『幸せになるための恋の手紙』

  • 2008/07/02(水) 23:18:36

〔米〕THE OTHER SIDE OF HEAVEN (2001年)
監督:ミッチ・デイヴィス
原作:ジョン・H・グローバーグ
脚本:ミッチ・デイヴィス
クリストファー・ゴーラム/アン・ハサウェイ/ジョー・フォラウ/ナサニエル・リーズ/ミリアマ・スミス/アルビン・フィティセマヌ


アイダホフォールズで暮らすジョンは、モルモン教の宣教師として2年半の宣教活動のためトンガに出向いた。文明の少ない南国の密林での生活は、アメリカ育ちのジョンには新鮮な驚きと過酷さを伴うものだった。そんな日々の中で、恋人ジーンとの手紙の交換が彼の支えだったとも言える。徐々に地元の人々にも受け入れられ、信者も増え始め、ジョンは充実した毎日を送るのだった。実際の物語をベースに描く、信仰と友情に彩られたヒューマンドラマ。

最初にお伝えしておくと、A・ハサウェイのかなり初期の頃の作品である。登場時間はトータルで20分くらいかと思われる。主人公の恋人役ではあるが、さほど重要な役割では無いので、アン目当ての方は、お借りになる前にご一考されると宜しいかと。
さて私は、C・ゴーラムが観たくて借りた。映画の出演作が少なくて、現時点で借りられる出演作がこれだけだった。偶然テレビで出会ってしまったのが運の尽き・・・タイプなんだよねぇ(笑)。という側面では、大変満足!『という側面』以外では、個人的には微妙な映画だった。
『モルモン教が世界で一番!』と思っている方には、恐らく最高の作品ではないかと思われる。偶然少し前に見た作品でも、若者が2年半の期限付きで布教活動をしに行くというプロットがあった。詳しい事は解らないが、前出の作品ではカウボーイが、本作ではどうやら会社員の若者がそれぞれ布教活動に赴く。これから推測するに、布教に格別の資格は要らないようだ。とにかく、布教活動に力を入れている宗派という印象が残る。
己の宗教における確固たる信念と信頼、そして熱意。そんなものがあれば布教活動は出来るのだろうし、むしろそれが無い惰性の牧師に布教されるよりはマシなのじゃないかと。で、そんな強い信念を持ったジョンは、遥か未開のトンガに行って、嵐に遭遇したり海に呑まれたり、地元民との諍いに巻き込まれたり和解したりと、様々な貴重な体験をする。特にどうという事は無い、先進国の若者が、途上国で人が良く純朴で暖かい地元の人々に大事にされるという話。特定の宗教を持たない私としては、所詮この程度にしか受け取れないのだ。
文明は少ないが大いなる自然と共に豊かに暮らす人々に、意図的では無いにしろあり得ないような奇跡を信じさせ、欧米の信念を強引に押し付けている様を観続けるのはいささかうんざり。ジョンが死ぬほどの思いをしても、既存の宗派に迫害されても、『自業自得』としか思えない。
宗教を持って、自分の人生に信じるものを据えるという事に全く異存は無いし、むしろ羨ましいとすら思う。殺伐とした世界に無宗教で生きていると、例え目に見える効果や見返りが無かったとしても、心の中で縋れるよすががある事は、なんとなしに心の平安が得られる気もする。
それでもこういう映画を観ていると、やはり今更、信仰心は持てないとつくづく思う。第一、押し付けられるのは勘弁なのだ。自分が信じるものなら、自分で探して選んで決めさせて頂きたい。
映画では特別、押し付けたり強要したりはしていないのだが、『無知』に付け込んでいるなぁという気はしてしまうのだ。その辺を回避するような問いかけも幾分含まれているが、滲み出る『賛歌』的雰囲気が、そうした描写を公平に受け取る気持ちを萎えさせる。
結論としては、私みたいなタイプはこういう映画を観てはいけないなと。でも、『アン・ハサウェイ主演の青春ロマンス映画』みたいな宣伝をしていたので、引っかかっちゃったぞと。ちなみに、結構評判は宜しいので、恐らく私が捻くれているだけかと・・・。
いずれにしろ、個人的にはC・ゴーラム堪能の2時間を過ごせたので良し!あ〜、可愛かった♪

