This Category : 映画【戦争・アクション】

『ブラッド・ダイヤモンド』

〔米〕BLOOD DIAMOND (2006年)
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・リーヴィット
レオナルド・ディカプリオ/ジェニファー・コネリー/ジャイモン・フンスー/マイケル・シーン/アーノルド・ヴォスルー/カギソ・クイパーズ/デヴィッド・ヘアウッド/ベイジル・ウォレス/ンタレ・ムワイン/スティーヴン・コリンズ/マリウス・ウェイヤーズ

アフリカで家族と幸せに暮らしていたソロモンは、反政府軍の襲撃によって家族と生き別れ、ダイヤモンドの採掘場に送られた。そこで彼は、大きなピンクダイヤの原石を発見し、銃撃戦に紛れて地中に隠す事に成功する。その銃撃戦の結果警察に捕まったソロモンは、白人の密輸人ダニーに目を付けられる。ソロモンに近付いたダニーは、ピンク・ダイヤを売って家族を助けようとソロモンに持ちかける。更には、ダイヤ密輸の内幕を暴こうとダニーに接近してきたジャーナリストのマディーにも、情報提供と引き換えに、戦地となった地域へ進入する協力を取り付ける。しかし政府や軍の介入などを請け、次第に危険な状態に陥っていく。一見すると正当そうな、そうした軍の動きにも、『ブラッド・ダイヤモンド』に絡んだ、欲望渦巻く思惑が溢れていたのだった。

アフリカや南米を舞台にした、実話を基にした映画とは違い、『ブラッド・ダイヤモンド』という要素を基に描かれたフィクション作品だ。アフリカで採掘されるダイヤが、『ブラッド・ダイヤモンド』と呼ばれるのは何故なのか?私自身は、大分以前にドキュメンタリー番組で見たぐらいの知識しかないが、その時でも、随分と悲惨な状況が黙認されているものだと憤慨した記憶はある。
そうした状況を一般社会に伝えるのには、良く出来た作品だと思われる。実際の状況にどれぐらい即しているのかなど、細かい事を言い出したらきりが無いだろうが、こうした事実を、映画という 媒体を通して1人でも多くの人に伝える事が出来れば、映画という『娯楽』が存在する意味に、大いなる価値を見出す事もできるのじゃないだろうか。
と言う事でこの作品は、単純に映画として楽しむ要素に長けていると言える。難しい事を考えなくても、多くの人が楽しむ事ができるだろうと思う。適度に織り込まれたサスペンス要素、裏切りが裏切りを呼ぶ犯罪劇的な雰囲気。政府と軍隊の関係や反政府軍の存在など、多少説明不足に感じる部分はあるが、『悪はとにかく悪である!』という解り易い観点で束ねられているから、難しい関係性などに悩む必要は無いのだ。政治的、人道的に観たい方は存分に観られるだろうし、そうした側面はちょっと苦手・・・という方でも、親子愛や人間同士の信頼だとか、ロマンスだとか、アクションだとか、見所としては多々用意されている。
一方、L・ディカプリオ演じるダニーが、いささか掴み辛い役どころだ。立ち向かう悪に対して、完璧なる善なのか?台詞や展開からは、これもまた微妙に説明不足に感じたが、意外な事に・・・ディカプリオが良かったよ。。。ダニーという男の要点を上手く捉えて、好演していたと思う。
誤解の無いように申し上げておくと、L・ディカプリオは決して悪い役者じゃない、むしろ良い役者だと思っている。しかしここ最近の彼は、妙に力が入り過ぎていて、見ていてなんだか疲れる。観客の熱まで吸い上げてしまいそうな演技は、自己満足にしか見えないのね。
今回も何度か、冷水をぶっ掛けたい気分になりかかったが、上手い具合に演出回避されていた。到底30代には見えないあの可愛い顔立ちから、役選びも困難だろうと勝手な印象を持っていたが、それでもこういう役柄を上手くこなせてしまうのだから、結局のところ彼は良い役者なのだ。ウェイトも少し増やしていたのかな?廃れた感じも上手い事醸し出していた。泣きの演技がねぇ、いまいち下手なんだ。実生活で泣いた事が無いのかと、疑ってしまうほど。
社会派な映画なのか娯楽作なのか?その線引きが曖昧な雰囲気があるとは思うのだが、観る人を選ばないこうした『大作』だからこそ可能になる、多くの観客動員数を利用して、1人でも多くの人にこの事実を伝える事が出来る。知るのと知らないのとでも大きな違いだ、描く事、そこに意味がある場合だってある。切り口も表現方法も多少違うが、これは立派に意義のある重要な作品の1つに数える事ができるだろう。

