『ブランディングズ城の夏の稲妻』

  • 2007/11/09(金) 13:33:13

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
第9代エムズワース伯爵クラレンスの最大の興味関心事は、シュロップシャー農業ショーで2年連続銀メダル(優勝)を勝ち得るやもしれん、エンプレス・オブ・ブランディングスという美しい(はずだ)豚。という事は、この豚様をいずこに隠し、あたかも見つけたかのようにエムズワース卿に差し出せば、心の悩みは一切晴れる!と考えた甥のロニーは、それを決行に移す。ロニーの悩みとは愛するスーと結婚する事なのだが、彼女はしがない踊り子、おまけにロニーは叔父クラレンスに忌み嫌われているらしい。密やかな陰謀が巡らされているブランディングズ城の公の大問題と言えば、エムズワース卿の弟である放蕩者のギャリーが、若い頃の回想録を書いているという事。そんな過去の恥を発表されたら、関わる大勢の貴族達が失神しかねないと気を揉むレディー・コンスタンス。しかしもっと深いところでも、恋の華が咲き乱れていた。


さてさて、以前紹介した『エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉』。こちらはエムズワース卿物としては数少ない短編を全て集めたもので、とうとう、エムズワース卿の嬉しい『長編』が発売される運びになった。
後書きに詳しいが、長編第一作目は既訳(入手大困難)があり、2作目はエムズワース卿の作品としてはいささか形成が定まっておらず、という事なので、3作目に当たる本作が、エムズワース卿作品の一定の法則をしっかりと形取った作品という事になるらしい。
一定の形とは、伯爵の興味がエンプレス(豚)だけに集約され、それゆえ、豚を介して伯爵の気持ちを動かそうとする輩達によって、エンプレスは有象無象のトラブルに巻き込まれる。というものだそうだ。そして毎回恐らく、幾組みかのカップルが結婚する事だろう(笑)。
短編は長編に至るまでの過程だったらしく、この長編では確かにある種のスタイルが感じられた。そしていささか残念なのが、エムズワース卿が全く目立たない、という事なのだ。温厚でボケボケしてて、文中の言葉を借りれば『完全に意図的かつ目的的にまぬけ』な伯爵の様がたまらなく面白かったのだが、長編では、伯爵を取り巻く人達が大活躍で、伯爵は台詞すら・・・もともとちゃんと話せない人だが(笑)、少ないのだ。
短編ではしっかりとエムズワース卿が『主役』だと思われる描き出しだったのに、長編ではメインではない。短編によってエムズワース卿の虜になった私としては、非常に残念なんである。お脳の動きが活発でない伯爵の一挙手一投足が面白かったのに〜。
しかも次男フレディも既に結婚してアメリカに、という事なので登場しない。似たキャラクターは出てくるが、勢いと傍若無人さにおいて、フレディの足元にも及ばないのだ。
物語としては、まさにウッドハウス全開でテンポ良く、まどろっこしいながらも言葉選びの面白さ、飄々とした感じ、社会に対するシニカルだが愛情ある目線など楽しませてくれる。
思うのは、ウッドハウスの作品において『愛』は確固たる強さを持っているという事。もちろん、若い者達の『愛』のすったもんだが軸なので、この愛が裏切りや心変わりなどを含有してしまうと物語は倍の厚さになってしまうだろうが、それでも、一途な愛の姿を描くウッドハウスには、人間に対する深い興味と愛情を感じてしまうのだ。
シニカルな側面やコミカルさを取り上げられるウッドハウスだが、こと『愛』に関しては、限りなく伯父さん的優しさを感じられる。個人的には、違った側面としていつも心和ませられる。

ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)
(2007/09)
P.G.ウッドハウス

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『グルメ探偵と幻のスパイス』

  • 2007/10/23(火) 22:18:41

ピーター・キング著/武藤 崇恵 訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
旧友ドンの依頼で、幻のスパイス『コ・フォン』の鑑定にはるばるニューヨークまでやってきたグルメ探偵。遥か昔に絶滅したはずの幻のスパイスを前に興奮するが、本物と鑑定した途端に何者かに盗まれてしまう!警察は数百万ドルの値打ちがあるスパイス?と中々本気にならないが、そんな矢先になんとドンが自信の店『スパイス倉庫』で殺されてしまう。盗まれたコ・フォンを巡る水面下の争奪戦も重なり合う難事件に、またまた巻き込まれたグルメ探偵、旧友を殺されたとあっては黙っていられない。今度はアメリカの警察と協力して解決を目指す!