幸せになるための恋の手紙幸せになるための恋の手紙
(2007/08/03)
アン・ハサウェイ

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『オフサイド・ガールズ』

  • 2008/06/11(水) 23:32:46

〔イラン〕OFFSIDE (2006年)
監督:ジャファル・パナヒ
脚本:ジャファル・パナヒ/シャドメヘル・ラスティン
シマ・モバラク・シャヒ/サファル・サマンダール/シャイヤステ・イラニ /M・キャラバディ/イダ・サデギ/ゴルナズ・ファルマニ/マフナズ・ザビヒ/ナザニン・セディクジャザデ


イスラム教を重んじるイランでは、男性のスポーツを女性が競技場まで行って観戦する事は、なんと法律で禁止されている。要するに、『サッカーの試合を『お金を』払ってスタジアムで観ようとする『女性』は、犯罪者になってしまう』のだ。それでも、ワールドカップ出場がかかる大一番を観るために、様々に『男装』した女性達が、果敢に入場を試みる。逮捕された個性的な一団は、警備員達を丸め込み、なんとか試合を見せてもらおうとするのだが・・・。

いや、予想以上に面白かった。予想以上に捻ったプロットで楽しめた。まずなんと言っても、男女平等を謳い上げる世界区の風潮がある中で、『公共の場で男女が同席するのを良しとしない』という意見がまかり通り、男性のスポーツを女性が生観戦したらいかん!と、法律で決めてしまうような国のお話だ。時代錯誤というよりも、異次元の世界に思える。
しかしこれに反して、男性も女性のスポーツを生観戦したらいけないそうで、そうした事実を台詞に紛れ込ませ、様々な理不尽さをコミカルに描き出す。そんな手法が随所に効いていて、実に上手い脚本と演出だと思った。男の監督は、女子の試合を外から携帯で指示するって、本当?
例えば、男性の試合を見せない事に憤る女性達なのだが、女性の試合を男性が見られない事には何ら疑問が無い様子なのが面白い。対する男性陣も、『なぜいけないのか?』という問いには上手く答えられない。なかなか上手い事を言うなとは思うのだが、理屈にはなっていない。
女性には汚い言葉を聞かせない、見せないという徹底振りも面白いが、だったら自分達が控えよう!という心がけじゃなしに、自分たちは我慢できないから、女性が側に来なければ良いという考え。まったく、女性を庇護しているのか卑下しているのか、いまいち判断が付かない(笑)。
構成も面白いのだ。この試合に勝てばイランがワールドカップ出場!という大一番、対戦相手はバーレーン。その試合が熱く行われている直ぐ脇のスタジアム外で、物語が進行していく。試合が映される事は無いのだが、溢れ返る熱気が伝わってくるような臨場感がある。
結果はサッカーファンならご存知の通り、見事イランはバーレーンを下し、我が日本と同じく、同組からの出場と相成った。これはあの、熱き2006年ワールドカップを目指すお話だ、会話の中には、日本の名前もチラホラ出てくる。思い返せば、イランでのゲームの際に、日本は宗教外、理屈外ということで女性の入場が認められた、そんなニュースが頭を過ぎる。この異次元の物語も、妙な新密度とリアリティを持って感じられるようになる。
もう1つありがたい事に、予選時に同組であった日本の(似非)サポーターとしては、乱発されるイラン選手の名前が解る事だった。そうすると、試合を見られない彼女達の白熱した『実況』が、同じような環境で体感する事が出来る、お試しあれだ。
スポーツを愛する人にとって、その試合を見たい、自国の応援をしたい!と言う気持ちは誰でも同じ、そんな熱い思いが溢れるばかりのこの映画。それに、国を愛すると言う事、その点では軍人も女性も同じ、その気持ちに優劣はないのだ。最終的には、なんだかんだ言っても、人として、お互いを思いやる気持ちがある事を、それとなく描き出している辺りもとても良い。
規律に縛られた軍人も、試合を見たいと願う彼女たちの熱意を無下には出来ない。仕事が大変な軍人を、頭から否定も出来なければ迷惑もかけたくないのは、彼女たちだって同じ事。この映画の根底には、男も女も関係なく、『人間』としての考え方がきちんと根ざしてる。シニカルなようでいて、そうした暖かい目線が小さく感動を呼んだ。
私自身スポーツ観戦が大好きなので感想も甘くなってしまうのだが(笑)、ただ熱くバカ騒ぎをしているだけじゃない、スポーツ観戦を楽しむという一体感などを通して、地味で堅実な作りながらしっかりとした物語を作り上げている点、秀作と呼ぶに相応しい仕上がりだ。