ブラッド・ダイヤモンド 特別版(2枚組)ブラッド・ダイヤモンド 特別版(2枚組)
(2007/09/07)
レオナルド・ディカプリオ. ジャイモン・フンスー. ジェニファー・コネリー. カギソ・クイパーズ. アーノルド・ボスロー

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ぽすれん『ブラッド・ダイヤモンド』紹介
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『アレックス・ライダー』【程よくネタバレ】

〔英/米/独〕STORMBREAKER (2006年)
監督:ジェフリー・サックス
原作:アンソニー・ホロヴィッツ
脚本:アンソニー・ホロヴィッツ
アレックス・ペティファー/ユアン・マクレガー/ミッキー・ローク/ビル・ナイ/ミッシー・パイル/アリシア・シルヴァーストーン/サラ・ボルジャー/アンディ・サーキス/ダミアン・ルイス/ソフィー・オコネドー/ロビー・コルトレーン/スティーヴン・フライ

幼い頃に両親を亡くしたアレックスは、仕事が『忙しすぎる』叔父イアンと暮らしていた。しかしその叔父も、帰宅途中の事故で亡くなってしまう。イアンの死を悲しむ間もなく、怪しい組織がアレックスに近付いてきた。彼等は叔父が有能なスパイであった事を明かし、イアンから英才教育を受けたアレックスを少年スパイとして雇いたいと持ちかける。最初は躊躇したアレックスだったが、叔父の意思を次いでスパイとなる決心をする。最初に与えられた任務は、ストームブレーカーという近未来コンピュータ会社への潜入。果たして、アレックスは無事任務を果たせるのか?

いや〜、驚いた驚いた、途中で飽きちゃって(笑)。じゃあ何で観たのか?というと、期待の美形少年A・ペティファー君が観たかったから♪などと言う危険極まりない事ではなくて、E・マクレガーが急に見たくなって、とりあえず楽しめそうなのがこの作品しかなかったので借りてみた。
そんな訳で、そもそも全く興味が無かったために、開始早々、僅か10分ほどでユアンが『死んでしまう』事を初めて知った。。。超勝手な予想では、おじさんの熟練スパイと一緒に、アレックスが活躍しちゃう映画かな〜?とか(笑)。
もう、開始10分で完璧にトーンダウン、観る気ほぼゼロ。主演のA・ぺティファーがどんなに美形だろうがなんだろうが、さすがに10代の少年に気持ちが浮き立つはずも無く。だからこの、『途中で飽きちゃった』という感想は、映画に対しては甚だ失礼な感想なのだろうなぁ、とは思う。
とは思うのだが?いややっぱりこれ、どうかなぁ?スパイ物と言えばやはり『007』を思い出す。後は『ナイトライダー』ね!あ、これはちょっと違う?ちなみに本作は原作ありきだが、アレックスを引き込むのはMI6なんである。だったら、ジェームス・ボンドを期待したくもなろうと。
しかし敵地に潜入したアレックスのあらゆる工作は、殆どもう力業。綿密な計画の下に、精錬された機器や装置を駆使して解決に挑む、スマートで切れ味鋭いスパイとは一線を画していた。だって14歳だも〜ん♪とか言ってくれるな。14歳が、武装した大の大人を相手にあの力業、そっちの方がレベル高いですって。挙句の果てにテレビカメラがある場所に華々しく出現しちゃうわ、うっかり自宅登録してある携帯を敵地に放置しちゃうわ、そもそもMI6も、そんな身元の割れるものを14歳の子供に持たせて、敵地に送り込むなよ!とね(笑)。とにかく、スパイとしてあるまじき、名刺を身体中に貼り付けているかのような行動を取りまくるアレッックス、そりゃあ、危機にも巻き込まれますよね。原作の事は全く知らないが、一体どういう扱いなのだろう?思ったよりも子供向けの作品なのだろうか?
単に危険に巻き込まれた少年の話と思ってみれば、むしろ楽しいのかもしれないが、スパイ物としての脚本も設定も構成も全てがグズグズで、とにかく荒唐無稽で危機的な状況に陥らせれば良い!という投げやり感すら感じられ、それを上手い事パワー解決しているアレックスを観ていたら、次第に飽きて来てしまったのだ。だって、これでもか!っていうぐらい危機に陥って、その度に走って逃げて・・・って。S・フライが渡した面白スパイグッズが可哀想よ。
と言う事で、このS・フライ、M・ロークのやっつけ仕事、B・ナイの素敵過ぎるキワモノ演技が無かったら、途中で居眠りしてしまったかも知れない・・・。まぁ最大の失策は、良く調べもせずにレンタルして、ユアンが数分しか出ていなかったという私のお粗末振りにあるので、映画の事だけをとやかく言うのは、やはり失礼かな?