という事で2作目(笑)。舞台をアメリカに移動して、幻のスパイスを追うというお話だ。ちなみにこの作品、今後はフランスやイタリアなど、ヨーロッパ各地を舞台に展開するらしい。なんだつまらん。ロンドンという、食に関しては東京に近い無節操な都市で、電車を乗り継いで活躍するスタイルが面白かったのに。
面倒なので先に言っておくと、グルメ探偵に名前は無い。何でこんな面倒な設定にしたのかは不明だが、『お名前は?』なんて質問には適当に答えるグルメ探偵。一人称なので、作中では『ぼく』で片付けられ、対する人は『お前』『あなた』とまるで夫婦のような呼びかけで済まされてしまうのだ(笑)。
前作で細かく紹介された魅力的なグルメ探偵の『友人達』が一切出てこない!あのワトスン的、、、というより、グルメ探偵に代わってほとんどの重要な調査をしてくれたマイケルなんか、どうしたっていうの!?せっかくのキャラクターを無駄にするなんて勿体無い、と思わずにいられない。
ミステリ要素は相変わらず陳腐、というよりも今回は、謎解きの部分が陳腐だった。唐突過ぎるし安易すぎるのよね。謎を解く手法や、物語の転機となるドンの死の要因とか、単純な事が解らないくせに重要なところが安易。
しかしグルメ薀蓄は更に高度さを増し、今回は料理を作る上で重要だが決して『メイン』とはならない『スパイス』が物語の中心になる。
料理をしない人や興味が無い人にはいまいちピンと来ないだろうが、それでも、幻のスパイスの匂いや味を想像して、際限ない興味が沸き起こるだろう。幻(実際には無いスパイス)であるにも関わらず、その描写は卓越していて、リアルにその芳香が漂って来るよう。
グルメ探偵稼業はひとまずお休みだが(NYだからね!)、食の坩堝であるニューヨークの特性を活かして、沢山のレストラン、そして食事が描写される。私はアフリカ料理が食べたくなった(笑)。チリですらグルメになってしまうこの作品、久し振りに自家製チリでも作ろうかな♪
そして今回もまた、美しい女性(警官)となにやら密かなムフフが(笑)。名前すらないグルメ探偵なので、主人公に関する描写は全く無いが、恐らくグルメ三昧の日々を送っている割に巨漢ではなく(ネロ・ウルフを凄い巨漢!って言うぐらいだし?)、見た目も魅力的と想像する。そうねぇ?映画化するなら・・・、リス・エヴァンズ・・・じゃ中年過ぎるから、あ、いや、中年でもユアン・マクレガーとか、良いかも知れない♪あらやだ、ピッタリよ、多分♪
今回もドジっぷりは健在だが、前作よりも暴力的な要素も増し、ストーリー展開、ストーリーテリングの手腕は確実にアップしている。そもそもこの著者が、筆力のある方なんだな。単純にだから面白い。
ラストも小洒落た感じでスッキリまとめ、次作への期待を高めてくれる。しかぁし、そろそろ(既にか(笑))飽きてきたので、美女を絡ませるはお辞めになって。事件捜査も面白いが、グルメ探偵としての本分の活躍も適度に描いてくれると、より面白いだろうになぁ?と思うのだが?

グルメ探偵と幻のスパイス (ハヤカワ・ミステリ文庫 キ 8-2) グルメ探偵と幻のスパイス (ハヤカワ・ミステリ文庫 キ 8-2)
ピーター・キング (2007/01)
早川書房
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『グルメ探偵、特別料理を盗む』

  • 2007/10/23(火) 21:52:30

ピーター・キング著/武藤 崇恵 訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
ロンドンに事務所を構えるグルメ探偵。と言っても、本物の免許を持った探偵ではなく、依頼によって食材を探したり、企業やレストランの相談に乗ったりと『グルメ』に限った『あれこれ』を解決している。本人はミステリ小説が大好きで、なんとなく探偵という名前に落ち着いていた。しかしある時、『ライバル店の人気メニューを盗んで欲しい』という変わった依頼をもちかけられた。解決したと思ったら今度はそのライバル店から、『何者かが店を潰そうとしている』と犯人追求の依頼を受けた。事件捜査は門外漢だと断りたかったが、ヨーロッパでもトップクラスのレストランのオーナーからの依頼とあっては、興味の方が勝ってしまった。かくして、慣れない『本物の』探偵仕事を始めたが、途端に潜入先で殺人事件に出くわしてしまう。スコットランド・ヤードの要請を受けて捜査を続行するグルメ探偵だが、果たして・・・?気弱で頼りないが、食に関しては第一線のグルメ探偵初登場!垂涎のグルメ談義を携えて、難事件にも挑む!?


