『オリバー・ツイスト』
〔英〕OLIVER TWIST (2005年)
監督:ロマン・ポランスキー
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本:パヴェル・エデルマン
バーニー・クラーク/ベン・キングズレー/ハリー・イーデン/ジェイミー・フォアマン/エドワード・ハードウィック/リアン・ロウ/マーク・ストロング/イアン・マクニース
孤児のオリバーは9歳、奉公先の葬儀屋から逃げ出してロンドンへ向かう。歩き通しで辿り着いた大都会でオリバーは、ドジャーという、同じく孤児の少年スリと出会う。ドジャーの誘いで、少年窃盗団の親玉フェイギンの隠れ家に住み着くオリバー。そこで盗みの技を習得したオリバーだったが、逆に濡れ衣を着せられて警察に捕まってしまう。裁判の途中で気を失ったオリバーは、親切な古本屋店主の証言により無罪となり、被害者であった紳士の許に引取られるのだが。密告を恐れたフェイギン一味は、何とかしてオリバーを連れ戻そうと画策する。
超有名、チャールズ・ディケンズ原作の映画化だ。これも他の方の評価が気になって調べてみたのだが、『世界観が楽しめて良かった』派と、『古典に何の捻りも無く、オリバーも単純でつまらなかった(云々かんぬん)』派と、二つに分かれたようだ。
限られた時間の中で長い小説を映画化するには、『端折る』という何とも切ない作業がある事は否めない。この作品において、その処理は実に上手く行なわれていたと思う。
この映画は、原作者が言いたかった核心を突いて、巧みに表現されているのではないだろうか?その意図を見出すためには、オリバー1人に偏った見方をしてはいけないと思う。オリバーが生きた時代のイギリスを理解し、彼を取り巻く全ての人達を見渡してみれば良い。
舞台セットなどは非常に素晴しい。イーストエンドの殺伐とした雰囲気は伝わってきた。写真などで見たイーストエンドの薄汚さは、実にリアルに再現されていたと思う。しかしだ、ジャック・ロンドンの『どん底の人々』などの、当時を物語る文献などで鮮明に如実に、かつ痛いぐらいに描かれてきたイーストエンドとは、やはり少し違うと思う。かつてのイーストエンドの貧困と荒廃の凄まじさは、よもや現代の映像技術では表現できないのではないだろうか?という事で、その当時の事を、良く良く理解して鑑賞して欲しい。そして何よりも、この作品が書かれた時代を考慮して欲しいのだ。
悪者になりきれないフェイギンの存在が、最も複雑で巧みに描かれていたと思う。演じたB・キングズレーも素晴しかった。ラストに見せるフェイギンの姿から、フェイギンという人が、生まれるべくして生まれてしまう環境を考る事だろう。
オリバーと他の孤児達の対比もある。単純に良い子vs悪い子には別けられないはずだ。子供達は必死に生きていた。反して見るなら、オリバーのような少年は、1週間ともたずに死んでしまっていただろう。それか、ドジャーのような子供になるか。そこはそれ、物語だから、オリバーは『運良く』優しい人達に救われる。要するにこの物語は、オリバー以外は当時を映し出した過酷な現実であり、オリバーだけが、浮遊する夢の世界なのだ。
フェイギン一味は単純に、日々を生きることを最重要時として、必死に生きていただけなのだ。その為に過酷にならざるを得なくとも、それはなんら責められないことなのだ。階級社会が生んだ歪みの産物として、単純に批判することは出来ない。
階級差別や貧困の中にあっては、単純に善と悪を区別したり判断したりは出来ない。オリバーに降りかかった幸運は、あくまでも物語の中の御伽噺的要素だ。最後まで彼は天使のような心を持ち続けるが、フェイギンに向けた感情だけは、リアルな世界観を持っていた。過酷さを知っている少年だけが見せる、犯罪者に対する慈悲だ。
現代でも根強く残る階級差別や貧困。その環境にいない人には、理解し辛い善と悪。確かに盗みは悪いことだが、それを裁く人達を通して、その環境を生んだ根本を問いかけてくる。古典作品の中から、現代においても理解し易く、悲しい事ながら断絶することのできない環境に焦点を絞って描かれた作品だった。
ぽすれん『オリバー・ツイスト』紹介
監督:ロマン・ポランスキー