オフサイド・ガールズオフサイド・ガールズ
(2008/05/23)
シマ・モバラク・シャヒサファル・サマンダール

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『僕のピアノコンチェルト』【一部ネタバレ注意!】

  • 2008/06/11(水) 23:13:41

〔スイス〕VITUS (2006年)
監督:フレディ・M・ムーラー
脚本:ペーター・ルイジ/フレディ・M・ムーラー/ルカス・B・スッター
テオ・ゲオルギュー/ブルーノ・ガンツ/ジュリカ・ジェンキンス/ウルス・ユッカー/ファブリツィオ・ボルサニ/エレニ・ハウプト/タマラ・スカルペリーニ/ノルベルト・シュヴィーンテック/ダニエル・ロール/ハイディ・フォルスター/クリスティーナ・リコーヴァ


計測不能と言われる程の高いIQを持つ天才児ヴィトスは、同時にピアノでも素晴らしい才能を見せていた。12歳になる頃には高校に通っていたため、同年代の友達もおらず、厳しい母親に制圧される毎日だった。唯一祖父と一緒にいる間だけ、ヴィトスにとって子供らしい楽しみが感じられる時間だ。ある嵐の晩、マンションの外で倒れているヴィトスが発見される。どうやらベランダから飛び降りたらしいのだが、その事故の後遺症で、知能が普通レベルになってしまった。ようやく普通の生活を手に入れたヴィトスだったが、彼の様子を嘆く母、仕事が上手く行かない父、老齢になって弱っていく祖父など、周囲の様子には暗雲が立ち始める。かつては天才児だったヴィトスは、家族を助けるためにある行動に出るのだが・・・。