グルメ関係の本は色々読んでいるが、これはやはり『パンプルムース・シリーズ』に酷似しているな。しかし、グルメに関する記述や薀蓄はこちらの方が私は好み。結構学術的な事や歴史的な事にも踏み込んで、さすがグルメ探偵!という感じだが、意外に解りやすくて面白い。
やはり1作目は、主人公自身の事、主人公を取り巻くキャラクターの確定などが細かく有り、物語要素はその分下がる。その上この作品は、著者の処女作と言う事なので、ミステリ要素や物語性はまた更に下がる(笑)。
という事で、ミステリ要素はかなり陳腐。奇を衒って二転三転させていはいるが、主人公と同じく、既出の探偵物の焼き回しのようだった。そうそう、この主人公はミステリが大好き!なので、作中で何度も人気ミステリの主人公を模倣しようとしたり、名を挙げてみたりする。グルメにさして興味が無かったとしても、この分野では思わずニヤリとする方もいるはずで、読者としては二重三重に楽しめる。ずるいなぁ〜とは思うが、上手いやり口なんである。
格言う私も、グルメの記述でニヤリとし、往年の名探偵の名前やサブ・キャラクターの描写にまたまたニヤリとし、著者の術中にしっかりはまってしまった。ミステリ要素に独創性は全く無いが、別の言い方をすれば教科書通り。多くの巨匠達の手法を丁寧に真似ているので、出来上がりはまずまずなレベルだろう。
気弱で頼りなくて、美しい女性にちょいと弱くて・・・、そんな探偵物なら、私は真っ先に『スタンリー・ヘイスティングズ・シリーズ』を思い出す。ハード・ボイルドの向こうを張って、こんな探偵もよくよくお目にかかるようになったが、こうした作品の特徴は得てして『スマートでちょっと小気味良くてシニカルな会話』が付き物。これもまたお約束通りなのだが、個人的にはこの作品気に入った。
上記の様々なキャラクター構成のお約束だが、やりすぎていないところが良い。ライトな筆致も、微に入り細に入ったグルメ描写でちょうどバランスが取れている。欲目かも知れないが、非常に『イギリス的』で、どこか超然としたようなドライな感じが伺える。
変に自分を卑下したり、ことさらに弱虫ぶりを強調してみたりもしない。曰く自虐的キャラではないのだ、このグルメ探偵は。その基盤には、グルメ界ではそこそこ第一人者という自負が、主人公にも著者にもあるからじゃないだろうか?探偵稼業はダメでも、胸を張れるものがあるという自負が、とことんダメ主人公になるのを防ぎ、その辺がまた良いバランス感。
また、イギリスにおけるグルメという無節操さがまた良い(笑)。全く想像に属さないこの『イギリス=グルメ』という公式。前途した『パンプルムース・シリーズ』の著者もイギリス人だが、これは舞台をフランスに設定しちゃってるし(笑)。この作品でも、舞台となるのは『フランス料理店』だ。この、ダメなものは主張しないで受け入れる、という変にプライドが高いくせに柔軟性のあるイギリス的感覚が面白い。
本シリーズは続編が好評?発行中らしいので、今後の翻訳に期待したい。

グルメ探偵、特別料理を盗む (ハヤカワ・ミステリ文庫) グルメ探偵、特別料理を盗む (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ピーター キング (2006/05)
早川書房
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『サム・ホーソーンの事件簿 3』

  • 2007/08/22(水) 23:03:22

エドワード・デンティンジャー・ホック著/木村 二郎 訳/創元推理文庫
ノースモントの町で開業して8年が経過したサム・ホーソーン医師。時は1930年、大恐慌の足音が忍び寄り、禁酒法が幅を利かせる暗い時代。そしてサム先生も大恐慌の煽りを受けて、町の外れにある『ピルグリム記念病院』の一角に移転し、新しい診療所を開くことになる。
サム先生の両親がノースモントを訪れた時の、ハンティング・ロッジでの快事件、楽しいサーカスで起こった失踪事件、サム先生のスポーツカー好きが高じた難事件。そしてあのエイプリルが恋に落ちる!


