『トリコロール 青の愛/白の愛/赤の愛』
K・キエシュロフスキ&K・ピェシェヴィチ著/和久本 みさ子 訳/ハヤカワ文庫
交通事故で夫と娘を失ったジュリー。1人だけ生き残った彼女は、亡き夫の遺作となった協奏曲を共同執筆していた友人オリヴィエの中に、新しい愛を見出すのだが。(青の愛)
ポーランド人のカロルは、美しい妻ドミニクのためにフランスへやって来た。しかし言葉の壁に苛まれ、終には離婚を言い渡される。気持ちのすれ違い、語れない愛への想いが、思わぬ悲喜劇を呼ぶ。(白の愛)
純粋な美しさのある女性ヴァレンティーヌ、法律家を目指すオーギュスタン、2人がすれ違いながら暮らす町では、ある老判事が盗聴の罪を犯しながら、人々の繋がりの脆さを1人嘆いていた。(赤の愛)
映画『トリコロール・シリーズ』、3本分のノベライゼーション。全ての物語が少しずつ絡むタイプのオムニバス、これは映画も同じ構成らしいが、今のところは未見だ。少なくともノベライに関しては、単独ではなく、3つまとめて1つの作品と言った感じ。
そのため、1つ1つの話はかなりライトなまとまり。最終的に導き出される答えの為の伏線のようにも感じられる。これらの話が全て90分超えの映画になっているというから、果たしてどのような膨らみを見せてくれるのか、大変興味があるのだ。大抵のノベライは、登場人物の深い心理状態を細かく文字で描ける分、映画そのものよりも膨らみがあると思っていたのだが、映画を観る前ではあるが、それもあっさり覆されてしまった気分だ。
私が映画監督だったとしても、この物語から90分は紡げない。しかしノベライはあくまで映画ありき、本編はきっとより膨らみのある仕上がりなのだろうと期待する。そこからいささか萎ませたのが、今回のノベライなのだろうとね(笑)。
つくづくK・キエシュロフスキーという人は、難解かつ単純なお話を書く人だと思う。相反しすぎだろうか?正直、これ以外に上手い説明が思いつかない。先に書いたように、個々の物語の概要は簡潔かつ明瞭だ。しかしそれゆえ不可解だ。単純過ぎるのだ、話が。しかし、その答えは冒頭にしっかりと明記されていた。導入部でも油断は禁物(笑)。
つくづく上手いなと思うのは、目に見えない概念的存在を、リアルに眼前に浮かび上がらせるその手法。目くらましのように、幾重にも折り重ねられた物語の畝。その下に、ハッキリと感じられるたった1つの要素。物語を語る言葉全てが、その1つの要素を示す隠喩のように感じられる。そして今回の要素は、『運命』という概念を描いてる。
今回は・・・?というか、思うにこのK・キエシュロフスキーという人は、常に避け難い『運命』を主題に作品を作っているように思う。ただ『何に対する』運命なのか?と言う辺りに、違いがあるのかな?今回はズバリ!『運命の愛』。
人を愛すると言う気持ち、代わりの効かない『運命の相手』。物語の主人公達は、それぞれがそうした『たった1人』に出会うのだが、既に別の伴侶がいたり、表面的な障害に苦しんでいたり、ただ相手を知らなかったりする。
文章のそこかしこに隠されるように、しかしハッキリと『これは運命の出会いである』と仄めかされていて、それを前提に読み進むと、全ての行動や台詞に違った趣向と面白さを感じられる。言わば、主人公達が己の『運命』を全うするための物語。偶然に見える事柄も、こうした運命を全うする為には必要不可欠な事柄であるという理論。
個人的な感想としては、排他的な読後感のある『青の愛』、狂騒的で奇想天外な『白の愛』、若い愛と未来への希望を感じられる『赤の愛』。当然最後が一番気に入った。若さと可能性に隠れた判事の不安な人生だが、きっと、ヴァレンティーヌによって一条の光が与えられた事だろうと勝手に安心する(笑)。
物語はこの『赤の愛』で統合を見せ、これまで描いてきた『運命』に対して一応の決着を見せてくれる。と言う事で、どうせ映画を観るなら『3本まとめて』が賢い判断だろう。しかぁ〜し!270分を越す大作となるので、中々思い切れない(笑)。
交通事故で夫と娘を失ったジュリー。1人だけ生き残った彼女は、亡き夫の遺作となった協奏曲を共同執筆していた友人オリヴィエの中に、新しい愛を見出すのだが。(青の愛)
ポーランド人のカロルは、美しい妻ドミニクのためにフランスへやって来た。しかし言葉の壁に苛まれ、終には離婚を言い渡される。気持ちのすれ違い、語れない愛への想いが、思わぬ悲喜劇を呼ぶ。(白の愛)
純粋な美しさのある女性ヴァレンティーヌ、法律家を目指すオーギュスタン、2人がすれ違いながら暮らす町では、ある老判事が盗聴の罪を犯しながら、人々の繋がりの脆さを1人嘆いていた。(赤の愛)
映画『トリコロール・シリーズ』、3本分のノベライゼーション。全ての物語が少しずつ絡むタイプのオムニバス、これは映画も同じ構成らしいが、今のところは未見だ。少なくともノベライに関しては、単独ではなく、3つまとめて1つの作品と言った感じ。
