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『あなたになら言える秘密のこと』
- 2008/01/14(月) 14:04:50
〔西〕LA VIDA SECRETA DE LAS PALABRAS (2005年)
監督:イザベル・コイシェ
脚本:イザベル・コイシェ
サラ・ポーリー/ティム・ロビンス/ハビエル・カマラ/エディ・マーサン/スティーヴン・マッキントッシュ/ジュリー・クリスティ/レオノール・ワトリング/ダニエル・メイズ
工場で黙々と働くハンナは、『真面目すぎる』という理不尽な理由から、1ヶ月の休暇を余儀無くされる。仕方なく旅に出たハンナは、旅先で油田採掘所での事故を知り、その事故で重傷に陥った男の看護を引き受ける事になった。患者であるジョセフは良く喋る賑やかな男だし、採掘所のスタッフは皆ハンナに親切だった。そして、過去に傷のあるハンナは次第に笑うことを思い出し、ジョセフもまた、事故の原因から救われようともがいていた事を知るのだった。
まずスペイン製作なのね、という事に驚いたが、油田採掘所には各国様々な人々が集まり、そのどれもが何かしら人生に秘密を負っている。舞台もほとんどが油田採掘所という『国籍不在』の場所、これは、舞台や背景に左右される事の無い、人間を重心においたドラマなのだと思う。あくまでも監督及び製作者がスペイン系統という事なのだろうな。
この監督、以前に『死ぬまでにしたい10のこと』を観て、非常にフェミニストな監督だと思った。この作品でも、格別そうした要素が際立っていたわけでは無いが、やはり同じような印象を受けた。良い意味で女性に強く、男性を卑下している訳でも無い。視点が多分に女性賛歌的であるように思うのだが、それとて女性に甘いわけではなく、かなり悲壮感のあるエピソードが多様されていて、心にピリリと痛い要素が強い。
これは予告が上手いなぁ〜と思った。観る前に概要を余り調べない性質なのだが、予想していた展開とはいささか違った。ラストも、私が予想したより遥かに希望的で優しさを感じられ、こういうところからも、戦士的なフェミニスト感では無く、監督のあくまで優しい視点が感じられる。
余り重たい映画を観る気分では無かったのだが、ハンナの告白辺りでこれはヤバイぞと。受け止められるか自信が持てない内容に転がっていると背筋がヒヤリとしたのだが、そうした重さを上手い具合に『希望』という柔らかいもので包み込み、ラストまでしっかりと観る事が出来た。
ハンナだけに限らず、それぞれ何かしらの悩みや鬱憤を抱えている採掘所の人々、そして勿論ジョセフに関しても、良くも悪くも変わっていく感情の変化が、微妙ながら非常に巧みに表現されていてとても引き込まれた。
不器用ながらも優しさと明るさを失わない人々、自分を取り巻く押さえつけられた環境に屈しない人々。そうした人々の少しばかり陰を見せ付ける明るさの表現が絶妙で、ハンナの動性以外でも目が話せない演出だったと思う。
これは戦争を語る映画なのだろう。しかも、また1つ、新たな視点を語っているのだろうと思う。今生きているハンナが感じる思い。彼女が見せる控えめな態度の全てが、踏みにじられた人生を受け止めようとする姿勢なのであり、そうしてしまう彼女をいかに悲惨にしないか?その巧みな表現も素晴らしいと思った。そしてそれを観客に突きつける鋭さ、その切先を真っ向から受け止めたジョセフ。その後の展開には感謝の気持ちすら感じる。
全体的に暗く、内容的にもシリアスなものであるが、それでも鑑賞後は十分な『希望』を、そして心の隅に優しさを残した映画だった。
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