『赤いアモーレ』

〔伊〕NON TI MUOVERE (2004年)
監督:セルジオ・カステリット
原作:マルガレート・マッツァンティーニ
脚本:セルジオ・カステリット/マルガレート・マッツァンティーニ
セルジオ・カステリット/ペネロペ・クルス/クラウディア・ジェリーニ/アンジェラ・フィノチアーノ /マルコ・ジャリーニ/ピエトロ・デ・シルヴァ/エレナ・ペリーノ

外科医ティモーテオは、娘が交通事故に遭い、勤務先の病院に搬送された事を知る。娘の安否を気遣うティモーテオだが、窓の外にある女性の姿を見出し、かつての愛の思い出へと立ち返っていく。その頃ティモーテオは、深い孤独の中にあった。そんな折に出会った貧しい女性、イタリアに恋をしたティモーテオ。心から愛する女性と思えたのだが、隠された2人の関係は悲劇的な結末を迎えたのだった。

これは恐らく、ティモーテオという男をどれほど好意的に見る事が出来るか?というのが、観客においてこの映画の価値を決める基準になりそう。もう1つ、ティモーテオの愛人となるイタリアを、どういった女性像として捉えるか?これもそれなりの意味を持ちそうだ。
見方は様々だと思う。医師として成功して、美しい妻もいて、確かにかつて父親に捨てられたかも知れないが、それを償って余りある人生だったのではないだろうか?しかもイタリアを手に入れた経緯も酷いもの。その後の行動もどっちつかずで自分勝手。変に悲劇的な雰囲気を装っている様に見える。イタリアを愛したのだって、ただ単に彼女が無心に自分を愛してくれたから、という理由以外に、根拠は無いように思えた。
しかし私は、このティモーテオという人間像にそれほどの嫌悪を感じなかった。むしろ人生を思うままに謳歌できない、不幸な人なんだなと思えた。ただ憐憫だけを、ティモーテオに感じたとでも言おうか。不器用で哀れな男が、ようやく見つけた愛する幸せ、しかしそれも、無残にも手放す事になる。結果この男は、延々と自らを責め続けていく羽目になっただろう。
イタリアに関しては、とにかく胸が痛くて痛くて、これほど切ない女性像を作り出すなんて、なんて罪な映画かしら・・と(笑)。いやとにかく、その幸薄い姿に胸が痛み、とことんまで悲劇的な運命を甘んじて受け止めるイタリアの姿に泣かされた。これがまたP・クルスの演技の凄い事!というか変身ぶり。整形?という失礼な疑惑まで起きてしまうほど、洗練さの一片も無い、田舎の薄汚れた、貧乏でがさつな女を演じている。まさに捨て身の演技と言えそう。
とにかく、主演2人のキャラクターに同情の波が押し寄せる。愛する事しか出来ないイタリアの、何か壊れてしまったような惨めさが辛い。立ち居振る舞い1つを取っても可憐さや儚さは欠片も無く、痛々しいまでの惨めさだけが漂っているイタリア。そんなイタリアに、悪気は無いが辛い決断を迫るしかない、生きる事全てに不器用なティモーテオ。ああ、胸が痛いったらない。
結果として、ティモーテオはイタリアに救われたのだろうが、それをどう観るか?というのも最後の最後の鍵になるだろう。所詮愛人なんてそんな役割。私にはそう思えた。影である事を知った上で愛した男なら、最後までその男の幸せを願う、それが愛しすぎる不幸な女の、転じて幸せになるのかも知れないじゃないか?
最初から報われないと解っていた、だからティモーテオが自分の元に返ってきた時も、どこか完璧には信じられないような、受け止めてしまえないような、不安な気持ちが表情に滲み出ていた。イタリアには最初から解っていたのだろう、ティモーテオは自分の物には永遠にならないと。だから、潔く身を引いた、そして永遠に。あ〜、痛い、痛い、痛すぎるこの映画。
でもね、この映画なんだか良かった。正直、『素敵なロマンス映画』なんて口が裂けても言えないが、ある種の『純粋な恋愛映画』と、小声でなら言っても良いのじゃないだろうか?

赤いアモーレ赤いアモーレ
(2005/06/03)
ペネロペ・クルス、セルジオ・カステリット 他

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ぽすれん『赤いアモーレ』紹介
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Category : 映画【ロマンス】 | Thema : DVDで見た映画 | Genre : 映画 |

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