そのため、1つ1つの話はかなりライトなまとまり。最終的に導き出される答えの為の伏線のようにも感じられる。これらの話が全て90分超えの映画になっているというから、果たしてどのような膨らみを見せてくれるのか、大変興味があるのだ。大抵のノベライは、登場人物の深い心理状態を細かく文字で描ける分、映画そのものよりも膨らみがあると思っていたのだが、映画を観る前ではあるが、それもあっさり覆されてしまった気分だ。
私が映画監督だったとしても、この物語から90分は紡げない。しかしノベライはあくまで映画ありき、本編はきっとより膨らみのある仕上がりなのだろうと期待する。そこからいささか萎ませたのが、今回のノベライなのだろうとね(笑)。
つくづくK・キエシュロフスキーという人は、難解かつ単純なお話を書く人だと思う。相反しすぎだろうか?正直、これ以外に上手い説明が思いつかない。先に書いたように、個々の物語の概要は簡潔かつ明瞭だ。しかしそれゆえ不可解だ。単純過ぎるのだ、話が。しかし、その答えは冒頭にしっかりと明記されていた。導入部でも油断は禁物(笑)。
つくづく上手いなと思うのは、目に見えない概念的存在を、リアルに眼前に浮かび上がらせるその手法。目くらましのように、幾重にも折り重ねられた物語の畝。その下に、ハッキリと感じられるたった1つの要素。物語を語る言葉全てが、その1つの要素を示す隠喩のように感じられる。そして今回の要素は、『運命』という概念を描いてる。
今回は・・・?というか、思うにこのK・キエシュロフスキーという人は、常に避け難い『運命』を主題に作品を作っているように思う。ただ『何に対する』運命なのか?と言う辺りに、違いがあるのかな?今回はズバリ!『運命の愛』。
人を愛すると言う気持ち、代わりの効かない『運命の相手』。物語の主人公達は、それぞれがそうした『たった1人』に出会うのだが、既に別の伴侶がいたり、表面的な障害に苦しんでいたり、ただ相手を知らなかったりする。
文章のそこかしこに隠されるように、しかしハッキリと『これは運命の出会いである』と仄めかされていて、それを前提に読み進むと、全ての行動や台詞に違った趣向と面白さを感じられる。言わば、主人公達が己の『運命』を全うするための物語。偶然に見える事柄も、こうした運命を全うする為には必要不可欠な事柄であるという理論。
個人的な感想としては、排他的な読後感のある『青の愛』、狂騒的で奇想天外な『白の愛』、若い愛と未来への希望を感じられる『赤の愛』。当然最後が一番気に入った。若さと可能性に隠れた判事の不安な人生だが、きっと、ヴァレンティーヌによって一条の光が与えられた事だろうと勝手に安心する(笑)。
物語はこの『赤の愛』で統合を見せ、これまで描いてきた『運命』に対して一応の決着を見せてくれる。と言う事で、どうせ映画を観るなら『3本まとめて』が賢い判断だろう。しかぁ〜し!270分を越す大作となるので、中々思い切れない(笑)。
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COMMENT
ホーンブロワー
ウースター嬢さん、こんにちは!
春がやってきましたねぇ〜♪
私はヨアンをホーンブロワーで初めて観たんですよ。
なんて・・・鼻が立派な人だろうと(笑)
あのドラマは、彼の人柄が上手く反映されていて、配役の妙が楽しめる良作でした。
『白の愛』が1番ですか〜。なかなか情熱的ですね♪
私はやはり、駆け引きの無いホンワカとした愛が1番良かった(笑)。
春がやってきましたねぇ〜♪
私はヨアンをホーンブロワーで初めて観たんですよ。
なんて・・・鼻が立派な人だろうと(笑)
あのドラマは、彼の人柄が上手く反映されていて、配役の妙が楽しめる良作でした。
『白の愛』が1番ですか〜。なかなか情熱的ですね♪
私はやはり、駆け引きの無いホンワカとした愛が1番良かった(笑)。
2008/03/22(土) 12:43:03 | URL | hiyo #B9A5zm5U[編集]
こんにちは!
J・グリフィズの名前に再び出て参りました!ホーンブロワーは本当に適役で、見所いっぱいの男臭い良いシリーズだったなー! (昨日、エリザベスを観に行ったのですが、もっと海戦シーンに力を入れようよ、と思いました)
ちなみにトリコロールシリーズでは、青と赤にはあまり感銘を受けなくて、白がだんとつ好きです。
J・グリフィズの名前に再び出て参りました!ホーンブロワーは本当に適役で、見所いっぱいの男臭い良いシリーズだったなー! (昨日、エリザベスを観に行ったのですが、もっと海戦シーンに力を入れようよ、と思いました)
ちなみにトリコロールシリーズでは、青と赤にはあまり感銘を受けなくて、白がだんとつ好きです。
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