『世界最速のインディアン』

  • 2007/08/05(日) 12:27:31

〔ニュージーランド/米〕THE WORLD'S FASTEST INDIAN (2005年)
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロジャー・ドナルドソン
アンソニー・ホプキンス/クリス・ローフォード /アーロン・マーフィ/クリス・ウィリアムズ/ダイアン・ラッド/パトリック・フリューガー/ポール・ロドリゲス


63歳のバートは、ライダーの聖地であるアメリカのボンヌヴィル塩平原で世界記録を出すことを夢見て、1920年型インディアン・スカウトに改良を重ねていた。地元ニュージーランドのインバカーギルでは、バイク仲間や隣家の少年トムとの暖かい友情に包まれていたが、動脈硬化で倒れた時、長年の夢を果たす決意をしてアメリカに渡る。単身乗り込んだボンヌヴィルで、バートは世界記録を樹立。長年に渡り夢を追い続けた男の、人生が実った瞬間を、多くの人々との交流を交えて優しく描いた真実の物語。

なんとも心温まる男の話だった。とにかくA・ホプキンスの独断場。これが某映画で殺人鬼を演じた男か!?優しいまなざし、ひょうきんな立ち居振る舞い。仲間達に囲まれて、恐らくは50歳は年下の『親友』トムとの交流も微笑ましい。
人の良さが全身から溢れるような男を熱演していたのだが、実際のバート・マンロー氏の写真を見てみても、屈託の無い笑顔から察するに、相当に『良い人』だったのだろうと推測される。
そんなバートの旅は、数々の『良い人』に助けられながら進んでいく。それも妙に頷けるのだ。昔から日本には『類は友を呼ぶ』という言葉があるように、こうした人には同じような人々が集まるもの。これこそまさに自然の摂理。
奇麗事なんかじゃないんだね。本当の事なんだわ、きっと。そんなバートも、殺伐としたアメリカにおいて、物価の高さや冷淡な人達に驚かされる。そんな中でも、A・ホプキンス演じるバートは、その田舎臭い柔らかさと鷹揚さを失わず、ただ夢に向かって邁進する。
とうとう辿り着いた聖地でも、バートの寛容さというか世間ズレしていない凡庸さは全開なのだが、ここでもその熱意と純粋な夢の壮大さで『良い人』達の助けを借り、多くの人の胸に眠る『良い人』を呼び覚ます。これは完璧に頷ける。だって、『バイク』を中心にして、同じものに夢を見出し、憧れ続け追い続ける、そんな人達の集まりだもの。誰よりも、何よりも、長きに渡り黙々と自分を信じ、愛車を慈しんだ男に対して、無下にするはずが無い。同じものを崇拝する気持ちが呼応するというのは最もある事。そんな屈託の無い感動が心地良かった。
ニュージーランドの牧歌的な優しい景色と、塩平原の殺伐とした壮大さ、そんな舞台を背景に、夢と憧れと優しさを存分に含んだ映画だった。
正直全く期待していなかった映画だったのだが(笑)、名優の助けを借りて、本当にじっくりと安らげる、そしてちょっとばかり興奮できる映画で嬉しくなった。
ラストも良かったねぇ〜。一枚の葉書のように留まる、静かながら熱意を伝えるラスト。穏やかな興奮と安心感、こうした対極に思える感情が混在したラストで、暫くは胸に留まる感じだった。
単純に、信じること、夢を追い求める事の素晴らしさも教えてくれる。危険を恐れて生きる事より、夢を失うことの方が恐ろしい。夢を失ったら、それこそ生きている価値が無いと真摯に信じるバート。柔らかい物腰の内にしっかりと根ざしたその男臭さと人間臭さ、A・ホプキンスの名演技でご堪能あれ。

世界最速のインディアン スタンダード・エディション 世界最速のインディアン スタンダード・エディション
アンソニー・ホプキンス、クリス・ローファード 他 (2007/07/27)
ハピネット・ピクチャーズ
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ぽすれん『世界最速のインディアン』紹介

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