『ありえない物語』

  • 2007/12/23(日) 22:57:36

ポール・ジェニングス著/吉田 映子 訳/トパーズプレス
言葉の最後に『シャツも着ないで』とどうしても言ってしまう少年の話。怪しい商品を売り歩く男が出会った奇跡の空飛ぶ機械。外便所に現れる悲しげな幽霊の正体は?つければ絶対に女性にキスされる不思議なリップスティックの話。牛糞で作られた強力な肥料が起こした大事件。灯台に現れる幽霊は金曜の夜毎に音楽を奏でる・・・。不思議な力を持つアイスクリームと天才少年の戦い。穿くと100万馬力のパンツとは?
子供も大人も夢中になっているという、オーストラリアのベストセラー作家の短編集。

シャツも着ないで/取りつけ式飛行器具/外便所の骸骨/ラッキー・リップ/牛糞カスタード/灯台のブルース/スマート・アイスクリーム/ワンダーパンツ


子供騙しの陳腐で薄っぺらい児童書はもうイヤだ!という息子の意見を聞いて、初めて小説を書いたという方らしい。確かにこちらは、物語の裏にそれなりの指摘や教訓なども含まれているし、いささかダークな終わり方をする短編も含まれている。
反面、『牛糞カスタード』などは、とにかく下ネタに大笑いする小中学生辺りが、大喜びしそうなお話なんである。良い大人の私としては、イヤにリアルに匂いなぞ想像してしまって・・・しかもお昼時に読んでいたものだから・・・ウプ!
適度に子供の側に立ち、それでいて親も納得。世論では大人も楽しんでいるベストセラーなのだとか。その意見に反論するつもりは無いが、どっちつかずで相殺し合い、ちょっとばかり個性が弱いような気がしてしまったのだ。
ただ短編としては一話一話非常に良くまとまっており、物語の結末が解り易過ぎる作品ばかりでも無いので、想像する範囲を残してうまくまとめている辺りも実に上手いと思う。こうした作品を多く読んで育った子供達はきっと、読書する楽しみも覚え、想像する余地のある、言い替えれば釈然としないラストにも馴れ、もっと奥深い『文学』に親しむ事になるのだろう。
そう考えると、こんな『文学初歩』的で、しかも奇想天外な物語の数々が楽しめる今の少年少女達は羨ましいなぁと(笑)、思ってしまう。読書は苦手だ!という大人の方も、きっと楽しめる作品集だろう。他の作品集も是非読んでみたい。

ありえない物語 (PJ傑作集)ありえない物語 (PJ傑作集)
(1994/10)
ポール ジェニングス

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