短編のタイトルは、長いし多いので割愛(笑)。
現在第5巻まで出ている短編集の3巻目だが、これは古本で買おう!と探している間に・・・2巻読んだか忘れてしまった(笑)。というのも、やはりこれだけ作品数が多くて、これだけ短い作品群だと、どれも似たような・・・というか、深い印象を残すものは少なくなるわけで、楽しく読んで・・・そして記憶はシャッフルされるというね(笑)。すみません、ダメな脳みそで。
しかし!ちゃんと2巻は読んでいた。2巻ではレンズ保安官が結婚するんだ。そして、サム先生の大切な車が・・・事故に遭うのね、そうよ、そうなのよ。
そして3巻目では、なんと・・・なんと・・・、いつも頼りになる看護士のエイプリルが恋に落ちる。その先は読んでのお楽しみだが、ちゃんと記憶に残る(はずだ!今回はちゃんと)エピソードが残されている。
さて今回の時代は、サム先生青年期の終わり、34歳から39歳までが語られる。更には先生の転換期にもなる時代とされているようだ。診療所を町外れの総合病院が貸し出した一角に移転し、総合病院の巡回医師を兼任しながら、新しい形の診療所を開設することになる。
しかしこのエドワード・D・ホックという人は、本当に多作な方。この作品にしたって、必ず次作の予告を含ませたラストにし、次々と描きつつも、他の作品も書き続けたわけだから、一体頭の中はどうなっていたのか?
とはいえ、やはりこれだけの作品、それもほぼ全てが密室または不可能犯罪となると、タネ明かしにさほどの意外性は感じられない。読みすぎて飽和してしまうというのもあるだろうが、短い作品ばかりだし、それほどの重厚さが持たせられないというのも事実だろう。
それでも、密室を作り上げる展開、不可能を証明していく手腕、謎が深まっていく様がまた面白い。これだけでも、十分に楽しくしっかりとした読み物になっている。思うにミステリというのは、謎解きの楽しさという反面、その謎をまずは証明する面白さがあるものだと、当たり前のように実感した。
ここまで付き合ったらサム先生、とりあえずは第5巻まではしっかりお付き合いいたします。

サム・ホーソーンの事件簿3 (創元推理文庫) サム・ホーソーンの事件簿3 (創元推理文庫)
エドワード・D・ホック (2004/09/10)
東京創元社
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『ジーヴスと朝のよろこび』

  • 2007/08/08(水) 23:26:05

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
バーティーにとっての鬼門、それはアガサ伯母さんが暮らすスティープル・バンプレイ。幼少の頃のバートラム氏を追い回したパーシー卿が、今はなんとアガサ伯母さんのご亭主様。かつて間違えて婚約してしまったフローレンスと、その弟、悪しきボーイスカウトの鬼エドウィンに縁取られた魔境だ。しかしそのパーシー伯父さんに難題が持ち上がり、ジーヴスの発案から、バーティーが彼の地に行くことが不可欠になった。それに、旧友であるボコと大好きな友達ノビーの婚約も、貢献人であるパーシー伯父によって難航しているという。友を見捨てられないバーティーは重い腰を上げたのだが、何よりも、ジーヴスは魚釣りがしたかったようだ・・・。


今回もまたバーティーの大切な友人、ボコとノビーの婚約問題と、余り大切じゃない友人スティルトンと悪夢のフローレンスの婚約問題と、2組のカップルが入り乱れての大騒ぎなのだが、これまでと少し違った展開も含まれていた。
この作品で、やることなすことが裏目に出て、艱難辛苦を耐えるのはバーティーじゃないのだ。その友人ボコが一身にその苦を背負う。いつもなら他人の罪まで着せられて、挙句言い訳の最初の一文字だって聞いてもらえないバーティが、言い訳もしつつ難所を切り抜ける。もう1つ、バーティの立案も意外に通ったりして、酷い問題にもならなかったりするし、バーティーを毛嫌いしているパーシー伯父も、あろることか(笑)バーティーを受け入れちゃったりするのだ。そしてやはり、いつも通りの動物以下的扱いを受けるのはボコなのだ。
他の作品で、バーティーが何度と無く陥る窮地も(ジーヴスやその他の立案による『計画』の一環による窮地)、今回バーティーは軽々と切り抜ける。そしてやはりボコが・・・とまぁ、この有名作家にしてバーティーの学友ボコは、バートラム氏の人身御供のような扱いだったのだ。なんだか新鮮かつ、ちょっと物足りないような(笑)。
ジーヴスも今回はご主人様と行動を(余り)共にしないのだが、そんな訳でバーティはいつもよりは数段マシに、魔の地スティープル・バンプレイに滞在することになる。もちろんまたしても繰り返し、バートラム氏は婚約する。最初の短編集で横顔の魔力によって婚約して、着任したばかりのジーヴスに助けられたあのフローレンスとまたもやなのだ。しかも今回は、早々簡単に抜け出せそうもない、何しろスピノザ・・・(笑)。とは言えこの窮地も、さほど大掛かりに描かれるわけでもなく、バーティーは絶えずフローレンスから遠ざかってる印象だ。
この作品は、第二次世界大戦を超えて書かれたという。この時期、著者こそまさに、母国によって艱難辛苦を強いられていたと言えるだろう。そんな心の痛みが、逆にバーティーに対する優しさになって現れたのじゃなかろうか?と邪推してみる。
ただし、こうしてバーティーが畳み掛けるような苦難に合わない分、(代わりにボコが伯父さんとケンカしたり、伯父さんを閉じ込めたり、伯父さんに踏まれたり、スティルトンが罵られたりはたっぷりするのだが)、大分毒気の抜けた作品に仕上がっているとも言える。ジーヴスの活躍も地味である。というか、ジーヴスだけが何とかご主人様を窮地に陥れようとしているかに見えたりして(笑)。
さてさて、今後さらにジーヴス物が翻訳される運びとなったそうだ。実に実に楽しみで嬉しい事実だ。