アレックス・ライダーアレックス・ライダー
(2008/02/22)
ユアン・マクレガー、アレックス・ペティファー 他

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『戦場のピアニスト』

〔仏/独/ポーランド/英〕THE PIANIST (2002年)
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
脚本:ロナルド・ハーウッド/ロマン・ポランスキー
エイドリアン・ブロディ/トーマス・クレッチマン/エミリア・フォックス/ミハウ・ジェブロフスキー/エド・ストッパード/モーリン・リップマン/フランク・フィンレイ/ジェシカ・ケイト・マイヤー/ジュリア・レイナー/ワーニャ・ミュエス/トーマス・ラヴィンスキー/ヨアヒム・パウル・アスベック

ラジオのピアニストとして活躍していたウワディスワフ・シュピルマンは、激化する戦争と侵略してきたドイツ軍によって、家族共々ゲットーへの移住を余儀なくされる。一家揃って、帰りの無い収容所送りにされる直前、友人に命を助けられ、家族とは離れて生き残るウワディスワフ。一旦はまたゲットーに戻ったものの脱出に成功し、友人達の助けを得ながら、ポーランド開放の時を待ち続けた。そして、あるドイツ将校との出会いが、彼の生死を大きく分けて行くのだった。

なんだか急に、E・ブロディの映画が観たくなって借りてみた。実は私、E・ブロディの映画は1本まともに観た事が無いのだ。恐らく、『ダージリン急行』は観るだろうし、ベン・アフレックの演技がかなり良いらしいので『ハリウッド・ランド』も遠からず・・・、と思ったのがきっかけだ。だったらば、まずは彼を世界に知らしめた、かの大作を観てみようじゃないのよ、とね。
ちなみにR・ポランスキーに関しては、実際余り良い印象が無く、どちらかと言ったら・・・周囲が騒ぎすぎ?という失敬な気持ちが無いわけでも無く。しかも本作の規模、レベル、題材から言って、酷い出来であろうハズが無いという予測から、何となく観渋っていたのだ。
さて、率直に映画の感想は・・・?物語に対しては、今更色々言えるものでも無いよねというのが本音。というか、色々言いたくなるような真新しさは無く、かと言って『ありがち』だなどと切り捨ててしまえる軽い話でもない。ただもう、壮絶なまでのリアリティに苦しくなったというところかな。いかなる柔さでも包まれていない、この壮絶さは、自信もゲットーに入った事で有名な監督の、何だかの訴えなのか?それとも、単に真実を伝えたいという芸術的根性なのか?
原題タイトルも『THE PIANIST』であるが、これはあくまでも主人公がピアニストであったというだけだろう。強いて言うなら、ピアニストだった主人公の、他とは少し違う人脈によって救われた部分はあったかも知れないが、格別、音楽の為に生き抜いた、という強調は見られないと思った。
主人公がピアニストという枠を超越して、ただ生き残るためだけに生きたその時間。120分を超える長い映画ではあったが、やはり私は飽きもせず、食い入るように観てしまった。
驚くほどこの映画に関する評価はまちまちだ。拒否派は概ね『今更感』を強く感じ、かつ、何もせず幸運に委ねられたように生き残った主人公に憤慨しているようだが、いやそれはちょっと待ってよとね。確かに、ゲットーを脱出して叛乱に加わらなかった主人公に男気を感じられないかも知れないが、そうした事柄でこの映画を切り捨ててしまうなら、同じ立場に立たされたらどうするだろう?と言う他無い。謀反の計画を知っていても、助けてくれる友人の存在があったなら、果たして人はどういう決断を下すだろう?ああして生き延びた人は、当時大勢いただろうと思われる。それを安に責めるのは、口だけなら簡単だろうと思う。その裏にあった葛藤や苦悩などが、余り丁寧に描かれていなかったのがいけないのだろうか?