単に天才少年の苦悩を描くという大枠以上に、様々に毛色の違うエピソードが組み込まれ、結構盛りだくさんな内容だ。それでも、煩わしい印象や詰め込みすぎという感じは無く、むしろ天才という要素を上手く使い、意外な方向に物語が展開していくのが面白かった。
しかしその反面、もう少し短く出来るかな?と思わせる冗長さもあった。特に、ヴィトスが幼少の頃が不必要に長い気が・・・。子役も、可愛いのだが演技は微妙で、幼少時代はステレオタイプナまとめ方をしていただけに、少しだらけた印象が残ったのが残念。12歳のヴィトスになってからも妙な単調さは残ったのだが、上記したように物語も複雑になってくるので余り気にならなかったのだ。とにかく、ストーリーは良いが、テンポが悪いのよ。
それにしても、まずは12歳のヴィトスを演じた、映画初出演のT・ゲオルギューが凄い。映画初出演というのも凄いが、あのピアノ演奏も凄い。さすがに指がビックリするほど綺麗で、あの指で肩を揉んでもらったらさぞや気持ち良かろうな・・・と、妙な憧れを持ってみる(笑)。
そしてやはり、B・ガンツが良い、良すぎる。ほんの一瞬、『ベルリン・天使の詩』の頃の姿が見えてドキっとした(笑)。劇中では、ヴィトスの親友であり助言者でもあり、唯一ヴィトスを『天才』として扱わないおじいちゃんを、実に優しく好演していた。なんとも柔らかい表情が本当に魅力的。
全体としては、天才とは対極にある私でも、天才ゆえの苦悩が良く伝わってきた。望まなくても特別扱いされる、まるで自分が、何かの珍種にでもなったような気になる事だろう。私のように普通まみれの人間からしたら、良いのか悪いのか?やはり羨ましいと思ってしまうのだが(笑)。
ここからがネタバレになるのでご注意!『普通ではない』自分に悩み抜いたヴィトスは、結局は普通のフリをする事で、本来の自分を受け入れていく。ピアノへの熱意に気が付く一連の描かれ方が、無心で飄々としていて、まさにヴィトスという個性を表しているようで、とても印象的だった。
いくら天才でも、『人生』に関しては天才にはなれないのだろう。だからこそ生きる事とは、難しくも素晴らしいのだと考えさせられる。ヴィトスには天才だという自負が根底にあったから、解決できない『自分の人生』という問題に、必要以上に戸惑ったのかなぁ、なんて考えたり。
だからこそ、全ての問題が解決してヴィトスが向かった場所に、より一層の満足感と爽快感がある。本当に好きな事を、自分の意思で選び取る自由から生まれる充足感。観客としても、感無量だという気分になった。それゆえに、ラストの演奏会シーンは圧巻だ。実生活でピアノを学ぶT・ゲオルギューという素の少年と、劇中のヴィトスの気持ちがリンクしたように、制圧の無い渾身の演奏を披露してくれる。まだ子供らしい無心さを見せつつも、その技量はまさに天才。劇中の天才と本物の天才が、最後に舞台の上で1つになったかのような錯覚を覚えた。『喝采を送る』って、こんな気持ちの時に、使える言葉なのかも知れないな。

僕のピアノコンチェルト僕のピアノコンチェルト
(2008/05/21)
洋画

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『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』

  • 2008/06/03(火) 23:39:52

〔丁/仏/独/英〕DEAR WENDY (2005年)
監督:トマス・ヴィンターベア
脚本:ラース・フォン・トリアー
ジェイミー・ベル/ビル・プルマン/マイケル・アンガラノ/クリス・オーウェン/アリソン・ピル/マーク・ウェバー/ダンソ・ゴードン/ノヴェラ・ネルソン/ウィリアム・フットキンス/トマス・ボー・ラーセン


アメリカの寂れた炭鉱町で暮らす、まだ少年のようなディック。炭鉱で働かない人間を見下すような町で、雑貨店の手伝いをしながら地味に生活していた。彼はおもちゃの銃を長年持っていたのだが、職場の同僚で銃マニアのスティーヴィーにそれが見つかった折、本物の銃だと知らされ、『ウェンディ』と名づける。以来2人は、廃坑に隠れて銃の腕を磨く。やがて、拳銃を人に向ける事無く所持するだけでも、自信が沸いて立派な人間になれると悟った2人は、町で似たような境遇の若者を集めて、銃による平和主義を目的とした組織『ダンディーズ』を結成する。