ジーヴスと朝のよろこび ジーヴスと朝のよろこび
P.G.ウッドハウス (2007/04)
国書刊行会
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『ウースター家の掟』

  • 2007/07/30(月) 22:39:29

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
バーティーが逢いたくない人は多々いるが、サー・ワトキン・バセットもその1人。かのイモリ野郎ガッシーの婚約者マデライン・バセットの父親だ。それなのに、『銀食器』を巡るトム叔父とサー・バセットとの確執から、ダリア叔母さんの命により『銀製のウシ型クリーマー』を『奪還』するべく、バセット邸のあるトトレイ・タワーズを訪問することになったバーティー。そこにはもちろんガッシーもいて、何とかまとまった縁談を『粉微塵』にするべく汗していたのだ。もちろん、本人の意思によらず自然の摂理によってだが。バセット嬢の従姉でバーティーの親友でもあるスティッフィーからも、何やら怪しげな電報が?


さてさて、このシリーズの感想で何度と無く書いているが、バーティーは良いヤツだ。能天気でしょうもない事もするし、たまに子供のような事(おもちゃのアヒルで遊んだり(笑))もするが、理性も教養も、侮りがたし英国の坊ちゃん教育のおかげでそれなりにまともだ。バカでは決して無い男だ。
してそのバーティーがいつもいつも窮地に立たされるその所以としては、『あらゆる人の頼みを断れない実直さ』かと思うのだが、その理由が本書にて明かされる。それこそまさに、『ウースター家の掟』なのだ。
『汝,友を落胆させるべからず』とか『汝,女性の求愛を拒絶するなかれ』とかかんとか。前者は非常に素晴らしい掟である。バーティーのように、殆ど動物園並みにバラエティ豊かな友人ばかりでなければ、美談を持って語れる掟だろう。後者はどうかな?嫌々受け入れられる女性の立場にもなってよ、というね(笑)。
ただまぁ、こんなことに縛られる人間も少ないだろうと・・・、いや、それに縛られるからこそバートラム・ウースターなのかも知れない(笑)。
ついでに言うと、『汝、おばの命令には背くなかれ』という金言があるのじゃなかろうか?ということで、今回も私の大好きなダリア叔母さんに促され、バーティが『泥棒』しに・・・もとい、ウシ型クリーマーを奪還しに行った屋敷で起こる騒動だが、女傑と呼べるであろうスティッフィー、相変わらずのバセット嬢の女性2人に翻弄され、それぞれのお相手(ガッシーと旧友ハロルド・ピンカー副牧師)の間抜けぶりに惑わされる。この作品で救いであると感じたのは、ピンカーが義理堅くてマジメだった事。常々バーティーの友人達は、バーティーを雑巾のように扱うなあと思っていたので、これは非常に嬉しい友人の登場だった。
今回は『ウシ型クリーマー』が鍵である。まずはこれを中心にして、これでもか!という難題が持ち上がる。こちらを立てればあちらが廃れ、、、バーティーは悩んでしまうのである。しかもこのとんでもないシロモノであるクリーマーは、かの至高の料理人アナトールと引き換えにならんとしているのだ!なんて事・・・。ああ、アナトールのディナーを食べてみたい(笑)。
その上さらに!ガッシーの恋敵とは言えないが、天敵が現る!これがまた、縦と横が同じぐらいに肥大した男で、ちょっとした秘密も持っていたりする。細かいキャラクター造詣はぶれる事無く、本作でも存分に楽しませてくれる。
何しろガッシーが良い。どこまでも良い、もうとことん良い。あのスープの浸かり具合は神がかり的だ。茶革の手帳のくだりなんて、何度思い出しても笑いが漏れる。ウッドハウスが繰り返し登場させかった気持ちが良く解る(笑)。

ウースター家の掟 (ウッドハウス・コレクション) ウースター家の掟 (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス (2006/03)
国書刊行会
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『よしきた、ジーヴス』

