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『幸せのちから』
- 2007/11/15(木) 00:57:55
〔米〕THE PURSUIT OF HAPPYNESS (2006年)
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
脚本:スティーヴン・コンラッド
ウィル・スミス/ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス/タンディ・ニュートン/ブライアン・ホウ/ジェームズ・カレン/カート・フラー/ダン・カステラネタ/タカヨ・フィッシャー
クリス・ガードナーは高級医療機器のセールスマンだが、ここ暫くは売れていない。妻にも逃げられ、幼い息子と2人きりになったクリス。もともと頭脳明晰だった彼は、証券会社の見習いとなる。半年間の研修の後、1/20の確立で採用が決まる。しかしその間は無給。極貧の中でも何とか生活していたが、とうとう家賃も払えぬ苦境に追い込まれ、ホームレス同然の日々を余儀なくされる。実話を元に描かれる、親子の愛と不屈の精神を持った男の成功への過程。
主演のW・スミスの好演、そして実の息子との共演。そこから生まれる自然な親子の絆や愛の姿。予告編、公開前の高い評価、アメリカでの興行成績。全てを加味して、『さあ、泣くぞ!』という気構えが出来る感動作・・・かと思いきや?
これが意外に、良い意味で感動的過ぎなくて良いバランス感。とにかく映像が地味。全体の起伏も少なく、泣かせよう!という小ざかしい演出が余り感じられない。無いとは言わないが、私は余り煩く感じなかった。これも、イタリア人監督による手腕のなせる技なのか?暗いと言うよりは、落ち着いたトーンで観易い感じだし、鑑賞後は爽やかな気持ちになった。
それよりもやはり、役者の演技が凄い。W・スミス、これまで余り演技力云々を考えた事も無かったが、この人・・・ラッパーでもあるんですよね(笑)。いや〜、凄いのよ、表情が良い。横顔でも良い。息子を思う時の不安、生活への憂慮、嬉しい時、悲しい時、顎の僅かな震えとか顔の傾き加減とか目線とか、とにかく顔全体で全てを滲み出している感じ。
圧巻なのはラスト近くのシーンかな〜?やっぱり。泣ける役者だとは思わなかった。観客が、ではなくて、役者が。ああも感動的に、自然に泣く演技が出来る人だと思わなかった。つられて私も号泣。最近思うのは、小手指の泣かせる演出やエピソードより、役者の演技によって泣かされる事が多いという事。昔からそうだったのだが、最近は殊更にそう思う。
実の息子のJ・S・スミスだが、こちらは至って普通。それでも凄いと思うのは、実の父親相手にあの年齢で『演技』が出来る事。いつも家で見ている父親とは、180度ほども違う演技する父に対して、自らも演技で応える事が出来るなんて、それはそれで凄いと思う。
物語は実話ベースなので、結末までハッキリ解っている作り。これはガードナー氏が成功への足がかりを掴んだ、証券会社に入社するまでを描いた映画だ。そこに至る過程はかなり壮絶なものだが、何より大事な息子を守りつつ、素晴らしい成功を収めた方だ。
実話と虚構が混ざっているそうだが、その虚構の部分が、余りに出来すぎだったり辻褄が合っていなかったり、なんだか浮いた感じに見えてしまった。盗まれた機械の辺りとか、妻の事とか、徹底的に事実に即した話ではいけなかったのか?とか思ってみたり。とは言え、根本は実話なので、やはりその重みというか、ウソ臭さよりは感銘の方が先に立った。
このガードナー氏、とにかく意志も強く『不撓不屈』という言葉がピッタリの方。どんな苦境にあっても自分を甘やかすという事をせず、常に進むべき道を追い求める姿勢は素晴らしい。しかも人間的に大らかなのだと思った。『人好きのする』、そんな印象の方なのだろう。職場でも取引相手でも、苦境を悟らせないと言うのは難しいと思うが、仕事柄それ以上に明るさと巧みな会話を演出する。これだけでも相当に大変な事だったと思うのに。
希望や幸せを追い求める姿勢、そして自分の求める物に対する努力や情熱。そうした『人間』の生き方に深い感銘を受けた作品だった。私にあの強さや努力の半分でもあったら(笑)。私は自分に甘い人間なので、とにかく凄い!と思ってしまった。
また、アフリカ系アメリカ人であるガードナー氏に対して、純粋に資質だけを見て採用を決めた会社の上司達。この映画には、人種差別や階級差別と言った影は微塵も無い。それをガードナー氏の人柄と当てはめるのは言い過ぎかも知れないが、やはり『類は友を呼ぶ』という言葉通り、優れた人には優れた人達が繋がって行くものなのだろう。
色々な『良い要素』がたくさんあるのだが、やはり最終的には、『役者の演技』に最高点を出したい作品。今になって思えば、とにかくW・スミスの様々な姿がより強く印象に残っている。こういう演技を見ると、映画って本当に楽しいなぁと思う。他人の人生をこれだけ愛情を持って演じる事が出来る、それも凄いと思う。一度ご確認の程を。
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ぽすれん『幸せのちから』紹介
ジャンル:
- 映画
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