そもそもこの作品、大きくなったJ・ベル確認と、M・ウェバーが観たいだけだった。予約リストにずぅぅぅっと乗ってて、もう観なくても良いか・・・?と思った頃、M・ウェバーも『痛いほど君が好きなのに』でカタリーナ・サンディノ・モレノと共演するって言うじゃない?イーサン・ホークは好きだし小説もかなり良いとは聞いていたのだが、とは言えねぇ・・・、所詮イーサンの書いた小説(笑)と、手出しは控えていたのだが、映画なら良さそうだ。しかもこれ、私が密かに好きなジェシー・ハリスが音楽を担当してるとな!しかも出演もしてるとな!?観なくちゃ・・・観なくては!
J・ベルも順調なキャリアを積んでいるようだし、まぁじゃあ、観ても損は無いか〜?と言う事で鑑賞。そうね、映画はまずまず。っていうかJ・ベルよ!個人的には『美形』の範疇外という認識だったのだが、中々どうして、繊細な顔立ちをしているじゃないの。時代劇にでも出たら、ピッタリはまりそうな気がする。子供の頃の顔のまま、見事に大人になった例(笑)。
M・ウェバーは相変わらずで・・・もっさ〜〜(笑)、そこが良いのだけど。しかし『ボム・ザ・システム』は、今のところ越えられないかな。やはり今後の出演作に期待か・・・、イーサンだな。
う〜むむ、これもやはりね、何が言いたいのか大いに悩む。反暴力映画なのか、単なる悲壮な青春映画なのか。銃社会アメリカに対する風刺なのか、銃そのものに対する脅威を描いているのか。または集団社会のはみ出し者という枠を描いているのか、そうした固定概念が歪ます人間の心理を描いているのか?銃はそのための小道具に過ぎないのか、はたまた、西部劇への単なるオマージュなのか??
いずれにしろ、結末が好みでは無いので、何とも後味が悪い思いが残る気もする。展開も急だし強引だし、むしろ何だかのメッセージがあればこそ、この強引さも許されるのではないかと思うのだが、どうもその辺が良く解らなかったのだ。ディック始め『ダンディーズ』の面々は、結局何に命を賭けたのだろう?それは各々のパートナー、古く美しいフォルムの拳銃だったのだろうか?
だとしたら結局これは、銃による『暴力と自己主張』に反対を唱える映画になるのかな。『所有するだけ』という大名目の元に集まった彼等だが、結局のところ、その銃口を生き物に向けたいと願っていたのではないか、それこそが銃の正統な使い方であると暗に理解していたのでは?あのラストからは、自分の力を見せ付けたいという欲求が、拳銃という心強い相棒の存在によって後押しされていたように見えたのだ。
ともあれ、アメリカの架空の町を舞台にしたこの作品、舞台背景や雰囲気などが少し変わった印象なのが面白い。語りが多いせいか、なんとなく児童小説を読んでいるような気分にもなる。現実にありそうで、やはり現実的ではない境界線スレスレの世界観は、結構好みだったのにな。

DEAR WENDY ディア・ウエンディDEAR WENDY ディア・ウエンディ
(2006/06/02)
ジェイミー・ベル

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『ヘアスプレー』

  • 2008/05/01(木) 19:18:17

〔米〕HAIRSPRAY (2007年)
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン
ジョン・トラヴォルタ/ニッキー・ブロンスキー/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/クイーン・ラティファ /ザック・エフロン/ブリタニー・スノウ/アマンダ・バインズ/ジェームズ・マースデン/イライジャ・ケリー/アリソン・ジャネイ/ジェリー・スティラー


16歳の高校生トレーシーは、地元ボルティモアで大人気のダンス番組、『コーニー・コリンズ・ショー』に夢中だった。いつか自分も同じ舞台で踊りたいと願っていたが、遂にそのチャンスが訪れた!おでぶキャラのトレーシーだがダンスはピカイチ、髪型もばっちりで、直ぐに番組の人気者に。しかし、そんな彼女の活躍を快く思っていなかったのは、番組プロデューサーのベルマだった。差別主義者で横暴なベルマは、週に一度のブラック・デーを廃止してしまう。そして、抗議行進に参加したトレーシーは、思わぬ災難に巻き込まれてしまうのだった。

