芸術の秋?

  • 2007/10/21(日) 22:45:45

家のTVでは普段映画ばかり観て、ほとんど普通のTV番組は見ない。バラエティーとドラマは苦手だが、格別TV番組が嫌いというわけでは無くて、単にこれだけ映画を観ていれば、普通にTVを見る時間がないだけだ。

1週間通して、映画を観る時間を調整しても見たいと思うTV番組はたった1つ。それは、土曜の夜10時から放送される『美の巨人たち』なのだ。しかしそもそも、土曜の夜に家にいる事は余り無く・・・普段ヒマヒマのはずなのに〜!と思いつつ、実際土曜の夜は余り家にいない。。。なぜなの!?

TV番組というのは、それが長く続くほど『飽き』が来てしまうもの・・・だと思いませんか?そのため番組改革だとかで番組内容が改変されたりするが、この番組だけは、何一つ変わらずこのまま続いて欲しいと願っている。
番組開始当初から見ているので、何年ぐらいだろ?5年6年は見ているだろうか?全く飽きが来ないのだ、この番組。
世界的に有名な芸術家の、『1つ』の作品の背景を深く掘り下げていく。しかもその掘り下げ方が良い。作品に絡ませたサブエピソード(ドラマ)を織り交ぜながら、画家の背景、その作品が描かれた背景、作品の解説などを丁寧に紹介してくれる。教育的な内容かと思うが、実際は全く違ってとても親しみやすい構成だ。
世界的芸術家というと『絵画』が一般的だが、この番組では他に、陶器、彫刻などの形あるもの、建築物の他に庭園なども紹介してくれる。紹介される芸術家は世界中に渡り、これまで知らなかったような芸術家を沢山知る事が出来た。
バルセロナにあるグエル公園も、その存在は知っていたが、この番組を見て『絶対に行こう!』と決心した。ラトゥールはこの番組で初めて知ったが、実は絵画自体は以前から知っており、更には大好きな画風だったのだが、作者の名前を知らなかったのだ。この番組でラトゥールの希少性なども知る事が出来、好きだった画に更なる深みを増した気がする。
良く知っていたゴッホ、ピカソなども何度も取り上げられ、ピカソの『ゲルニカ』などはこの番組を見てその存在を知って、現地で実際に見た時に、例えようも無い感慨と達成感を味わった。
この番組で触れる1枚1枚の画、建物、その他全ての芸術作品は、番組で出会ったというその縁が私に1つの運命の芽を息吹かせ、実際に海外に行った時に特別な出会いを用意してくれる。1つの番組を見て、その延長線上に別の楽しみを見出す事が出来る。単なるTV番組の枠を超えて、私にはとても貴重な時間だ。

さてこの番組、その高いレベルの内容に加え、小林薫さんのナレーションがとにかく良い。淡々と、それでいて深みと温かみを感じる落ち着いた語り。これが無くてはこの番組の良さは半減してしまう。とにかく良いのだ、ベタ褒めだ(笑)。
ただ困った事が1つ・・・。

先日、現在六本木の国立新美術館で開催されている『フェルメール 「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』へ行ってきた。ここで、その困った事が起こる。
フェルメールは大変興味深い画家だが、その作品数の少なさからも、ヨーロッパで実物に出会った事が1度も無い。それをここ日本で、しかもかの有名なあの女性を見られるならと、勢い込んで出かけて行った。
最近私は美術展に行くと、1つの現象に悩ま・・・いや、笑わせられる。
頭の中で、『美の巨人たち』のナレーションが始まっちゃうのだ。しかし私がその画に対して深い解釈があるわけではないので、適当にもっともらしいナレーションが始まってしまう。もちろん声の主は小林薫さん。
特に番組最後に語る締めの一言『(芸術家の名前)○○の、一枚』というヤツ、知っている人は解るでしょ?例えば『ラファエロ、情熱の、一枚』とかそんな感じね。時には勝手に画の解釈なんかも始めちゃうし、それがもう、自分でも笑っちゃう感じで続くのだ。辞めようと思うものだが、暫く無心に画を見ていると、また無意識にナレーションが始まってしまう。

この現象はそうねぇ?4年前には既に始まっていたが、より頻繁になったのはここ最近。どうやら私にとっての芸術鑑賞に、小林薫さんの声が無くてはならなくなってしまったよう。全くバカらしいと思いつつ、そうして見ている時が一番楽しみながら展覧会場を回っているらしい事に、先日とうとう気がついた・・・というか受け入れた(笑)。

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