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『ウィスキー』
- 2007/05/15(火) 21:04:54
〔ウルグアイ/他〕WHISKY (2004年)
監督:フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール
脚本:フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール
アンドレス・パソス/ミレージャ・パスクアル/ホルヘ・ボラーニ/ダニエル・エンドレール/アナ・カッツ/アルフォンソ・トール
寂れた靴下工場を細々と守るハコボ。毎朝彼が出勤した時には既に、長年勤め、ハコボも頼り切っている工員のマルタが待っている。ハコボが機械を始動して事務室に落ちつく頃には、マルタがお茶を持ってくる。一日の終わりには2人で戸締りをして、それぞれ別の方向へと帰る。繰り返される単調な毎日の中で、お互いの生活がすれ違うことは無かった。ある時、亡き母の墓石の建立式のためにハコボの弟がブラジルからやってくることになった。快活でちょっとうるさいぐらいの弟と、2人きりの時間を切り抜ける自信の無いハコボは、マルタに偽の妻となってくれるように頼み込む。かくして、奇妙な3人による、数日間の同居生活が始まった。
なぁんとも、言えないような言いたいような、スルメのように味わい深い映画だったなぁ。というか、出演者やその雰囲気も、まさに『スルメ』のような・・・。
この作品を撮ったのは、若干30歳の若手コンビ、惜しくもフアン・パブロ・レベージャ監督は、昨年に銃身自殺をされたそうだ。享年32歳、、、。なんとも。
30歳の若手が生み出したとは思えないような老いの姿。単調さに対する不安や暗さも持っているが、単調であるが故の安心感も、鮮やかに描き出してみせる。繰り返される毎日の中には確かな存在感があるのだろうが、それを打ち破ろうとした者、その殻を守ろうとした者、その幸福度の違いは歴然としていた。
女性だからという事情以外でも、マルタは変化を受け入れようと求めた。解り易く恋心とも言えるのだろうが、これはそんな単純化された事だけでないのだ。元来は明るい性格だったのだろうか?屈託のない弟エルマンとの交流を通して、そんな一面をそれとなく描き出す。最終的にマルタが選んだ結末は?日常を打ち破る、どこと無く清々しさすら感じる結末。
一方、変化を求めなかったハコボが完璧に不幸なのかというと、そうでも無いのだろうと思う。私自身変化を嫌うタイプなので、ハコボの気持ちが解らないでもない。ちょっとばかり偏屈すぎると思えなくも無いが、こちらもまた、意外な優しさを時おり見せる憎い演出だった。
ラストの台詞が気にかかる。。。果たしてあれは、ハコボの願望なのか現実なのか?マルタは彼の元に戻ってきたのか?否か?
『ウィスキー』というタイトルは一体どこから?と思っていたのだが、映画を観て解明された。なんとも微笑ましくも、全体を通すと妙な悲哀を感じる掛け声だった。『ウィスキー』と言い切ったときの口の動きが、笑顔に見えるという、写真を撮るときの掛け声だ。良く知られているのは『チーズ』かな、やっぱり。これは『チー』のときの口の動きだ。私の場合は良く『ことぶき』という(笑)。
人生は、掛け声など無くしても笑顔を称えていたいもの。『ウィスキー』という掛け声と共に浮かび上がるそれぞれの笑顔に、映画の中の物語の細部が隠されていたように感じた。
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ジャンル:
- 映画
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