『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著/浅倉 久志 訳/ハヤカワ文庫
独特の歴史を持つ、幾つもの神秘のベールを被った様なキンタナロー。現地で暮らすグリンゴ(アメリカ人の意)である『わたし』は、面白くて不思議な話が大好きで、旅人などから時折、興味深い話を聞き出していた。海で見つけた、まるで両性具有のような美しい人間に、心奪われてしまった若者の話。海を愛し海に愛された男が、水上スキーで目指したのは一体どこだったのか?人間に汚染され続ける海、しかしその実体は、実は深い場所に眠っていた。幻想的な3つの短編からなる作品集。
リリオスの浜に流れついたもの/水上スキーで永遠をめざした若者/デッド・リーフの彼方
著者は知らぬが著作は知っている、という認識度。というか、この本はずっと気になっていて、手に入れてやっと著者の事を調べたら、あらあら、結構有名な本を書いていらっしゃる。しかもSF作家だったのね!?と(笑)。
恐らくそこいらのフィクション小説よりも、幾分か興味深いと思われる著者自身の人生。多く語られている事とは思うがあえて繰り返して言うならば、この著者名はペン・ネーム。実際は女性作家である。破天荒・・・いや、波乱万丈?とにかくとても興味深いその人生。SFを書き始めたのは、偉大な母が唯一読まないジャンルだったからという事だそうで、こうした経歴の女性がなぜSF???という疑問は単純に解消された。
そうして見ると、この作品集は、この著者の作品群の中ではいささか異例な分類になるのかも知れない。幾分幻想的ではあるが、かなり現実的な舞台が土台になっている。語り部は昔の思い出話を語るのであり、『ちょっと不思議な物語』程度の域を出ていない。未来の話ではましてない。
表される物語は、まるで本当に旅人から聞いたような、そんな曖昧さがある。『どう思います?不思議でしょ?』という辺りで話は途切れ、後の解釈は聞いたほうに任せるよ、という感じ。突き詰めて想うさまに解釈するならば、どこまでも『幻想譚』的に走っても良いのだろうが、どうもそういうスタンスでは落ち着かない気にさせる。全てには神秘の海が絡んでおり、どちらかといったらバミューダ・トライアングル的雰囲気かな(笑)。
個人的にはそうだな・・・、『リリオスの浜に流れついたもの』が最も好みに近い短編だったかも?自分の想うさまに解釈するなら!という話(笑)。
『水上スキーで永遠をめざした若者』は、若者のその後?その前?の物語のほうが、ずっとずっと面白かったと思う。とは言えそれは、全く違った次元の話。それはきっと、著者の与り知らぬ部分の話となるだろう。
くどい様だが、なんと言っても著者の人生が興味深い。それゆえに、別の作品を読んでみたいという気になった。こうした人生を送り、そこから生まれた人生観などをもってして描かれた物語は、一体どんなものだろう?と思うからだ。それで言うなら本作も、十分にその片鱗を覗かせてくれていたと思う。ならばやはり、本職のジャンルをチャレンジしてみたいではないですか。いかなる語り口で、いかなる物語が繰り広げられ、どんな印象を与えてくれるのか、大変興味深いのである。
独特の歴史を持つ、幾つもの神秘のベールを被った様なキンタナロー。現地で暮らすグリンゴ(アメリカ人の意)である『わたし』は、面白くて不思議な話が大好きで、旅人などから時折、興味深い話を聞き出していた。海で見つけた、まるで両性具有のような美しい人間に、心奪われてしまった若者の話。海を愛し海に愛された男が、水上スキーで目指したのは一体どこだったのか?人間に汚染され続ける海、しかしその実体は、実は深い場所に眠っていた。幻想的な3つの短編からなる作品集。
リリオスの浜に流れついたもの/水上スキーで永遠をめざした若者/デッド・リーフの彼方
著者は知らぬが著作は知っている、という認識度。というか、この本はずっと気になっていて、手に入れてやっと著者の事を調べたら、あらあら、結構有名な本を書いていらっしゃる。しかもSF作家だったのね!?と(笑)。
恐らくそこいらのフィクション小説よりも、幾分か興味深いと思われる著者自身の人生。多く語られている事とは思うがあえて繰り返して言うならば、この著者名はペン・ネーム。実際は女性作家である。破天荒・・・いや、波乱万丈?とにかくとても興味深いその人生。SFを書き始めたのは、偉大な母が唯一読まないジャンルだったからという事だそうで、こうした経歴の女性がなぜSF???という疑問は単純に解消された。
そうして見ると、この作品集は、この著者の作品群の中ではいささか異例な分類になるのかも知れない。幾分幻想的ではあるが、かなり現実的な舞台が土台になっている。語り部は昔の思い出話を語るのであり、『ちょっと不思議な物語』程度の域を出ていない。未来の話ではましてない。
表される物語は、まるで本当に旅人から聞いたような、そんな曖昧さがある。『どう思います?不思議でしょ?』という辺りで話は途切れ、後の解釈は聞いたほうに任せるよ、という感じ。突き詰めて想うさまに解釈するならば、どこまでも『幻想譚』的に走っても良いのだろうが、どうもそういうスタンスでは落ち着かない気にさせる。全てには神秘の海が絡んでおり、どちらかといったらバミューダ・トライアングル的雰囲気かな(笑)。
個人的にはそうだな・・・、『リリオスの浜に流れついたもの』が最も好みに近い短編だったかも?自分の想うさまに解釈するなら!という話(笑)。
『水上スキーで永遠をめざした若者』は、若者のその後?その前?の物語のほうが、ずっとずっと面白かったと思う。とは言えそれは、全く違った次元の話。それはきっと、著者の与り知らぬ部分の話となるだろう。
くどい様だが、なんと言っても著者の人生が興味深い。それゆえに、別の作品を読んでみたいという気になった。こうした人生を送り、そこから生まれた人生観などをもってして描かれた物語は、一体どんなものだろう?と思うからだ。それで言うなら本作も、十分にその片鱗を覗かせてくれていたと思う。ならばやはり、本職のジャンルをチャレンジしてみたいではないですか。いかなる語り口で、いかなる物語が繰り広げられ、どんな印象を与えてくれるのか、大変興味深いのである。
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