  • 2007/07/30(月) 22:30:04

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
カンヌでバカンスを楽しんだバーティーは、彼の地で大絶賛だった白のメスジャケットに関して、またしてもジーヴスと険悪な仲に。そこに持ち込まれた、旧友ガッシーの恋の悩み。ジーヴス脳ミソ捻挫疑惑とメスジャケットへの恨みから、バーティーは自ら問題解決に乗り出す。問題の女の子はダリア叔母さんの屋敷に駐在中。しかもアンジェラとタッピーの婚約が破棄されたと聞いては、バーティーも安穏とはしていられない。かくして、恋の花咲き乱れずにははおけない、ロマチックなブリンクレイ・コートに乗り込んで行くのだが・・・?


今回も大変(笑)!ジーヴスの脳ミソが停滞してしまった模様。。。というのは、恐ろしくもメスジャケットの恨みから湧き出たウースター氏の弁。それを(勝手に)受けて、バーティー自らが問題解決に乗り出した。この件に関しては本文中に、ダリア叔母さんの秀逸にして的確明瞭なご意見があるので、じっくり拝読していただきたい。ビバ!ダリア叔母さん!
そして今回もまた、次から次へと問題が重なるように訪れ、しかもそれらが細い糸で繋がっているかのような巧妙な仕掛け。挙句、バーティーのやることなすことが裏目に出る様も、不自然さを感じさせない流れで各案件と絡ませる。天晴れウッドハウス!と言ったところだ。
そんな訳で、今回はバーティーがある意味大活躍だ。一見まともそうな提案を次々と持ち出し、次々と打ち砕かれていく。圧倒的なジーヴス・ファンには少し物足りないだろうが、私は能天気で優しいバーティーが大好きなので、彼が窮地に追い込まれる様をたっぷり読める本作もまた、大満足の出来だった。
そろそろお定まりになった恋のすったもんだの上に、料理界の至宝アナトールの退職問題や、ガッシーの表彰式という珍事まで併発してしまう。まぁこれは、バーティの身から出た錆なのだが、たっぷりと意趣返しされるシーンは実に愉快な仕上がりだ。挙句にまた(笑)、バーティーが婚約する。
ウッドハウスは、今回登場のガッシー&バセット嬢がお気に入りらしく、どうやら今後の長編にも何度か登場するらしい。そのせいか、このバセット嬢の造形には幾分力が入ってると感じられ、今の世においても爆笑間違いなし!の不思議少女なのだ。またこのバセット嬢に関するバーティーの意見が冴え渡ることこの上ない。家にいる分には、思う存分声を出して笑わせていただいた。お星様はお神様の・・・(笑)。
今回は最後の最後でジーヴスの本領が発揮されるのだが、今回のラスト、やはりジーヴスはご主人様に一矢を報いるつもりがあったのじゃないだろうか?と疑ってみる。散々古きよき封建制度を持ち出したりなんだりして得意の脳ミソをこき下ろし、あまつさえ趣味の悪いメスジャケットを手放さないご主人様、そのちょいとばかり熱過ぎるお灸とはいかに?ちなみに私は、ジーヴスの見せる顔の歪み・・・のような微笑の描写が大好きだ(笑)。今回はバーティーと共に、眉毛の会話も見せてくれる。表情豊かなジーヴスだったのだ。

よしきた、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション) よしきた、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス (2005/06)
国書刊行会
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『サンキュー、ジーヴス』

  • 2007/07/30(月) 22:27:51

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき 訳/国書刊行会
バンジョレレに取り付かれたバーティーは、マンションの住人から立ち退きか、バンジョレレを諦めるかと責められる。毅然とした態度で立ち退きを決めたバーティーだったが、あろう事か!バンジョレレの音色に辟易していたジーヴスまでもが辞表を提出する。多少の傷心を抱えて、友人所有のコテージで田舎の隠遁生活を始めるバーティーだったが、以前の婚約者ポーリーンとコテージの持ち主チャッフィの恋のもつれに、いつもながらに巻き込まれることに。しかもその上!あの御大サー・グロソップの恋模様にまで付き合わされる。果たしてもつれた恋の糸は、ジーヴスを失ったバーティーに解きほぐせるのか?しかしジーヴスもまた、チャッフィの雇用下に入り、バーティーの暮らす広大な敷地、チャフネル・レジスにやって来ていた。