良い映画で安心感もあったので、色々と思考が散り散りになってしまった。例えば最近私は、こうした映画でドイツ兵の役を演じる人達のことを考えてしまう。過去の傷、過去の一部の人々が犯した罪を、今尚背負う人々。この辺は日本人も同じだと考えているので、いささか複雑な心境になる。常に悪役としての需要がある事実、反論する余地の無い悪という罪を、国全体で背負っている人達の胸の内は一体?。こんな時、私のこの考えに光明を与えてくれた、ベルンハルト・シュリンクの『逃げてゆく愛』の中の一遍を、いつも思い出してしまう。
その他では、東欧におけるユダヤ人迫害の実情。これは上手く描けていたのではないだろうか。さもすると、ドイツ国内の迫害と似たりよったりで判別が難しい作品が多いが、これは、迫害されながら、かつ迫害もした、ユダヤ人ではないポーランド国民や国の姿も上手く描けていた。
そこから繋がる『ワルシャワ蜂起』。これが蜂起の実態だったのかと。昨年チェコに行った際、ガイドブックを読んで触りを知った。蜂起の後、ドイツ軍に完膚なきまでに破壊された町並みを、ヒビの1本に至るまで再現したというワルシャワ市民の熱意。その逸話にいたく感動した。この映画のような地盤があって、その話に繋がるのかとしみじみ。破壊されつくしたワルシャワの町並みを、映画はCGながら壮絶な静けさと迫力を持って伝えてくれる。実際の姿も、その迫力に劣らない悲壮さを持ち合わせていたものと疑う余地は無い
実際まだまだ言いたい事はあるが(結局あるらしい(笑))最後に、E・ブロディはこの役にピッタリね。そりゃ絶賛されるはず。ちょっといやらしい顔をしているが(笑)、死と直面しながら健気に行きぬくウワディスワフを、まさに体現していた。良い役者かどうかは、これほどのはまり役からは推察できないが、とりあえず手続き完了!という気分かな。

戦場のピアニスト戦場のピアニスト
(2003/08/22)
エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン 他

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『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』

〔米〕FANTASTIC FOUR: RISE OF THE SILVER SURFER (2007年)
監督:ティム・ストーリー
脚本:マーク・フロスト/ドン・ペイン
ヨアン・グリフィズ/ジェシカ・アルバ/クリス・エヴァンス/マイケル・チクリス/ダグ・ジョーンズ/ジュリアン・マクマホン/ケリー・ワシントン/アンドレ・ブラウアー/ザック・グルニエ/ケネス・ウェルシュ/ローレンス・フィッシュバーン

今ではすっかり人気者の『ファンタスティック・4』の面々、リードとの結婚式を目前に控えたスーザンだったが、周囲の余りに勝手な狂騒に、将来に対する幸せすら脅かされる思いだった。しかも宇宙では不思議な現象が起こっており、地球にも異常現象が頻発。国家の依頼を受けたリードは調査に乗り出し、地球滅亡の危機を察知するのだった。

