『幸せのレシピ』

  • 2008/03/24(月) 01:08:27

〔米〕NO RESERVATIONS (2007年)
監督:スコット・ヒックス
脚本:キャロル・フックス
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/アーロン・エッカート/アビゲイル・ブレスリン/パトリシア・クラークソン/ボブ・バラバン/ブライアン・F・オバーン/ジェニー・ウェイド/セリア・ウェストン/ジョン・マクマーティン


N.Yで人気のレストランのシェフを務めるケイトは、完璧主義で自分の仕事に誇りを持つ余り、いささか周囲との折り合いが付けられない性格だった。姉の事故死で保護者を無くした姪のゾーイを引き取るが、仕事一徹の日々の中に子供がいる事に戸惑いを隠せないケイトだった。不安定なケイトを尻目に、職場に新しいスーシェフ・ニックが雇われた。彼は騒々しく周囲を巻き込み、ケイトの完璧な職場を荒らし回るかに見えた。しかし、悲しみを乗り越えようとするゾーイや、ニックの暖かい本性を知る内に、自分自身が固い殻を被っていた事に気が付いて行く。

どちらかと言ったら、↑の粗筋は本家『マーサの幸せレシピ』の方に近いかも?完璧主義で周囲と上手く溶け合えない不器用なマーサが、不安定だけど素直な姪っ子、職場に現れた騒々しくも人間味のあるイタリア人男性との触れ合いを通して、それまでの凝り固まった自分の考えや生き方を少し軌道修正して、その不器用さを周囲に晒す勇気を持つ話だ。
ドイツ映画らしくと言うべきか、いきなりマーサが器用になったりしないところが良い。最後まで彼女は不器用なままだけど、素直に感情を表す事、完璧さを打ち捨てる事を学び、より人間らしい素朴さを身に着ける。大仰でないところがまた良い。これはあくまでも、主人公マーサの物語であり、恋や姪との触れあいは、そうした彼女への影響の一部でしかない。姪との関わりのほうがよりマーサを突き動かした原動力であったのも、単純に恋愛に逃げない深みがあって良かった。
リメイクである本作は、話の主軸が『恋』に集中している感があり、コメディではないけれど、ライトタッチのロマンス映画になっている。しかしそれはそれで、中々良かった。
何しろ姐さん、キャサリン姐さんが最高(笑)。美貌は健在だが、メイクも控え目でファッションは全てパンツ・スタイル。堅実な料理人を見事に演じていた。が、やはり姐さんが料理って(笑)。
対するA・エッカートもナイスなキャスティング。うっとりするほどの美男子じゃないけれど、溢れる人間味がそれだからこそ感じられる。元映画のようにイタリア人という特性は持ち合わせていないが、それに相当する人当たりの良さが滲み出ていて良かった。
元映画ではとにかく周囲に対して不器用な主人公であったが、こちらのケイトはさほどでもなく、仕事に対しては確かにとっつき辛いところはあるが、同僚やご近所さんに関しては至極まともな人間らしい対応が見られる。この辺からも、ケイトに修正すべき人間性は無いと感じられるので、『恋』に集中して物語を楽しめる。
思えば、制作年代の近いリメイク作品は殆ど見た事が無い。元映画は見るのだが、ハリウッドのリメイクには興味が無いのだ。往年の名作のリメイクとなれば、往年の方を知らないので、全く新しい作品として観る事はある。記憶にある限りは初めてそうした作品を観たが、変更点も気になるどころか上手い転換を見せていて、少しばかり無機質で透明感があった元映画の雰囲気を極力再現したような全体の雰囲気と良い、元映画を大事に再生し感じで好印象だった。
んぐぅぁあ〜(が〜!)許せない、1つだけ許せない箇所があった。ラストだ、ラストが全然違う!!!これはどうなの、これはいかんのぉ〜。元映画では、あのラスト、あれが良かったのだ。確かにお国柄的にちょっと難しい設定だとは思うが、ラストのエピソードを全て削ってしまうの!?と気が付いた時には既にエンディング・ロール。うぉぉぉ!とクッションを引っ掴んだ(笑)。
姪との関わりを大切に描いた心温まるあのラスト、確かにロマンス映画としてはちぐはぐな印象だろうとは思うので、是非とも、未見の方は『マーサの幸せレシピ』でお楽しみ下さい。

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(2008/02/08)
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アビゲイル・ブレスリン 他

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