『フランシスコの2人の息子』

  • 2007/11/03(土) 21:01:48

〔ブラジル〕2 FILHOS DE FRANCISCO - A HISTO'RIA DE ZEZE' DI CAMARGO & LUCIANO (2005年)
監督:ブレノ・シウヴェイラ
脚本:アンドレ・オルタ/パウロ・ソウザ
アンジェロ・アントニオ/ジラ・パエス/ダブリオ・モレイラ/マルコス・エンヒケ/マルシオ・ケーリング/チアゴ・メンドンサ/パロマ・ドゥアルテ/ジョゼ・デュモント/リマ・ドゥアルチ


義理の父から土地を借りて農業をしている父フランシスコは、音楽好きの子沢山。長男ミロズマルと次男エミヴァルに楽器を与え、カントリーソングのデュオとして有名にさせる事を夢見ていた。息子2人には才能があり、その夢は達成されるかと思われたが、ある事件が幼い兄弟と家族を襲った。ブラジルで人気のアーティスト、ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノの子供時代を、家族とその絆を軸に描いた感動作。

↑と、『感動作』と銘打ってしまったが、実に、まさに、全くその通りで(笑)。いやいや、やられた。もっとコテコテの親子鷹感動物語、曰く『巨人の星』系かと思ったら、父親の影響力やその辺のゴリ押しな雰囲気はかなり控えめ。その分じわ〜〜っとこみ上げるものがあった。
父に歌わされたというよりは、長男ミロズマルに関しては、自らが望んだ事だと思えた。信じられないほどの貧困、父が自分達に被せる大きな夢。彼等の置かれた状況を抜け出すには、芸術面で抜きん出るしか無い。何しろ教育すらまともに受けられない状況なのだから。
フランシスコとその一家も、かなり壮絶な状況で暮らしている。それでも家族は一緒で幸せで、時に空腹から落ち込む事もあるけれど、小さな小さな幸せに包まれてるのが良く解る。兄弟2人のデュオは素晴らしく(本当に歌ってると思われる)、彼等の未来は安泰・・・ではないんだね。子供の頃に素晴らしくても、大人になったらただの人というのは良くある話だが、その上一家には、予想もしなかった悲劇が襲いかかるのだ。
この兄弟たちに関しては、父は押し付けのスパルタ教師というわけではなくて、最も理解のある優しい父だったのだろうと思う。息子達の才能を信じるのは親として当然だし、その思いはどこまでも純粋だ。とにかくお父さん、素敵だった。
ゼゼ・ヂ・カマルゴとしてデビューしたミロズマルは、音楽界の生き残りの厳しさに挫折しそうになるが、結果この父によって助けられる。父の大きな愛、まずそれだけで泣かすのだが、彼等を有名にした歌がまた、本当に素敵なのだ。そしてこの『歌』だが、幾つかの楽曲が劇中繰り返し流される。母の思いと子供達の旅立ちを歌った曲、切ない恋の歌、これら全ての歌詞が劇中にもピッタリで聞き入ってしまう。
日本でも良くある貧困から抜け出ようと頑張る家族の愛情物語なのだが、ブラジルでは現在でも当たり前にある貧困という舞台からか、その辺の酷さなどに媚が感じられない。まぁ良く解るでしょ?と言った感じでさり気なく、その辺のところが現地ブラジルでは共感を、他国の人にはやりすぎの無い素朴さを生み出して好印象なのだと思う。
家族の生活は本当に酷い状況なのだが、悲壮感が全然無い。悲壮感に頼ろうとしていない潔さ。そして家族の愛に偏り過ぎない潔さもある。加えて、非常に典型的に、それだからこそ、そつの無いドラマ作りが面白さの秘訣だろう。奇を衒ったところがほとんど無く、思い通りの展開。しかし真実の持つ神秘か、『ありがち』にならない興味深さがちゃんと根ざしているのだ。
登場人物も魅力的で、土台がしっかりとしており、安心して楽しめる作品。ブラジルの少し古い時代の雰囲気も楽しみつつ、どこと無く感じるノスタルジィと、夢を追いかけた家族の純粋で必至な愛情の物語をお楽しみ下さい。

フランシスコの2人の息子フランシスコの2人の息子
(2007/10/05)
アンジェロ・アントーニオ.ジラ・パエス.マルシオ・キエリンギ.チアゴ・メンドンサ.パロマ・ドアルテ.ダブリオ・モレイラ.マルコス・エンヒケ.ヴァゴル・リマ.ジョゼー・ドゥモン

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ぽすれん『フランシスコの2人の息子』紹介

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