超能力ユニット、シリーズ第2弾!いや作ったねぇ、もう無いと思っていたのに(笑)。前作の時も思ったのだが、とにかく脚本が甘い。ツメが甘々なんである。全体の構成に一本軸が見当たらなくて、色々なエピソードが好き勝手にフワフワ漂っている感じ。どこに焦点を絞って、何がサブ・エピソードなのか?その辺が全く定まっていないので、全てのエピソードや要素が、同じような比重に描かれているように感じる。
そうなると、普通の幸せを望むスーザンとか、真剣な愛を羨むジョニーとか、酷く一般的な悩みと、ファンタスティック・4としての葛藤やアクションなどが、噛合わないバランス感でどうも調子が合わない。映画としての派手さとか魅せる演出だとか、そうした所から感じる面白さなどは十分なので、脚本1つ・・・と言った所だろうか。
なんだかやたらと『人間臭さ』を漂わせていたが、それほどの深みもこの映画に於いては必要だろうか?大人重視の内容にしようとして失敗し、子供に魅力的なキャラ構成でもない場合、一体どこに落ち着いたら良いの?という疑問も出るのでは?
だ・け・ど!第一作目『ファンタスティック・フォー:超能力ユニット』の時も書いたが、J・グリフィズがトップ・クレジットなら良いの!なんだって良いの!・・・と、あれ?日本版のDVDジャケの立ち位置、なんかおかしくないか?ちゃんと確認しなかったけど、J・グリフィズってばトップ・クレジットからずり落ちた?(笑)
まぁ、日本における知名度と人気の高さから考えたら、致し方ないのかも知れないねぇ。・・・アメリカのジャケでも、、、立ち位置が微妙だ・・・。頑張れヨアン!
それにしても、久々にJ・アルバを観たけど、本当に可愛いわ〜。なんと言うか、日本人が好きな顔だよね。日本で人気が高いのも解る気がする。そして、いかなる映画に於いてもお色気シャットアウトを宣言している彼女の変わりに、今回もサービス・ショット担当はC・エヴァンス(笑)。とは言え、愛に悩み、人間関係と自分の存在にすら悩む役だったので、サービスぶりは前回に比べると大分影を潜め。ともあれ、サービス・ショットと言えば基本男子向けが多い中、そんなサービス・ショットをいつも観ている女性の気持ちが、これにより男性にも伝わる事でしょう(笑)。
個人的にはこの俳優陣のチームワーク感などは結構好きで、単独のヒーローが縦横無尽に活躍するのとは違った面白さもあり、『X−MEN』のように個々のキャラクターが際立っている忙しなさも薄く、舞台設定など、どこか普通の映画を観ているような気にさせる現実感も嫌いじゃない。
惜しむらくは脚本の甘さ、宇宙人が余りに人間に近すぎる事も、何となしに短絡的でやっつけ的な匂いを感じる。間違いなく3作目も作るつもりのようなので、今度こそはヨアンがトップ・クレジットだったら何だって良い!を覆す面白さと充実度を期待したい。

ファンタスティック・フォー:銀河の危機 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付・2枚組)ファンタスティック・フォー:銀河の危機 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付・2枚組)
(2008/02/02)
マイケル・チクリス、ジュリアン・マクマホン 他

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『ダイ・ハード4.0』【ネタばれ注意!】

〔米〕LIVE FREE OR DIE HARD (2007年)
監督:レン・ワイズマン
脚本:マーク・ボンバック
ブルース・ウィリス/ジャスティン・ロング/ティモシー・オリファント/クリフ・カーティス/マギー・Q/シリル・ラファエリ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド/ケヴィン・スミス

妻とは離婚し、愛娘には嫌われているNYPDの刑事ジョン・マクレーン。彼はFBIの要請で、3流ハッカーであるマット・ファレルを本部に連行する事になった。しかしファレルは何物かに命を狙われており、ジョンも勢い逃走劇に巻き込まれる。実はファレルは同時期に起こったサイバー・テロに知らず加担しており、その口封じのために狙われていたのだ。あらゆる公的機関を麻痺させるネットによる攻撃は、アメリカ全土を機能停止に巻き込み始めていた。