大変!バーティとジーヴスがお別れしてしまう!どうせ最後は元の鞘に収まるんだろうと思いつつも、なんだかハラハラしながら読んでしまった(笑)。まるっきり変な意味はないのだが、これは一級のロマンス小説バリのハラハラだった。
バーティーが妙に悪意が無くて騎士道的なのがいじらしいというか、渇を入れたいと言うか(笑)、問題のバンジョレレが無くなった時点で和解を申し入れなさい!というイライラが(笑)。ラストがまた良い、ジーヴスらしい歩み寄方が良い。そして今回は、ジーヴスが色々と『ご主人様』変えをするのだが、御大の方がかなり気に入らないらしくて、ジーヴスなりのいやがらせシーンなども見られる。言わば今作は、ジーヴスの人間らしさが垣間見える作品だった。
そんな訳で、よもや『ご主人様』ではなく『ウースター様』になってしまったバーティーと、他人の執事であるジーヴスが、付かず離れず活躍する長編なのだが、2組のカップルのもつれこじれに、それぞれの家族が絡まった一大叙事詩・・・とはちょっと違うが(笑)、なんともいじらしいバーティーとジーヴスの新たな関係を見せつつも、かなり細かいプロットで縦横無尽に糸が張り巡らされてる感じだ。
これまで、巧妙な対話、シニカルな表現、固定化された展開による繰り返しの笑い、個性豊かなキャラクターなどで安定した笑いを生み出していることに目が行きがちだったが、なんとなんと、実に計算された緻密な展開に、ウッドハウスの力量を思い知った。しかし良くもまあ、あれほど奇想天外な無理難題が思いつけるもの(笑)。
次から次へと畳み掛けるような展開、そのリズム感を作家自身が楽しんでいたかのように、会話の軽妙さにも拍車がかかる。こちらとしては、まるで漫画を読んでいるかのように、こみ上げる笑いを堪えるのに苦労した。電車に乗っていて、極普通に見える本を読みながらニタニタ笑っている女なんて、不気味以外の何者でもない。
翻訳本を嫌う人達のその理由として良く、表現が湾曲的過ぎるというのを聞くが、ウッドハウスの作品はその代表例のようなものだろう。しかし、湾曲であればあるほど面白いその表現、巧みさ、難しい言葉を適材適所に当てはめるセンス!まさに『巧緻でございます』だ。
忘れるところだったが、今作ではジーヴスの若旦那に対する忌憚無い気持ちが聞ける。そう、多分、ホロリと漏らす本音が垣間見えるのだ。まぁ時おり、『精神的には取るに足らないお方』などとバーティーの事を言うのだが、その根底には『黄金の心を持ったお方』という尊敬の念があるようだ。
御し易いお坊ちゃまであると同時に、ジーヴスの様な執事から見れば、守ってやりたいという気にさせる危なさもあり、救い難い能天気で、優しさも心遣いにも裏表の無い男だ。しかし純粋で心根がとことんまで優しい若旦那バーティー。そんなご主人様をジーヴスがどう思ってお仕えしているのか、今回良く解った気がした。まったく駄々っ子を態よく手懐ける、おじさんのような気持ちなんだろう、きっと(笑)。しかしそうしたおじさんというのは大抵が、どうしようもない駄々っ子を愛しちゃったりしてるわけなのだな。

サンキュー、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション) サンキュー、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス (2006/12)
国書刊行会
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『でかした、ジーヴス!』

  • 2007/07/26(木) 00:04:02

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき訳/国書刊行
今回も、アガサ伯母さんの邸宅で飛んでもない事件に巻き込まれ、編集長の友達の恋路を助け、ジーヴスはモナコに行きたがり、逆に親友の恋路を邪魔してみたり、バーティー自らの恋路を実らせんと努力してみたり、少女との心温まらない触れ合いありなどなど、大騒動が続く。黄金のハートを持つ若旦那バーティと、鉄壁・完璧・比類なく、唯一無二の執事ジーヴス、最後の短編集。

ジーヴスと迫りくる運命/シッピーの劣等コンプレックス/ジーヴスとクリスマス気分/ジーヴスと歌また歌/犬のマッキントッシュの事件/ちょっぴりの芸術/ジーヴスとクレメンティーナ嬢/愛はこれを浄化す/ビンゴ夫人の学友/ジョージ伯父さんの小春日和/タッピーの試練