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本:パヴェル・エデルマン
バーニー・クラーク/ベン・キングズレー/ハリー・イーデン/ジェイミー・フォアマン/エドワード・ハードウィック/リアン・ロウ/マーク・ストロング/イアン・マクニース
孤児のオリバーは9歳、奉公先の葬儀屋から逃げ出してロンドンへ向かう。歩き通しで辿り着いた大都会でオリバーは、ドジャーという、同じく孤児の少年スリと出会う。ドジャーの誘いで、少年窃盗団の親玉フェイギンの隠れ家に住み着くオリバー。そこで盗みの技を習得したオリバーだったが、逆に濡れ衣を着せられて警察に捕まってしまう。裁判の途中で気を失ったオリバーは、親切な古本屋店主の証言により無罪となり、被害者であった紳士の許に引取られるのだが。密告を恐れたフェイギン一味は、何とかしてオリバーを連れ戻そうと画策する。
超有名、チャールズ・ディケンズ原作の映画化だ。これも他の方の評価が気になって調べてみたのだが、『世界観が楽しめて良かった』派と、『古典に何の捻りも無く、オリバーも単純でつまらなかった(云々かんぬん)』派と、二つに分かれたようだ。
限られた時間の中で長い小説を映画化するには、『端折る』という何とも切ない作業がある事は否めない。この作品において、その処理は実に上手く行なわれていたと思う。
この映画は、原作者が言いたかった核心を突いて、巧みに表現されているのではないだろうか?その意図を見出すためには、オリバー1人に偏った見方をしてはいけないと思う。オリバーが生きた時代のイギリスを理解し、彼を取り巻く全ての人達を見渡してみれば良い。
舞台セットなどは非常に素晴しい。イーストエンドの殺伐とした雰囲気は伝わってきた。写真などで見たイーストエンドの薄汚さは、実にリアルに再現されていたと思う。しかしだ、ジャック・ロンドンの『どん底の人々』などの、当時を物語る文献などで鮮明に如実に、かつ痛いぐらいに描かれてきたイーストエンドとは、やはり少し違うと思う。かつてのイーストエンドの貧困と荒廃の凄まじさは、よもや現代の映像技術では表現できないのではないだろうか?という事で、その当時の事を、良く良く理解して鑑賞して欲しい。そして何よりも、この作品が書かれた時代を考慮して欲しいのだ。
悪者になりきれないフェイギンの存在が、最も複雑で巧みに描かれていたと思う。演じたB・キングズレーも素晴しかった。ラストに見せるフェイギンの姿から、フェイギンという人が、生まれるべくして生まれてしまう環境を考る事だろう。
オリバーと他の孤児達の対比もある。単純に良い子vs悪い子には別けられないはずだ。子供達は必死に生きていた。反して見るなら、オリバーのような少年は、1週間ともたずに死んでしまっていただろう。それか、ドジャーのような子供になるか。そこはそれ、物語だから、オリバーは『運良く』優しい人達に救われる。要するにこの物語は、オリバー以外は当時を映し出した過酷な現実であり、オリバーだけが、浮遊する夢の世界なのだ。
フェイギン一味は単純に、日々を生きることを最重要時として、必死に生きていただけなのだ。その為に過酷にならざるを得なくとも、それはなんら責められないことなのだ。階級社会が生んだ歪みの産物として、単純に批判することは出来ない。
階級差別や貧困の中にあっては、単純に善と悪を区別したり判断したりは出来ない。オリバーに降りかかった幸運は、あくまでも物語の中の御伽噺的要素だ。最後まで彼は天使のような心を持ち続けるが、フェイギンに向けた感情だけは、リアルな世界観を持っていた。過酷さを知っている少年だけが見せる、犯罪者に対する慈悲だ。
現代でも根強く残る階級差別や貧困。その環境にいない人には、理解し辛い善と悪。確かに盗みは悪いことだが、それを裁く人達を通して、その環境を生んだ根本を問いかけてくる。古典作品の中から、現代においても理解し易く、悲しい事ながら断絶することのできない環境に焦点を絞って描かれた作品だった。
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ぽすれん『オリバー・ツイスト』紹介






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