やりすぎだってば!いくらテロの一味を捕らえる為でも、戦闘機が街中を飛び回って、公道を走っているトラックにミサイルを何発もぶっ放したりしないって!道路をあれだけ粉々にしたら、税金を幾ら巻き上げても修繕費には足りないんじゃない?近くを走っている車にも良い迷惑。かなりの車が横転してたけど、そんな危険を平然と犯す政府なんか全く信用できない。
適度なド派手さは楽しいのだが、上記のような『やりすぎ!』な部分が多くてちょっと引いた。それもいささか長さを感じ始めた後半にかけてどんどんエスカレートしていくから、余計気になってしまう。第一、ヘリで飛んでる大勢の政府関係者に見つけられなかった敵の隠れ家を、どうしてトラックを爆破されて徒歩になったジョンがあっさり見つけられるの?辻褄とか理屈とか度外視の展開に、次第に笑顔も引き攣った。勢い的にはジェリー・ブラッカイマーの息がかかっていそうな感じね。
一応カムバック作品だが、それ程の違和感は感じなかった。B・ウィリスもまだ若いし(笑)、他の映画でもアクションめいた事をしているしね。堅物でアナログなジョンが、技術の最先端のテロに挑むという構図が面白いと思ったが、それよりなにより、映画撮影の革新的な技術の進歩を現実的に感じた。この作品に比べたら、前作までの豪快アクションなんて可愛いものだったのね・・・。とは言え、CGや特撮レベルは、さほど目を見張るものでもなかったのだけど。前作までと比べると、という観点から。
物語は親子の愛とかサイバーオタクの若者と頑固オヤジのあれやこれやと言った、かなりステレオタイプな単純さと、ネットを駆使してアメリカの動きを止めるという、およそ凡人には図りがたい内容の混じったもの。漠然と犯人側の指向は解っていても、その裏に隠された真意、過程の説明など、深い部分では全くついて行けない私がいる。とは言え、単純な部分には『ありきたり』と言ういささか冷めた見方もあったので、映画自体に複雑な感想が残った。
さてこの新作の監督は、R・ワイズマンか!この『やりすぎ感』も、吸血鬼メインならしっくりくるのにね。ただ、度肝を抜く内容をまとめあげる手腕は大したものだと思う、上手い事見せるなぁとは思えるのだ。
ドッジボール』を観て『なんだコイツ!微妙!!』と思い、意外にも『ハニーVS.ダーリン』で見てこれは良い!と気がついたJ・ロング。明らかに奇妙な役しか見ていなかったので、今回は初めてまともな・・・と言ってもオタク君だが(笑)、それでもかなりまともな役だった。私はどうもこういう、一見すると微妙な感じの役者が好みらしい。
そしてそして、『ガール・ネクスト・ドア』を観て気になっていたT・オリファント!新作『ヒットマン』はどうあがいても観る気になれないので、ここでたっぷり堪能。いや〜、素敵だったわ〜。
前作までは、『不死身の男』ジョンが死なないのは、その機転と運によるものだとすんなり思えたが、今回はもう『運』以外の何物でもないなと。機転もそりゃあったのだろうが、それ以上に恐ろしいほどの強運の持ち主だ。運だけでテロリストとの戦いに勝った男(笑)。宝くじでも買えば、100発100中で当たりそう・・・、あ、悪運が強いだけなのか?

ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)
(2007/11/07)
ブルース・ウィリス

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『ラストキング・オブ・スコットランド』

〔英〕THE LAST KING OF SCOTLAND (2006年)
監督:ケヴィン・マクドナルド
脚本:ジェレミー・ブロック/ピーター・モーガン
フォレスト・ウィッテカー/ジェームズ・マカヴォイ/ケリー・ワシントン/ジリアン・アンダーソン/サイモン・マクバーニー/デヴィッド・オイェロウォ/アダム・コッツ

1970年、スコットランドで医大を卒業したニコラス・ギャリガンは、父親の厳格さから逃げるように、ウガンダへ政府派遣の医師として赴く。軽い気持ちで選んだ国だったが、クーデター直後で、国民の期待を一身に集めたイディ・アミン大統領が誕生していた。アミン大統領を治療する羽目になったギャリガンは、その度胸とスコットランド人である事からアミンに気に入られ、彼の家族の主治医として首都に招かれる。豪快で気さくなアミンを快く思っていたギャリガンだったが、やがて彼の真の姿に気がつく事となる。

