『殺人マジック』
ジョン・ケース著/池田 真紀子 訳/ランダムハウス講談社文庫
TVのジャーナリストとして、忙しく世界を飛び回る日々を送っているアレックス。妻とは別居中で、久し振りに双子の息子達と休日を過ごす予定だった。双子の希望で訪れた『ルネッサンス・フェア』で、2人の息子は何者かに攫われてしまう。双子の失踪には、普通の誘拐事件とは違ってどこか不自然なところがあり、警察の捜索も暗礁に乗り上げてしまう。次第に世間の興味が事件から薄れていく中、アレックスは自らの経験を元に単独で双子の捜索に乗り出す。そして、誘拐と魔術という奇異な取り合わせの鍵が見えてきた。
久し振りのサスペンス・ミステリ。まぁ普通かな(笑)。面白かったのはプロットそのもの。単独で捜査を行う父アレックスは、TVのジャーナリストとしてのキャリアを生かした捜査をするので、一般人が警察を出し抜く、という不自然さを軽減している。
『誘拐』に絡む世論の動き方が非常にリアルで、メディアや市民の感情、各種団体の動きなどが詳細に語られ、むやみにドラマティックにならない描写が興味深かった。
捜査が下火になり、世間の興味が薄れていく、父アレックスが独力で息子達を探し出そうとする展開が非常にスムーズに描かれ、その後の展開も『あり得そう』な心理描写を巧みに描き出す。それゆえ伴う行動も『現実感』があり、捜索の難航が極自然と描かれていくのだ。もしこれが自分だったら?とリアルな状況に置き換えた時に、どう考えたってあり得ない展開や心理描写というのが殆どない。
この緻密で現実的な描写は興味深かったが、反面、遅々として進まない捜索過程に、途中何度か飽きが来てしまった。当たり前に捜索が進まない。息子達を誘拐した犯人の手掛りなど、警察だって見つけられなかったのだ。素人が頑張ったところで、藁の山から針を1本見つけようとするようなもの。
解ってはいるのだが、常に行き止まりに突き当たるアレックスの姿に、いささかまどろっこしさを憶えたのも事実だ。大方のミステリのように、『ヤマが当たりすぎ』とか『偶然が重なりすぎ』と言った胡散臭さは無いものの、現実感を追いすぎて冗長になってしまったかな?という気もする。
その割りに、犯人の目処が立ち始めた後半、一気に『偶然』が作用し始める。当たりをつけた捜索対象が次々とヒットし、これまでの行き止まりは何だったの?というように一気に転がり始める。ラストの展開なんて『いつのまに真実に!?』というぐらいあっけなく、それまでリアルに思えていた展開に面白味を感じていただけに、いささか裏切られてような気分だった。
犯人の真の姿に関してもちょっと不満があるのだが、これを書いてしまうと完璧なネタバレになってしまうので、渋々ながら省略(笑)。言えるとしたら、犯人の意図と言い分が、なんだかちょっとおかしいぞ?という事。マジックとはあくまでも虚構の世界、古のマジックを細かく解説して犯人の正当性を描写していたのかも知れないが、やはり何かズレがあるように感じた。
文章運びや展開に関しては読みやすく緻密な描き出しだったので、格別難をつけるようなところはない。お薦め!という特殊性や面白味も無い分、時間に埋もれて印象が薄れていく作品の1つだろうな〜。
TVのジャーナリストとして、忙しく世界を飛び回る日々を送っているアレックス。妻とは別居中で、久し振りに双子の息子達と休日を過ごす予定だった。双子の希望で訪れた『ルネッサンス・フェア』で、2人の息子は何者かに攫われてしまう。双子の失踪には、普通の誘拐事件とは違ってどこか不自然なところがあり、警察の捜索も暗礁に乗り上げてしまう。次第に世間の興味が事件から薄れていく中、アレックスは自らの経験を元に単独で双子の捜索に乗り出す。そして、誘拐と魔術という奇異な取り合わせの鍵が見えてきた。
久し振りのサスペンス・ミステリ。まぁ普通かな(笑)。面白かったのはプロットそのもの。単独で捜査を行う父アレックスは、TVのジャーナリストとしてのキャリアを生かした捜査をするので、一般人が警察を出し抜く、という不自然さを軽減している。
『誘拐』に絡む世論の動き方が非常にリアルで、メディアや市民の感情、各種団体の動きなどが詳細に語られ、むやみにドラマティックにならない描写が興味深かった。
捜査が下火になり、世間の興味が薄れていく、父アレックスが独力で息子達を探し出そうとする展開が非常にスムーズに描かれ、その後の展開も『あり得そう』な心理描写を巧みに描き出す。それゆえ伴う行動も『現実感』があり、捜索の難航が極自然と描かれていくのだ。もしこれが自分だったら?とリアルな状況に置き換えた時に、どう考えたってあり得ない展開や心理描写というのが殆どない。
この緻密で現実的な描写は興味深かったが、反面、遅々として進まない捜索過程に、途中何度か飽きが来てしまった。当たり前に捜索が進まない。息子達を誘拐した犯人の手掛りなど、警察だって見つけられなかったのだ。素人が頑張ったところで、藁の山から針を1本見つけようとするようなもの。
解ってはいるのだが、常に行き止まりに突き当たるアレックスの姿に、いささかまどろっこしさを憶えたのも事実だ。大方のミステリのように、『ヤマが当たりすぎ』とか『偶然が重なりすぎ』と言った胡散臭さは無いものの、現実感を追いすぎて冗長になってしまったかな?という気もする。
その割りに、犯人の目処が立ち始めた後半、一気に『偶然』が作用し始める。当たりをつけた捜索対象が次々とヒットし、これまでの行き止まりは何だったの?というように一気に転がり始める。ラストの展開なんて『いつのまに真実に!?』というぐらいあっけなく、それまでリアルに思えていた展開に面白味を感じていただけに、いささか裏切られてような気分だった。
犯人の真の姿に関してもちょっと不満があるのだが、これを書いてしまうと完璧なネタバレになってしまうので、渋々ながら省略(笑)。言えるとしたら、犯人の意図と言い分が、なんだかちょっとおかしいぞ?という事。マジックとはあくまでも虚構の世界、古のマジックを細かく解説して犯人の正当性を描写していたのかも知れないが、やはり何かズレがあるように感じた。
文章運びや展開に関しては読みやすく緻密な描き出しだったので、格別難をつけるようなところはない。お薦め!という特殊性や面白味も無い分、時間に埋もれて印象が薄れていく作品の1つだろうな〜。
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