠まわしにウダウダと悩んでいる少年にも感じたのだが(笑)。
私自身の青春時代に、そうした説明不能な精神状態に陥ったことが無く、至って楽観的に能天気に過ごしたものだから、良くありがちなこうした若者の世間への反抗というのが、上手く理解できないのだ。
母を亡くした悲しみや喪失感を消化しきれないジェリーが、父の姿や世の中の存在に関して悩みチョコレート売りを拒む。最初は影の組織であるヴィジルズに強制されて、次第に自らの意志で。小心者で怯え続けているにも関わらず、拒み続けるのだ。
このヴィジルズという組織も面白い。影で仕切るアーニーはかなりやり手の青年に見えるのだが、やっている事は実に小バカしくて情けない。しかし彼等は大真面目。今時の高校生にはいないタイプだろう。そのバカらしさから生まれる深刻な問題。この辺は、作者が仕組んだシニカルな一面なのだろうか?
精神構造や物語の支柱となるストーリーはシンプルだが、ラストに絡む展開が非常に複雑。ここ最近(悲しい事に)良く感じるのだが、この作品を10代の頃に読んでいたらどうだったろう?と考えずにいられない。恐らく、10代の私が読んでいたら相当に反発していただろうが、いやもしかしたら?作者の言わんとするアイロニーを無意識に感じ取って、いたく納得していたかも知れないのだ。大人になって、世の中の複雑さも、大人が作り出す焦燥や矛盾もイヤと言うほど見てしまった今となっては、主人公ジェリーが辿り着いた結末は良く解る。しかし解る上で、それがジェリーの到達点ではないことも解るのだ。
だからこそ、この作品には続編がある。日本では絶版になっていることが悔やまれる。この作者が本当につけたトリニティ学園の生徒達、そして教師達の結末が非常に気になる。
チョコレート・ウォー / ロバート コーミア
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