こちらも、先に紹介した『ジーヴズの事件簿』の内容と多少被っている。翻訳者が違うので、両方の翻訳の違いを楽しむのも贅沢なものかもしれない。
今回もまた、サクサク読めて笑いの耐えない、実に楽しい内容だった。バーティーとジーヴスの会話もどんどんと小気味良く流れ、どっぷりとその世界に浸れること間違いなし。
恐ろしいアガサ伯母さんも然ることながら、バーティーをどうやら愛しているらしいダリア叔母さんの進出も気になるところ。ちなみに私は、バーティーと結託して悪巧みをしたり、バーティーをフフン!と鼻であしらう、若き日は狩猟に明け暮れたというダリア叔母さんが大好きである。アガサ伯母さんはどうもぉ。。。私とは性格的に合わな過ぎて(笑)。あの横暴さはちょっと笑えないんだな、実は。
それにしても今回も、美しい悪魔達が色々と登場。バーティーのように心優しい紳士は、勝手に犬を誰かにあげちゃったって文句も言わないのだ。なんて素敵な人でしょう(笑)。それにしても、バーティーの『歌』聴いてみたい(笑)。そしてそして、しばらくなりを潜めていたビンゴ再登場!バーティーの『親友』の中では、彼が一番好きなのだ。奥さんとも上手く行っている・・・ようで(笑)。
今回はまたバーティがちょっとばかり恋をするのだが、そのあっけらかんとした恋の行方というか、全く重責の無い恋の悩みというか、このドライかつファニーな筆致はまさに職人技。恋か身の安全か?当然バーティーが選ぶのは・・・?
なんとは無しに、個々のキャラクターを模索していたような感があった前作品に比べると、この作品集はそうしたぎこちなさが払拭され、キャラクター達の弁舌も滑らかになっていたように思う。

でかした、ジーヴス!―ウッドハウス・コレクション (ウッドハウス・コレクション) でかした、ジーヴス!―ウッドハウス・コレクション (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス (2006/07)
国書刊行会
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『それゆけ、ジーヴス』

  • 2007/06/23(土) 10:57:32

P.G.ウッドハウス著/森村 たまき訳/国書刊行
今回バートラム氏は、不首尾に終わったガッシー(結婚の)救出作戦により、手斧を研いで港で待ち構えているアガサ伯母さんを避けるべく、止む無く長期のニューヨーク滞在と相成った。そこはそれ、ロンドンよりも華やかなりしアメリカ。出るべきところに出没していれば、自然と友人たちに囲まれるようになる。そしてやはり、しっかりものの伯父さん・伯母さんを持った、奇天烈な輩がバーティを取り囲む事に。その他に、ジーヴス初登場!やジーヴス語りによるバーティの心変わりなど(両話とも、『ジーヴスの事件簿』に収録)。

「ジーヴス登場」/「コーキーの芸術家稼業」/「ジーヴスと招かざる客」/「ジーヴスとケチンボ公爵」/「伯母さんとものぐさ詩人」/「旧友ビッフィーのおかしな事件」/「刑の代替はこれを認めない」/「フレディーの仲直り大作戦」/「ビンゴ救援部隊」/「バーティー考えを改める」


2冊目を読み終えて、、、バーティみたいな天真爛漫な男性は大好きだ♪なんというか、疑うことを知らない純真な性格で、それゆえ拒否することも出来ないお人よしではあるけれど、根底にあるのは『優しさ』だよね。素直だし、自分の非はしっかり、あっさり認める潔さ。これはやはり、豪傑なおば様達にやり込められた幼少時代からくる素直さなのかしら(笑)。
ジーヴスのように腹に一物ある男が、ある種複雑な愛情をこの若旦那に抱えている様も面白い。そして今回は、ジーヴスの親族もちょっと活躍する。あちこちに親族がいるのか、はたまた、島国イギリスはやはり狭いのか(笑)。
今回の短編の大半は舞台がアメリカであるが、アメリカに活躍の場を移したウッドハウスならではの、イギリスにこだわらない物語作りが面白かった。何しろこの頃のアメリカとイギリスの小説は、雰囲気が全く違う。アメリカはどんどんと先を見据え、イギリスは過去に生きようとしていた頃(と個人的に思っている)。そんな時代の感じを上手く作品に反映させている辺り、両国を熟知している作家ならではの面白さだ。
ちなみに本作は、国書刊行出版で言えば3作目。実際の発行順で言えば、2冊目、物語の順序で言えば、先の『比類なきジーヴス』が本作の短編の間に入るぐらい、要するに初期の作品だそうだ。『不首尾に終わったガッシー(結婚の)救出作戦』に関しては、これまた先に感想を書いた『ジーヴスの事件簿』に短編が載っている。
今回はとにかく、友人の恋愛か伯父・伯母から小遣いを受け取るための裏工作が主流に描かれており、『お助けマンバーティ』と言ったところか。バーティ自身が『スープに浸かるハメ』には余りならなかったので、自慢の奇抜な衣装も、失わずにすんだようだ(笑)。

それゆけ、ジーヴス それゆけ、ジーヴス
P.G. ウッドハウス (2005/10)
国書刊行会
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