この映画、意外と評判は高くないようだ。ここ数年、『ルワンダの涙』や『ホテル・ルワンダ』などといったアフリカの情勢を深く抉った作品が幾つか作られてきた。私は未見だが、『ブラッド・ダイヤモンド』のように切り口の違う作品や、『マイティ・ハート/愛と絆』や『イノセント・ボイス 12歳の戦場』のように、過去に、そして今でも、革命やクーデター、貧困や暴力に苦しむ国の映画の数も増えた。
とそんな中では、確かにこの作品はいささか雰囲気が違うものであるようにも感じる。ほとんどの作品が混乱に巻き込まれた『一般市民』をフォーカスしているのに対し、こちらはその混乱を生み出した張本人がメインだ。徹底的な調査を元に描かれたフィクションが原作だそうだ。
スコットランドの最後の王と自称した独裁者が、スコットランド人の青年を文字通り『ペット』にする。最初こそ要人に気に入られて有頂天だったギャリガンも、次第にアミンの盲目的な暴力行為に気が付き始める。
余りにも楽天的で、現実が見えていなさ過ぎに思えるギャリガンだが、今にして思うこと、という気がする。今から約40年前の話。こうした情勢はどれほど世界的に注目されていたのだろうか?ギャリガンが短絡的に冒険と刺激を求めてアフリカに渡り、クーデターで市民の人気を集めている大統領を好きになる、至極当然の事のように思えた。
演じるJ・マカヴォイだが、『ウィンブルドン』を見て以来、別の作品を観てみたいと思っていたが、以降、彼に出会えたのがこの作品だったので楽しみにしていた。期待を裏切らない演技、何より、危機に気が付くのが遅く、人妻に弱く、楽観的で単純で、そのくせ仕事に誇りを持ち、有能な様を時折覗かせる青年像には、イメージがピッタリだ。
F・ウィテカーが凄いな。何か乗り移ってませんでした?ただこの人の良さって、どれほど熱い演技をしていても、どれほど観客を引き込む演技をしていても、決して他の役者を飲み込んだりしないところだと思う。だからこそ、残念ながら『名脇役』という印象の強い役者であるが、主役であっても、その抜群の存在感と共に、周囲をきちんと見せる引きは健在。
このアミン大統領、根本的には悪い人ではなかったのだと思う。人間をダメにするのは、この映画のコピーのように『人間の本性』ではなくて、『権力や名声』なのだと思う。とりわけ『権力』、他を動かす圧倒的な力は、人間の本性までも狂わせる。
劇中ギャリガンもまた、この権力や名声に思考を曇らせられる。大統領の側近として扱われる内に、観るべきアミンの姿を無視し、奔放に行動する。周囲から当然の『あだ名』を貰っても、本人は全く気が付かないという訳だ。
この映画、観てもらいたい人がいる。アミンと同じように、国を治めている人達に。果たしてどんな感想を言ってくれるか?私が前々から思っていた一言を、満身創痍のギャリガンがラストでアミンにぶつける。1番恐ろしいのは・・・・
重厚な政治サスペンスに仕上がっていると思うし、アミン自身、当時のウガンダを知らなくても、十分に話にも付いていけるし惹き込まれる作りだったと思う。テンポも良く、物語のトーンも上手く切り替わるので、中だるみしないでラストまで一気に進んでいく印象だ。この切り口から、この作品を軽視する向きもあるかも知れないが、これはあくまでもフィクションとして描かれている。アミンという人間像を元に、当時の姿を真摯に描いた物語。ドラマとしての質は高いと思うのだけど・・・?評価は低い。
それでも原作『スコットランドの黒い王様』の紹介を観ていたら、無性に原作が読みたくなった。

ラストキング・オブ・スコットランドラストキング・オブ・スコットランド
(2007/10/05)
フォレスト・ウィテカー

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  • Author:hiyo
  • たった二つの趣味、映画と読書を中心に、日記を書いてみたいと思います。
    最近、自分の時間を充実させたいな、と結構真剣に思っていたりして。文章を書くのも結構楽しいし、誰かが通りすがりに読んでくれたら、嬉しいかな、とか思っている。


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