まずまず、面白かったかな。夢を追いかけて人気者になったトレーシーという楽しくて幸せな部分と、1960年代初頭、未だ根強い黒人差別を残すボルティモアを舞台にした真摯なエピソードが上手く絡みあっている。しかし!?本来なら余りにも毛色の違う要素をドッキングさせたがために、双方ともが『そこそこ』レベルの面白さに留まっているのね。
トレーシーの『夢を追う!』というエピソードは紋切り型だし、差別に関するエピソードや展開も、実にありきたりであっさりしたものだ。これが、良い意味で『教科書的映画』という気分にさせる。これで演出や役者が悪かったら最悪だろうが、その水準は高いので、満足の行く出来なのだ。
学校の演劇発表レベルの素人だった主演のN・ブロンスキー。残念ながら演技力の程は予想通りだったが、一生懸命さは伝わって来たし、トレーシーと同じく楽天的な豪快さがあると思う。
内容的には、アラを探せば正直幾らでもある。加えて、粗筋を聞いた瞬間から全てのストーリーが克明に予測できるほど単純だったとしても、構成や演出が良かったので個人的にはOK。その上更に、わたし的には、C・ウォーケンの存在だけで万事OK!という気分だ(笑)。最近この方、何となくこういうキャラクターが多いような気がするが、そんなC・ウォーケンが好きだわ。
J・トラボルタは、なぜゆえママ役に抜擢されたのか?その疑問は映画を見終わっても謎のままだったのではある。歌って踊れる女優なんて幾らでも居るだろうに、ましてあれだけ特殊メイクの塊と化すなら尚の事だ。単なる話題作りだけなら、それこそ失敬な話だと思うのだが?J・トラボルタの踊りも歌も、『女性らしい』演技のおかげで堪能するほどの迫力も無いのではあるが、仕草や目線が妙に女っぽくて、結構サマになってはいた。
その他ではやはり、以前日記にも書いたがJ・マースデンが・・・あれ?余り目だっていなかった・・・。歌もアイドルばりに無難に上手すぎて、逆に影が薄くなってたかな〜。良い役だったので残念ね。Z・エフロンは、かなりムリムリだったけど頑張っていたのでは?以前『無機質』と評した気がするが、ちょっと今回は、色が付いたというか、現実感が出てきた感じ(笑)。
M・ファイファーも相変わらずお綺麗だし、A・バインズは滅法可愛いし♪何より今回は、Q・ラティファが良かった!あの役にQ・ラティファを充てる辺りも基本的だと思うが、それを良いと思わせる演出が上手だった。もちろん、Q・ラティファ自体が、良い雰囲気を持っているからなおさらだ。
役者の存在感も良かったし、演出や展開も飽きさせなかった、万人向けの面白い作品だと思う。それに、単純だからこその教育的雰囲気も嫌いじゃない。なんだかんだ言って、作りがまじめなんだろうな。いっその事この作品を、学校指定推薦映画にでもすれば良いのに(笑)。

ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組)ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組)
(2008/04/04)
ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー 他

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『恋するレストラン』

  • 2008/04/21(月) 23:27:26

〔オランダ〕HET SCHNITZELPARADIJS (2005年)
監督:マルティン・コールホーベン
原作:Khalid Boudou
脚本:マルコ・ヴァン・ゲフィン
ノア・ヴァレンタイン/Bracha van Doesburgh/Mimoun Oaissa/ヤヒーラ・ゲイール/Tygo Gernandt/Mohammed Chaara/Micha Hulshof/Gurkan Kucuksenturk/Sabri Saad El-Hamus/Frank Lammers/Linda van Dyck /Porgy Franssen/Sanne Vogel


父親の期待を一身に背負い、学校を優秀な成績で卒業したノルディップ。しかし彼は父親が決めた自分の未来に納得が行かずに、父親には図書館のバイトと偽って、ホテル厨房の皿洗いのバイトを始める。そこで出会った、社長の姪でもあるウェイトレスのアグネスに一目惚れしたノルディップ。何とか彼女の気を引こうと試みるが、彼女の返事は『モロッコ人だから』、両親が反対するという素気無いものだった。ノルディップの恋は、未来は、どうなってしまうのか?

こちらの映画もまた、観終わった時は『いや〜青春って良いな、恋がしたいな!』とまぁ、清々しくウキウキするような気持ちだった。でもやはり?感想を書こうと色々考えてみると、、、大した作品でも無かったなと(笑)。ステレオタイプなキャラクターや展開を利用して、リズム感良く適度にまとまっているので、鑑賞直後は面白いと感じられるのだろう。間違っても、振り返って色々考えちゃいけない作品だ。冷静な判断力のある人に、お薦めするのもお勧めしない。
こちらもまた原作ありきの映画なのだが、悲しいかな詳細は不明だ。物語の質感と著者の名前から判断するに、著者の実体験を基にしたデビュー作で、オランダ国内における移民に対する目線、差別や対応などの厳しい側面を、『普通のオランダ国民』として暮らすモロッコ人青年の目線を通して、新鮮に嫌味なく描き出し、そこに、同国人間の友情や、異国間の恋と友情、最終的には、そうした差別や国感情を乗り越えた、人間性を認め合う関係などを描きこむ。きっと親子の気持ちの擦れ違いや歩み寄りなんかも描かれていて、お父さんにも、もっと焦点が当たっているのだろうな。もちろん、青年が自らの将来をとしっかりと向き合い、仕来りやお国柄に左右されず、求める自分の姿を見出す物語でもあるだろう。ホロリとさせつつも大仰にならない抑えた筆致でスマートに、若者らしい初々しさを湛えて描かれた青春小説なのだろう。というのが、私の予測ね(笑)。多分かなり近いと思うんだけど?と言う事で、原作者のHPを発見。デビュー作というのは、当たっていたみたいよ(笑)。
とまぁ、こんな事を予測してしまうぐらい、映画でもキャラクター構築はしっかりと成されているのだ。原作から忠実に抽出したのは、キャラクターの個性のみなのか、そのどれもが、物語では全く生かされていない。キャラクターは置いてけぼりで、物語だけが進んでいく感じ。キャラクターと物語が噛合っていないなんて、どう考えてもおかしな状況が実際に起こってる。
映画の製作者側が、原作におけるキャラクターの完成度を、活かしきれていないのかな?と考えた。そうする事によって完成度が高まる物語を、台無しにしちゃった感じね。ホテルの社長に与えられた設定なんて、余りに無意味な絡み過ぎてよもや意味不明。サンダーの活かし方も、非常に勿体無いない。嫌味はどう転んでも良いってものでは無いのよ、嫌味にも一貫性がないとダメ。
結果として、あらゆる事への取っ掛かりが陳腐に感じられて、引きずるように個々の結末の処理まで中途半端だ。定石を守っている分、面白くも感じるのだが、『もっと出来たはずだ!』という煮え切らなさが残る。主演の俳優2人が素敵だったのも、何とか救われた要因だろうな〜。
アグネス役の女優はとにかく可愛くて、そりゃあノルディップも一目惚れするわねと共鳴(笑)。そんな、恋に一途で男気のあるモロッコ人の青年ノルディップを演じるのは、N・ヴァレンタイン(Noah Mounir Valentynというらしい)。スタイルも良くて精悍な面立ちで、輝く瞳がとにかく素敵なのだが、気を許すと・・・つい気を許すと・・・『ばんばひろふみ』に見えてしまって(笑)。ごめんなさい、ごめんなさい・・・。お詫びに、本当はこんなに素敵なN・ヴァレンタイン画像を最後に。
Noah1.jpg

ほら素敵だ(笑)

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ね?素敵でしょ?

Noah3.jpg

やっぱり、ばんば・・・

恋するレストラン恋するレストラン
(2007/05/02)
ムニール・ヴァレンタイン、マルコ・ヴァン・ゲフィン 他

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